「先輩とボク」ショートストーリー集 その2ですよ☆ 「最終鬼畜兵器彼女」 ・・・なんなんでしょう、この光景は。 今ボクはゲームセンターにいるんですけど、ものすごい人だかりに異様な熱気・・・怖いくらいです。 そしてその渦中にいるのは・・・ボクの恋人、雪乃先輩。 日曜日、なぁんにもする事のないボクたちは、部屋でごろごろしてました。 「ねぇハルカぁ〜・・・なにか面白い事ないかなぁ・・・」 けだるそうに言う、雪乃先輩。 ゴロンと寝転んで見つめる瞳に、ボクは思わずドキンと来ちゃった。 「・・・う〜ん・・・」 なんか、なぁんにもする事がないときって、結構なにも浮かばないんですよね・・・そのくせ、テスト勉強のときとかはアレもしたいコレもしたいでもやもやしちゃうのに。 ・・・それに、ボクは先輩と一緒にいるだけで、幸せだから。 隣で、ゴローンと。 一緒になって、二人寝そべります。 「フフ、なぁにハルカ?」 寝転んだボクを見て、微笑みながら聞く先輩。 「なんとなく・・・先輩の隣に、来ちゃいました☆」 ちょっとだけ照れながら、ボクもにっこり、返しました。 すると先輩はボクを後ろからぎゅっとして。 「まったくハルカってば・・・可愛いんだから」 なんて言いながら、いつものように頭を撫で始めます。 ボク、ペットじゃないんだけどなぁ・・・・・・、なぁんて。 「・・・ふわふわ・・・」 でも先輩の幸せそうな声に、ボクの些細な悩みなんてどうでも良くなっちゃって。 しばらくごろごろしながら取りとめのないことおしゃべりしてました。 すると突然、先輩はすっくと立ち上がりボクの手を引っ張ります。 「!?ど、どうしたんですか!?」 ビックリしてポカーンと口を開けるボクに、先輩は不敵な笑みを浮かべ言いました。 「最近ゲームセンター行ってないわ?これじゃあ腕がなまっちゃう・・・」 ・・・・・・いつの間にか、先輩はゲーマーになってました。 しかも腕前が半端じゃないんです。 『旋光の輪舞』ではツィーラン君で50連勝、『ギルティギア』でもブリジット君で43連勝した事が有るんだそうです・・・。 「ほら、可愛い男の子使うと気合が入るじゃない?それに・・・ハルカの服のアイディアも浮かぶしね☆」 ・・・ボクにはブリジット君もツィーラン君もどうみても男には見えないんですが。 ・・・・・・そのカッコをさせられてしまう、ボクもボク?ウワァァァァァァァン!! 「準備オッケー!」 と、羽根付きの帽子を整えながら得意げに、先輩は言いました。 「・・・なんでミカ隊長なんですか・・・・・・」 『旋光の輪舞』の主人公(と思ってたんだけど、違うらしいです)、ミカ・ミクリのカッコしてるんですよ・・・。 「ハルカは?アレ・・・」 ・・・・・・男がレオタードは絶対にマズイと思う。 なぜか雪乃先輩は、ボクにしきりにレオタードのツィーラン少年の格好をさせたがるんです。 ボクはぜぇったい着ないんだから・・・流石にそれは人として・・・ねぇ? 「先輩、さすがにそれは・・・」 「え?だってハルカ似合うんだもん・・・」 ・・・そういう問題じゃないのにィ。それに、かなり気にしてるんですよ? ボクはだまってそのままのカッコで外に出ます。 でも先輩、なぜか大きな袋を持っていこうとして。 「・・・なんですか?それ」 「決まってるじゃない、ツィー君の・・・」 「はいはい」 ちょっとむっとしながら、ボクは先輩の手からその大きな袋を奪い取って放り投げちゃいます。 仏頂面の先輩を尻目に、さっさと先に行っちゃった・・・。 ・・・むっとした先輩の顔も、可愛かったりなんかして! ・・・ボクたちが行くゲームセンターは結構大きくて、コスプレ用に更衣室が有ったりします。 更衣室が出来た頃は「なぜだ!!」「ここ秋葉原かよwwww」なんて意見を結構聞いた気もするんですけど、最近はすっかりなじみの光景に。 格闘ゲームとかで、使用キャラのコスプレをして文字通りなりきってる人、結構多いです。 ・・・そして何故かミカ隊長のコスプレしてる、雪乃先輩。 「・・・なんでコスプレしてるんですか?」 いつも疑問なんですよね・・・思わず聞いてみると。 「ほら、ハルカの服作ってると結構布があまったりしてもったいなかったから・・・つい、ね♪」 お茶目なウィンクで、答えます。 「だったらチャンポねーさんのカッコしてくださいよぅ・・・」 ボクだけツィーラン君は不公平だと思いませんか!? すると先輩は、ちょっと恥ずかしそうに、耳元で。 「・・・作ってみてるんだけどアレ、胸元が・・・・・・」 ・・・・・・うわ、見てみたぁい・・・・・・・・・。 ちょっとどきどきしながらも、「ぷよぷよフィーバー」をやろうと駆け出そうとすると。 ガシッ。 先輩に背中を掴まれちゃいます。 ・・・先輩・・・いつの間にツィーランのコスチューム、持ってきてたんですか・・・・・・。 「まぁわたしは手抜かりキライだから・・・背中にしこんでおきました☆」 まったく、先輩には勝てません・・・・・・。 ・・・やっぱり目立つよなぁ。 なんかこのカッコしてるだけでいつもの3倍ほど疲れるんですけど・・・。 くたびれてジュース買っても人だかり出来るし、女の子が集まってきて、 「ツィーランだぁー♪写真取らせてくださぁい☆」 なんて言われちゃったり・・・・・・。 普通の女の子のカッコのが、目立たないだけまだマシかも・・・・・・。 しかも先輩見失っちゃったし!! 寄ってくる人だかりをかき分けてボクは先輩を探します。 困ったなぁ・・・それにこのカッコだと余計に、一人だと心細いし・・・・・・。 そんなコト考えながら進んでると、なぜか人混みは一層凄い事に・・・。 しかもなんか中心からは歓喜の声が! 「な、なにやってるんですかぁー!?」 背が低いからよく見えなくて、先にも進めないから周りの人に聞いてみました。 「ど、どうしたんですか!?」 「え?センコロのミカのカッコした女の子が緋蜂と対戦してる・・・」 ひ、ひばち? なんだろう、と思ってるボクをまじまじと、答えてくれた人は見つめます。 「あ、ツィーラン・・・キミ、あのコの友達?」 ・・・そういえば。 「えっと・・・友達って言うか、その」 なんか恥ずかしくて、彼氏です!とは、言えなかった・・・。 それはそうと、とにかく先輩がこの中心にいる事は確かみたいです! でもこの人混み・・・ちょっと途方にくれてしまうと。 質問に答えてくれたお兄さんが、 「ちょっと、通して・・・」 と、ボクを通してくれました。 良くみたら、店員さん。 「いやぁー、凄いなぁ・・・」 良く分かんないけど、とにかく先輩のところにようやくたどり着けました。 ・・・そこで目にしたのは、想像を絶する地獄絵図の如き弾幕が。 目にも止まらぬ速さ、そして画面を埋め尽くす弾幕を、炎に包まれた蜂型ロボットが撃ちまくってます。 それに立ち向かう戦闘機・・・操っているのは、ミカのカッコした雪乃先輩!! しかも、蜂にほぼ重なりながら弾を避けてます・・・ありえない。 「ちょwwwwコレサイヴァリアかよwwwwwいや怒蜂II?ありえねーwwwww」 そして画面の上には、ヒット数が表示されているのですが・・・なんかものすごい数になってるんですけど。 そして得点!なんか数えきれません・・・・・・。 異様な雰囲気が更に高まります。 蜂の体力を示すらしいゲージがかなり減って、赤くなりました。 そして今度は赤と青の弾が、渦を巻きながら高速で襲いかかります・・・。 そのグルグルを見ているうちに、目が・・・目がぁ・・・・・・。 なんか気持ち悪くなってきて、ふらふらします・・・。 「えぇ!?ちょっ、ハルカぁ!!?」 ・・・気が付くと、ベンチの上でした。 「アレ?ボク・・・」 うーんっと、ちょっと思いだせない・・・。 すると頬に冷たい感触。 「ひゃぁっ!?」 無意識に顔を隠してた手をどけて見ると、先輩がボクの頬にポカリの缶をくっつけてました。 「あ・・・せんぱぁい・・・」 そっか・・・さっき、倒れちゃったんだったっけ・・・・・・。 「あぁ・・・ハルカってば倒れちゃうんだもの。心配したわ・・・」 と、本当に心配そうな顔で、ボクの額に手を当てます。 「・・・大丈夫?」 先輩の不安そうな声に、ボクは上半身を起こしました。 ・・・少し、ふらふらします。 「だいじょぶ・・・でも先輩、凄かったぁ」 ぼんやりと、さっきの緋蜂とやらとの戦いを、思いだします。 ・・・アレは、ありえない。 でも、先輩はすまなさそうな顔で、しょんぼり。 「・・・先輩?」 気になって、ふとたずねて見ると・・・。 「・・・・・・ゴメンね?勝手に出歩いちゃって・・・心配、したかな?」 悲しそうな声で、謝ります。 ボクは首を振って、答えます。 「そ、そんなコトないッてば・・・でもあんなのと戦ってるんだもん、ビックリした」 そしてポカリの缶を開けます。 一気飲みしちゃった。ぷはー、生き返るぅ・・・・・・。 「まぁ、ね・・・アレは大変よ?」 ボクの様子を見て安心したのか、気が付けばいつものように不敵な笑顔の、雪乃先輩。 そして、ボクの手を引きます。 「・・・ここ、出よっか?」 なんだか今度は、穏やかな笑顔で。 「う、うん・・・」 そういって、ボクは先輩の手をとって、起きあがると・・・・・・。 ・・・・・・うわ、凄い人だかりィ!? 「うお、ミカとツィーランだ!!」 「うはwwwwwwクオリティテラタカスwwwwwwwwww」 「二人とも女の子でしょ?どうみても・・・・・・」 なんかすっごい騒がしいです! 気が付けば先輩に、 「さ、サインくださいぃ!?」 なんて混乱気味の女の子がいるし! こ、コレはぁ・・・・・・。 「ハルカ、撤収よ!」 先輩は人だかりに突っ込んで、周りの人をふっ飛ばす勢いで更衣室に駆けこみます。 「うわ、ちょっとまってぇ〜!!」 「・・・今日はやりすぎた」 ファミレスでアイスコーヒーを飲みながら、先輩がちょっとムッとした顔でつぶやきます。 「なにがですか?先輩はいつでもやりすぎだから・・・」 だってなにかと凄すぎるんだもんね、雪乃先輩。 でも先輩は釈然としない顔。 「そうじゃなくって・・・」 いつの間にかいつもの服に着替えてた先輩は、胸元のリボンを整えながら。 「・・・まさかハルカが倒れちゃうとは・・・ね」 ボクの頭を撫でながら、すこし悲しそうに言います。 「ボク、ああいうの目が追いつかないんですよ!」 「そりゃあそうよね・・・流石極殺兵器」 物騒な単語を口にします・・・。 聞けば、さっきやっていたゲームは『怒首領蜂大往生』というものすごい難しいゲームなんだそうです。 「大往生って・・・死んじゃうんですか?」 こんなタイトルヘンだよなぁ、と思って先輩に言うと。 「まぁ、キャッチコピーが『死ぬがよい。』だから間違いじゃないよね・・・」 と、平然と言いながらパフェを口に運びます。 ・・・死ぬがよい、ってぇ・・・・・・。 なんか釈然としない気持ちです・・・だって普通ゲームで「死ね」とは何事、って感じなんだけど、こういうゲームのファンな人たちは「死ぬがよい。」というキャッチコピーを見て、燃えるんだそうです・・・・・・。 ・・・流石に萌えじゃ、ないよね? 「そういえば、さっきのゲーム、前作が有るのよね・・・『怒首領蜂』って。で、そのラスボスのパイロットがシュバルリッツ・ロンゲーナ大佐っていうごっついオッサンで、彼がこう言うのよ・・・。」 「よくもここまで来たものだ。  貴様らは私の全てを奪ってしまった。  これは許されざる反逆行為といえよう。  この最終鬼畜兵器をもって、貴様らの罪に私自らが罰を与える。   死 ぬ が よ い 。」 ・・・・・・さ、最終鬼畜兵器ぃ!? もう何がなんだかわかりませんけど・・・とにかく物騒極まりないです。 でもそんな敵(聞けば、雪乃先輩ってばその前作のボスも倒してしまったらしいです・・・)をあんなにも見事に攻略するなんて・・・。 そんな雪乃先輩を見てたら、思わずこんな言葉が浮かんでしまいました。 最終鬼畜兵器彼女。 「プッ」 「あ、ハルカ何がおかしいの?」 あんまりに無茶なフレーズが浮かんでしまって、思わず笑っちゃったんだけど・・・・・・。 「ハハハ、コレはぁ・・・」 「だから何がおかしいのよ・・・ヘンなハルカぁ」 ・・・先輩、こればっかりはゴメンナサイです・・・・・・。 「Grey Cloud,Blue Moon・・・And Shootingstars」 「今年は800年に一度の○○○流星群が・・・」 朝からしきりに、ニュースが騒いでた。 なんでもこの流星群、本当にものすごい数なんだって! 「それこそ空を覆い尽くすよう、らしいわよ?」 雪乃先輩が昨日の帰り道、わくわくした様子で言ってた。 そして無数のお星さまの下、ボクたちは約束しました。 「二人っきりで、流星群見ようねッ!!」 もう授業も手に付かない。 「おい遙、なにボケッとしてんだ?オマエの番だぞ・・・」 「えっ!?」 国語の授業の音読の順番さえ気にしないほど、ボクの意識は遥か星空へ。 「遙ぁ・・・ヘンだぞ?」 隼人君が気にしてボクに声を掛けるのですが。 「はぇ?」 「はぇってなんだよはぇって・・・」 ぼんやりしすぎて、友達さえ見えなくなっちゃうほど? その意味は、隼人君も次の時間イヤと言うほど理解します。 理科の授業、化学のはずなのに望遠鏡を持ってきた塚本先生。 そして化学そっちのけで天体の魅力を語ります。 塚本先生は話が面白いから人気が有るんですよね・・・脱線のクセが有るんですけど。 ボクはうっとりと、その素敵な星々の話に耳を傾けました。 お昼休み。 みんな集まったけれど、先輩とボクは二人して、まだ見えない無数の流星を見上げます。 「・・・雪乃、今日ヘンだよ?」 明日香先輩、雪乃先輩の事が気になってるみたい。 そして、ボクも見て。 「・・・遙君も」 「でしょ?コイツずぅっとこんな調子なんスよ・・・」 呆れた様子の、隼人君と明日香先輩。 そしてウサギのぬいぐるみを抱きしめる、まいなちゃんも。 「・・・お星様、かぁ・・・・・・」 と、ボクたちのマネして空を見上げます。 「あら、まいなちゃんも?・・・ふぅん、今日はずいぶんと」 明日香先輩も、空を見上げます。 ・・・吹きぬけるような青い空、雲一つない。 気が付けばみんな、見えるはずない流星群を見ようと、青い青い空を眺めてた。 待ちわびた放課後、ボクは先輩お気に入りのワンピースに着替えます。 上にはキレイな白い上着を羽織って。 そして鏡をちらりと見ます。 ・・・女の子みたい・・・ハァ。 こんな自分が嫌なんだけど、でも先輩がスキって言ってくれるから・・・ちょっと、フクザツ。 そんなちょっとまとまりないコンプレックスを胸に隠して、ボクは望遠鏡片手に家を飛びだしました。 いつものように、マスターの喫茶店で雪乃先輩と待ち合わせ。 「アレ?髪・・・」 いつもとちがって、おっきなリボンで縛ってる。 「リボン、どうかな・・・?」 ちょっと照れ臭そうに、先輩はたずねます。 ボクはにっこり笑顔で、答えました。 「似合います・・・かわいいですよ、先輩!」 そしたら先輩、顔を真っ赤にしちゃって・・・・・・。 「ハハハ、雪乃チャンが照れるなんて珍しいな!それにしてもオマエら・・・こんな時間になんだ、逢引きか?ガハハ!!」 マスター、雰囲気ブチ壊し!! 「まったく、茶々いれないでくださいよぉ・・・」 ちょっとムッとして、ボクはマスターに言っちゃった。 マスターはちょっとバツの悪そうな顔で、 「わりぃわりぃ・・・でもよぉ、こんな時間だろ?」 と、不思議そうに聞きます。 すると雪乃先輩が望遠鏡を抱えて。 「ジャァン♪」 するとマスターはハッとして。 「あぁ、流星群か!」 と、手を叩きます。 先輩、にっこりして。 「そう、きっとキレイでしょうね・・・・・・」 その視線は、喫茶店の屋根を突き抜けて、遥か天球へ。 気が付けばマスターも、望遠鏡を抱えてます。 「マスター!?」 「いや、俺もたまには天体観測と洒落こもうと思ってね・・・じゃあ今日はそろそろ店じまいかな?」 ・・・マスターは、少年のような笑顔で、言いました。 「そっか、邪魔しちゃ悪いかしら?」 雪乃先輩はにっこりと、マスターに言います。 「じゃ、いこっか・・・ハルカ」 「わりぃな、ワガママ言っちまってよ・・・」 ちょっと照れ臭そうに言うマスター。 でも、たまには良いと思います。 なにせ、800年に一度なんだからね! 雪乃先輩はボクの手を引いて。 別れ際、軽く手を振りながら。 「じゃあ・・・良い夜を」 なぁんて、ちょっと洒落た、別れの挨拶。 そしてボクたちは手を繋ぎながら、夜の学校へ。 踏み切りを、終電が通りすぎました。 人は、まばら。 「・・・終電かぁ・・・初めて見たかも」 ぼんやりと、見つめます。 すると、雪乃先輩。 「・・・わたしたちも大人になったら、ああ言う風になるのかしらね?」 ちょっとさみしそうに、言います。 「・・・そんな事、ないです」 ・・・根拠はないけど、そんな事言ってみたりして。 ずぅっと手を繋いで、歩いてた。 秋の夜の、ひんやりした空気の中、雪乃先輩の手がひときわ暖かくて。 心臓の鼓動まで、伝わってくる気がして・・・・・・。 「・・・ハルカ、どうしたの?顔が真っ赤・・・」 ・・・ドキドキしてるのが、ばれちゃった。 「・・・でも手は、冷たいのね・・・・・・」 そういって雪乃先輩は、ボクの手を両手でぎゅっと、握りしめました。 その仕草が、ますますボクの胸を、高鳴らせて。 「・・・先輩の手、あったかいです・・・・・・」 ・・・ボク、コレだけ言うのがやっとだったよ。 はぁ・・・なんかもっと言う事が有ると、思うんだけどな・・・ボクってば、やっぱ意気地無し、なのかな。 ・・・先輩がそばにいるだけで、心も身体も、なんだかぽっかぽかでした。 珍しく空いてた正門からこっそり学校へ。 そこから壁を這う鉄の螺旋階段を昇り、屋上へ。 今は、午前1時。 「・・・流星群は、3時からだったかしら?」 先輩が腕時計をちらり見て、つぶやきました。 屋上は冷たい風が吹いて、ボクの足を撫でます。 「うひゃ・・・寒い・・・」 思わず、しゃがみこんじゃいました。 すると先輩は、ボクの足に自分の上着をかけます。 「・・・せ、先輩?」 寒く、ない? 風邪ひいちゃうじゃないかぁ・・・・・・。 「・・・スカートなれてないから寒いでしょ?」 先輩はにっこりと、言います。 先輩だって寒いはずなのに・・・自分の事、案外おかまい無しで。 「先輩が、風邪引いちゃいますよ・・・」 すると雪乃先輩はしゃがみこんで、ボクに抱きつきます。 「・・・?」 「こうすればあったかいから大丈夫☆」 ボクの耳元で、あまぁい声で言いました。 「・・・そっか」 妙に納得して、ボクも先輩の体温に甘えるように。 ふぅっ、と夜空に向かって溜息一つ。 白い吐息が、曇り始めた空に散ってった。 「・・・寒いね」 先輩はボクの背中を抱きしめて、言います。 「でも先輩、あったかいなぁ・・・・・・」 ボクは先輩に頬ずりするようにしながら、答えました。 先輩はうれしそうに、 「そうかな・・・?じゃあ・・・」 と言って、ひときわ強くボクを抱きしめました。 先輩の身体のやらかさが伝わってきて・・・また、ドキドキしてきちゃった。 「ハルカ、やっぱ華奢だね・・・抱きしめたら、壊れそうなくらい?」 なぁんて先輩甘い声で言うもんだから、一層ドキドキしちゃうじゃないかぁ・・・・・・。 ・・・でも先輩、あったかくて・・・・・・。 鼻の頭に、ぽつん・・・。 天気予報のお姉さんは、脳天気に「今夜はバッチリ流星見れますよ☆」なぁんて言ったのに・・・。 うらめしい、雨。 先輩とボクは逃げるように、校舎の入り口へ急ぎました。 屋根に隠れて、雨音に耳を澄ませて。 「・・・氷雨」 降りしきる雨に手をかざして、先輩はつぶやきます。 とっても、恨めしそうに。 「残念だね、ハルカ・・・折角の流星が、台無し」 そういうと、先輩はボクをぎゅっと抱きしめます。 ボクも、先輩の身体に顔を埋めるようにして、 「・・・うん、残念」 ・・・先輩と一緒にいられるのは、うれしいけど。 そしてボクたちは肩を並べ、座りこんで雨をじぃっと眺めます。 雨、雨、雨。 ちょっとだけ、憂鬱・・・・・・。 もう3時も終わりかけ。 気が付けば雪乃先輩は、ボクの肩にもたれかかって眠っちゃいました。 スースーと寝息をたてて、ちょっと子供っぽくてかわいらしかったり。 寝てる間にほっぺたぷにぷにしちゃったり、ぎゅっとしてみたり・・・そして、やらかいほっぺにキスしちゃったり。 そしてボクも先輩にもたれかかって、眠っちゃいそうになった・・・そのとき。 「あ!先輩来て来て!!」 思わず駆けだした。 隣にボクがいなくなったことに気付いた先輩も、すぐに駆けつけました。 そして空を見上げて・・・・・・・・・。 もはや、言葉もなく。 ボクたち二人、ただただ空を見上げるだけ・・・・・・。 800年に一度だけの、天体ショー。 雲の間に間に、空を埋め尽くすような、流れ星でした。 溜息さえ、出なくなるほどの、美しい・・・。 早朝の凍りつくような寒さもおかまい無しで、ボクたちはただ、見とれていました。 ・・・・・・そっと、祈りました。 この無数の、流れ星に。 雪乃先輩と、いつまでも、いつまでも、ずぅ〜っと一緒に、いられますようにっ☆ 「No Title・・・wwww」 「じゃあ今日は明日香んちね?」 二人並んで下校中の、雪乃と明日香。 珍しく、遙はいない。 「オッケ〜♪それにしても今日は遙君と別?めっずらしい・・・」 大げさに言ってみせる明日香。 雪乃は呆れて、 「別に・・・わたしだってハルカを四六時中拘束してるわけじゃないのよ?」 と答える。 明日香は笑って、 「そうね・・・遙君だって雪乃とずぅっといたら息がつまっちゃうでしょうに・・・」 と返した。 ちょっと、むっとする雪乃。 「なぁにその言い方?」 そして明日香のこめかみを、拳でグリグリ。 「いたッ・・・雪乃なにすんのよ〜!」 明日香も負けじと、くすぐり攻撃で返す。 「ちょッ・・・明日香ってば、こんの〜!」 道端で幼い子供のようにふざける二人。とても、高校2年生とは思えない様子に、交通人が思わず笑った。 「クスッ、懐かしいわねー・・・」 初老の女性が、優しげな微笑みでつぶやいた。 その声に気付き二人は顔を見合わせる。 「・・・今の、見られた?」 「・・・・・・うん、バッチリ」 そして決まりが悪そうに、顔を真っ赤にしながら女性に会釈する二人。 女性は、 「貴方たちとっても仲が良いのね・・・では、ごきげんよう」 と、にこやかに挨拶一つして立ち去った。 残された雪乃と明日香も、足早に立ち去る。 「・・・あぁ、恥ずかしかったぁ」 整然とした、明日香の部屋。 雪乃は行儀良く座りながら、一面を見まわす。 「・・・ずいぶんと整理されてるのねぇ・・・」 その様子を見て、明日香が言った。 「雪乃、正座なんかしなくっても・・・」 「良いのよ、わたしなれちゃってるから」 ちょっとだけ照れ臭そうに答える雪乃。 明日香は意外そうな顔で、 「まぁ・・・雪乃さんったら」 と一言。 「雪乃〜、なんか漫画読む?」 退屈そうに座っている雪乃を見かねて、明日香がたずねた。 「なにがあるの?」 「・・・雪乃お嬢さん、お気に召すかしら?正直、BLばっか」 雪乃はその解答が、意外だったらしい。 「・・・ホモ漫画?」 「ホモとは違うのだよ、ホモとは」 明日香はなにかこだわりが有るらしい。 釈然としない雪乃を前に、頼まれてもいないのに小さなテーブルいっぱいに本を広げる明日香。 「・・・耽美系」 しかめッ面でつぶやく雪乃。 「やっぱ雪乃さんは801キライですか・・・・・・」 少しだけ残念そうな、明日香。 雪乃は首を振って、 「違うのよ・・・やっぱキレイな男の子よりは、かわいいほうが・・・・・・」 と、ちょっと困惑した表情で言う。 明日香は納得して、 「そっか・・・やっぱ雪乃はショタが」 と一人肯く。 「・・・・・・わたし、ショタコンに見える?」 ちょっとむっとしながら。 明日香は満面の笑みで、 「残念ながら」 と、返した。 「まぁ、それはさておき・・・雪乃って『のろんど』好きだよね?」 「のろんど?・・・あぁ、センコロね」 特定のゲームに複数通称が有ると困る、そんな例。 (『旋光の輪舞』というゲームは「センコロ」「のろんど」「旋光」「ロンド」等複数の通称が有る・・・ファン層によって若干異なるらしい) 明日香は妙な顔しながらも、続ける。 「私も最近始めたのよ・・・って、遅すぎる?」 「普通は・・・だって4月ごろでしょ?稼働開始」 いつの間にか出てきていたケーキを食べながら、雪乃は答えた。 「・・・なんでまた」 「え?ファビアン萌え」 明日香の解答に、むせかえる雪乃。 「ゲホッ・・・やっぱファビ萌えかぁ・・・・・・」 「更に言えば、ミカ×ファビ萌え?」 ・・・この腐女子がぁッ! 雪乃はなんとなく、心の中で小さく毒づいた。 ・・・・・・直後、ツィーランに萌えている自分も大差無いな、と思い返し、呆れたが。 「やっぱ雪乃はツィー君萌えですか・・・まぁ彼氏にコスプレさせてるくらいだし?」 ニヤニヤと笑いながらの問いかけに、雪乃は真顔で言った。 「意外かもしれないけど、最初はミカ目当てだったのよ?センコロ・・・」 「へぇ?」 「でもキャラ選択でツィーラン見たときに胸をDogyuun!!と撃ち抜かれたわけ」 明日香、苦笑い。 「ど、ドギューンって・・・・・・それなんてジョジョ?」 「違うわよ、古いゲームでそういうタイトルのがあるんだって。マキト兄さんから聞いたわ?」 「でも私のお気に入りは種運命かしら・・・」 「ガンダム?」 明日香はうれしそうにうなずくと、ガンダムSEED DESTINYの同人誌を山ほど取りだした。 「・・・呆れた・・・常々BLとかスキとは聞いてたけど、ここまでとは・・・」 そして手に取り、パラパラとめくる雪乃。 「・・・どう?」 明日香の問いかけにも答えず、固まる雪乃。 そしてパタンと、本を閉じた。 「・・・・・・明日香のえっち」 雪乃の、冷たい視線。 だが明日香は動じず、 「違うわよ、乙女ドリームってヤツよ・・・」 と笑いながら言う。 「いや、エロよエロ、エロエロだわ明日香ってば・・・」 すっかり照れて顔を真っ赤にしながら、雪乃は毒づいた。 「それにしても意外と純情なのね、雪乃って・・・」 微笑みながら、眼鏡をくいッと直し言う明日香。 「意外もなにも、わたしは・・・」 「遙君との関係を見てるととってもそうは思えなくって・・・」 二人の様子を思い浮かべながら、うっとりと言う明日香。 「まったく・・・・・・」 思いっきり不服そうな様子の雪乃。 「わたし、ハルカにヘンな事してる?」 「・・・自覚無いのねぇ」 笑いながら、明日香は溜息を付いた。 「え?え?それどういう意味よ・・・・・・」 その意味深な溜息に慌てる雪乃。 その様子が面白かったのか、 「だって雪乃ってば遙君に抱きつくしキスは一目もはばからないしそれに・・・」 と、一層慌てさせるようにふっかける明日香。 「ぬぬぅ・・・」 しかし事実なので言い返せない。 雪乃はやむなく実力行使に出た。 「このっ!エロエロめぇ〜」 明日香のわき腹を、くすぐり攻撃。 「ちょ、雪乃ぉ!?」 さすがに油断しきっていたせいか、明日香はすぐ白旗を振った。 「そっか・・・」 笑いすぎて痛くなったお腹をさすりながら、明日香はつぶやいた。 「それにしても雪乃がBLダメって意外ね・・・じゃ、ショタは?」 明日香の問いかけに、雪乃は苦笑い。 「やっぱエロばっかじゃない・・・えっちなの苦手なのよぉ」 その顔が、妙に明日香のツボだったらしい。 「あ、雪乃さんかわいい・・・」 「え?」 その言葉に一層照れる雪乃。 「ホント・・・遙君に見せてあげたいくらいね〜?」 「ちょ、なに言いだすのよぉ・・・」 すっかり参った様子の、雪乃。 その頭を撫でながら、得意げに 「私の勝ちねぇ?」 と、ニヤニヤしながら明日香は言った。 ふてくされた顔の雪乃。 「はいはい勝てませんよーだ!」 ホンット、どうでも良い事ばっか・・・・・・。 なんか、呆れちゃうわねぇ? 「余裕のよっちゃん!」 いつもより、ちょっとだけ早い朝。 ボクは雪乃先輩と明日香先輩と並んで、学校へ。 「それにしても・・・参っちゃうわよねぇ、文化祭の実行委員会に・・・」 雪乃先輩、ちょっと呆れてます。 でもその表情、なんか・・・。 「雪乃さん、そういうわりにはずいぶんと余裕そうじゃない?」 明日香先輩が笑って指さしながら、言いました。 そんな明日香先輩はちょっと寝ぼけ眼。 雪乃先輩は軽く胸を張りながら、余裕の笑顔で言いました。 「だっていつも心に余裕を持ってなきゃ、やってられないじゃない?」 ずいぶんと自信に満ちた言葉で、ボクと明日香先輩はちょっと感心しちゃった。 「すごいわねぇ・・・なんか、悟ってる」 「あらそう?だって余裕こそが相手を制圧するキーワードなのよ?」 ほぅっとして言う明日香先輩に、また余裕の笑顔で雪乃先輩は答えます。 まさに大胆不敵、って感じ。 でも雪乃先輩が「制圧」って言うと・・・ちょっと、怖いなぁ・・・・・・。 「雪乃、制圧って」 明日香先輩もちょっと不安そう。 雪乃先輩は今度はちょっと照れ笑いで、 「ちょ、違うわよ・・・言葉のあやってヤツ・・・まったく」 と、呆れながら言います。 「先輩・・・どう聞いても、例えには」 苦笑いでボクは言いました。 雪乃先輩はにっこり笑ってボクの頭を撫でながら、 「ほら、ハルカに酷いコトするヤツがいたら退治しなくちゃじゃない、ねぇ?」 と、優しく言いました・・・ちょっと、言葉に合わない表情。 早朝の教室。 三人だけの教室に、まぶしい朝日が差しこみます。 「あ〜・・・気持ち良いわねぇ?」 大きく伸びをしながら本当に気持ち良さそうに太陽の光を浴びる、雪乃先輩。 普段見ない態度に、ちょっとドキドキしちゃう・・・。 光に照らされてまぶしい先輩を見つめながら一人ドキドキ。その脇には元気いっぱいの雪乃先輩と、対象的に机についてぐったりしてる、明日香先輩。 「ちょっと、明日香ぁ・・・まったくだらしないわね、こんな朝から」 明るくたしなめる雪乃先輩に、机にもたれかかってた頭を重たそうにもたげる、明日香先輩。 「うぅ〜ん・・・だって、昨日遅かったのよぅ・・・」 明日香先輩ってば眼鏡がずれちゃって、ちょっと面白い・・・かも。 雪乃先輩は面白がって眼鏡を直しながら、 「ほら明日香、シャキっと!」 と、背中を叩きます。 そして元気いっぱいの雪乃先輩と眠たそうな明日香先輩、そして眠気でちょっとぽやーんとしちゃったボクの三人で、横断幕作りに入ります。 「・・・まぁこのくらいかしら?」 一通り下書きが終わって、雪乃先輩は溜息一つ付いてから言いました。 「つかれたぁ〜・・・」 朝から本当にだるそうな、明日香先輩。 そしてボクは・・・。 「あ、ハルカってば・・・大丈夫?」 半分、寝ちゃってた♪ 「あらあら・・・ほら、太陽の光を浴びれば目が醒めるわよ?せっかくだから外に出てみましょう?」 雪乃先輩は優しく、ボクの手を引きます。 「ほら、行くわよ?明日香・・・」 そして、ぐったりしっぱなしの明日香先輩の肩を叩きます。 「んぅ・・・私ここで寝てる・・・」 「まったくなに言ってるのよ・・・そんな事じゃ腐っちゃうわよ?」 雪乃先輩、明日香先輩にはちょっと、厳しいなぁ・・・。 「・・・・・・雪乃って私と遙君とで全然態度違うのねぇ・・・・・・」 明日香先輩、ちょっとふてくされてる。 でも自覚の無い、雪乃先輩。 「そうかしら・・・」 「自分じゃ分からないモンねぇ・・・私寝てるから二人仲良くいってらっしゃい・・・」 明日香先輩はそういうと、ボクに一瞬ウィンクして、寝ちゃった。 二人顔を見合わせる、雪乃先輩と、ボク。 「・・・ほっとこっか?」 雪乃先輩が呆れたように言います。 ボクはなんとなく、先輩にくっついて。 「・・・ハルカ?」 ちょっと驚いた表情の雪乃先輩。 ボクはにっこりと、 「じゃ、二人で散歩行きましょ?」 って言って先輩の手を引きます。 「まぁ・・・ハルカからって、ちょっと珍しいわね?」 先輩はちょっと照れながら、うれしそうに微笑んでボクに付いていきます。 ・・・教室のドアを出る瞬間ちらり振りかえると、寝てるはずの明日香先輩が小さくボクに手を振りました。 ボクも小さく、振り返したりして。 朝露輝く草木を見つめ、ボクたち二人、仲良く学校の庭を散策します。 ・・・ふと、気がついた事が。 「・・・ねぇ、雪乃先輩?」 「なぁに?ハルカ」 ボクの呼びかけに、やらかい笑顔で振り向く先輩。 「・・・先輩って、ボクに対して笑いかけるとき、ちょっと変わりました」 ・・・言いながら、ちょっと恥ずかしくなっちゃった。 「・・・どういう意味?」 雪乃先輩はちょっと不思議そうな顔で。 ボクは恥ずかしさでうつむきながら、 「その・・・前みたいに得意げな笑みじゃなくって、ずぅっとやらかくなりました・・・」 と、ちょっと小声で言います。 それを聞いた先輩、きょとーん。 「・・・それって・・・」 相変わらず気付いてない風な先輩の顔を見つめながら、ボクははっきりと言っちゃった。 「だから、まえより笑顔がかわいくなったのー!!」 ・・・・・・はずかしい!! 「・・・う〜ん?そうかしら・・・って、ハルカぁ!?」 あー、はずかしッ!!もうワケ分かんなくなっちゃって、思わず駆け出しちゃった・・・。 でもすぐに、雪乃先輩に肩をがしっと掴まれちゃった。 ちょっと気まずい笑顔で、 「・・・ハハ、ちょっと気分悪くしちゃいました?」 と、照れ隠しに言ってみたけれど・・・でもボクの顔、真っ赤っか。 すると先輩はだまって、ボクの頭をわしわしと撫でました。 「・・・・・・せ、先輩?」 その仕草に、ボクは一層心臓がドキドキしちゃう・・・・・・。 でもふと見た先輩の顔も、真っ赤っかぁ・・・。 「フフッ、うれしかったのよ?でもハルカ、あんなとこで・・・ちょっと、恥ずかしかった」 そしてあのやらかい笑顔で、ボクの事をぎゅっとします・・・・・・。 「もう・・・ハルカってば・・・さっき走り去っちゃったときなんか、すっごく可愛かったわよ?」 そういって、急にボクのくちびるにキス! うわ、朝からコレは・・・ちょっと、強烈ですぅ。 キスの後もなかよく手を繋いで、庭の花々に目を止めます。 「あら、コスモス・・・」 そしてそっと、コスモスの花に触れて。 花いっぱいの花壇に、ひときわキレイな雪乃先輩。 朝からなんだか、ドキドキしちゃいっぱなしです・・・。 「ハルカ、キレイねぇ・・・・・・」 ・・・ボクは、よっぽど、「先輩の方がキレイです」って言おうと思ったんだけれど・・・・・・。 こんな事言ったらもう、一日中ドキドキが止まらなくって大変な事になりそうだったから、この言葉だけは心の中にしまっておいた。 「・・・ん?」 先輩がなにかに気づきます。 ・・・花壇の向こうにゆらゆら動く、大きなピンクのリボンとうさみみ。 「あ・・・遙ちゃんに、雪乃、ちゃん・・・・・・」 ちょっと照れたはにかみ笑いで挨拶する、まいなちゃんでした。 「おはよっ☆まいなちゃんってば朝から熱心ねー・・・」 いつの間にか花壇の向こう側に回りこんでまいなちゃんの頭を撫でる、雪乃先輩。 まいなちゃんはちっちゃくてお人形さんみたいにかわいいけど、やっぱ先輩ってかわいいコが好きなのかなぁ・・・・・・。 ・・・・・・まいなちゃんにちょっとだけ、ヤキモチ妬きそうになっちゃった。 ボクも急いで、二人のいる側へ。 「まいなちゃん、おはよっ♪」 まいなちゃんが水をあげていた花壇を、見つめます。 色とりどりの花々が、この冷たい空気に負けないよう、元気に咲いています。 「まいなちゃんってすごいよね・・・図書委員もやってるのに花壇係も・・・それで、こんなに」 するとまいなちゃんは少し得意げに、言いました。 「お花、は・・・愛情が、大切なの・・・。愛情を、そそぐと・・・ね?こんなにキレイに・・・」 そして、先輩とボクを見て。 「・・・・・・遙ちゃん、と、雪乃ちゃん、みたいに・・・・・・なの」 −−−−−−ッッッ!? 「ま、まいなちゃぁん・・・・・・」 ・・・朝からそんな、えっと、えっと・・・・・・照れちゃいますよぅ・・・・・・。 でもこんなボクに対して、先輩はまいなちゃんの言葉に大喜びで。 「まいなちゃんってば、良いコねぇ・・・そうでしょ?やっぱ愛が大切よね、ねぇハルカ?」 そう言って、雪乃先輩はまたボクの事ぎゅっとします!! そしてそれをとぉってもうれしそうに見つめる、まいなちゃん・・・・・・。 ちょっと、はずかしいなぁ・・・・・・。 ・・・・・・さっきのキスも、まいなちゃんにバッチリ、見られちゃったのかなぁ・・・・・・。 ボクもう、今日は一日中ドキドキが止まりそうにありません!!! 「ふとんのなかで。」 いつものように遅くまで小説を書いて、それから眠たくなったので電気を消して寝ました。 先輩は今ごろ何してるのかなぁ・・・なぁんて事、考えながら。 ・・・目が醒めると。 布団に転がるボクの隣で、雪乃先輩が丸くなってました。 真白なパジャマで、スースーと寝息を立ててます。 寝ぼけ眼でちょっと信じられなくて・・・思わず先輩のほっぺたを、ぷにりとしてみます。 夢だろうな・・・夢じゃない!? 雪乃先輩のマシュマロのようなあったかいほっぺたの感触が。 それで、一気に目が醒めちゃったんです・・・。 「ゆ・・・ッ、雪乃先輩?」 ビックリしちゃって、恐る恐る眠ってる先輩に声をかけます。 でも先輩は寝ぼけちゃって、全然反応しません。 ピクリとも、動かないんだから・・・・・・。 「困ったなぁ・・・」 綺麗な寝顔の先輩のわきで、ボクはつぶやきながら時計を見ます。 まだ、朝7時。お休みだから、ちょっと早すぎる? 昨日寝るのが遅かったしまだ外は寒いから、ボクはもう一度布団に包まろうとしたのですが・・・。 ・・・毛布から枕から全部、雪乃先輩が抱き抱えちゃって。 でも先輩の幸せそうな寝顔見てたら、そんなのどうでも良くなっちゃって。 仕方ないし、ボクはもう一度、先輩の隣に寝っ転がる事にしました。 ・・・妙に、部屋の中がスースーして寒いです。 何でだろうと思って部屋を見まわすと、部屋の窓が開いてました。 「・・・おっかしいなぁ・・・あ」 ・・・先輩ってば、入ってきてから開けっぱなしで、寝ちゃったのかなぁ? 雪乃先輩は、どうしてボクの部屋で寝てるんだろ? なにかあったのかなぁ・・・と、ぼんやり考えていると。 「あ・・・ハルカぁ、おふぁよ・・・」 雪乃先輩が突然、ボクの背中にくっつきました。 うわ、突然・・・ちょうど肩の辺りに先輩の胸がむにゅって当たって・・・もう、朝からこんなのぉ!? ボクはどきどきしながら、 「・・・せ、先輩・・・おはようございます・・・」 と、恐る恐る挨拶しました。 でも先輩は答えもしないで、ぼんやりとボクを見つめてます・・・。 「・・・先輩、いつの間にボクの部屋に来てたんですか?」 寝てる間、ちっとも気が付かなかった。 ぺたーんとあひるさんのように足をハの字型に広げて座りこみながら、先輩はボクの事じぃっと見つめてます・・・。 まだ眠りから醒めてないせいか妙にトローンとしたまなざしで、見られてるとなんて言えば良いか・・・その、恥ずかしくなってきちゃいます。 ちょうど、真っ正面に向かい合うカッコ。 なんだろ、先輩とは毎日挨拶してからずっと一緒にいるはずなのに、まるで初めて先輩と会ったときのドキドキが・・・そのまんま。 胸がどうにも、むずむずしてきちゃいます。 ・・・先輩、何か言って!そうしないとボク、なんだかおかしくなっちゃいそう・・・。 「・・・ごめん・・・さみしかったの」 まだ目覚めてない感じだけど、本当に悲しそうに、先輩は頭を下げました。 そしてボクを突然抱きしめて、頭を撫で始めます。 先輩の腕の中でボクはどきどきしながら、 「・・・さみしかったんですか?」 と、顔を真っ赤にしながらたずねました。 先輩はまだ眠そうな顔で、 「うん・・・夜中目が醒めちゃってね?電気も付けないで暗い部屋の中に、ポツーンっていて・・・そしたらすき間風が、わたしの心の中まで、入ってきちゃってね?」 ・・・・・・先輩、泣きそうになってた。 思わずボクは、先輩を抱きしめながら、黙って聞いてました。 「それで、とっさにハルカに電話しようと思ったんだけど・・・もう寝ちゃってるかな、って思ったから・・・来ちゃった」 そして先輩はボクの事一層ぎゅっとして、本当にいとおしそうに、ぎゅっとして。 「・・・また、さみしくなっちゃったんですね?」 ボクはドキドキしながら、やっとこさたずねました。 先輩はボクから少し離れて、マシュマロのようにやらかい笑顔で、言いました。 「・・・ハルカのお影で、もう大丈夫だから・・・」 ・・・そういうと、先輩はボクに抱きついたまんま、また寝っ転がっちゃいました。 「せ、先輩っ!?」 雪乃先輩に抱きかかえられたまま、ボクは慌てて言いました。 先輩はにっこりと笑顔で、 「まだ早いわよ・・・もう少し、寝ましょ?」 と、あまぁい声で言いました。 でも、ボクはすっかり目が醒めちゃって・・・先輩は、寝ぼけちゃってるけど。 そんなボクをおかまい無しで、先輩はすっかり寝る体勢。 トローンとした目つきでジーっと見つめながら、つぶやきました。 「ハルカ・・・パジャマ、」 そう言われてボクは自分の姿を確かめます・・・!? パジャマがはだけちゃって、胸元が・・・うわぁ、恥ずかしいよぉ!! ボクは思わずそっぽ向いて、 「あ・・・今直します・・・」 と、恥ずかしさいっぱいに言ったのですが、先輩はボクの身体を無理やり向かい合わせにごろんとして、 「・・・そのままで、良いわよ・・・」 って。 ・・・なんか、このカッコはマズイ気がするんだけどなぁ・・・・・・。 しばらくして、先輩はボクに抱きついたまま、また寝ちゃいました。 ボクは一人で、ドキドキしちゃって眠れません・・・。 ・・・でも、先輩が寝ながらボクの頭を撫でるもんだから・・・いつの間にか、穏やかな気持ちになって。 ふっと、ボクもまた、夢の中。 「はぁ〜るか?」 次に目が醒めると、先輩はいつの間にか着替えてて、エプロン姿にお玉を手にしてます。 「うわ!?」 先輩に起こされて、ちょっとビックリ。 ぼんやりとした頭で昨日の夜から思い返して、やっと今朝一度起きたら先輩が隣で寝てる事を、思いだした。 雪乃先輩はすっかり髪も整えて、胸元のリボンもばっちり。 「・・・おはようございますぅ・・・着替え、持って来てたのぉ?」 目をこすりながら、ボクはたずねました。雪乃先輩は得意げな笑顔で、 「当然じゃない・・・」 と、言いました。 「ハルカ、朝ごはん出来てるわよ?着替えて降りてきてね♪」 先輩はそういうと、とっとこと下に降りていきました。 そしてベッドから上体を起こすと、布団の足元にかわいらしいブレザーとスカート、そしてニーソックスが置いてありました。 「・・・先輩、またぁ・・・?」 おとなしく先輩の置いてった服に着替えて、ボクはキッチンに向かいました。 でもお父さんもお母さんもいるのに、珍しいかも?なんて思って・・・。 ・・・キッチンのテーブルには、雪乃先輩一人。 「・・・あれ?お父さんとお母さんは・・・」 ボクが不思議そうにつぶやくと、テーブルについた先輩は首を伸ばして、ニヤニヤといいます。 「ハルカ言ってたじゃない・・・土曜日はゴルフで二人ともいないって♪」 ・・・あ、そうだった。 そしてうれしそうな顔の雪乃先輩は、続けます。 「それにしてもハルカそのカッコ似合うわ?苦労したかいがあったわ・・・」 なんでも、一度既製品を取り寄せたんだけど気に入らなくて、結局自分で作っちゃったんだって・・・先輩、凄いなぁ。 ボクもテーブルについて、朝ごはんを食べ始めます。今日はフレンチトーストとサラダ、それにコーンポタージュ。 「先輩、フレンチトースト甘くて、おいしいですね!」 「そりゃそうよ、わたしのヤツの2倍砂糖いれたんだもの・・・生クリームも・・・」 ボクがフレンチトーストにかぶりつくと、先輩はにこにこしながら見つめてます。 朝ごはんを食べ終わって、食器を片付けて、時計を見ると朝の10時。 「うん、ちょうど良い時間ね?」 先輩が満足そうに言いました。 「・・・何がですか?」 「決まってるじゃない、コレから出かけるのよ・・・」 そう言って、先輩は窓から射す気持ち良い日差しを浴びます。 ボクも先輩の隣に行って、外を眺めます。 雲一つ無い青い空に、紅葉がキレイ。 「うわぁ、今日は良い天気ですね!」 ボクがそういうと、雪乃先輩もにっこりと、うなずきました。 そして、ボクの瞳をまっすぐ見つめて。 とってもやらかい、素敵な笑顔で、雪乃先輩はボクに言いました。 「ハルカ、今日はどこにいこっか?」 なんだか今日も、素敵な一日の始まりです!! あ・と・が・き☆ 「最終鬼畜兵器彼女」 最終兵器彼女は知りませんけど最終鬼畜兵器は知っております。われらが首領、シュバルリッツ・ロンゲーナ大佐の愛機火蜂です。弾幕シューティングの始祖にして最強のカリスマを誇るボスですね。でもその直系の極殺兵器緋蜂とは同列くらい。 そうです、雪乃先輩は緋蜂を落とせます・・・ガチで・・・ノーミスノーボムでオーラ撃ちでヒット数稼ぎまくりです。 ちなみに雪乃のプレイをしてサイヴァリアだの怒蜂IIだのと言われてますが現実には不可能としか思えないプレイなんだと思う、多分。要するにあの高速弾の発射口にかすりながらオーラであぶってるんですよ、緋蜂を。知ってる人には完全に不可能だというのが分かると思うんで、分かる人だけにネタってことで。 時々、分かる人には「コレ絶対不可能だろwwww」的なネタをしこんでるんだけどね、先ボクって。他にも。例えばまた雪乃だけど生まれて初めてまたがったバイクがドゥカティ996(※非常に気難しいバイクらしいです)で、ウィリー→バーンナウトから加速→ジャックナイフ→マックスターンというありえない真似したり、マキトがカタナ(キリンで有名・・・ってか、マキトのカタナは基本的にキリンのカタナのレプリカ)にニトロ積んで300km/h以上出したり、知ってる人にはそれはありえないっていうコトばかり描いてます。 更に言えば退魔編はありえない描写満載なんだけど。 ・・・退魔編の雪乃はどう考えても掛け値無しの最終鬼畜兵器ッぷりがぁ。真性サディストだしってそりゃ普段の雪乃もかしら? そしてそんな凄い彼女に置いてけぼり食らいっぱなしのハルカ、というね。 そういえばツィーランのレオタード姿(Aカートリッジ、普通のカッコ)のコスプレは初めてだったりする・・・。てかコスプレおkなゲーセンってwwww 「Grey Croud,Blue moon・・・ and Shootingstars」 なんとなくBumpのインスパイヤって感じですね。いやバンプオブチキンのCD持ってないですけどー。 なんてーかかなり相変わらずな話だよね。みんなはこういうのどうかしら? ・・・・・・逆に言うと、退魔編なんて本編ブチ壊しのアレはどうなのかってのも有るんですけどね。 そして望遠鏡が無意味だった件。 「No Title・・・wwww」 雪乃と明日香の二人がバカ話、っていうちょっと珍しい。 ネタがセンコロに偏ってゴメンなさい。 そしてやっぱり先ボクってマトモな人がいないわ、と再認識wwwwwww 「余裕のよっちゃん!」 何が余裕のよっちゃんなのかちっとも分からんが。 そういえば文化祭やら体育祭やら合唱祭やら描いてないのよね。ま、しゃーない。 朝っぱらからバカップルな雪乃と遙です。相変わらず雪乃の遙ラブは留まるところを知らんね。そしてそんな雪乃にドキドキしっぱなしな遙。 やっぱまったりしてるのって良いですよね? ・・・・・・もっと激しいのをお望みなら退魔編などいかがでしょ?このほのぼのムードがふっ飛びますよ、とワケ分からん事言ってみる。 それにしても、まいなちゃんには結構花が似合うんじゃないかと思って花壇に水をやってるシーンを書いてみました、どーでしょ? 「ふとんのなかで。」 マシュマロのような、かわいい話を書きたくて。 まぁ俺って単純に可愛いものが大スキなだけなんですけどね。