「先輩とボク」気がつけば90話目前wwwwwwwww しかし最近停滞気味なんですけどね。書きたい気満々なのに・・・。はぅっ。でも俺は書くしかねぇ!! 89. 雪乃先輩のクーラーが直った記念に、みんなでお勉強会・・・だそうです。 先輩の部屋、結構広いんですけど・・・・・・あのタンスはぁ。 それに、やっぱりボク、雪乃先輩にお願いされちゃうし・・・。 「ねぇハルカ、今日はまた、あのセーラー服で来てくれないかな・・・ハルカってさぁ、やっぱ足、キレーだよね・・・」 ・・・先輩、ちょっとヤバイかも。 アイタァッ!? 気がつけばすっかり時間に遅れちゃいました。 ボクは両手におっきな袋を抱えて、雪乃先輩のウチに飛びこみます。 「こんにちはッ!」 ふと見ると、玄関のすぐわきの部屋の前に、おっきな荷物が置いてありました。 送り先は確かに雪乃先輩のお家なんですが、あて先人の名前、見たこと無い・・・・・・。 「堀江 牧人様」 ・・・だれだろう? 「おそぉい、ハルカってばぁ」 部屋にお邪魔するなり、雪乃先輩がたしなめるように言います。 ちょっと、いじけてたかな? 「ゴメンナサイ、色々買ってたら遅くなっちゃって・・・・・・」 みんなのつき刺さる視線を無視するように、ボクは明るく言います。 でも、隼人君、 「遙ぁ・・・お前なー、今日はお前が主役なんだぜ?」 なんて言います。 ・・・主役!? 「隼人君、それどういう意味・・・」 「あー、堀江さんが新作披露って」 ・・・うわぁ。 またボク、着せかえ人形かぁ・・・・・・。 如月先輩も、うれしそうに手を合わせて、 「遙君、今日は巫女さんだって!楽しみー」 すっかり如月先輩も、ボクを着せ買え人形にするのが楽しくなっちゃったみたいだぁ・・・・・・。 全部、雪乃先輩のせいですからね!? 「まま、ハルカぁ・・・今日は博麗霊夢の巫女装束を用意したからさぁ・・・・・・」 なんて、可愛く言うんですよ!?反則ですよね!! ボク、逆らえなくなっちゃうんだもん・・・・・・。 ボクが着替えてる間、みんなはボクの持ってきたものを見ています。 「うわぁ・・・駄菓子ばっかりこんなにたくさん」 と、如月先輩が驚いたように声を上げます。 「なつかしいなぁ・・・俺も子供の頃、よく駄菓子屋さんに行ったよ・・・」 大鳥先輩は、妙に感傷ぶかげに。 でも、お嬢様な六条先輩は、 「あら・・・コレはなんですの?」 なんて、興味津々。 大鳥先輩が、説明してます。 「これはこうやって・・・そうすると・・・」 なんて。 二人は仲が良いんですけど・・・六条先輩は大鳥先輩が好きで、でも大鳥先輩にはつきあってる人がいて・・・・・・。 最近、この二人を見るとフクザツな気持ちになります。 切ないなぁ・・・・・・。 そして三国さんは、 「あ・・・練りあめ・・・・・・」 と、さっそく水あめを練り始めました。 雪乃先輩が突然、 「ハルカー、コレ食べちゃって良いの?」 と、少し申し訳なさそうに言ったんですけど・・・みんなのために買ってきたから。 「いいですよ?どんどん食べちゃってください!」 ボクが笑って言うと、雪乃先輩はやさしい声で、 「ハルカ・・・ありがと。いつもやさしいね・・・」 なんて言うから、ボクは急にドキドキしてきちゃった。 ・・・なんでだろ。 結構いろいろと手間取ったのですけど、楽園の素敵な巫女さんのカッコになって。 うぅっ、なんか恥ずかしいなぁ・・・いつにもまして。 だって、巫女ですよ巫女!巫女巫女ナース!! 「うはッ!巫女キター!!」 隼人君、大声を上げます。 秋山君は、 「おぉ、東方かよ・・・遙お前、ホントに男かぁ?」 なんて、半ば呆れながら言うんですよ? でも、そんなちょっとむっと来ちゃう秋山君の発言に、隼人君は、 「おい、そういう事言うの止めろよ・・・」 って、言ってくれた。 隼人君にとって秋山君は仲のいい友達なんだけど、きちんとこういう事も言えるんだなぁ・・・・・・。 隼人君、やっぱ凄いなぁ。ボクじゃ、こうは・・・・・・。 で、うれしくなって。 「隼人君、ありがと・・・。秋山君、そうゆーの止めてね?」 ・・・でも、このカッコじゃちょっと、説得力ゼロ。 秋山君はちょっと罰が悪そうだけど、 「・・・でも、似あってる・・・・・・」 なんて、ちょっと照れて言うんです。 う〜ん、フクザツ。いつもの事だけど。 そして、隼人君も・・・。 「やっぱ遙、かわいいな・・・・・・」 ・・・っておい! 「まったく隼人君!?そんなんだから雪乃先輩に『ハードゲイ仁科』って呼ばれちゃうんだぞ?」 ちょっと、むっとしちゃった。 でも、こういうの、そういえば初めてだなぁ・・・・・・。 反応が少し怖かったりして、ビビったけど。 「・・・あ、遙ゴメン」 今度は隼人君がちょっとバツが悪そう。 そんなボクたちの様子を見て、雪乃先輩が。 「あぁハルカ!?いつのまにしたの名前で呼びあう仲に・・・」 ってなんでそこで、嫉妬しちゃうんですか!? 「男の友情ってヤツですよ、先輩☆」 と、ボクはウィンクしながら言いました。 そしたら雪乃先輩、またボクに抱きついて・・・・・・。 「男の友情も良いけど、わたしを捨てないでね?」 ・・・・・・まったく、困っちゃう。 最近雪乃先輩ってば、ちょっと甘えんぼ。 「・・・ハルカ、そのカッコ、大変だったら着替えて良いよ?」 流石にコレは、ひらひらしすぎてなんだか疲れます。 みんなの視線もいつにも増してヘンだし・・・・・・。 「えぇ〜?遙ちゃん、着替えちゃうの・・・?」 という三国さんをよそに、ボクは元の水兵さんの格好に着替えました。 そしたら三国さん、 「セーラー服も・・・かわいい・・・」 なんて言うんだからぁ。 かわいいって言われるの、あんま好きじゃないんだよなぁ・・・・・・。 ・・・・・・あ、雪乃先輩に言われるのは、別ですからね!? 「にしても雪乃、すごいね・・・よくあんなの作れるねー」 如月先輩は驚嘆の声を上げました。 「そう?」 と、雪乃先輩は平然とアイスコーヒーを飲みながら言います。 この平然さが、余計凄い。 そして、如月先輩は更に。 「おまけに遙君の服だもんねー・・・まぁ、似あうんだけどさぁ」 と、ボクをニヤニヤと見ながら。 「似あうでしょう?ハルカかわいいもんね・・・」 と、雪乃先輩は突然ボクに抱きつきながら言います。 うわ、突然・・・ビックリしちゃうよぉ。みんなの前だよ!? 「せ、先輩・・・ちょっと、恥ずかしい」 と、必死に訴えるのですが・・・・・・。 「・・・ハルカは、イヤ?」 なんて。 ちょっと悲しそうな瞳で。 ・・・そっか、雪乃先輩の妙なさみしさって、そんなの関係無しなんだ・・・・・・。 それが急にいとおしく思えてきちゃって、 「・・・ううん」 って、みんなの視線も気にしないで、ボクの方がぎゅっとしちゃった。 先輩のやわらかさと体温に、ドキドキ・・・。 「ちぇッ!まったく見せつけやがって・・・」 「ホンット、バカップル!」 ボクはようやく、お菓子を食べ始めます。 まずはあめ玉・・・。 「それにしても・・・ハルカ、なんで駄菓子なの?」 雪乃先輩は少し不思議そうに、聞きます。 「え?だってボク、駄菓子好きなんだもーん」 わざと、子供っぽく言ってみました。 雪乃先輩はボクの頭をグリグリと撫でながら、 「ふぅーん・・・それにしても、久しぶり」 と、懐かしそうに言いました。 「へぇ、雪乃意外だぁ」 と、如月先輩が。 「そう?」 「だって、そういう子供っぽいの好きじゃなさそうだから・・・」 確かに、学校での雪乃先輩のイメージと少し、違うかも。 夏休みになってからは、学校がないせいか、すっかりリラックスしてる感じだけど。 「そうかな・・・ってソレどういう意味?まるで小さい頃可愛くなさそうって言いぶりねぇ・・・」 と、雪乃先輩はちょっと憮然として言います。 「ゴメンゴメン」 如月先輩は笑いながら、謝ります。 でも雪乃先輩、ちょっと不機嫌になって・・・・・・。 「このぉ〜!」 と、くすぐり攻撃! 「わ、ちょっと雪乃ぉ・・・」 まったく先輩ってば・・・・・・。 ちっちゃな子供みたい! むしゃむしゃとお菓子を食べてるボクをみながら、突然雪乃先輩が。 「ホンットハルカってば・・・お菓子大好きだよねぇ・・・・・・」 と、にっこりと見つめて、言います。 「そぉねー・・・」 如月先輩も。 「遙ぁ、少し控えろよ・・・・・・」 隼人君、少し心配そうだけど、どうしてかなぁ? 「え?なんで?」 「だって、太る・・・」 心配してくれるのはうれしいけど、ボク太らないからねー。 おかまい無しに食べてると、今度は三国さんが。 「・・・遙ちゃん・・・お菓子、似あう・・・・・・」 う〜ん、どういう意味だろ? 「あ、それはあるかも」 と、如月先輩も同意して。 「・・・・・・遙君、駄菓子屋さんに、よく行くの?」 「うん。どうしたんですか?」 「え?ちょっと・・・・・・」 と、なぜか顔を赤くして伏せ気味に。 「あ、何がおかしいんですかぁ!?」 ボクはちょっと怒って、言いました。 だって、笑ってるんだもん・・・・・・。 「遙君が駄菓子屋さんにいるトコ、想像しちゃって・・・」 なぜか、満面の笑み。 そしたら雪乃先輩も。 「そのカッコで、ねぇ・・・・・・うわ、ちょっとかわいい・・・・・・」 ・・・子供っぽいのかなぁ。 気がつけばみんな、ボクを見ながら笑ってるし! 「遙ってば、おこちゃまだなー」 あぁ、隼人君!? 「そんなに、子供っぽい・・・?」 でも、雪乃先輩は笑顔で、言ってくれました。 「・・・ハルカはそのままで、いいんだよ?」 ・・・・・・う〜ん、こういう時って、やっぱフクザツなぁ。 「お、オレもさ、別にわりぃとは・・・」 ・・・・・・ま、いっか! 「・・・『おばちゃーん!こんにちはー』って、顔なじみなイメージ?」 「それであのカッコだもんね・・・ちょっと、可愛すぎよね・・・・・・」 90. 雪乃先輩って、不思議な人。 とっても大人っぽく見えたり、妙に子供ッぽかったり。 なんでだろ? その日、先輩とボクはなにもするでなしに、ごろごろ。 「ハルカ・・・こうも暑いと、だれちゃうよね・・・・・・」 と、ぐったりして雪乃先輩は言います。 そのうだったような表情に、ボクはちょっとドキッとしちゃって。 あせって、 「う、うん・・・」 とだけ、うなずきます。 暑い・・・それに、顔も、熱くなって来ちゃう。 夏だからかなぁ・・・・・・雪乃先輩の表情が、妙に色っぽく見えちゃって。 ・・・・・・ボクのバカ。 先輩が、氷水を持ってきてくれました。 「夏と言えば、氷水かな・・・・・・?」 と、にっこり笑って。 「う〜ん・・・ボクは、かき氷かなぁ?」 氷水に口をつけながら、言いました。 「かきごおりねー・・・」 雪乃先輩も、氷水に口をつけます。 その唇に、またドキドキ。 ・・・・・・なんでだろ、雪乃先輩にいつもよりもドキドキしっぱなし。 暑いからかなぁ? ボクは赤い顔しながら、うつむいてました。 そしたら雪乃先輩が、後ろから抱きついてきて。 「うひゃぁあっ!?」 ビックリ、いつもの3割増、って感じです! 「あ、ハルカ驚いちゃって・・・かわいい・・・・・・」 と、先輩は、後ろからゆっくり、ボクのほっぺにキスをしました。 ボクの心臓は、更に激しく鼓動を打って・・・・・・。 「・・・せ、先輩・・・・・・少し、恥ずかしいなぁ・・・・・・」 でも先輩は、もっと強く、ぎゅっとして・・・・・・。 「ハルカ、ドキドキしてる?」 耳元で、ささやくように。 その声と吐息に、ボクの鼓動の上昇が止まらなくなっちゃって。 でも先輩は、驚くほどやさしい声で。 「・・・・・・わたしは、ものすごい、落ちつく」 「・・・ねぇ、ハルカ?将来の夢って・・・ある?」 突然、雪乃先輩が、つぶやくように。 でも、あまりに突然で、それにボク、考えた事も無かった・・・・・・。 「・・・いまはまだ、無いかなぁ・・・・・・」 と、答えます。 なんでだろう、ちょっとさみしい気持ちになっちゃって。 「・・・そっか・・・」 雪乃先輩は、少し困ったようでした。 「・・・わたしもね?そういうの、まだ無いんだけどね・・・・・・もう、担任がうるさくって。『お前なら上の推薦狙えるぞ』って・・・でもわたし、一流大学とか興味無いし・・・・・・」 と、憂鬱そう。 その表情に、またドキッと。 でも、なんだか少し、胸が痛くって・・・・・・。 「でもね?なにかやりたいこと、あるわけじゃないんだけど・・・・・・困ったなぁ、どーしよ・・・ねぇ、ハルカ?」 雪乃先輩は、ボクの後ろから、ゆっくりと白い、細い腕を回して、ぎゅっと抱きしめます。 やさしく、まるで小さな子供をだっこするみたいに。 そして、ボクを抱いたまま後ろに、ごろん。 天上が、視界に飛びこんで。 「・・・・・・なんでだろ、退屈するのはイヤなのに、自分でやりたいことも見つからないよ・・・・・・」 寝転んだまま、先輩はつぶやきます。 少し悲しそうで、目も潤んで泣きそうに。 ・・・どうして? 「・・・雪乃先輩・・・・・・」 ボクは、寝転んだまま、雪乃先輩をじっと見つめました。 黙って、見つめあうボクたち。 雪乃先輩のアンニュイな視線に、やっぱりドキドキしちゃうけど、でもどこか切なくて。 ・・・思わず、キスしてしまったりなんて、しちゃって・・・・・・。 「寝転んだままでキスかぁ・・・ハルカってば」 意外にも、雪乃先輩はちょっと照れちゃいます。 いつも、ボクには抱きついたりキスしたり、人前でも平気なのに・・・・・・。 先輩は照れた様子のまま、寝転んだまんまでボクを抱き寄せ、髪をいじります。 「ねぇ、ハルカ・・・・・・こういうの、イヤ?」 「ううん」 気がつけば、ボクの心はすっかり穏やかになってました。 雪乃先輩も穏やかな表情で、黙ってボクの髪をいじってます。 時々、ボクの匂いを嗅いじゃったりして・・・・・・少し、恥ずかしいなぁ・・・・・・。 「・・・わたしね?小さい頃はお嫁さんになりたかった・・・・・・」 遠い目をして、雪乃先輩はつぶやきます。 「・・・でもねぇ・・・好きな人って、幼稚園の頃は出来なくて・・・それで、小学校は女子校でしょ?だからそういう機会、めったに無かったのよねぇ・・・でもどこかで、白馬に乗った王子さまが来るなんて、信じてた」 ちょっと意外。いつもはあんなに、どこか醒めたような雪乃先輩が、夢見がちだったなんて・・・・・・。 「・・・意外かな?」 先輩はボクの目を見つめて、言います。 ・・・あぁ、この人には、ボクの考えてる事なんてお見通しなんだな・・・・・・。 「・・・うん・・・ゴメンなさい」 ヘンな事、考えちゃったから。 でも、雪乃先輩はとってもやさしく、 「ううん?自分でも今思うと、すごくヘンな感じ・・・でもどこかで、醒めちゃったのよね。そういう幻想じみたの。それで、気がつけば小学も3年の頃になると、周りのコがみんなどうしようもなく見えちゃって・・・それも今思うと、恥ずかしい話なんだけど」 う〜ん・・・難しくて、よく分かんないかも。 「ほら、わたしってばあの頃はなにもしなくてもテストなんて100点ばかりだったし・・・それに、周りが少女漫画の話とかしてると、いつも思ってた。『バーカ、そんな話あるワケ無い・・・・・・』って。今思うと、最悪・・・・・・」 ものすごくバツの悪そうな表情で、そんな顔もかわいかったりして。 ボクは思わず、先輩の頬をなでてしまって。 ・・・どうしてそんなことしたのか、自分でもよく分かんない。 「・・・ハルカ?」 ちょっと驚いたようだったけど。 「・・・いいや、好きなようにして良いよ?ほっぺ・・・」 ・・・自分でもわかんなかったから、気がついたときには慌てて。 「うぁ・・・なんでだろ・・・ゴメンなさい、わかんないなぁ・・・」 そんな困ったボクを先輩は抱きしめて、やさしく頬ずり。 「・・・ハルカ、可愛いなぁ・・・なんでだろ、もっとやさしくしたくなっちゃうの・・・・・・」 ビックリする。雪乃先輩の、突然の行動に。 でも、なんだかそんなのが、とっても心地よくって・・・・・・。 「それでねぇ・・・そうねぇ、中学も卒業近くになって、もう何もかもがバカらしくなってきちゃったのよね・・・・・・」 淡々と、ボクを抱きしめながら言います。 「だって、この先ずっと、こんなお嬢様みたいな真似して・・・茶道とか生け花とか、ヘンな花嫁修行ばっか。でもおかしいよね、小さい頃は白馬の王子さまのお嫁さんになりたかったのによ?まぁ自分でもよく分からないわ・・・・・・」 もう、雪乃先輩の頭の中、ごちゃごちゃって感じなのかなぁ・・・・・・。 「でもね?ハルカ、キミと出会って、やっとなんだか分かり始めた気がする」 ・・・雪乃先輩、ボクをまっすぐに見つめて。 その真剣な眼差しが、ボクのハートを貫くようで。 また痛いくらい、ドキドキする。 「・・・そっか、あせらないでやりたいこと、探せば良いんだよね・・・?」 と、ボクに問いかけるように、自分に言い聞かせるように、雪乃先輩は言いました。 そして、ボクを更に強く、だけどやさしく抱きしめて。 ボクの心臓はまた爆発寸前に高鳴って。 どうしようもなくなって・・・。 たまらなく、なっちゃって・・・・・・。 そうだ、言わなきゃ。言わなくちゃいけない気がしたから。 「雪乃先輩・・・ボク、先輩の白馬の王子さまに、なりたいんです・・・・・・」 心臓が、止まるかと思った。 だって、あんまりに恥ずかしいし、ヘンテコな台詞だと自分でも思ったから。 それに、もう堪えられないくらい顔が熱い・・・・・・。 でも、そんな真剣なボクの告白を、雪乃先輩は笑って。 「ハハ、でもハルカはなぁ・・・・・・」 フクザツな表情。 ボクの心境も、フクザツです・・・。 「・・・ハルカはやっぱ、お姫さまって感じだもん・・・」 なんて、やさしく頭を撫でながら。 でも、お姫さまって・・・・・・。 「先輩、ボクは男ですよ!?」 流石にちょっと、傷ついちゃいます・・・・・・。 「ゴメン・・・でも、わたしが小さい頃待ってた王子さまとは、違うの・・・・・・ハルカは」 先輩は遠い目で、つぶやきます。 少し、悲しくなってくるけど。 「・・・だって、そもそも白馬の王子さまなんて、どうでもいいの。やっぱりわたし、ハルカが大切で、好きだもん・・・白馬の王子さまなんて、目じゃないわね」 と、いつものように、ニヤリと不敵に笑いました。 「世界中の他のどんなに素敵な男だって、わたしにとってはハルカにはかなわないんだもの・・・・・・」 ・・・・・・なんだろ。 先輩の返事はとってもヘンテコだったけど。 でも、ボクはすっごく、うれしかった。 「ねぇ、ハルカ・・・大好き。でも、お嫁さんになって欲しいなんて言ったら、怒るかな・・・・・・?」 雪乃先輩は、にっこりと笑顔で、言いました。 とっても素敵な、まぶしい笑顔。 その笑顔が、ボクはとってもうれしくて。 だから思わず、雪乃先輩をぎゅっとして! 「いいですよ?・・・でも何でボクが、お嫁さんなんですか?」 「だってハルカ可愛いし、やさしいから・・・・・・お嫁さんじゃ、ダメ?」 う〜ん、ちょっと先輩の考えてる事は、わからないんだけど・・・・・・。 「今なら、コレだけは、言えるかな・・・・・・わたしは、ハルカと一緒にいたい。ずっと・・・ずっと・・・・・・」 ウチに帰って、ボクはぼんやり考えてました。 自分の将来の、夢。 なぁんにも見えては来ないんだけど。 ・・・だから、サラリーマンになった事を、想像してみたけど、全然イメージはわかなくて。 でも、なんでだろ・・・・・・どんなにいろんな事考えても、その想像の姿のボクの隣には、いつも雪乃先輩の姿があって。 ・・・そっか、ボクも雪乃先輩といっしょに、いたいんだ。 そんなこと考えてたら、また切なくなっちゃう・・・・・・。 心に抱える一抹の切なさに負けないように。 ボクはせめてと、明日の事を考えます。 ・・・・・・明日は雪乃先輩と、どんな事をしてすごそうかな? ううん、どんな事でも本当はよくて。 雪乃先輩と一緒にいるだけで、ボクは幸せで・・・・・・。 ・・・・・・・・・でも、やっぱ女装はちょっと、イヤだなぁ・・・・・・。 91. 先輩とボクはつきあってます、一応・・・。 でも、傍から見たら、やっぱりヘンなのかなぁ・・・・・・。 早速、雪乃先輩はボクの頭にリボンをつけて。 「・・・よしっと。うん、結構似合う」 リボンをしたボクを見て、先輩は満足げに言います。 でもボクは、ちょっとげんなり・・・。 「雪乃先輩?コレから、どこに行くんですか?」 「いいから」 少女趣味全開のフリル付きの服装で、ボクは戸惑ってしまいます。 でも雪乃先輩、おかまい無し。 「じゃあ、行きましょ?」 そんな先輩の今日のカッコは、ちょっとボーイッシュ。 でも、ちょっとヘンですよね・・・雪乃先輩は、自分ではこういうふりふりなカッコ、しないんですよ? 暑い日差しの中、ボクはひらひらなカッコを気まずく思いながら、雪乃先輩の後を歩きます。 「そういえばマスター、普段のこういうカッコ、見てないよね・・・・・・」 お店の制服はスカートだし、時々マスターのお店でコスプレは何故かするんだけど。 普通の、女の子の格好って、多分マスターは見たことなかった。 「どんな反応するかな?」 雪乃先輩は、わくわくした様子で言いました。 ボクはちょっぴりおびえながら、 「ど、どうかなぁ・・・」 だって普通じゃないし。 いくら似合ってるとかいっても、さすがにコレは・・・・・・。 マスターのお店に入るなり。 「おぅ、雪乃チャンに遙チャン!・・・遙チャン、それ・・・」 やっぱり、ちょっと驚いてます。 雪乃先輩はマスターの様子がうれしいのか、得意げになって、 「どーお?似合ってるでしょ」 なんて、自慢します。 ボクは恥ずかしいし、すっごいフクザツな心持。 マスターは戸惑って、 「まぁ・・・似合ってるけどよ・・・・・・」 と、フクザツな顔をして言いました。 普通、困っちゃいますよね・・・だってこんなカッコしてる当のボク本人が、困ってるんだもん。 「・・・注文は?」 ヘンな顔しながら、マスターが聞きます。 「わたし、キリマンジャロにしようかしら・・・・・・」 雪乃先輩は普段と変わらない様子で、つぶやきます。 「ボクは、カプチーノと、クレープ」 「いくつだい?」 「・・・とりあえず、3つ」 注文をとると、マスターは黙ってカウンターの奥に戻りました。 ・・・どうしたんだろ。 「・・・マスターには衝撃が大きかったのかなぁ・・・」 雪乃先輩は、ニヤニヤしながらつぶやきました。 「それは、さすがに・・・・・・」 ボクは戸惑って、答えます。 「・・・ヘンタイと思われたかなぁ・・・・・・」 ちょっと、不安だけど。 「え?そんな事は無いとおもうけどなぁ」 先輩は、笑顔で答えます。 「だってホントにそう思ったら、もっとしかめッ面よ?マスター、ごまかし利かないタイプだから。ビックリしただけじゃない?」 ・・・うーん、そうかなぁ・・・・・・。 マスターが、注文したコーヒーとクレープを持ってきます。 「おまたせッ!」 と威勢よく言いながら、手渡してくれます。 ボクたちは早速、コーヒーを飲み始めて。 マスターは、ちょっと不思議そうに、ボクたちを見つめます。 「・・・マスター?」 その様子が気になったのか、雪乃先輩がたずねました。 「どうしたの?ヘン?」 「・・・いや・・・・・・」 と、ニヤリと笑いながらマスターは言います。 「お前たち、可愛いじゃねーか・・・バイトに雇っといて、よかったぜ?」 なんて、唐突に。 「え?そうですか?」 ボクはなんか気になって、聞きます。 するとマスターは豪快に笑いながら、 「可愛い看板娘が二人もいるんだからな!結構話題にもなってるしな!!」 なんて。 娘って、ねぇ・・・。 「マスター!ボクは男ですよ!?」 ちょっと憤慨して、言ったのですが・・・・・・。 マスターは、ボクの頭をぽんと叩いて。 「だぁーから良いんじゃねえか!なぁ、雪乃チャン!」 雪乃先輩も、大きくうなずきます。 ・・・う〜ん、なんだかフクザツだぁ。 「ねぇマスター、」 コーヒー豆を挽くマスターに、雪乃先輩はたずねました。 なぜか、ドキッとするような視線で。 「なんだい?」 「・・・・・・こんなわたし達、ヘンかしら?」 ものすごい真剣な表情で、聞きました。 なにか、思いつめてるくらい真剣な眼差し。 その気迫に、マスターも押され気味。 「・・・ヘン、って?」 少しとぼけたような、マスター・・・珍しい。 でも、それに対して、雪乃先輩は。 「・・・わたしとハルカ、付き合ってるの。でも、彼女が彼氏を可愛いからって女装させてるなんて、おかしいのかしら?」 怒っているようにも、思えました。 一瞬マスターは考え込みましたが、すぐに笑顔になって。 「・・・いや、俺にはわかんねえよ。それは結局、雪乃チャンと遙チャンの話だからよ・・・・・・」 なんて、頭をかきながら。 「でも、人がとやかく言う事じゃあねえよな・・・遙チャンの場合、また似合うしなぁ!」 ・・・うぅ〜ん、また言われた。 でもとにかく、マスターは気にしないみたいです。 雪乃先輩、うれしそう。 「・・・ありがと、マスター。そうだよね、人がとやかく言う事じゃ・・・・・・」 少し、照れ笑い。 そんな雪乃先輩の表情もまた、可愛くて。 傍から見てて、ドキドキしちゃった。 「でもよぉ、遙チャンあんまりいじめんなよ?」 と、マスターはボクの頭を撫でながら言いました。 「うわ、マスター?」 ボクはちょっと、戸惑っちゃって。 「遙チャンも、あんまりイヤだったりしたら雪乃チャンに言ってやった方が良いぜ?」 なんだか不器用だけど、マスターのやさしさが結構うれしくて。 ボクはなんだか照れちゃって、うつむき加減で、うなずきました。 「ガハハ!てぇことだ!だから遙チャンの意見は聞いてくれよな、雪乃チャン!!」 ・・・雪乃先輩、なんだか少しだけ気まずそう。 だから、ボクは。 「雪乃先輩?ボクは、雪乃先輩のためならどんなカッコでもしたげますからね☆」 なぁんて、抱きついちゃって。 「・・・ハルカったらぁ・・・・・・」 雪乃先輩は、ボクの頭をやさしく撫でてくれました。 「ハハ、仲良いじゃねーか!やっぱ二人、お似合いだぜ?」 ボクたちは帰り道、少しぼんやりしてました。 ・・・なんでだったッけ? あぁ、そうだ・・・・・・雪乃先輩、考え事してた。 それでボクは、聞いてみたんです。 「・・・どうしたんですか?ぼんやりして・・・・・・」 すると、先輩は少しだけ思いつめてたように。 「いやあ、ね・・・マスターがもし『ヘンだ』って言ったら、どうしようって・・・・・・」 先輩らしくも無い、妙に弱気な台詞。 「えぇ?だって先輩、いつもそんなの関係無いって言ってるじゃないですか・・・・・・」 すると、雪乃先輩はちょっと妙な表情で。 「わたしね、マスターには小さい頃から結構色々お世話になっててね・・・?でも、やっぱり理解されてないんじゃないかと・・・・・・」 ・・・最近、雪乃先輩は少し弱気なんですよね。 ひょっとして、ボクのせいなのかなぁ・・・・・・。 それで、言ってみたんです。 「先輩?なんでそんなに弱気になっちゃってるんですか?もしかして、ボクの・・・」 ・・・そしたら、雪乃先輩、突然ボクを抱きしめて。 「うん・・・そうかも・・・もう、イヤんなっちゃうねぇ・・・?まったく、ねぇ」 妙に照れた表情で。 聞いてるボクの方は、むずがゆい感じで。 でも。 「・・・雪乃先輩、なんていうか・・・もっと、自信を取り戻して欲しいって言うか・・・・・・」 言ってる自分が、何がなんだかよく分かんないけど。 多分、聞いてる雪乃先輩も、ワケ分かんなかったと思います。 でも、先輩は、笑顔で。 「そうだね、まったくわたしらしくもない・・・・・・」 そして、ボクの頭をグリグリ撫でて。 「まぁ、人のことなんて気にしないで、いいんだよね?」 なぁんて、調子よく言っちゃって。 うん、ボクもよく分かんなくなってきたけど。 「そうですよ、先輩!」 それで、ボクの方から抱きついちゃったりなんかして・・・・・・。 「・・・どんな事があっても、ボクは雪乃先輩の味方ですから」 ・・・そんなこと言ったら、雪乃先輩はボクのほっぺにちゅっ、として。 まったくもう、いつもホントに突然なんだから!照れちゃいますよぅ・・・・・・。 92. ・・・先輩に、化粧品セットを、もらっちゃったんですよね。 それで、どうしようもないけど、なあんて思いながら、先輩にもらった鏡の前にたって、ちょっとお化粧してみたんですけど。 ・・・・・・よくわかんないけど、やっぱ自分で気持ち悪いかなぁ、なんて思ったり。 口紅を塗るとき、ちょっとドキドキしてる自分がいて怖かった・・・・・・。 「でね?ハルカに化粧品をあげたのよ・・・・・・あのコすっぴんでも可愛いんだけどね・・・・・・」 雪乃は、デレデレした表情で明日香に力説する。 「・・・普通、彼氏に化粧品はプレゼントしないわよねぇ?」 明日香は、苦笑い。 「でも似合うんだから仕方ないじゃない・・・」 ちょっと不機嫌そうに、雪乃はつぶやいた。 二人の前には、大量の洋服・・・。 「井上遙コスチューム事前評価委員会」、らしい。 「でもさぁ?遙君の服装の事前チェックって・・・なんで私だけ?」 明日香はちょっとした疑念を、雪乃にぶつける。 「だって、六条さんも三国さんもこういうの好きじゃない?」 「ううん?だってあのコたち、そもそもライバルだし」 と、遙の服を整理しながら、平然と雪乃は言う。 「それに、趣味も違うし・・・なによりうるさいのよねぇ、あのコたち」 なるほどと、明日香は合点が行った。 「まぁ、ねぇ・・・でもなんで、私?」 「だって、明日香も結構ハルカのこういうカッコしてるの、好きじゃない?」 と、雪乃はにっこり答える。 明日香はフクザツそうな表情で、 「まぁ、キライじゃないけど・・・・・・」 と、ちょっとだけ不満そうにつぶやいた。 「まずは新作かなぁ、東方シリーズから」 と、東方永夜抄に登場するほぼ全キャラの衣装を取り出した。 「う〜ん、遙君にはこの手のひらひらは結構似合うかもねぇ・・・・・・あ、魔法使い可愛い・・・」 「どう?霧雨魔理沙。ハルカには魔理沙の衣装を一番着せたいのよね・・・次点、アリス・マーガトロイド・・・かな」 まずは特段の問題も無く、次の議題へ。 「あとは、新作かしら?」 と、見なれない服を取り出した。 少し病的なモチーフの、黒と赤の衣装。 ミニスカート。 「・・・・・・うわ、コレは・・・・・・」 見るなり引いている様子の明日香。 その様子を察して雪乃は、 「・・・ダメかなぁ」 と、不満そうにつぶやいた。 「だってコレ・・・ちょっと病み過ぎ」 表情を引きつらせる明日香。 「まぁ、確かに病的なモチーフなんだけどね・・・・・・」 雪乃は気にせず、語りだす。 「おとといかな・・・ハルカね、いとこのコと花火やってたら腕に火をかけられちゃって、包帯でグルグル巻きで来たのよ・・・でも、痛々しいけどなんだかちょっと可愛くって」 と、笑顔で。 一層引く明日香。 「雪乃、ちょっとそれは・・・かなりヤバいんじゃ?」 それはそうだ。 もはや雪乃の趣味は、病気の域に達している。 しかし、それを雪乃は気にも留めず、 「・・・コレは、没かなぁ・・・」 と、つぶやいた。 雪乃先輩、やっぱ最近ちょっと、ヘンかも。 でもねぇ・・・ボクは気にしませんよ? でもこのカッコ・・・しましまのニーソックスに超ミニスカート、コレじゃ外歩けませんよ・・・・・・ねぇ? 93. 雪乃先輩は、退屈がキライなんだって。 「退屈は死」、とまで言ってのけてしまう。 でも、ボクといるときはとっても楽しいんだそうです。 「この胸のドキドキをね?大切に、抱きしめて・・・・・・」 と、ボクを抱きしめる、マシュマロのように。 ねぇ、雪乃先輩? ボクも、先輩と一緒にいるだけで、とってもうれしいです。 「ねぇ、ハルカ・・・・・・キミとなら、どこまでも行きたくなっちゃうのよねぇ・・・夢のような世界までも」 あんまり、雪乃先輩は不思議な事を言うものだから。 「え?ボクは、雪乃先輩といるだけで、夢のようですけどぉ・・・」 なんてボクは、ちょっと照れながら。 でも、雪乃先輩は少し不満そうに。 「違うのよ・・・ちょっと、ね」 なんて。 外は、とっても濃い霧がたちこめて。 「なんなんだろ?この気持ちって、ねぇ・・・」 霧の街を見つめながら、雪乃先輩はつぶやいた。 「ねぇ、少し外に出てみない?」 ボクはちょっと古風な、女の子の服を着て。 雪乃先輩は、珍しくボクとおそろいの格好。 「アレよ、19世紀のロンドン辺りを歩いてる、そんな気分?」 雪乃先輩、ホントに不思議な事考える。 でも、そう考えると、ボクもわくわくしてきちゃって。 「まぁ、事件なんてあるわけじゃないけど・・・・・・」 と、先輩は無邪気な笑顔で言いました。 ボクは事件はちょっと、イヤだなぁ・・・・・・。 雪乃先輩は、デパートで足を止めました。 「あ、『コンピュータの歴史展』だって。入りましょ?」 それは、古いコンピュータの展覧会。 ・・・コンピュータと言っても、古い計算機がメインで、とっても面白そう。 ボクはちょっとどぎまぎしながらも、雪乃先輩に手を引かれてデパートへ。 うわぁ・・・・・・。 古代中国の計算機とか、歯車だらけの小さな計算機とか、よくわからないけど面白いものがいっぱい。 雪乃先輩は、子供のように目を輝かせて見ています。 「ねぇ、ハルカ!チューリングマシンの原型だって!!」 なんて、はしゃいじゃって。 なんだか、とっても不思議。 まるで、上海租界の好奇心旺盛なお嬢様・・・って感じ?よくわかんないけど。 じゃあボクは、さしずめおねーさんに引きずりまわされる弟・・・なのかなぁ。 もう、雪乃先輩ってば、いっつもボクを引きずりまわしちゃってさぁ!! 小さな子供のように、会場を駆けまわっていた雪乃先輩が、突然一台のコンピュータを前に止まります。 それは、「ENIAC」なる、第二次世界大戦で使われたというコンピュータ。 妙に感慨ぶかげに、見つめる先輩。 ・・・雪乃先輩、なに考えながら、見てるのかなぁ・・・・・・。 ときどき、先輩の考えてる事が全然分かんなくなる。 あんまりに遠い視線で。 傍から見てるボク、ちょっぴり切ない。 「ねぇ・・・ハルカ、この機械はナチス・ドイツの暗号解読用だったの・・・」 と、唐突に語りだしたりして。 でも、ボクには全然理解できない。 雪乃先輩、ものすごく頭がよくて物知りだから、すぐにおいてけぼり。 ボクは、熱心に語る雪乃先輩の傍らで、ぽつーんとした気分。 ・・・なんだろ、この気持ちって。 「・・・雪乃先輩?」 ボクは思わず、抱きついてしまって。 「?ハルカ、」 雪乃先輩は、ものすごくヘンな表情をしています。 でも、なんだかものすごく悲しそうで。 それで、ボクは。 「・・・・・・ゴメンなさい、よくわかんない♪」 なんて、おどけてみたけれど。 でも雪乃先輩は、ごまかせなくて。 「・・・ハルカ、ゴメン・・・」 深刻な表情で、謝るんです。 「・・・そうだよね、興味ないか・・・・・・」 あぁ、そうか。 雪乃先輩も、結構大変なんだ。 なんて言えばいいか、ボクにはよく分からないけど・・・・・・。 「そ、そんなことは、無いですよ・・・・・・でも、わかんない・・・」 なんて、必死に取り繕ってみて。 あぁ、なんだってこんなに切ないんだ? 好きだなんだって言ってみたところで、ボクは雪乃先輩の事ちっとも理解できていないんじゃないか・・・・・・。 悲しかった。 どうしようもなく。 自分の考えてることバカみたいで、それで雪乃先輩を悲しませちゃって・・・・・・。 ・・・ごめんなさい。 でも、そんな雪乃先輩は、ボクの頭をわしゃわしゃとして。 「そうだよね、突然真空管の消費電力が、なんて言いだしても・・・ねぇ?」 と、にっこり笑ってくれました。 「あーもう・・・なんでわたしって、こうなのかな・・・」 なぁんて、苦笑い。 「くだらない薀蓄ばっか、気にしなくて良いよ・・・ハルカ?」 ボクの頭を撫でながら、雪乃先輩は言いました。 「結局、わたしハルカの事考えないで一人ではしゃいじゃって・・・恥ずかしいなぁ、もぅ」 と、気まずそうな笑顔。 ボクもちょっぴり気まずかったけど、でも笑って。 「そんな事は無いですよ・・・面白かったですよ?半分もわかんなかったけど」 なぁんて。 ・・・ウソを取り繕ったかも、知れないけれど。 「そっかぁ・・・」 ・・・雪乃先輩には、わかっちゃったかも。 でも、気にしないように可愛がってくれる雪乃先輩、やさしいな・・・。 ゴメンね?こんなボクで・・・・・・。 「あぁ〜あ、結局今日のデートも失敗してしまった・・・」 デパートから出るなり、雪乃先輩は溜息混じりに言いました。 あの後、デパートの中のレストランで食事をしたのですが、話も全然弾まなくって。 だって雪乃先輩ってば、うつむいちゃうんだもん・・・・・・。 あぁ、もうっ!! 「雪乃先輩!そんなのしょっちゅうじゃないですか!気にしないで☆」 ほんっと、いつもなんだから・・・・・・。 「あぁ、ハルカってば・・・・・・バカ」 ちょっといじけたように、先輩はつぶやきました。 そして、ボクを少しだけ乱暴に、抱き寄せて。 「あぁもう、なんでいつもこうなっちゃうのかなぁ・・・・・・?」 ホンット、いつもこんな調子で、ちょっとだけ参っちゃう。 でも、気にしない! 「じゃあー・・・もう、マスターのお店行きましょッ☆」 と、お茶目な感じでボクは言いました。 「うん・・・ハルカ」 気が付けば、いつもの様子に戻ってたり。 「あー、結局こうなるのかぁ・・・」 ・・・結局ボクたち、お互いを理解なんてちっとも出来ちゃいないのかもしれないけど。 でも、それでもいい気がしてきた。 だってボクたち、結局仲は良いんですから!! ね、雪乃先輩? 94. わたしとマキト兄さんは、一種の病気のようなものがあった。 何しろ退屈していると、死んでしまいそうになって。 小さな頃は、よくおじいさんの家で一緒に遊んだのだけれど、とにかくいたずらばかり仕掛けていた。 ヒマさえあれば、どこかに探検の真似事をしに出かけていたかしら・・・。 そしてその探求癖や悪戯好きな性格は、大きくなっても変わる事が無かった。 好奇心は猫をも殺すというが、わたし自身、有り余る好奇心のお影で一体どれだけ苦労したのか、今となっては思いだせないほど。 そしてマキト兄さんといえば、日本にいる事にあまりに退屈して、とうとう留学を口実にヨーロッパへと行ってしまったのだったっけ。 ・・・・・・すっかり、忘れていた。 どうも、件の探偵の話によると、マキト兄さんは留学先のドイツで、なにかマズイ事をやらかしたらしい。あの人らしいと言えば、らしい話ではあるけれど。 対してわたしは、なんだかんだ平凡な日常ながら、ハルカと一緒にいて、幸せ。 「アレ?」 雪乃先輩との待ち合わせで、あんまり暑くてジュースを買おうと思ったら。 ものすごい轟音と共に、一台のバイクが止まりました。 バイクに乗っている人は、ヘルメット越しに、ワンピースを来たボクを見ています。 ヘルメットを外すと、なんとなく雪乃先輩に似た顔立ちの、長い髪を後ろで束ねた男の人。 タバコに火を付けて、ボクをじーっと見つめます。 「・・・な、なんですか?」 ボクは少し不安になって、たずねます。 男の人は、バイクから降りていいました。 「オレ?堀江牧人ってんだけど・・・・・・」 いぶかしげな表情で、ボクをまじまじと。 あんまり怖くって・・・。 「だから、ボクになにか用があるんですか?」 「いや?ちょっと気になったんだけど・・・」 というなり、牧人さんと名乗る男の人は突然、ボクの腰の辺りをぽんぽん、と叩いていいました。 「オマエ、男だろ・・・」 ドキィッ!!? やっぱり、バレたのかなぁ・・・・・・。 「とりあえず、えらく可愛いけどよぉ・・・女の骨盤じゃねーモンなぁ・・・ま、もっとも自信は無かったんだけどな。当たり?」 牧人さんは、無邪気な笑顔でボクにたずねます。 ボクは恥ずかしくって、 「・・・はい、そうですよ?」 と、うつむきながらつぶやきます。 それにしてもこの人、タバコ臭いなぁ・・・・・・まだ、若いのに。 牧人さんはうれしそうに、 「じゃあ、オレがドイツ留学したのもムダじゃなかった、ってことだな・・・普通ならこんな可愛いコ、男なんて絶対に思わないモンな・・・」 と、満足げにいいました。 ・・・え、ドイツ!? 「オマエさぁ、この辺の人間?」 うれしそうに、牧人さんがボクに聞きました。 でも、やっぱ正直怪しい人だからなぁ・・・・・・。 「・・・ハイ、まぁ・・・」 と、ボクはあやふやに答えます。 すると牧人さんはさわやかに、 「オレ、この近所の御厄介になる予定なんで、まぁ見かけたらよろしく!」 と言って、バイクにまたがりました。 ・・・どこかで見たことあるような。あ、前に雪乃先輩に借りた漫画に登場したバイクだっけ。 そしてヘルメットをかぶって、振りかえりながら言いました。 「オマエ面白いヤツだな!またあったら今度コイツにのっけてやるよ!!」 なぁんてヘンな事言って、エンジンをかけて走りだします。 去り際に、ボクに手を振って。 「行くぜ!天下第一刀!!」 ・・・天下第一刀? ・・・牧人・・・堀江、マキト・・・。 どこかで聞いたことあると思ったら、雪乃先輩のウチに届いた荷物の宛先人だぁ!? え・・・じゃあ、「近所の御厄介」って、雪乃先輩の家にお世話になるって、事ですか!? 待ち合わせの時間、雪乃先輩が手を振ってやって来ました。 「ハルカ、おまたせぇ〜」 ボクも手を振って。 そして、仲良く隣同士、公園のベンチに座ります。 座るなり、先輩は溜息をつきました。 「はぁ・・・憂鬱だ」 あんまりにぐったり、げんなりした様子なので、心配になっちゃいます・・・。 「先輩、どうしたんですか?」 ボクは覗きこむように、たずねました。 すると、雪乃先輩はボクの肩に手をかけて。 「ハルカぁ〜、今度いとこの人がイソーローに来る事になっちゃってさぁ・・・・・・」 うわっ、突然抱きつくんですかぁ!? 「あーもう、これじゃ平穏なわたしの生活が台無しに・・・」 雪乃先輩は本当に困り果てたように、言います。 ・・・あ、そうだ。 ボクは、さっき会ったヘンな人、マキトさんの事を思いだして。 「あ、さっきボク、雪乃先輩に少し似た男の人に会ったんですけど・・・・・・」 ちょっと、むずむずしたような。 「・・・え?それって・・・」 雪乃先輩、ハッとした表情で。 「どんな人だった?」 「バイクに乗ってました・・・『天下第一刀』って名前の。でもドイツにいたんだって・・・。それから、やたらタバコ臭かったなぁ・・・あ、名前!堀江牧人って言ってましたよ?ひょっとして・・・・・・」 マキトさんの名前を出したとたん、雪乃先輩は落胆の表情を浮かべました。 「・・・・・・どうしたんですか?」 この世の終わりと言わんばかりの表情が、気になって。 「あぁ・・・もう来ちゃったんだぁ・・・参ったなぁ、もう・・・」 本当に困り果てて、雪乃先輩はつぶやきました。 「え・・・そんなに、ヤなんですか?」 ボクも少し不安になって。 すると雪乃先輩は、深刻な表情で語り始めました。 「だってマキト兄さん、ものすごい自分勝手でね・・・・・・?」 雪乃先輩が告白した、小さい頃の悪行三昧。 マキトさんが雪乃先輩と結託して、いろんないたずらを仕掛けていたんだそうですけど。 でもマキトさんが考えるいたずらは、本当に酷かったんだそうです。それを無理やり協力させたり。 失踪事件なんてしょっちゅうで、周りの人みんな困り果ててたんだそうです。 めっぽう頭がよかったらしくて、爆発物を作って警察沙汰一歩手前になっちゃったり。 そんな事、呆れ果てたように雪乃先輩は話してくれました。 ・・・・・・でも、半分くらいは、雪乃先輩とたいして変わらないんですけどね・・・。 「で今度はウチに居候よ?まったく、ヤんなっちゃう・・・・・・」 憤慨して言います。 傍で聞いているボクは、あんまりにものすごい事ばかりで、ちょっと呆れちゃう。 「・・・え、そんな人、ですかぁ・・・・・・」 「しかも、人のことおかまい無し。わたしがお風呂に入ってるときも突然入ろうとして・・・最低」 それは流石に、人として・・・・・・。 その後、ボクたちは衣装の生地を買ったりしていたのですが、その間雪乃先輩は、ずっとヘンな顔してました。 別れ際、雪乃先輩が、 「・・・これからもっと迷惑かけちゃうかも知んない・・・ゴメン」 なんて、いうもんだから。 「困ったら、ボクのトコ、来てくださいね♪」 と、慰めようと思って明るく言いました。 すると、雪乃先輩はボクをぎゅっと抱きしめて。 「・・・うん、ホンットゴメン・・・・・・」 なんて、さみしそうにつぶやくんです。 ・・・でも、ホントに大丈夫かな。ちょっと、不安・・・・・・。 明らかに雪乃は、不機嫌だった。 家に帰るなり、出迎えたのは件のマキトであった。 「よぉ!雪乃、久しぶり〜」 あっけらかんとしたその挨拶に、雪乃は無性に腹が立った。 「・・・お久しぶり、マキト兄さん。どうしたの?突然・・・・・・」 その声に、不満がにじむ。 マキトは平然と、当たり前のように言う。 「あぁオレ、夏休みの間ここにイソーローさせてもらうから」 というなり、タバコを吹かしながら荷物を2階へ運ぼうとする。 とっさにタバコを掠め取り、制止する雪乃。 「・・・兄さん、いい加減にして」 「おいおい、久しぶりに会ったってのにつれないなぁ・・・」 片眉を上げて、マキトは軽い口調で言う。 その一挙手一投足が、雪乃の癪に触る。 「あぁもうッ!!」 傍らの柱を殴り、怒りをあらわにする雪乃。 「・・・なんだよ」 少し不安そうな感じを装うマキト。 だがその目には、余裕が漂う。 「兄さんっていつも自分勝手・・・歩きタバコしないでよ、臭いんだから」 手に持ったタバコをへし折り、もみ消す。 そして、今度はマキトの荷物を掠め取る。 「それになに勝手にわたしの隣の部屋に行こうとしてるの?まったく、勘弁してよ・・・・・・」 「あぁ・・・そう」 マキトはつぶやく。 雪乃は、荷物を玄関脇の応接間に放りこんだ。 そして、追い討ちをかけるように。 「まったく、ドイツにいれば良いものを・・・なんでわざわざ日本に帰ってきて、おまけにウチにイソーローなんてするのかしらね?自分のうちに戻れば良いじゃない」 だが、それに対するマキトのリアクションは、少々意外なものであった。 「・・・いや、ちょっとワケあってウチには戻れないんだな、コレが」 「一体なにやらかしたの?」 いぶかしげに、雪乃がたずねる。 「ちょっと、ヤバイ事に巻きこまれた。ってわけで、御厄介になりますね〜♪」 と、逃げるようにマキトは応接間に飛びこんだ。 残された雪乃は、 「はぁ・・・まったく、もう・・・」 と、忌々しげにつぶやくと、自分の部屋に戻った。 これからの生活が思いやられる。雪乃は、深く深く、溜息を付いた。 あぅっ!? まさか、自分の服を雪乃先輩のウチに、忘れてきちゃうなんて!? 困ったなぁ、最近自覚が無くなってきてるのかも・・・いよいよもって、ヤバイです!! 忘れた洋服と一緒に自分の自尊心みたいなのも取りに戻るような気持ちで、懸命に雪乃先輩の家まで走ります。 でも、疲れた・・・暑いし、頭がぁ。 先輩の家の玄関に、見なれないバイクが。 400万もする真紅のバイク、ドゥカティの隣には、変わったデザインのバイクが停まっています。 ・・・アレ?これってさっきの・・・じゃあ、やっぱり・・・・・・。 ボクは少しだけ緊張しながら、入ります。 「あぁッ!?さっきの女装ショタ!?」 「アレッ!バイクのお兄さん・・・」 ドアを開けるなり、ばったり出くわしました。雪乃先輩のいとこの、マキトさん。 でも顔見るなり、女装ショタとは・・・・・・あんまりです。 「へぇ〜、まさかオマエにまた会うとは思ってなかったぁ・・・・・・ウチに、なんの用?」 ボクをまじまじ見つめながら、たずねます。 ボクの事、面白いみたい。 ・・・一瞬、なんて答えようかと迷ったけれど。 あえて、大きな声で言いました。 「恋人の雪乃先輩に会いに来ましたー!!」 「あぁ〜!!ハルカぁー!」 雪乃先輩がボクの声に気付いて、玄関に来ました。 マキトさんの事なんて、ちっともおかまい無しに。 「ハハ、忘れ物しちゃいました☆」 ボクは照れながら。 すると蚊帳の外のマキトさん、ちょっと不機嫌そうに。 「・・・ちょっと待て?オマエ、雪乃と・・・マジで!?」 と、今度はビックリ! そして、雪乃先輩がマキトさんにボクを紹介します。 「あぁ、兄さんにはまだ話してなかったっけ・・・。こちら、わたしの恋人の井上遙君。かわいいでしょ?」 またマキトさんはボクをまじまじ見つめながら、 「あぁ・・・そうなんだ・・・確かにかわいいけどさぁ・・・」 ものすごいヘンな表情で、雪乃先輩に言います。 「・・・女装、誰の趣味なの?」 ・・・・・・そうですよね、普通気になりますよねぇ・・・・・・。 すると雪乃先輩、あっけらかんと。 「わたしの趣味だけど。だってハルカ可愛いから・・・・・・」 マキトさんはまた、ヘンな顔して。 「雪乃・・・こういう趣味が・・・?」 と、呆然。 そんなマキトさんを尻目に、雪乃先輩はボクに服を手渡して。 「ハイ、忘れ物。じゃあハルカ、いこっか♪」 と、とっさにボクの手を取ります。 ・・・アレ? 「ゆ、雪乃先輩!?」 「じゃあマキト兄さん、言ってくるわね♪」 戸惑うボクと呆然とするマキトさんを無視して、雪乃先輩は玄関を飛びだします。 もう、ワケが分かんない!! 玄関から雪乃と遙が慌ただしく出ていくのを呆然と見守ると、マキトはタバコに火を付けた。 「やれやれ、誰も歓迎してくんねぇのな・・・ま、そうだよな」 深深と煙を吸いこみ、盛大に吐き出す。 霧散していく紫煙に、マキトは何かを重ねるような視線を送った。 「切ないねぇ・・・いつかみんなこうやって、煙のように消えてッちまうんだろうな・・・オレは、勘弁」 そして雪乃が戻るまでの間と、応接間のPCのセットアップを始めた。 日が暮れた頃、雪乃は戻った。 「あら兄さん、ただいま」 平然と、そっけない挨拶をする雪乃。 「お帰り・・・そっけないなぁ」 マキトは悲しいと言わんばかりに、また片眉を上げて言った。 そして、雪乃を見つめる・・・さっきまでのとげとげしさは少し、消えていた。 「ねえ兄さん・・・部屋に入って良いかしら」 雪乃の意外な申し出に、マキトは喜んだふうにうなずいた。 もっとも、マキトはまったく本心なんか、見せてはいないのだが。 そして当然雪乃も、それを理解している。 「こうやって話すの、久しぶり」 感慨ぶかげに、雪乃は言った。 「あんまり、変わらないのね」 「オマエは、だいぶキレイになったぜ?」 「・・・茶化さないで」 「いや、ホントに・・・」 ・・・その声には、確かに懐かしさがこもっていた。 ようやく人間らしい反応。 だが、雪乃はどうにも、マキトには気を許す事が出来ない。 それはマキトにとっても、同様だった。雪乃の感情の発露はあくまでも、最低限のものである。 ・・・とすれば、さっきの怒りは相当なものだった、というわけか。到底承服できかねるような。 しかしそんな二人があえて、会話しようというわけだ。 「兄さん、コレでも結構心配したのよ?連絡は無いし、突然ウチに探偵は来るし・・・・・・」 ・・・心配など、していない。半ば忘れかけていたのだから。 むしろ、来て欲しくないとばかりに、記憶を封印しようとした節もある始末。 「いやぁ・・・心配掛けちまったなぁ・・・」 マキトは申し訳なさそうに、言った。 本心は分からないが、雪乃にはそんな事はどうでもよかった。 マキトの感情はまったくあてにならない。ただ事実が確認したい。 「ねぇ兄さん、何やらかしたの?」 と、いぶかしげな表情でたずねる雪乃。 「さっきは、はぐらかされちゃって・・・探偵がたずねてきたんだし、少しくらい教えてくれても・・・・・・」 探偵、という言葉に耳が少しだけ反応したようだ。 「・・・何でもねー。ただ、学校のサーバいじってプロクシにしたりP2Pの中継サーバにしてログとって遊んでたら、ちょっとヤバイログ引っ掛けちゃって、それでヤクザもんに少し追われてただけ・・・もうケリは付いたよ」 マキトは少しだけ不機嫌そうに語りながら、すっかり短くなったタバコをもみ消し、2本目に火をつける。 「兄さん、控えてね・・・・・・うっとうしいから」 雪乃はタバコが嫌いなようだ。 「あぁ」 不機嫌な返事をするマキト。 しかし、雪乃に対しては相変わらずの態度で。 「ま、ドイツ少し飽きてたしな・・・一月ほど、放浪したり暴走したりして遊んでるよ」 まったく自分勝手なマキトの台詞に、呆れ果てる雪乃。 「・・・・・・頼むから、わたしとハルカの邪魔、しないでよね?」 ・・・雪乃は唐突に、思いつめたような表情で念を押した。 「ハイハイ」 まったく気の無い、ふざけた返事。 しかしここで腹を立ててはきりが無いと、雪乃は刀を鞘に収めるようにこらえた。 「じゃ、わたしもう寝るから・・・・・・」 と言って、部屋を出た。 ・・・さっき帰ってきたばかりで、寝るとは・・・? 「おい?雪乃?雪乃ちゃ〜ん?」 取り残されたマキトは、けむに巻かれたような気持ちで小さく言った。 ・・・平和な日常が、脅かされる・・・なんて。 小さな頃は、自分がそんな事言うなんて、夢にも思わなかった。 けれど、予想以上に、わたしの中でハルカがそんなにも大きくなっているなんて、ね。 ・・・ハルカ。 コレからはちょっとだけ、邪魔が入るかもしれないけれど。 今でさえ女装させてしまったり引っ張りまわしっぱなしだったり、大迷惑かもしれないけれど。 ・・・・・・でも、こんなわたしだけど、これからもよろしくね? わたし、キミが大好きだよ。 ハルカ、ハルカ、ハルカ・・・・・・。 95. 雪乃先輩、マキトさんが来てからと言うもの、ずっと不機嫌なんです。 そのせいか、ボクに一層べたべた・・・う〜ん、ちょっと恥ずかしいよぅ。 「ねぇハルカ、ちょっと聞いてよ・・・・・・昨日、マキト兄さんったら・・・」 今日も延々愚痴かぁ・・・。 ボクは困った表情をしながら。 雪乃先輩は、ボクの背中に抱きついて。 「風呂上がり、パンツ一丁でふらふらしてるのよ?信じられる?それにタバコもどこでもおかまい無し・・・・・・」 困り果てたような、雪乃先輩。 でも、そんなこと言われても・・・。 「それに、兄さんったら勝手にわたしの部屋に入ってくるのよ?ノックも無しに突然。ホンット、イヤになる・・・・・・」 そして雪乃先輩は、さらに強く、ボクをぎゅっとします。 背中に胸が当たって、それに薄着だから体温も伝わって・・・・・・。 もうたまらないくらい、ドキドキ。 あぁ、少し意識が遠のいちゃう・・・まったく、もぅ。 「ねぇハルカ、聞いてる?」 耳元で、ちょっといらついたような声。 「は、ハイッ!?」 ボクはぼんやりしちゃって。だって、胸・・・。 「・・・あ、ハルカ・・・・・・聞いてない」 「だって先輩、背中・・・」 ボクは必死に、訴えるのですが・・・。 「ゴメン、ハルカ・・・少し、こうさせて」 と、今度はボクの前に来て、正面からぎゅっと。 うわ、先輩ったら・・・もっと、ドキドキしちゃう。 でも雪乃先輩、少し落ちついたみたい。 「ハルカに抱きつくと、落ちつくのよね・・・ヘンかな?」 その声が妙に色っぽく響いちゃって、ボクは答えられなくて・・・。 やっとこさ、ボクは首を横に振ります。 「フフッ」 雪乃先輩、やっと笑ってくれた・・・・・・。 耳にかすかに吐息がかすめて、ボクはもうどうしようもないくらいドキドキ。 でも雪乃先輩、おかまい無し。 「そういえばねー、マキト兄さん、最悪。だって深夜にバイクでどっかに走りに出るのよ・・・もうバカよね、『オレはキリンになるんだ』なんてワケ分かんないこと言って。でもうるさいし・・・近所迷惑だし、ロクに眠れもしないわ・・・ヤんなっちゃう」 うわぁ・・・マキトさん、ホントに自分勝手だなぁ。 流石にそれは、ボクも悪いと思った。 「ねぇハルカ、今度兄さんに言ってやって?雪乃が眠れないって怒ってるって・・・だって、帰ってくるのも朝方なのよ?ふざけてる」 ボクはその通りと思いながら、やっぱりドキドキして言葉が出ないので、大きくうなずきました。 「・・・ありがと」 と、雪乃先輩はボクにゆっくり、くちびるを重ねて。 そんなにされたら、もうボク・・・。 ・・・なんにも出来なくなっちゃうんだから。 すると、突然の爆音。 件のマキトさんが、帰ってきます。 そして、ずかずかとボクたちのいる、雪乃先輩の部屋へ入ります。 「ただいまー」 無神経に、挨拶。 そしたら雪乃先輩、カチンと来ちゃって・・・。 「兄さん、勝手に入らないでって言ってるでしょ!?」 ものすごい剣幕。 でもマキトさんは気にせず、 「いいじゃん、別に・・・」 なんて、言います。 だから、ボクも。 「ちょっとマキトさん、女の子のお部屋に勝手に入るなんてデリカシーなさすぎですよ!?」 と、訴えたのですが。 「ん・・・デリカシーってなに?」 なんて、ふてぶてしく! マキトさん、酷いなぁ・・・。 「大体なんで彼氏といちゃついてるのを邪魔されなきゃいけないのよ・・・」 呆れ果てたような雪乃先輩の言葉にも、 「いいじゃんいいじゃん。続けて続けて」 なんて、にっこりとして言うんです。 雪乃先輩じゃなくても、ちょっと頭に来ちゃうかも。 それでボクも、言ってやったんです。 「大体バイクがうるさすぎますよ!雪乃先輩怒ってましたよ?『真夜中にバイクがうるさくて眠れない』って。もう少し気を使ってください!!」 だって雪乃先輩、珍しくホントに困ってたから・・・・・・。 でもマキトさん、気にせず。 「仕方ないじゃん・・・だってそういう乗り物なんだから」 と、反省の色無し。 「だから、そうじゃなくって・・・」 ボクは必死に説得しようとしたんですが・・・。 「あ、時間だ。じゃあオレ寝るから」 と、自分勝手に部屋を後にします。 ホンット、自分勝手でいい加減な人。マキトさんって。 「ねぇ?ホント、ヤんなっちゃう・・・」 頭を抱えて、雪乃先輩はつぶやきます。 ホントに雪乃先輩、参っちゃってるみたい。 だからボクはせめてもと、雪乃先輩をぎゅっとしてあげました。 「・・・ありがと」 と、雪乃先輩はボクに持たれかかるように、頭をボクの胸に当てて。 心臓の音、聞いてる・・・もうボクの心臓、ドキドキしちゃって。 「マキト兄さん、ホントヤんなっちゃうよね・・・」 先輩は呆れ果てて、悲しげに嘆きます。 だからボクは、思わず頭を撫でちゃったりなんてして・・・・・・。 「・・・ん」 ・・・すると雪乃先輩、瞳を閉じて。 「・・・ハルカってば、やさしいね・・・マキト兄さんとは、正反対」 と、穏やかな声で言ってくれました。 雪乃先輩の髪、さらさら・・・・・・。 そして、ボクは、更に抱き寄せて。 いつもと、逆みたい。 「ありがと・・・だいぶ、落ちついたよ・・・ホントハルカってば、やさしいんだから・・・少し、やさしすぎるくらい」 ホントにやさしい声で、ボクに語りかけてくれます。 穏やかな雪乃先輩とは対称的に、ボクはドキドキ、心臓が高鳴って。 でも、雪乃先輩がたまらなくいとおしくて、ボクは一生懸命やさしく先輩の頭を撫でて・・・・・・。 しばらく静かにしていた雪乃先輩、しばらくしたら。 「・・・そろそろ兄さん寝たかな・・・じゃあハルカ、せっかくだからパフェかなにか食べにいこっか」 と、やさしい声で言ってくれます。 ボクはうれしくなっちゃって。 「行きましょ?うん・・・」 「折角だから、おごってあげるよ☆」 もう、先輩のやさしさがうれしくて。 「ほ、ホントですか!?やったぁ!」 なぁんて、声を上げちゃって。 「・・・ホンのお礼、かな。だってハルカにはホントに助けられちゃってるんだもん・・・じゃ、行きましょ?」 雪乃先輩は立ちあがると、ボクの手をやさしく取りました。 そして、にっこりと笑って。 ボクもうれしくて。 「ハイ!雪乃先輩!」 ・・・・・・あ、でも、ホントにこのカッコで行くんですか!? だって今、ボク、ゴスロリなカッコ・・・・・・う〜ん。 ・・・・・・でもたまには、いっか!! 96. 「ゆーきのせんぱぁい☆こんにちはぁ・・・」 と、いつものように元気よく雪乃先輩の家に入ると。 「あー、雪乃なら今出掛けてるぜ?」 出迎えたのは、マキトさん。 「そうなんですか、じゃあ・・・」 と、ボクは先輩のウチを後にしようとすると・・・・・・。 「まぁたまにはオレとも話そうぜ?ハルカ〜」 マキトさんはボクの首根っこをヒョイとつかんで、居候している応接間に迎え入れます。 ・・・なんだかなぁ。 マキトさんは、ボクの顔をじっと見ています。 「・・・どうしたんですか?」 ボクはちょっと不安になって、たずねます。 でも、マキトさんはなにか考え込んでます・・・。 どうしたんでしょう? さすがに気まずくなって部屋を後にしようかなぁ、なんて考え始めた頃、突然マキトさんは妙な事を言いだします。 「なぁハルカ・・・オマエってやっぱ、かわいいよな・・・雪乃が面白がって女装させるのも分かるわ」 ドキィッ!? 隼人君の件から、男の人に「可愛い」と言われるのは、ちょっと怖くてなぁ・・・。 ものすごくどぎまぎしていたのですが、そんなボクの様子をおかまい無しに、マキトさんは言いました。 「なぁハルカ・・・オレの事、ちょっと『おにいちゃん』って呼んでみてくれないか?」 ・・・この人は突然何を言いだすのかなぁ・・・・・・。 「オレさー、兄弟いない一人っ子なのよ・・・だから弟みたいなのがいたらどんな感じなのかなーって。ちょっとやってみてよ」 くわえていたタバコをもみ消して、お願いします。 仕方ないなぁ・・・と、思いながら。 「お・・・お兄ちゃん・・・?・・・こんな感じですか?」 ぎこちなく、呼びかけてみました。 すると、突然妙な剣幕で、 「ちがーう!!もっとこう、上目づかいで可愛らしく、『お兄ちゃん?』こうだぁッ!!」 と、妙な力説。 ちょっとキモイかも・・・・・・。 でも言われた通り、やってみます。 なんか、雪乃先輩に目が似てるからか、マキトさんには少し逆らいづらいんですよね・・・。 言われた通りに、上目づかいで。 「お・・・おにいちゃん?」 うわ、我ながらキモイ。 でもマキトさんは、それが妙に気に入ったらしくって。 「うわ、良いぞハルカ!!次は『マキトおにいちゃん』って、言ってみてくれ!!」 ヘンに興奮してます。 ・・・・・・ヘンタイさん? 「マキト、おにいちゃん?」 「くっはー、たまんねぇ!!よし、今度はそっけない感じで『兄貴ー』って、頼む!」 ヤバイ、ヘンにツボにはまってる。 どうしよう・・・。 雪乃先輩、早く帰ってきてー!! 「・・・あにきぃ〜・・・」 ボクは呆れ果てて、やる気なさそうに言うんですけど。 ちょうどその様子が、マキトさんには逆効果。 「いいなぁ、いいなぁ・・・オレにも弟がいたら、こんな感じかな・・・」 と、深くうなづきます。 ボクはホンット呆れちゃって、視線を反らせて。 するとそんな呆れたボクの様子を察してか、マキトさんはボクの肩をがっしりとつかんで。 「あ、ハルカ呆れないでもっとやってくれよ〜」 と、ぐらぐらボクの身体を揺らしながら訴えます。 突然の事に、ボクの足元はふらついて・・・。 「ウワッ!?」 ボクの身体は後ろに倒れて、でもマキトさんも手を離さないから一緒に倒れ込んで・・・。 ちょうど、マキトさんがボクを押し倒した格好になって。 ・・・・・・最悪。 しかもマキトさん、離れないでボクの顔をじっと見つめてるし・・・・・・。 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!助けてぇ〜、雪乃せんぱぁい!! ガチャン。。。 突然、応接間のドアが開きました。 背後には、手に持った荷物を落として呆然と立ち尽くす、雪乃先輩。 その肩は、怒りに打ち震えているようです。 そして静かに、しかし恐ろしい声で、言います。 「まぁーきぃーとぉ〜・・・わたしのハルカに、なにやってんの・・・・・・?」 ボクは助けが来たと、雪乃先輩に救いを求める目で顔を向けたのですが・・・・・・。 その目は、怒りに燃えています。 怖い・・・・・・。 流石のマキトさんも、今回ばかりはビクッとして。 「・・・いや、コレはたまたまだってば、たまたま・・・そもそもオレ、ショタコンじゃねーしよぉ・・・」 と、必死の弁解。 しかし、それもむなしく・・・。 「いい加減に、しなさぁ〜いッッッッ!!!!」 雪乃先輩の怒りの声が、こだましました。 そして、ボクをひょいとすくい上げると、マキトさんに怒りの鉄拳。 ゴグシャァッ。 ものすごい、ちょっとありえない轟音と共に、マキトさんの身体が軽くふっ飛びました。 そして手をパンパンと叩くと、 「まったく・・・二度とわたしのハルカに手を出さないで頂戴」 と静かに言い放ち、ボクの手を引いて二階の自分の部屋へと向かいます。 そして部屋に入るなり、 「ハルカ、大丈夫だった?あのケダモノに何もされなかった?あぁ、もう・・・」 と、ボクをやさしく抱きしめながら心配そうに言います。 ・・・先輩のやさしさ、いつもうれしいんですけど、でも・・・・・・。 ・・・・・・・・・時々、ちょっと怖い。 「アーッ、いってぇ・・・雪乃怖えぇなぁ・・・それにしてもいつの間にあんなハードパンチを・・・イテテ、やっぱ女って怖えぇわ・・・チックショウ!!オレなにもしてねーよ!!」 97. 「まぁったくヤんなっちゃうんだから!この前なんて、高速道路で200キロ以上出した事を自慢げに話すのよ?『この前なんてハヤブサブッちぎってやったぜ』とか・・・マキト兄さん、ホンットバカ」 ・・・確かに。 昨日の一件以来、すっかりボクもマキトさんの傍若無人振りに嫌気がさしてきた・・・。 はぅっ、雪乃先輩、ホントに大変。 「じゃ、行って来るぜ〜」 また雪乃先輩の部屋に勝手に入ってきて、マキトさんは言いました。 「何度言えば分かるのかしら?それとも・・・」 それとなく拳を構える、雪乃先輩。 でもマキトさんは、まったく気にする様子も無く、 「いいじゃん別に」 と、自分勝手な様子で。 そりゃあ、雪乃先輩じゃなくっても怒りますよ、ねぇ? 「・・・まったく、バカに付ける薬は無いわね」 あきらめがおで、雪乃先輩、大きく溜息。 「今日はどこに行ってくるのかしら・・・?」 呆れた様子で、雪乃先輩がマキトさんにたずねます。 答えは、分かりきってるんだけど。 「首都高。オレはキリンになりてえんだよ・・・」 またあの、不可解な台詞。 ヘンですよね・・・。 「え?キリンってあの、アフリカにいるノッポの、キリンさんですか?」 普段から気になってた事をぶつけると、マキトさんはヘンな表情になって。 「オマエ、『キリン』読んだ事無いのかよ・・・しらねえ?『キリンは泣かない』って・・・」 ・・・そりゃあ、泣かないと思いますけど・・・。 ヘンなの。 「ハイハイ、わかりました。さぁ行った行った」 呆れ果てた雪乃先輩は、マキトさんの背中を押して、部屋から追いだします。 マキトさんは、 「つれないなぁ・・・」 とつぶやきながら、しぶしぶ外に出ました。 そしてボクたちはマキトさんを監視するように、お見送り。 ビシッと決めたライダースタイルに、グローブをはめるマキトさん。 ・・・うわ、ちょっと格好良いかも・・・・・・。 そしてバイクを出して、タンクをぽんと叩きながら、つぶやきます。 「今日も頼むぜ、天下第一刀!」 ・・・バイクに名前付けるのって、どうなのかなぁ・・・・・・。 やっぱりマキトさん、怪しい人。 「なぁに、天下第一刀って・・・・・・」 雪乃先輩が、ヘンな顔をしてたずねます。 するとマキトさん、得意げに答えるんです。 「アレだよ、天下最速のカタナを目指す、ってね♪」 うわ、暴走族っぽい・・・・・・。 それに「天下第一刀」って、聞いた事あるなぁ・・・? 雪乃先輩、相変わらずヘンな表情で。 「・・・それなんてカレル?」 すると今度はマキトさんも、妙な表情で。 「・・・なんでロボット?」 そして雪乃先輩、またたずねます。 「・・・R.U.R.だと、アレか、ツィーランみたいなタイプだったッけ・・・・・・」 なんだか話が全然噛みあってない。 「じゃ、行ってくるぜ!!」 と、マキトさんは勢い良く走りだします。 ちょっとカッコイイな、なんて思っちゃったり・・・・・・。 でも、雪乃先輩は。 「ねぇ、ハルカ・・・ハルカはあんな大人になっちゃ、ダメだからね?」 と、呆れ果てて言います。 ・・・・・・確かに、ああはなりたくないかも・・・・・・。 98. 相変わらずマキトさんの不法侵入は続いています。 また殴られちゃうよ・・・? 今日は久しぶりに、みんな一緒に雪乃先輩のお家で勉強会。 って言っても、みんなわいわいがやがやとおしゃべりばかりなんですけどね。 今日は、ボクが手作りのケーキを持ってきたのですが・・・・・・。 「・・・遙、甘めぇ。甘すぎる・・・どうやったらこんなに甘くなるんだよ!?」 隼人君、一口食べるなり叫びます。 「うわ・・・コレはさすがに・・・」 如月先輩も。意外だぁ・・・。 ・・・コレでも、甘さ控えめのつもりだったのですが・・・・・・。 「大体、生クリームにカスタードクリーム、ドレンチェリーにメープルシロップなんてありえませんわ?遙さん・・・」 六条先輩まで。 「えぇ〜!?ダメですかぁ!?」 ボクは思わず、叫んじゃいましたけど・・・。 みんな駄目だと言わんばかりに、大きくうなづきます。 あぁ、雪乃先輩まで!? 結局ちゃんと食べてくれたのは、ボクと一緒で甘いもの大好きの三国さんと、こちらは意外な大鳥先輩だけでした・・・。 「うん、井上君うまいじゃないか・・・。今度、シュークリームとか作ってくれないか?」 ボクは照れ気味に、うなづきました。 なんか、ボクのケーキがすっかりネタになってしまいます。 「大体ハルカ、砂糖の分量間違ってるんじゃないかしら?」 雪乃先輩、にやにやしながらボクに言います・・・。 「そうかなぁ・・・」 ボクは悔しくって、飴だまを一つ、口の中に放りこみました。 周りはがやがや。 コレじゃ、勉強どころじゃ、ありませんよねぇ・・・? すると突然、ドアがガチャリと開きました。 「よぉ雪乃!・・・アレ?今日はハルカだけじゃねーんだなぁ・・・ずいぶんと」 マキトさん、少し驚いてます。 「あぁっ!!マキト兄さん・・・勝手に入らないでって、言ってるでしょう?」 ムッとした顔で、雪乃先輩はたしなめます。 あぁ、またかぁ・・・・・・。 でも、如月先輩はマキトさんに興味を持ったようで。 「あれ、雪乃さんのお兄さんですか?」 「いや、いとこ。雪乃の友達?」 マキトさん、気さくに如月先輩と話し始めます。 「ハイ、雪乃にはいつもお世話になってます」 「あぁッマキト、ハルカに続いて今度は明日香に手を出そうと!?」 雪乃先輩、うろたえてます・・・。 でもそんな雪乃先輩の様子なんて気にせず、マキトさんは。 「へぇ〜、明日香ちゃんって言うんだ・・・可愛い名前だね」 なぁんて。 如月先輩、少し照れてます。 ・・・マキトさんハンサムだし、こういうの慣れてるのかな・・・・・・。 すると今度は隼人君、大声で。 「アレ、マキトさんってんですか?あの、玄関にバイク二台置いてあったんスけど、片方マキトさんの?」 マキトさんは得意げに、 「良くぞ聞いてくれました!オレのはカタナだよ?どうだい!」 「うはー、マジッすか?カッコイイッすね・・・やっぱキリンに憧れてるんですか?」 「当然!オマエ、バイク乗るの?」 「乗りますよ?オレCBR400RR乗ってます!」 「へぇ〜、レプリカかぁ!じゃあ峠行ったりするんだ?」 今度は隼人君と盛りあがって。 「え、マキトさんバイクに乗ってるんですか?」 如月先輩も、食いつきます。 ・・・なんだかなぁ。 ・・・・・・マキトさんって雪乃先輩と似てるって思ってたけど、意外と性格は結構違うんですね・・・なんかこう、気さくと言うか、社交的と言うか。 「じゃあ明日香ちゃん、今度はオレの後ろ、乗っけたげようか?」 「えぇ〜、でもバイクは怖いですしィ・・・」 うわ、ナンパ? 「そんなに怖くないって。なぁ?・・・オマエ、なんての?レプリカの少年」 「あ、オレ仁科隼人です!」 「隼人かぁ・・・なあ?」 「怖く無いッすよ、なー、遙!」 今度は、ボクにボールがぽーん。 でも、あのハヤブサに乗ったときの事は、お世辞にも怖くないとは・・・言えませんでした。ねぇ? 「・・・やっぱ、怖かったよ・・・・・・」 そして一人憮然としている、雪乃先輩。 「あぁ、今度はHG仁科とショタコンマキトにハルカ取られたぁ・・・・・・」 ・・・いつの間にか隼人君に続いて、マキトさんも不名誉?な称号??獲得。 「ちょッ・・・オレショタコンじゃねーってば!」 「オレだってハードゲイじゃ無いッすよ!堀江さんってば・・・」 マキトさんと隼人君の会話に、大鳥先輩も加わって。 「へぇ・・・バイクってどんな感じ?」 「速ぇッスよ?」 「他に無い感覚、だな」 大鳥先輩、興味津々。 置いてけぼりになった如月先輩が、突然雪乃先輩にこっそりと。 「ねぇ・・・遙君の新作は?」 「う〜ん・・・今度はメイドさんかなぁって思って、まほろさんの衣装作ってみた」 ・・・えっちなのはいけないと思います。 二人はこそこそと、続けます。 ボク、しっかり聞いてるんですけどねー・・・。 「ねぇねぇ、コレまだ未公開だよね?私も見た事無いよ・・・」 「だって、昨日出来たてのほやほやだからねー♪」 雪乃先輩、得意げに。 「ジャーンッ☆」 マキトさんを一瞬気にしながら、女の子だけにこっそりと。 って、秋山君、置いてけぼりだったのかぁ・・・・・・。 「あれ、まほろさんじゃん・・・コレ、井上が着るのか?」 すっとんきょうな声で、秋山君が言います。 「・・・似合わないかしら?」 ・・・雪乃先輩、そういう問題でもないと思うんだけど・・・・・・。 「イヤイヤそんなことは・・・でも、すげえ・・・」 妙に感心しています。 「メイドさんと言えばまほろさんらしいから・・・ねぇ?」 三国さんは妙な表情ながら、うなづきます。 「マキト兄さんが出ていったら、着てくれないかな?ハルカ・・・」 と、可愛くお願いされちゃいます。 ・・・確かにマキトさんがいるところだと絶対、なにか問題が・・・・・・。 ・・・マキトさん、地獄耳なんですね・・・。 「え?ハルカの女装だってぇ!?」 わざと大きな声で、耳の遠い老人の真似をしながら、言います。 「チッ、バレた・・・」 雪乃先輩、本当に悔しそうに言い放ちました。 ・・・先輩、少し荒れ気味です。 そして周りのみんなが、まほろさんのメイド服に視線をやって。 「・・・遙、着るのか・・・?」 ・・・・・・あぅっ、妙に視線が痛いのですがぁ・・・・・・。 なにより、マキトさんのキラキラした目が。 「なぁハルカ、着てくれよぉ〜・・・」 って、マキトさんはヘンタイさんですか? ボク、男なのになぁ・・・・・・。 もう、周りのみんな、雪乃先輩に洗脳されすぎだよッ!! 「ゴメンなさい、ハルカ・・・ここは全会一致でコレを着てもらうことになってしまった」 ってぇ。 ボクは仕方なく、メイド服を着ます。 って、なんでいつの間にかこんな大勢になってるんでしょうねぇ・・・? まほろさんのカッコしたボクを見るなり、みんな声を上げます。 「おぉ〜・・・相変わらず雪乃さんの作る衣装はクオリティ高いですな♪」 如月先輩、うれしそうです・・・。 そして、隼人君は。 「うわ・・・いつ見ても可愛いな、遙って・・・男なのになぁ・・・」 ・・・なんだかなぁ。 「それってどーゆー意味?隼人くぅん?」 ボクはちょっとむっとしながら。眉間にしわなんて寄せちゃって。 そしたら隼人君、苦笑いで。 「アハハ、わりっ」 まったく、もぅっ!! 三国さん、なんかボクのスカートひらひらしてるしぃ・・・。 「遙ちゃん・・・ひらひら・・・」 ・・・うれしそう。 ボク、三国さんの考えてる事が分かんなくて、ちょっと怖い。 その様子をおとなしく見ていたマキトさんでしたが・・・・・・。 「へぇ〜、雪乃器用だなぁ・・・オレ、不器用ですから」 というなり、突然ボクの腰の辺りをまた叩いて。 「うん、この微妙な違和感が女装の魅力的なところだな!!」 ・・・えぇ〜っ、この人ってばいきなりなに言いだすんでしょうねぇ? 「うわ、なに・・・」 「ほら、ハルカ可愛いから一見するとまるっきり女の子だけどさぁ、やっぱちぃ〜っとばっかし違うんだよなぁ?特にこの腕の辺りとかさぁ・・・それがまた良いわけで」 ボクをまじまじ見て、腕をみょーんとしながら。 「うわぁっ!?何を・・・」 ボクはビックリしちゃいます。 雪乃先輩の視線が、痛い・・・だって先輩、すっごく心配そうなんだもん・・・。 「そうかしら・・・」 如月先輩は、ちょっと違う・・・って感じでマキトさんを見てます。 するとマキトさん、少し考え込む様子で。 そしてハッと顔を上げて、言いました。 「そういえばさぁ〜、この中ってどうなってんの?」 というなり、ボクのスカートをめくるんです!! ガバッて!! 「うわぁぁぁぁ!?止めてくださぁい!!」 ボクは仰天してしまって、思いっきりすっとんきょうな声で叫びました。 「あぁッマキト!何するのよ・・・」 雪乃先輩、やっぱりぃ・・・なんて顔して、顔を片手で覆います。 「アッチャー・・・やっぱ兄さんのいる所で着せたのが失敗だったわ・・・」 でもマキトさんは、あっけらかんと。 「いいじゃんか、見せてくれたってよー・・・減るもんじゃ無しに」 なんて、ニヤニヤ笑いながら、言うんですよ!? もう雪乃先輩、怒っちゃって・・・。 「・・・・・・兄さん、出てって」 静かに、言いました。 周りも静まり返ります。 でも先輩の目は、怒りに燃えて・・・・・・。 「・・・出てけぇーーッッッ!!!」 と言うなり、マキトさんを回し蹴りで部屋から追いだしてしまいました・・・・・・。 「ウゴブッ!?あぁ、雪乃ヒデエ!!」 クルーンと一回転したはずなのに、マキトさんピンピンしてます・・・。 それにしても雪乃先輩、あんなキレイで細い手足のどこに、あんな力があるんでしょうね・・・?ものすごく、気になります・・・。 周りが青ざめる中、雪乃先輩はにっこりと笑って。 「さぁ、邪魔者もいなくなったことだし、続けましょ?」 というなり、ボクをやさしくぎゅっ、とします。 ・・・・・・雪乃先輩、怖いですよぅ・・・・・・。 「それにしてもまったく、マキトさんって言いますの?ホンットにデリカシーのカケラもありませんわねー・・・最悪ですわ?」 六条先輩が呆れ果てて言いました。 まぁ、確かにデリカシーも常識もマキトさんには欠落してる気がしますけど・・・。 「そうなのよ、まったく呆れちゃうわ・・・この前なんて、ハルカ押し倒してたし」 頭を抱えて、嘆く雪乃先輩。 すると、押し倒した、と言う言葉に反応する隼人君・・・。 「オイッ・・・遙、大丈夫だったか!?」 だから、違うってばぁ・・・・・・。 ボクはちょっと呆れちゃった。 でも、隼人君は真剣に心配してくれて、ちょっとうれしいんだけど。 「あ、仁科ぁ?わたしはアンタがハルカ押し倒しちゃわないか心配なんだけど・・・」 雪乃先輩、またヘンな事言うんだからぁ。 「だぁから、ボクはマキトさんに押し倒されてなんかいないし、隼人君もそんな事しませんよ!!」 ボクは呆れながら、言いました。 すると雪乃先輩、本当に心配そうな目でボクを見つめて。 「ねぇ、ハルカ・・・酷いことされそうになったら、絶対助けるから・・・」 って、ボクをぎゅっと抱きしめるんです・・・・・・。 ちょっと、切ないくらいだったけど・・・。 でも、やっぱヘンですよ?雪乃先輩ッ!! 99. ・・・朝起きると、妙に顔に髪の毛がかかって、うっとうしかったんです。 もうこんなに伸びたのかなぁ・・・だってまだ、髪の毛切ってからそんなに経ってないし・・・と、ちょっと不思議に思ったんですけど、ぱさりと払いのけて。 ・・・でも、すぐに戻ってくるんですよね。うっとうしいなぁ・・・。 だから、髪の毛を束ねようと、ベッドから起き上がります。すると、腰の周りに妙な違和感。毛むくじゃらのなにかが、ざわりまとわりついて。 でも気にせず、雪乃先輩からもらった大きな鏡の前に立ちます。 ・・・そこに写っていたのは、ウソみたいな信じられないボクの姿。 「えぇ〜ッ!!?ウッソぉ・・・ボクにいぬみみとしっぽが、生えちゃったぁ!?ゆ、雪乃せんぱぁい!!!」 ボクは慌てて、パジャマのまんまで、耳を隠すために大きな帽子をかぶって、雪乃先輩の家へと、飛んでいきました。 いぬの耳としっぽがくっついたボクの姿を見て、雪乃先輩はまず、驚きよりも歓喜の表情で。 「うっわぁ・・・可愛い!ハルカ、コレどうしたの?」 ・・・まさか自分でくっつけたと思ってるんじゃないでしょうねぇ・・・? ボクは混乱した様子のまま、言いました。 なんか、恥ずかしいし・・・。 「・・・あの、朝起きたら、突然・・・」 そしてボクは、いぬの耳をピクリと、動かして見せました。 次に、しっぽをヒュンと、振ってみて。 さすがに雪乃先輩も、驚いた表情で。 「え・・・ウソ、それ本物?」 と、恐る恐るボクの耳に触ります。 大きく垂れた、愛らしげないぬの耳。 ・・・・・・いぬに付いてれば、かわいいんですけどねぇ・・・・・・。 だって、ボクですよ!? 雪乃先輩は、確かめるように、ボクの耳を撫でまわします。 うぅっ、なんかヘンな感じ・・・むずむずするよぅ。 「うわ、雪乃先輩、止めてッ!?」 あんまりにヘンな感じだったから、思わずボクは雪乃先輩の手を払いのけてしまいました・・・・・・。 先輩、ゴメンなさい。 でも、雪乃先輩はボクの反応を気にする事も無く、自分の手に残った感触を確かめています。 そして冷静な表情で、つぶやきました。 「・・・ハルカ、緊急召集よ?」 集まりも集まったり、いつものメンバーにマキトさんとマスター。 どうしたらいいか分からなくてうろたえるボクをぐるりと取り囲んで、みんなは会議を始めました。 「・・・なぁ、遙チャン、朝起きたらそんなんなったってーのか?」 マスターの問いかけに、ボクはこくりとうなづきました。 アゴをさすりながら、まじまじとボクを見つめるマスター。 「・・・イタリアでは散々悪魔憑きを見てきたが、こんなんは初めてだぜ・・・・・・」 ・・・マスターって、何してた人なんでしょうねぇ? そして雪乃先輩も。 「わたしも、知ってる限りこんなの聞いた事無いわよ・・・?じゃあ呪いとか憑依ではなさそうね・・・・・・」 う〜ん・・・こんな漫画みたいな事が、本当に起こってしまうとは・・・。 それもよりによって、ボク自身に。 落ちこんじゃいます・・・。 するとボクのいぬみみも一緒になって、へたり。 「あ、遙君落ちこんでる?」 如月先輩、ボクの様子にハッと気が付いて言いました。 「・・・え、なんで分かったんですか?」 「だって私の家も、犬飼ってるからわかるの」 その言葉に、ドキリとしました。 ・・・・・・いぬ、みたい? 参ったなぁコレはいよいよもってマズイかも・・・だって、このままじゃ・・・。 「遙、イヌになっちまうのかぁ!?」 ウワッ!! 隼人君、ただでさえこうなっちゃって怖いのに、そんなこと言わないでよぉッ!!? 大鳥先輩、追い討ちをかけるように・・・・・・。 「マズイな・・・まったくありえない話じゃない」 真剣な表情で、言うものだから・・・・・・。 ボク、本当にビクビクしちゃって。 気が付くと、しっぽが小刻みに震えてます。 どうしよう、ホントに怖いよ・・・・・・。 そして、みんな真剣に、考え込んでしまうのですが・・・・・・。 不安いっぱいなボクの心を、やわらげてくれたのは、雪乃先輩でした。 文字通り小さな子犬のように震えているボクを、やさしく抱きしめて。 頭をやさしく、撫でてくれて。 「ハルカ、大丈夫だよ・・・絶対わたしが、助けてあげるから・・・だから、ね?そんな顔しないで・・・・・・」 ・・・雪乃先輩、とっても暖かくて。 気が付けば、恐怖に垂れた耳も、痙攣してしまったしっぽも、じんわりやわらかくなって・・・・・・。 「・・・うん、」 ボクはやっとこさそれだけ言うと、雪乃先輩にもたれかかるようにして、さらにぎゅっとして。 ・・・心の中は不安でいっぱいだったけど、雪乃先輩と一緒にいたら、なんだか解決するような、そんな気がした。 ・・・・・・あぁ、ボクってやっぱり、子犬なんだなぁ。 雪乃先輩が大好きで、雪乃先輩がいなきゃ死んでしまう、小さな子犬。 「・・・遙、大丈夫か?ゴメン、ビビらせちゃって・・・」 隼人君が、済まなさそうに言いました。 でもボク。もう落ちついたから。 「・・・大丈夫だよ?それよりコレ、どうにかしなきゃなぁ・・・・・・」 ボクは、けれど、すっかり困り果てて、自分のいぬみみをぴーんと、指ではねました。 すっかり元気になったボクを見て、六条先輩がつぶやきました。 「ホント、愛の力ってすばらしいですわぁ・・・・・・」 するとマスターが、深くうなずきました。 「うん、うん、まったくだなぁ。俺も前除霊したときは、結局愛の力が物を言ってなぁ・・・」 うわ、長話の予感・・・。 でもそんなマスターをみんなシカトして、「愛の力」に、共感。 雪乃先輩とボクは、なんだか照れちゃって・・・。 でも、ホンットその通り、かも。 「・・・まずは思いつく原因から、挙げてって見ないと」 大鳥先輩が、言いました。 大鳥先輩って、こう言うときは頼もしい、未んなのまとめ役です。 「原因、かぁ・・・なぁハルカ、オマエイヌ殺したりしてねーよな?」 マキトさん真顔で、怖い事を言います。 「そ、そんなことするわけ無いじゃないですか!?」 「じゃあ、犬鍋食った?」 「ううん?そんな・・・」 ・・・ちょっと、犬鍋はなぁ・・・。 「うぅん・・・待てよ?オレも北朝鮮に行ったときに補身湯食ったけど、別になんとも無かったよなぁ・・・じゃあ、別の理由か・・・」 ・・・北朝鮮^^; マキトさんって、雪乃先輩以上に、謎な人です。 「兄さん・・・いつの間にそんなトコ行ってたの?」 「あぁ、ちょっと野暮用でね・・・」 ・・・どんな野暮用なんでしょうか・・・。 「あーあー、オレの北朝鮮旅行の事はいいから、今はハルカのコレ、何とかしないとな・・・」 と、マキトさんはボクのしっぽを突然ぎゅっとして言います!! ウワッ、電気が走ったみたいで、いやだぁ・・・。 「ひゃうんっ!?」 ホンットに、飛びあがっちゃいます。 この感じ、実際になってみないと、分からないです、ホント。 そのボクの大げさな様子をみて、珍しくマキトさんは素直に、 「あ、わりい・・・」 と、謝りました。 いつもならもっと軽い調子で、適当にごまかしちゃうマキトさんが・・・。 ・・・思ったより事態は深刻、だったのです。 「・・・妖怪?」 「実は生き霊・・・」 「何かの祟りじゃぁ〜」 「・・・いぬの、恩返し・・・」 「ホントは狐だったりして」 「分かった!実は宇宙人の仕業なんだ!!」 「実は遙君の家の血筋がのろわれていて、それが何かの拍子に覚醒してしまった、とか・・・・・・」 いろいろ仮説をみんなで立ててみるのですが、どれもありそうに無い事ばかり。 そして、マキトさんがつぶやきました。 「なぁ、雪乃・・・オマエさぁ、ハルカにグリモワールとか読ませた?」 ・・・うわ、オカルト。 ・・・・・・そういえば、一冊だけ開いた事、あったっけ。 「あぁ・・・そう言えば。兄さん、コレだけは」 と、一冊の古びた英語の本を取りだします。 「でもコレ、あんまり意味無いわよ・・・?」 と、いぶかる雪乃先輩。 でも、マキトさんは真顔で。 「いや・・・グリモワールとか魔導書の類って油断ならねーんだ・・・オレ、死海文書のレプリカ見たときに、それにどうも呪いが掛けてあったらしくって、三日くらい寝たきりになっちまって・・・」 ぶつぶつと怖い事を言いながら、マキトさんはグリモワールをパラパラと流し読みします。 マスターも、覗きこんで。 周りのみんなは、その様子を恐ろしげに見ています。 「ねぇ、雪乃・・・いつも思うんだけど、なんであんな本を持ってるの」 如月先輩が、いぶかしげにたずねます。 ・・・ボクも、そう思う。 でも雪乃先輩は、 「え?だって面白いじゃない・・・」 と、理解に苦しむ回答を、あっけらかんと。 ・・・先輩ってば、こんな調子で。 そしてマキトさんは、グリモワールを閉じ、マスターと何かを話しています。 「・・・どうだったんですの?」 六条先輩が、堪えかねて言いました。 するとマキトさんは笑顔で、 「コイツは白だな」 と、言います。 マスターもうなづいて。 「だってコレ、恋愛成就のまじないしか書いてねーぞ?」 と、にやにや。 ・・・・・・あぁーッ!雪乃先輩、だからコレをボクに見せたんだ? そう思うと、なんだかドキドキしてきちゃいました。 「あぁっ、内緒にしてたのにィ・・・」 珍しく、雪乃先輩が顔を赤くしながら二人に抗議。 雪乃先輩、ちょっとかわいいかも・・・・・・。 「・・・あぁーッ!!」 雪乃先輩が、すっとんきょうな声で、言いました。 「ねぇハルカ!昨日の神社の、狛犬!!」 「そういえば・・・!!」 そうだ、思いだしました!! 「え・・・おまえら、何かやらかしたの?」 マキトさんは真剣な表情で、聞きました。 雪乃先輩も真剣な顔で、昨日の出来事を話し始めます。 昨日ボクたちは、二人でふらりとお散歩に出ていました。 二人夕日に照らされながら、ちょっとだけ涼しい風に吹かれて。 「ねぇ、ハルカ・・・。なんか、気持ち良いね〜」 「そうですか?なんか生暖かくて、ちょっと気持ち悪い・・・」 ・・・でも、二人並んで歩くのは、うれしかった。 「・・・あ、ハルカ」 雪乃先輩は突然、神社の前で足を止めました。 何かに気付いた様子。 「ねぇねぇ、狛犬が!」 ・・・今にも倒れそうな狛犬が。 雪乃先輩とボクは、二人で狛犬を支えて、倒れないようにそーっと動かします。 ・・・なんとか、大丈夫。 「・・・コレで良し、かな?・・・」 すると突然、動かしたせいなのか、狛犬の歯が欠けてしまいました。 コレは流石に、マズイかも・・・。 ボクたちは顔を見合わせて。 「このままじゃバチが当たっちゃうね・・・ちょっと、接着剤買ってくるから。待っててね?ハルカ」 ボクはこくりと、うなずきました。 ほどなくして先輩が戻ると、慎重に狛犬の歯を接着剤で付けました。 とりあえず見た目は、元通り。 その狛犬を、二人で見て。 「・・・大丈夫かな・・・」 雪乃先輩、ちょっと不安そうです。 ボクもビクビクしていたのですが、 「たぶん・・・バレませんよ、ねぇ?」 ちょっと顔は引きつってましたけど。 そしてボクたちは顔を見合わせると、申し合わせたようにそろりそろりと、神社を後にしました。 不可効力とはいえ、ちょっと悪い事をした気分でした・・・・・・。 はぅっ。 「・・・とまぁ、昨日そんな事があって・・・でも別に狛犬破壊したわけじゃ無しに・・・」 雪乃先輩は、不思議そうな表情をして言いました。 「話聞く限りじゃ、問題はなさそうだけど・・・どうかねぇ」 マキトさんは、少し考え込みます。 ボクはと言えば、やっぱりみみとしっぽが気になって。 ・・・どうするんだろ。 「・・・なぁ、やっぱその神社には行ってみるべきじゃないか?」 秋山君が、言いました。 みんな、秋山君のほうを向きます。 ボクも、みみをぴんとして。 「・・・ウワッ、一斉に見ないでよ・・・。いや、さぁ?だって狛犬が、勝手に倒れそうだったんだろ?やっぱなんかあんじゃねーの?」 ・・・確かに秋山君の言う通り、かも。 「じゃあ決まりだ。みんな、まずは神社に行ってみよう」 大鳥先輩が、言います。 でもマキトさん、ちょっとフクザツな表情。 「・・・なんだろうな・・・ちょっと不自然な点が、多すぎる・・・」 ・・・って、ボクのこのみみとしっぽ、コレ自体不自然ですってば!! そしてみんな、出発します。 ボクもついていこうとすると、雪乃先輩が。 「あ、ハルカ・・・パジャマのまま」 ・・・ぇあっ!? そういえば、そうでした・・・あんまりに慌てていたものだから。 雪乃先輩はにっこり笑いながら、クローゼットから洋服を取りだしました。 ・・・それは、ボクのお気に入りのセーラー服・・・って、女子の制服じゃないですけどね。 「あぁ〜ッ!?それいつの間に・・・どうしたんですか?」 ボクはビックリしちゃって、大声を上げちゃいました。 雪乃先輩はちょっと照れたように、 「いや、ね・・・ハルカコレ気に入ってるようだし、可愛かったからわたしの手元にも置いておこうと思ったんだけど・・・探したけど売ってなかったから、作っちゃった」 ・・・そういって、手渡してくれたのですが、寸部違わぬ出来に、またビックリ。 「あ、ありがとうございます・・・」 ちょっと戸惑いながら、ボクはその服を着ます。 そして帽子をかぶって・・・あ、しっぽ。 「ねぇ先輩?しっぽが出ちゃった・・・」 すると先輩は笑顔で。 「まぁ、かわいいからそのままでも良いんじゃない?」 そういうものかなぁ、とちょっと疑問に思いながらも、そのままで。 ボクは雪乃先輩に手を引かれて、神社へと向かいます。 夏の日差しがまぶしくて、セミの大合唱もさわがしい。 すっかりまっ盛りの夏を身体中で感じながら、ボクたちはにぎやかに歩きます。 でも、そんな中でボクは一つだけ、どうしても不安な事があって・・・。 思いきって、雪乃先輩に、たずねました。 「ねぇ、雪乃先輩?」 「なぁに?」 ボクの突然の問いかけに、少しきょとんとしています。 「・・・もしもボクが、このまま戻らなくって、それでいぬになっちゃったら、先輩は・・・?」 本当に、不安で。 でも雪乃先輩は、ボクを笑顔で抱きしめて、言いました。 「何言ってるの・・・絶対わたしが原因をつきとめて、元に戻すから・・・例え何年掛かったとしても。だから心配しなさんな♪」 「でも、ずぅっと、戻らなかったら・・・・・・?」 ボクは、泣きそうになっちゃいました。 もちろん不安なのもあるけれど、それ以上に雪乃先輩に捨てられてしまうんじゃないかと思うと、悲しくて・・・・・・。 すると、雪乃先輩はボクを抱きしめたまま、頭を少し不器用に撫でて。 「まったく・・・ハルカはわたしのものだって、言ったじゃない・・・そんな事で、心配しちゃって・・・まったく」 意外でした。 今のこの事態を、「そんな事」だなんて。 ちょっとだけ呆れちゃったけど・・・でも、すごくうれしかった。 「あぁ〜!?二人とも何やってるのぉ?」 気が付けばみんなは、すたすたと先に進んでいて。 遠くから、如月先輩が大声で呼びかけます。 「あ、ゴッメ〜ン」 雪乃先輩は笑顔で、ボクの手を引いてみんなに追いつこうと走ります。 なんだか、ボクまで笑顔になっちゃって・・・ねぇ? 緑深い、夏の神社。 まずは件の狛犬の、実地調査です。 まるで刑事捜査の実況検分の様相。 マキトさんが、雪乃先輩に当時の状況を聞きます。 「・・・じゃあ、オマエたちはこの狛犬に、触ってはいなかったんだな?」 「えぇ・・・だって倒れそうだったから、とっさにハルカと二人で支えて・・・」 するとマキトさん、また考え込んで。 「・・・だとすると、コイツがオマエらを『呼んだ』可能性もある、ってわけか・・・」 言ってる事、突拍子も無い事ばっかですけどね。 境内では、実況検分に興味の無い人たちが、わいわいとはしゃいでいます。 ボクは狛犬の目を見ながら、ぼんやり考えました。 ・・・・・・なんで誰一人として、病院に行こうって考えないのかな・・・・・・。 だって普通、そうですよね? あ、そっか・・・コレ、普通じゃないから、かな? ここで何も分からなかったら、病院に行こうかな・・・って、思い始めた、そのとき。 一人のおばあさんが、やってきました。 「あれ・・・こんなときに、珍しい」 雪乃先輩が、つぶやきます。 まぁ確かに、あまり人はいないですけど、でもお参りくらいは・・・と、思ったのですが。 なぜか、おばあさんを見た瞬間、ひとりでにみみとしっぽが、反応しました。 会った事も無い人のはずなのに。 そして気が付くと、おばあさんの目の前まで、ひとりでにかけ寄っていました。 帽子は、飛んじゃって。 いぬのみみとしっぽをくっつけた奇妙な男の子が突然現れたからか、おばあさんはきょとんとしています。 ボクも、何がなんだか、分かりません。 でも、しっぽはひとりでに、ぶんぶんと勢い良く左右に振れているんです。 まるで、飼い主を見つけた、子犬のように・・・。 ・・・・・・子犬? なぜでしょう、そのとき、この神社の前で、小さな女の子と可愛い子犬が一緒になって遊んでいる光景が、浮かびました。 デジャヴュ、と言うんでしたっけ? 当然、ボクにはそんな記憶も無いし・・・。 「まぁ、あなた・・・・・・」 おばあさんは妙な顔をして、つぶやきます。 でもその表情は、不審がると言うよりは、むしろなんだか微笑ましい様子で。 そして、笑顔でたずねます。 「はて、あなたは・・・・・・」 ・・・その笑顔が、あの小さな女の子に重なって。 気が付けば、涙がいっぱい、あふれてきて。 とっさにおばあさんの肩に手をかけて、泣いていました・・・・・・。 どうしてだろ? 全然悲しくなんて、無いはずなのに・・・・・・。 それにおばあさんの顔が、すっごく懐かしく思える。 おばあさんも、ハッとした表情で。 「キミは・・・・・・」 ブンブン振っているいぬのしっぽを見て、懐かしそうに声を上げます。 その様子を見た雪乃先輩が、駆けつけます。 「ハルカ!どうしたの!?」 ちょっと、心配そうな顔で。 ボクは、言いました。 「雪乃先輩・・・ボク、この人を知ってるみたいなんです。でも、ボクじゃなくって・・・・・・」 そして、自分のしっぽを、指さしました。 おばあさんも、知っているみたい。 おばあさんが、穏やかな声で、言いました。 「今日は暑いですねぇ・・・よかったらみなさん、私の家で一休みしませんか?」 とっても、やさしい声で。 本当に、やさしい笑顔なんです。 気がつくと、いぬのしっぽは、すっかりリラックスした様子で、静かになっています。 「・・・ねぇ、雪乃先輩?どうしましょう・・・」 誘ってもらってうれしかったんだけど、反面迷惑じゃないかな、と思ったから・・・。 雪乃先輩は少し考えてから、 「・・・そうねぇ、」 ボクの頬の涙をハンカチで拭いながら、言います。 「ではすみません、お邪魔してよろしいでしょうか?」 先輩は丁寧に、頭を下げて言いました。 するとおばあさんは、にっこりと笑って。 「どうぞどうぞ。私のほうから、お願いしたいくらい」 と、言ってくれます。 なんだか、うれしいな・・・・・・。 でも、なんでだろ。 このおばあさんを見てると、ものすごい気持ちが穏やかだし、それに懐かしい感じがする。 ・・・・・・でも、ほんのちょっぴり、切ないんです。 胸が、痛いんです・・・・・・。 「いやあ、すみませんなー突然に・・・」 引率者のマスターが、おばあさんに申し訳なさそうに言います。 「いいんですよ、こんな暑い日ですし。良かったらすいかでも切りましょうか?」 おばあさんはうれしそうに、答えました。 「いやぁ・・・悪いですよ、」 「御遠慮なさらずに。たまにはにぎやかなのが恋しくなっちゃうんですよ・・・」 おばあさんは、本当に穏やかな声で。 その様子を、ボクたちは後ろから、じーっと。 そして、青い青い空と、大きな白い雲も、そんなボクらを天から見守るように。 すたすたと歩いているうち、なぜかボクは無性にわくわくしてきちゃいました。 ・・・なんでだろ? みみはピンと立って、しっぽは元気良く左右に。 そして細い手足を一生懸命に振りながら、ボクは走り始めちゃいました。 「あぁっ、ハルカ?」 雪乃先輩が、追いかけます。 でも、なんででしょう・・・今日はボクの身体が軽い。 いつもだったら途中でへたっちゃうのに、ましてやこんな暑い日なのに、今日は全然気になりません。 「まってよー・・・」 雪乃先輩が息を切らして、先行するボクを追いかけます。 でも、なんかヘンです・・・。 そんな様子を後ろから見ていた如月先輩が、ぼそりと。 「・・・フフッ、遙君ホントに子犬みたい♪」 ・・・でも、もうすっかり遠くにいるのに、鮮明に聞こえる。 妙だなぁ・・・コレもこのみみと、しっぽのせい? 街からちょっと外れたところの、周りを田んぼが取り囲んだ一軒屋。 のどかな田園風景、って言うのかなぁ・・・・・・。 おばあさんが、後ろからみんなとやってきます。 ・・・ボク、なんでおばあさんの家が、わかったんだろ。 「・・・ハルカ?」 雪乃先輩は、少し心配そうにボクを見つめます。 「・・・どうして、わかったの?」 「わかんない・・・このみみのせいかも」 ボクはちょっと怖くなったけど。 おばあさんは、にっこりと言いました。 「実は、少しだけ思い当たるんです・・・中で、お話しましょうか」 そして、玄関をガラッと開けて、迎えてくれます。 みんなでぞろぞろ、お邪魔します。 「まぁ・・・こんなににぎやか。良かったわ、ちょうどすいかがいくつもあるの。今用意しますからね・・・」 おばあさん、なんだかうれしそう。 そして、孫とおぼしき人を呼びます。 「ねぇ〜、一郎!お客さんが来たから、お茶を用意してくれない?」 すると、二階からどたばたと降りてきた、坊主頭のボクたちとおない年くらいの人が。 「あれ?ばーちゃん、この人たちは・・・」 少しビックリしてます、一郎さん。 「お客さん。たまたまね・・・お邪魔してもらったの」 一郎さんににっこりと答える、おばあさん。 一郎さんは素直に、 「じゃあ手伝うよ・・・コップ結構いるなぁ。麦茶またわかすよー?」 と答えます。 そしててきぱきと、準備。 おばあさんは、台所に入ります。 その後ろ姿を見たとたん、なぜかボクの身体はうずうずして。 「先輩、おばあさんを手伝ってきます」 といって、ボクも台所に。 「・・・?ハルカ、やっぱちょっとヘンかも・・・アレのせいかしら・・・」 後ろから、雪乃先輩のつぶやきが、聞こえました。 「どぉぞー」 居間では、一郎さんがみんなに良く冷えた麦茶を配って、そして楽しそうに話しています。 ボクはおばあさんがすいかを切るのを、手伝います。 「あらあら・・・わざわざすみませんね」 おばあさんはにっこりと、ボクに言いました。 ボクはちょっと照れちゃって、 「いい、んですよなにより突然押しかけちゃって・・・」 と、笑顔で答えます。 すいかは大きくて、ちょっとおばあさんが苦労しているので、ボクが代わりに。 コレでも結構、包丁の扱いは手馴れてるんですよ? ざくっと、すいかを切ってしまいます。 「まぁ・・・若いのにずいぶん慣れてるのね。お手伝い、よくするの?」 おばあさんが少し驚いた様子で、たずねました。 ボクはにっこりうなずいて、 「ハイ!お料理とか、好きですから!」 と、言います。 なんだかうれしくって、しっぽもブンブンと。 そしてボクは黙々と、すいかを切り分けます。 おばあさんは感心したように、 「まぁ・・・悪いわねぇ、結局あなたに全部やってもらっちゃったわ。そういえばあなた、お名前は?」 「ボク、井上遙って言います」 「まぁ、遙さんねぇ・・・ありがとうね。・・・それにしてもそのしっぽ、どうしたの?」 おばあさんが不思議そうに、たずねます。 でも、しっぽが付いている事が不思議と言うよりは、なんだかおばあさんの知りあいをボクも知っていて、それが意外だ、というふうな感じ。 ボクは少しうつむいて、 「・・・実はボクにも、よく分からないんです」 と、困って言いました。 おばあさんは一瞬困った顔をしましたが、でもすぐに笑顔に戻って、 「まぁ・・・そうなの」 と、やさしく。 そして、みんなのところへすいかを運びます。 「あ、おばあさん!ボクが運びますよ・・・」 「悪いわねぇ・・・助かるわ?」 うわ、結構な量切ったから、重い・・・・・・。 「おまたせぇ〜☆」 すいかを持って行くと、みんなお待ちかねと言うふうで。 テーブルに置くなり、争ってすいかを手にとって、食べます。 そのみんなの様子が、あんまりに面白くって。 「みんなー、すいかは逃げないよぉ?」 と、笑って言います。 おばあさんも笑顔で、 「まだまだたくさんありますからね、食べてくださいね?」 と言ってくれます。 みんなすいかを片手に、わいわいとおしゃべり。 おばあさんが不意に、ボクのいぬみみを撫でました。 ・・・でも、ヤな感じじゃない。 なんだか、ものすごく懐かしい感覚。 しっぽも、穏やかな感じ。 「・・・おばあさん、知ってるんですか?さっきボク、おばあさんに会ったとき、ものすごく懐かしい気がしたんですけど・・・」 ボクは、さっき思った事をおばあさんに話しました。 すると、おばあさんは驚いて。 「まぁ・・・あなたも!実は私も、思いだしたのよ・・・・・・昔、そうねぇ本当に小さかったわ・・・子犬を飼っていてねぇ・・・あなたを見て、真っ先に浮かんだのよ、その子が」 おばあさんは懐かしそうに言います。 でも、うれしそうに話すんだけど、その瞳はなぜか哀しげで。 ボクの脳裏にも何故か、ぼんやりと哀しい光景が浮かんできます。 ハッキリしたイメージじゃないんですけど・・・・・・。 それが、気になって。 「ねぇ、おばあさん・・・その子に、なにがあったんですか?」 思わず、たずねてしまいました。 するとおばあさんは瞳を閉じて、懐かしそうに語り始めました。 「そうねぇ・・・あの日も今日みたいな、とっても暑い夏の日でした・・・・・・」 おばあさんが話し始めると、みんなおばあさんに注目して、真剣に聞き始めます。 ボクも、真剣に。 このみみとしっぽがどうとかじゃなくて、ただおばあさんの話を、聞きたくて。 もう、60年も前の事だそうです。 そう、1945年、終戦直前の事です。 その頃はみんな生活が苦しくて、それに毎日空襲におびえながらの、とっても大変な頃でした。 まだ小学校(尋常小学校、かなぁ・・・)の頃、小さかったおばあさんはある日の帰り道、小さな子犬と出会ったんだそうです。 何しろその頃は、まだ狂犬病もあったし、なにより戦争中と言う苦しい状況下でしたから、飼っちゃダメって、親に言われたんだそうです。でもおばあさんたちはこっそり、学校の裏山に小屋を作って、みんなで少しずつ食べ物を持っていって、飼っていたんだそうです。 本当に苦しい頃だったけど、お友達と、その子犬とでみんないつも楽しく、遊んでいたんだって。 あの頃の支えになったと、おばあさんは回想します。 長い間、その子犬には名前がありませんでした。 ある日、おばあさんたちは子犬に名前をつける事にしたそうです。 でも、なかなか決まらなくて。いろんな案を出しあって、最後に残ったのは「ポチ」と「シロ」。 その子は、身体が真っ白で、しっぽも白いんだけど、耳は茶色。そういえば今のボクのみみも茶色くて、でもしっぽは真っ白。 だからおばあさんは、「ポチ」が良いんじゃない?と言ったのですが、リーダー格の男の子が、「コイツは身体が真っ白だし、なにより『ポチ』はありきたりだから、つまんないよ」って、半ば無理やりに名前を「シロ」に決めました。 おばあさんは、全部真っ白じゃないからと、ポチの方がいいと言ったのですが、最後には折れて、シロに決まり。 「つまらない事で意地を張ったものねぇ・・・」と、本当に懐かしそうに言います。 戦況はその頃はもう絶望的でしたが、新聞もラジオも、連日大勝利しか伝えなくって、でも本土はこんなにも空襲におびえていて、おばあさんも子供ごころに負けそうだ、とは思っていたそうです。 でも、必ず神風が吹いて、鬼畜米英をやっつけてくれるって、信じていたんだって。 「大日本帝国はまさにプロパガンダで成り立ってた、とんでもない張子の虎だったのね・・・」と、雪乃先輩は溜息を付きました。 先輩の言葉は難しくてよく分かんなかったけど、でも戦争はやっぱりイヤだ。 暑い、夏の日でした。 とうとうシロの事が親にばれてしまって、多分保健所だと思うけど、引き取ってもらえって、親たちがかんかんになって怒ったんだそうです。 それでおばあさんたちは、なんとみんなでその夜裏山に家出してしまったんだって。 当然心配して親たちが駆けつけたんだけど、その場でシロをめぐって大ゲンカ。 おばあさんはシロを抱きしめながら、いやだ、いやだって、ずっと泣いていました。 ・・・・・・小さな女の子が、白い小さな子犬を、抱きしめているんです。 その光景がまるで目の前に浮かんでくるようで、ボクは胸が張り裂けそうでした。 さみしくて、切なくて、たまらない・・・・・・。 結局、大人たちは、シロをおばあさんから奪い取り、抱きかかえてしまいます。 力いっぱい、鳴き叫ぶシロ。 「それでねぇ・・・そのとき、町の方からドーンと、大きな音がしたの」 おばあさんは思いだしたくない記憶を、必死で絞りだします。 ・・・・・・それで、大きなサイレンが鳴り響いて。 「逃げ遅れちゃった・・・んですね?」 ボクは、つぶやきました。 するとおばあさんは驚いて。 「えぇ、その通り・・・でも遙さん、どうして・・・・・・」 ・・・ボクにも、分かりません。 でも、そのときの光景が、目に浮かぶんです。 「周りが火に取り囲まれて・・・逃げられなくなっちゃったんですよね?それで、それで・・・・・・」 ボクは言いながら、泣き出しそうになってしまいます。 「・・・それで・・・・・・」 なんでだろう・・・ボクは、すっかり落ちつきを無くして、取り乱してしまって・・・・・・。 「ハルカ、落ちついて?」 ・・・雪乃先輩が、ボクの頭をやさしく撫でてくれます。 ボクはたまらなくなって、雪乃先輩に抱きついてしまいました。 複雑な表情で見守る、おばあさん。 ・・・雪乃先輩になだめてもらい、ようやく落ちつきます。 「遙さん、大丈夫?」 おばあさんが、心配してボクにやさしく声をかけてくれました。 ボクは少し恥ずかしくなっちゃって、小さくうなづきます。 それを見て安心したのか、おばあさんは続けます。 「遙さんの言った通り、私たちはすっかり炎に取り囲まれてしまったの。小さかった私たちだけじゃなくって、親もどうしたらいいか分からなくって、おびえて・・・・・・」 おばあさん、遠い目をして言いました。 「・・・そうしたら、突然シロが勢い良く飛びだして、炎に飛びこんだの・・・・・・その向こうはまだ火の手が及んでなくて。きっとシロは、私たちを導こうとしたんだわ」 そして、静かに瞳を閉じます。 ・・・そうだ。 勇敢なシロは、小さなおばあさんたち、そしてその親たちを、小さな身体で懸命に導こうとしたんです。 元気の良いしっぽが、いい目印になったんだ・・・。 「私たちはシロのしっぽを追って、ようやく炎の海から抜ける事が出来た・・・そして、防空壕まで必死に走ったわ。でもシロは、何故かさっきまでとは打って変わって、私たちの後ろから付いて行って・・・。それで、防空壕までようやくみんな無事にたどり着いた・・・・・・」 おばあさんは、目を開きました。 その目からは、大粒の涙が、ホロリ。 「ようやく防空壕にもぐりこんで、最後にシロ・・・と言うときに、防空壕の前に爆弾が落ちたの・・・。シロの小さな身体は吹き飛ばされて、防空壕の壁に強く叩きつけられた・・・・・・」 キャウン、と、切なげな子犬の声が、響きます・・・・・・。 「シロ!!」 ・・・・・・おばあさんはボロボロと、泣いてしまって。 「もう、息も絶え絶えだった・・・・・・私たちにはどうする事も、出来なかった・・・・・・・・・」 ・・・ボクのしっぽも、少ししゅんとした様子。 みみもすっかり、落ちこんだように垂れてしまって。 「シロは私の腕の中で、息を引き取りました」 ・・・おばあさんはやっとの思いで、いいました。 「おばあさん・・・辛かったらもう、止めて・・・・・・」 ボクは慰めるように、声を掛けてしまいます。 でも半分は、ボクの意思じゃないみたい・・・・・・。 ・・・そう、コレはきっと、シロの。 ひょっとしたら、おばあさんも分かってたのかもしれない。 けれどボクの呼びかけに、首を振って。 「・・・・・・シロのおかげで、私たちみぃんな助かったわ・・・。町に戻るとすっかり焼け野原で、多分家にいたらみんな助からなかったと思う・・・・・・偶然だったのかもしれないけれど、でも私はシロが助けてくれたって、信じるわ・・・・・・」 ・・・・・・もう、そこまでは、分からない。 だって、シロの記憶は・・・・・・。 おばあさんは涙を拭って、さらに続けました。 「その後、シロの亡骸を、町の外れで爆弾の落ちなかった神社の境内に埋めたわ・・・名づけ親の兄さんが、塀のカケラを削って墓石代わりにしました・・・。きちんと名前も、彫刻刀で彫って。でもそれっきり・・・・・・」 おばあさんはさみしそうに、思い起こします。 「終戦の混乱の中、私は東京へと行きました。だから、すっかりここには来なくなっていて・・・・・・。ここに戻ってきたのは、最近の事よ・・・」 その表情が、どうしようもなく切なくて。 「ふっと懐かしくなって、私もあの神社にいったんです・・・・・・そしたら遙さんを見て、思いだしたの・・・」 やっと、分かった気がした。 きっとシロは、ずっとずっと、おばあさんをあの神社で待っていたんです。 いつかまた、来てくれると信じて。 だからボクに、こういう形で伝えたんだと、思うんです・・・・・・。 「おばあさん!いいえ、はるかさん!!」 「!?」 みんな、そうおばあさんも、みんなボクの発言に驚いています。 シロの記憶が、ボクに伝わっているみたいなんです。 ・・・正直、おばあさんの名前が、ボクと同じ「遙」というのは、ビックリしちゃいましたけど。 「ねぇ、はるかさん!シロのお墓、探しましょう!」 ・・・なんで、そういったのか、よくわかんなかったけど。 気が付いたら、ボクははるかおばあさんの手をとって、しっぽをブンブンと振りながら神社へと走っていました。 「ちょっと、遙さん・・・」 おばあさんに無理をさせちゃいけないと思って、でも急がなきゃ、と思ったから、はるかさんのペースに合わせて、走ります。 ボクたちを、鮮やかな夕日が照らします。 神社についた頃には、すっかり日が落ちていました。 みんなが、捜索を開始します。 マキトさんが、つぶやきました。 「マズイなぁ・・・日が落ちた」 でも、他の誰にも、聞かれないように・・・・・・。 みんな、必死に墓石を探しています。 ボクは、文字通り嗅ぎつけるように、地面を這って墓石を探します。 その様子を見てか、雪乃先輩が、ボクを気づかっていいます。 「ねぇ、ハルカ・・・大丈夫?さっきから様子が・・・」 心配そうな表情。 でも、ボクには分かったから。 「うん。きっとコレ、おばあさんの言っていたシロなんです。だからこうして、ボクに教えてくれたんです」 みみとしっぽが、なにかに反応しているようです。 「あ、シロが呼んでる・・・こっちです、はるかさん!!」 ・・・ボクの目の前に、白い子犬が、姿を現しました。 「わぅん!!」 人懐っこい声で、「こっちだよ!」と、問いかけるように。 ボクはそのいぬを、追いかけて。 「どうした、ハルカ!?」 マキトさんが気付いて、とっさに。 「ねぇマキトさん、シロですよ!・・・・・・見えない?」 ボクが指をさしても、マキトさんは不思議そうな顔でボクを見ています。 「・・・ハルカ・・・・・・オマエ?」 あれ。 どうやら、はるかおばあさんにも、見えていないみたい・・・・・・。 ボク以外には見えないその子犬に、ボクは問いかけました。 「・・・キミ、シロなの?」 するとその子犬は、 「わぅん!わぅん!」 と、うなずくように吠えました。 やっぱり、そうなんだ・・・・・・。 シロはすたすたと、進んでいきます。 どうやら幽霊らしかったけど、でもいぬだから鼻が利くみたい。 シロを追うボク。そして、そのボクを追うみんな。 「おい、遙・・・」 隼人君が、少し心配そうにたずねます。 ボクは笑顔で、 「もう、大丈夫。すぐに、見つかるから・・・・・・」 と、言いました。 すると突然、目の前のシロがぴたりと、足を止めました。 元気良く、しっぽを振って。 「ねぇ、はるかちゃん!ぼく、ここだよ!!」 そう、シロが叫んだような気が、しました。 ・・・・・・はるかちゃんってきっと、おばあさんのこと、なのかな。 ボクはシロのかわりに、墓石を持ち上げます・・・・・・そう、シロがいたのは、この墓石の上。 気が付くと、シロはいなくなっています。 かわりにボクに付いたしっぽが、ひとりでにブンブンと勢い良く振れています。 ・・・そっか、シロ。 今、はるかちゃんに、渡してあげるからね。 ボクもはるかっていうんだけど・・・キミ、知ってた? 心の中で、そっと聞いてみると。 「わん!わん!!」 ・・・あぁっ、分かってたんだぁ。 いたずらっこだった、キミらしいね。シロ? ・・・・・・シロの『言う通り』に、ボクははるかおばあちゃんに、墓石を手渡し。 「はるかちゃん・・・ひさしぶり」 シロが、そう言いました。 はるかおばあさんは、その小さな、けれどしっかりと「シロ」と刻まれた、墓石を手にとって。 ・・・ぽろぽろと、涙を流して・・・・・・。 「あぁ、シロ、オマエだったのね・・・・・・」 そして『シロは』、おばあさんを『ぎゅっと抱きしめて』・・・・・・。 シロは、おばあさんに言いました。 「ぼくもう大丈夫だから・・・・・・はるかちゃん、泣かないで・・・・・・?」 はるかおばあさんも、涙の跡が頬に残っているけれど、笑顔で。 「あぁ・・・・・・わかったよ、シロ・・・・・・あのときは本当に、ありがとうね・・・・・・もう私しかいないけれど、みんなあなたに感謝してた・・・・・・命の恩人、って」 おばあさんは、ボクを・・・ううん、シロをぎゅっと、抱きしめました。 「うん。じゃあ、またね?」 ・・・・・・確かにシロははっきりと、そう言って・・・・・・・・・。 残されたボクは、きょとん。 ・・・・・・何があったんだろ・・・。覚えているはずなのに、なんだか思いだせないで気持ち悪いような、凄くヘンな感覚。 ・・・そっか。今日の記憶の半分は、きっとシロのものなんだ。 そしてシロはきっと、天国と呼ばれる場所に、行ったんだと思う。 おばあさんは長年の後悔がやっとなくなったような、すっきりとした・・・でも、少しだけさみしそうな表情で、ボクに言いました。 「遙さん・・・今日は本当に、ありがとう。お影でまたシロに、会えたわ。それに、お礼も言ってあげられた。本当に、あなたのおかげ・・・・・・」 ボクは思いきり、首を振りました。 「そんな・・・今日ははるかさんに迷惑を掛けちゃったし、それにボクじゃないです、シロにお礼を・・・あ、さっき言ったんだったッけ?あれ?じゃあ・・・・・・」 ・・・・・・あれ? なんだか、混乱しちゃう・・・・・・。 「迷惑だなんて・・・感謝しても、したりないくらいですよ。そうだ、遙さんに渡したいものがあるの・・・・・・」 はるかおばあさんは、にっこりと笑って、ボクに言いました。 あんまりに素敵な、やさしい笑顔だから、断るのも辛くって・・・・・・。 それで、まごついていると、雪乃先輩が。 「ハルカ?人の親切は素直に受け取るものよ?」 ・・・たしなめられちゃいました。 「じゃあ、お願いしますッ!」 ボクは素直に、うなずきました。 そしてまた、はるかおばあさんのお家に行く事になりました。 ・・・でもマキトさんと大鳥先輩、そしてマスターはなにやら狛犬を丹念に調べています。 「あのー・・・はるかさんのお家に、行くんですけど・・・・・・」 するとマキトさん、珍しく不機嫌な様子で。 「オレたちはちょっとまだ・・・野暮用が残ってるから、おまえらだけ行ってろ」 ・・・でも、もうシロの事は、解決したはずなのに・・・・・・。 不審に思いながらも、三人を残して、ボクたちはまたはるかさんのお家に向かいます。 「アーッ、ハルカ・・・」 突然、雪乃先輩が大声を上げました。 「みみと、しっぽ・・・・・・」 「え?」 ボクはとっさに、耳を触ってみます。 あれ?いつの間にか、元に戻ってる!! 「遙、やったじゃん!!」 隼人君、うれしそう! ボクは、今日一日みんなに迷惑をかけてしまって、 「・・・今日は、ごめんなさいでした・・・」 と、謝りました。 だって、なにも言わないのは、なんだかイヤだったから。 でも、隼人君、 「なに言ってんだよ!困ったときはお互いさまだろ?」 そして、六条先輩も、 「そうですわ?遙さんあんなことになってしまったんですもの・・・仕方ないですわ」 と、珍しくやさしい口調で言ってくれました。 三国さんと如月先輩も、大きくうなずきます。 秋山君も、 「なぁ井上、困った事があったら相談しろよな?」 って、頼もしい事を言ってくれます。 「うん!!」 ボクは大きくうなずいて!! ・・・・・・そして、雪乃先輩に。 「今日は、どうもありがとうございました・・・・・・」 「え?どうしたの、ハルカ・・・」 きょとんと、しています。 でもボク、今日の先輩の言葉がとっても、うれしかったから・・・・・・。 「ボクの事信じてくれて、ありがとう・・・」 うわ、自分で言っておいて恥ずかしい台詞!! 顔が、赤くなっちゃう・・・・・・。 すると雪乃先輩も照れて赤くなっちゃって。 「なぁ〜に言ってるの?ハルカはずぅ〜っとわたしのものなんだから!!」 なんて、元気に言います。 ・・・あ、照れ隠し。 「・・・でもホントにもとに戻って、よかった・・・いぬになっちゃったらどうしようって、内心不安だったの」 先輩、ボクの耳元でこっそりささやきました。 「でもね?ハルカは、ハルカだから!!」 っていって、またボクを抱きしめるんです! あぁ、はるかおばあさん、ボクたちをみて笑ってるゥ・・・・・・。 ・・・うぅっ、さすがにこれは、ちょっと恥ずかしいなぁ・・・・・・。 はるかさんのお家につくと、まずタンスを開けました。 おばあさんのタンスの奥には、鍵の付いた小箱が一つ。 それを持っていた小さな鍵で開けると・・・・・・。 「うわぁ、金貨ぁ?」 ボクは初めて見るもので、ビックリしちゃいました。 「遙さん・・・もしも良かったら、受け取ってくれないかしら?これは空襲跡に残っていたものなの」 と、はるかおばあさんはにっこりと、手渡します。 ・・・コレ、10万はくだらないような代物なのでは・・・・・・。 流石にマズイ、と思ったのですが・・・・・・はるかおばあさんの次の言葉で、考えを改めました。 「遙さん・・・今日シロに会ったあなたには、是非シロが守ってくれたものを覚えておいて欲しいの・・・コレも、その一つ」 ・・・そっかぁ・・・。 ちょっと難しくて分からないけれど、とにかくシロは、大切なものたくさん守った。 だから今こうして、おばあさんとボク、二人のはるかが出会っているわけで。 そう思うと、とっても不思議で、そしてとっても大切なものに思えます。 「ありがとうございます。絶対、大切にしますね?」 ボクは笑顔で、金貨を受けとりました。 「よかったら、家でご飯を食べていきませんか?」 はるかさんは、ボクたちにご馳走してくれる、と言ったのですが・・・・・・。 色々悪いし、それに三人、まだ戻ってなかった。 だから御夕飯は丁重にお断りしました。 そして、ボクたちは、はるかおばあさんの家を後にします。 別れ際、 「また遊びに来てくださいね・・・」 と、手を振ってくれました。 ボクたちも、はるかさんと一郎さんが見えなくなるまで、手を振りつづけました。 とっても、うれしかった・・・・・・。 神社に戻ると、マキトさんはフクザツな顔をしてましたが、他の二人は笑顔。 「もう大丈夫だろ!心配いらない」 マスターが威勢良く言いました。 大鳥先輩も、うなずきます。 ・・・一方、マキトさんは相変わらず不機嫌な様子で。 「コレが終わっても・・・・・・まだ、次が・・・・・・」 ・・・どういう、ことでしょう? でも、マキトさんも、ボクたちが戻ってきた事に気が付いて、一瞬でいつもの調子に戻りました。 「よぉ、ハルカ!結局、なにもらったん?」 え?しっかり聞いてたんだぁ・・・・・・。 ボクは、さっきはるかさんからもらった金貨を、マキトさんに見せました。 「へぇ〜・・・すげえの、もらったじゃん」 子供のような口調で、マキトさんは言いました。 ちょっと、うらやましそう。 そしてまじまじとボクを見つめて。 「・・・よし、今回はもう大丈夫だな・・・今回は」 って、もうシロはきっと思い残しも無いんだから、次は無いと思うんですけど・・・。 「じゃあマスターんとこで休んでこーぜ?」 マキトさん、大声で言います。 みんなもそれに同調して、行くのですが・・・。 ボクはもう、へとへと・・・。 「あれ?ハルカ、大丈夫?」 疲れた様子のボクをみて、雪乃先輩が心配そうにたずねました。 ボクは笑って、 「うん・・・でも今日は色々な事があって、疲れちゃいました・・・帰りまーす」 と言って、みんなにお別れの挨拶をします。 みんな、ボクを心配してくれたけど。 もうボク、大丈夫だから。 だから、一人で帰ろうと。 「はーるかッ?」 突然、雪乃先輩がボクの背中に飛びつきました。 ちょっと、ビックリしちゃって。 「え?」 「えじゃないわよ・・・一人で帰っちゃうなんて、さみしいじゃない・・・・・・」 きょとんとするボクに、先輩は笑顔で言いました。 ボクも笑ってうなずいて、 「じゃあ、手を繋いで帰りましょ?雪乃先輩☆」 雪乃先輩、そっとボクの手をとって。 二人仲良く手を繋いで、満天の星空の下を歩きます。 ちょっとだけ、切なかったけど。 でも、とってもうれしくて。 家に付くと別れ際、雪乃先輩はボクにキスしました。 ボクのが背が低いから、雪乃先輩が屈んだ格好で。 ・・・この身長差が、ちょっと、せつない。 そしてボクをやさしくぎゅっとして、言います。 「ねぇ、ハルカ・・・もし、さみしかったり、かなしかったりしたら、絶対すぐにわたしに電話してね?・・・すぐ、飛んで行くから・・・・・・」 雪乃先輩、目が、潤んでる。 だからボクは、元気良く。 「ハイッ!・・・さみしくなっちゃったら、すぐに、電話するから・・・雪乃先輩も、ね?」 そしたら、雪乃先輩顔を真っ赤にしちゃって! 「まったくもぅ、ハルカったらぁ・・・それはわたしの役目なのー!!」 あぁんもう、結局いつもこうなっちゃうんだから!! ・・・堀江家。 遅くに帰ったマキトを迎えたのは、風呂上がりの雪乃だった。 「あら兄さん、遅かったわね?」 「ちょっと、野暮用でな・・・・・・」 雪乃は、マキトの言う『野暮用』に、いつもうんざりしていた。 しかしマキトは、明らかに不機嫌な様子である。 「・・・兄さん?」 雪乃は、呼びかけた。 いつもならなにかふざけた反応を返すマキトが、今日に限ってはすぐに自分の居候する応接間に入ってしまう。 様子が、おかしい。 気になって、雪乃は応接間に入る。 マキトは両切りのガラムをくわえながら、苛立った様子でPCに向かう。 ガラムのクローブが、パチパチと音を立てながら弾ける。マキトの苛立ちを、現すように。 「ねぇ・・・兄さん?どうしたの・・・」 雪乃の問いかけに、意外にも悪戯っぽく笑い、マキトは言った。 「おい、今日のばあさん・・・『三枝遙』ってんだけど、今住基ネットで見てみたらよぉ・・・」 住民基本台帳ネットワークを、ハッキングしているらしかった。 難解なソースコードにも見える文字の羅列が、モニタに写しだされる。 「ほら、コレ・・・コード抜き出すのが精一杯だけど、ここ。旧姓、『井上遙』なんだよ、あのばあさん」 恋人と同姓同名であった事実に、驚きを隠せない雪乃。 「ちょっと・・・それって・・・」 「それだけじゃない。今日見つかった狛犬やら例の墓石やらに、誰かが細工してたみたいなんだ・・・それも相当、手の込んだ。あの子犬の幽霊じゃねえな・・・あからさまに人為的な作為だ」 また、苛立って言う。 「・・・なぁ雪乃、オマエ運命ってヤツ、信じてるか?」 マキトの唐突な問いかけに、雪乃は冷静な口調で答える。 「そうねぇ・・・あるとは思っているけど、100%言いなりになるような類のものじゃないとは、思ってるわ?どうかした?」 マキトはハッキングしている回線を切断して。 「オレも同感だ・・・で、こういう形で露骨に運命、因果律ってヤツをむやみやたらにいじくるヤツが、オレ嫌いなんだよな・・・・・・」 怒り心頭。 「ちょっと、ヤバイぜコレ・・・なぁ、雪乃・・・いいか?これからも、ハルカに対してなにか仕掛けてくるような連中がいるかもしんねえ・・・」 マキトは雪乃の目を見つめ、真剣な顔で言う。 「アイツになんかあったら、頼む」 「当然でしょ?」 雪乃は不敵な笑顔で、答えた。 「なんのために付き合ってると思ってるの!可愛いハルカに悪い虫が付いちゃ大変でしょ?火の粉は振り払わなきゃ、ね」 と、悪戯っぽく笑って。 しかし、言葉ににじむ意思は、真剣で。 マキトは少し考え込み、 「・・・そうか、安心した。オレも、アイツのことほっとけなくてよ・・・」 と、苦笑いで言う。 雪乃は憤慨して、 「あぁっ!?やっぱりマキト兄さんて、ショタ・・・」 「ちげえよ・・・オレまだ、雪乃のことあきらめてねーし」 マキトは真顔で、雪乃につげる。 雪乃は一瞬、かすかに動揺の色を見せたが、すぐに素に戻って。 「無理よ、だってわたしはすっかりハルカの虜ですもの?」 と、無邪気に言う。 マキトは気まずそうに、うなった。 「う〜ん・・・ってことは、あのかわいいハルカとオレは、仮にも恋敵になっちまったってことか・・・コイツは分が悪いな、勝ち目がねえ」 と、苦笑い。 「・・・でも雪乃、一応オレ、オマエがハルカと結婚するまではあきらめねーから・・・」 雪乃は笑って、 「まぁせいぜい頑張ってくださいな・・・」 と、余裕たっぷりに答えた。 「・・・雪乃、オレ一週間ほど、この部屋開けるわ」 マキトは真剣な表情で、雪乃に言った。 「・・・兄さん、」 雪乃には、いつもの戯言、と一蹴する事さえ出来なかった。 マキトの鋭くて、あんまりにまっすぐな瞳が・・・・・・。 少しだけ、雪乃の胸が、痛んだ。 「ねえ、兄さん・・・無茶、しないでね?」 本当に心配して、雪乃は言った。 今にも泣きだしそうな表情で。 マキトは珍しく、やさしく雪乃の頭に手を添えて。 「・・・マキト兄さん」 「お〜い、らしくねぇなぁ・・・オレはこれでも北朝鮮でもスーダンはダルフールでも南米の山奥でも死ななかった男だぜ?心配すんなら、あの可愛いハルカにしてやってくれよ・・・・・・」 少し照れ臭そうに、マキトは言う。 雪乃は泣きそうになりながら、こくりとうなずいた。 「・・・あぁ、そうだ・・・オレはオマエと一緒で、頑丈だからな・・・絶対、ハルカ守ってくれよ?」 妙に念押し。 雪乃は再びいつものように余裕あふれる表情に戻ると、不敵な笑みで。 「当然!だから余計、無鉄砲でバカな兄さんが心配なのよ?」 毒舌。 「うはぁっ、オマエ言ったなぁ?」 と、マキトは雪乃の頭をくしゃくしゃと撫でた。 ・・・・・・珍しく、雪乃は、怒らなかった。 少し切なげな顔で。 「・・・いい?一週間したら、絶対戻ってきてね・・・・・・?」 マキトは余裕の笑みで、 「当然。オレを誰だと思ってるんだ」 「アテはあるの?」 「まぁね、知りあいにそれ系に詳しいバカがいる」 「そう・・・じゃあ、死なない程度に」 「そうだなぁ、でも二週間して帰ってこなかったら、死んだと思ってくれ」 「・・・まったく、マキト兄さんの、バカ」 荷物を慌ただしくまとめるマキトの耳に、雪乃の物とおぼしき着メロがこだまする。 もっとも、久しくドイツに滞在していたマキトには、分からないのだが。 「・・・どうした、ハルカ?」 「うん、やっぱ不安だって」 ちょっとうれしそうな、雪乃。 あぁ、やっぱりコイツは・・・勝ち目がなさそうだ。 そうマキトは再認識すると、またガラムに火を付けた。 「・・・雪乃、行って来るのか?」 夜中に時々、雪乃が寝室を抜け出して遙の家に行っている事、マキトは感付いていた。 「うん。だって、すごいさみしいって・・・かわいそうじゃない」 「オマエがさみしいだけなんじゃねーのか?」 マキトがからかうように。 「・・・そうかも。そうね、まったく」 雪乃は答えると言うよりも、問わずがたりでつぶやいた。 「・・・じゃあ、ハルカによろしく頼む」 マキトは真剣な顔で、言った。 「なぁに言ってるの、まったく・・・じゃあわたし、行って来るからね?」 無邪気に出かける、雪乃。 彼女の背中を見送り、マキトの心に、一抹のさみしさと怒りがこみあげる。 ・・・・・・妹のようで、それでいて恋い慕う雪乃、それに愛らしい弟分のハルカ。 オレ、やっぱオマエらの事、見捨てらんなくってよぉ・・・・・・。 まぁ、雪乃はオレに振り向いてなんかくれないし、ハルカは弟みたいだけど恋敵で。 ・・・でも、オレは、オマエらの運命ってヤツを邪魔し腐る連中が、気に食わなくってよぉ・・・。 いまからそいつらに、一発食らわせてやろうって所さ。 行くぜ、天下第一刀!あの地平線の向こうへ! ふざけた糞ッ垂れどもに、鉄拳お見舞いしてやらねえと気がすまねえ、って所さ・・・。 「あれ、雪乃先輩?」 ボクはやっぱり眠れなくって、毛布に包まっていました。 ちょうど、シロの事考えながら。 「あぁ、ハルカ子犬みたぁい・・・」 ベランダの扉をガラッと開けて、雪乃先輩が上がります。 「・・・やっぱ、眠れないんだ・・・」 雪乃先輩は、やさしくボクに聞きました。 頭を撫でながら、そしてほっぺにキスして。 まるで、子犬を可愛がるみたいに、ボクの事大事に大事に、抱きしめて・・・・・・。 「・・・ねぇ先輩?ボクねぇ、シロの事、考えてたんだ・・・ずっと・・・」 今日一日ずっと一緒だった、可愛い子犬のシロの事。 あの小さな身体に、たくさんの勇気が詰まってた。 ・・・・・・60年前の悲劇の業火の中に、はかなく消えた小さな命・・・・・・。 「ねぇ、雪乃先輩?運命って、信じますか?」 ボクは、つぶやきます。 雪乃先輩はちょっと切ない顔で、ボクを抱きしめて。 「あんまり信じてない、かも・・・・・・。でも、ハルカと出会ったのはきっと偶然じゃないと思う・・・・・・」 頬を寄せて、切ない声で。 「あのおばあさんも遙って言うんです・・・偶然じゃ、ないみたい」 ボクは思いだして、言いました。 雪乃先輩、不思議な顔をして、 「そうなんだ・・・・・・偶然にしては、出来過ぎね・・・やっぱり運命、なのかな?」 笑いながら、言います。 そしてボクを、抱き寄せて・・・・・・。 「・・・そういえば、もう60年も立つんですね、戦争」 そう。今年は終戦60周年。 ・・・今日はその悲劇の断片が、ありました。 けれど、そのおかげで今日のボクたちがあるのだと思うと・・・・・・。 なんだか、切なくてたまりませんでした。 「ねぇ、雪乃先輩・・・・・・戦争って、やっぱりダメですよね!」 でも雪乃先輩、哀しそうな顔をして、言うんです。 「本当は・・・絶対いけないんだけど、今この瞬間にも、まだはるかさんとシロのような人たち、動物たちが世界中にたくさんいて・・・・・・」 先輩の目が少し、潤みます。 「とっても、とっても、哀しい事よね・・・・・・」 ボクも、哀しくなっちゃって。 「・・・ボクたちに、何が出来るのかなぁ・・・・・・」 思わず、つぶやきました。 雪乃先輩は、ボクをぎゅっと抱きしめて。 「そうねぇ・・・戦争の事を忘れないで、今のまま平和に生きていく事くらいしかないのかな・・・・・・」 よく、わからないけれど。 でも、そうですよね。 平和の大切さを、かみしめて。 なんだか、よく分かんなくなってきちゃった。 「ハルカ・・・もう、さみしくないかな・・・それとも、」 色々考えてるうちに、もうどうしようもないくらい混乱してきちゃって。 だから、ボクってば情けない事に、泣きだしちゃいます・・・・・・。 「あぁっ、ハルカ?じゃあ今日は一緒に、寝てあげる」 そう言って布団に入りこむと、ボクにガバッと、毛布を持ったまま覆い被さります。 そしてぎゅっと、抱きしめて。 「ねぇ・・・コレでさみしくないでしょう?」 突然でビックリして、ドキドキしてきちゃって・・・・・・。 「雪乃先輩・・・・・・コレは流石に、マズイです・・・・・・」 だって、これじゃあ・・・・・・。 でも雪乃先輩、笑って言います。 「大丈夫、なんにもしないから。添い寝してあげるだけ・・・・・・だってハルカ、このままほっとけないから」 その声に、ドキドキしちゃって、もう・・・・・・。 でも、雪乃先輩に抱きしめられると、ものすごく落ちついた気分になります。 そしてボクは、瞳を閉じて・・・・・・。 ・・・朝起きると、雪乃先輩は帰っていました。 朝一番、電話が。 「ねぇハルカ、昨日は眠れた?」 ボクはうなずくように、 「うん・・・昨日はありがとうございました」 と、ちょっと照れて言います。 雪乃先輩、すこし黙りこんでいたけれど、すぐに。 「ねえハルカ?今日もどこか、行こうか・・・」 ボクはすぐに着替えて、家を飛びだしました。 雪乃先輩と二人、青い空の下を歩きます。 なんだか、変哲も無いはずなのに、とっても大切で・・・・・・。 コレからもずっと、二人こうしていられたら良いな、と思いました。 そんな変哲も無いと思っていたこの瞬間が、こんなにもいとおしいなんて。 ・・・昨日の騒動に、少しだけ感謝。 「おーい!ハルカ、行くよぉ〜!?」 あぁっ、雪乃先輩また一人で先に走っちゃってる!? 「わわ、待ってください!!」 ボクも慌てて、走って追いかけます。 白い雲の掛かる青い空の下、先輩とボク二人。 きっと60年前もこんな、青い空で・・・・・・。 でも、あの頃のことを想像したら、かなしくなります。 だから、ボクたちはせめて、その事を忘れないように。 ----------------------------------------作者コメントwwwww----------------------------------- 89. なぜだ、最近どうにも上手く書けない・・・・・・。 それはともかく、セーラー服(っても下はズボンだけど・・・)のショタッこが駄菓子屋さんにいるのを想像して少し自分で萌えてしまったのは内緒だ。 ってか、ハルカは俺的理想像を目指してるんで・・・・・・上手く書けないのが悔しい。そして子供っぽさに拍車が掛かってきた。 90. 相変わらずすぎる。 でも、コレが先ボクなんだろうなぁ、とも思えるだけに難しい。ハルカのドキドキ感みたいなの書いてるだけで結構俺は面白かったりするんだけど、ご覧いただいてる皆さんはどう思うでしょう? ・・・ホントはまっとうな恋愛モノを描いてみたいとも思う。でもおねーさん×ショタってやっぱ素敵だなぁと思うとどうにもなぁwwwww 92. ハルカにどんな格好させるか、ついに事前評価委が出来てしまったwwwwwwさぁ答弁書作成だwwww質問趣意書は?wwww 93. 結局こんなこいつら。 お互いなんて結局理解できないし、ましてや雪乃っていうなんかもんのすごいこが相手だから結構苦労するんだろうけど、結局こいつら仲いいんだもんな。参っちゃう。って書いてて作者が思ってどうするんだろうなぁwwwwwwww さぁ、少しずつ調子を取り戻してきた気がするぞ?てなわけで読者の方々に「先輩とボクに求めているもの」を聞いてみたいんですよね。方向性が少し見えなくなってきてたんで・・・て90話書いてりゃそれも当然だろうけど。 ご意見・ご感想などコメントください><wwwwうはwww俺必死wwwwwww 94. ようやくマキト登場かよwwwwww一体何話引き伸ばしたんだ俺?wwwwwwwwwwwwwwwwwwww そしてしばらくはコイツの変態ッぷりを余すトコ無くお伝えするような気がして来ましたよwwwwwwww なにしろ先ボクにおいて変態ソムリエ「ぽえっと☆」に並ぶ変態キャラだからなwwwwっうぇうぇwwww 95. でもマキトが来たところで遙と雪乃は相変わらずなんだけどね。 ・・・雪乃だいぶツンツンしてるなぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 96. 実はマキト、ショタコンだろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 妹ならぬ弟萌えと言うのかコレwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwっうぇうぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww これじゃあ雪乃にブン殴られても弁解の余地無しだな。うん。 97. コレは正直旋光の輪舞知らないとあんまりに不可解かもしれなかった。 まず、マキトの愛車はGSX1100Sカタナというスズキのバイク。「キリン」で有名だが・・・。 で、マキトがそのカタナに付けた名前、「天下第一刀」ってのはセンコロのカレル・ヴェルフェルの愛機「アズレウス」のB.O.S.S.モード。股間に乗り込むと言うイカしたヴィジュアルで大人気(違)。 で、雪乃が「それなんてカレル?」と聞いてもドイツにいたマキト知ってるワケ無い。てか世間一般的には「ロボット」なる語を初めて使った作家、カレル・チャペックなんだろうなぁ、と。厳密には「ロボット」の発案は兄貴だったらしいですが。 でも、そのR.U.R.に登場する「ロボット」って、今で言うアンドロイド、しかも有機型・・・だったかなぁ。で、センコロで有機型人造人間といえばツィーラン君だったわけで。まぁ、雪乃の持ちキャラにして遙にコスプレさせたキャラでもあったわけだし。 しかしこんなに解説を書かなきゃいけないんだからやっぱ失敗かもな。 そして「キリン」なんですが、主人公のあだ名が「キリン」で、口癖は「キリンは泣かない」。まぁ、遙のいってる事半分は正しいような気もしますが・・・って遙キリンを雪乃から借りて読んだよなぁ?wwwwwwww 98. うわ、ここまで来たよ・・・・・・。 今回はメイドさんと言えばのまほろさんでしたけどあんまり意味無かったなぁ。ちなみにまほろさんのサポートメカの名前ってシューティングゲームから取ってるんだよね。例えば、スラッシュはR-TYPEIII THE THIRD LIGHTNINGの自機、「R-9/0(スラッシュ・ゼロ) RAGNAROK」から取ってたり。関係無いけど。そういえばNURUPOに光魔三姉妹なんていたっけ・・・。ホンット関係ねえな。 そしてみんなでわいわいがやがややってるところにトラブルメイカーのマキト参上。最悪。 ちなみにマキトがスカートめくるシーン、前にみそにこめ先生からもらった遙とみそたんの自キャラの絵から思いつきました。この場を借りて感謝。ってか、もらいモノのイラスト、サイトにうpしたいなぁ・・・・・・。 99. 詰めこみすぎてしまった。最後は支離滅裂。 ホントはこの話、ただいぬみみショタを描きたかっただけなんだけどなぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww そして結構間違ってたりして、ダメかも。戦争を題材にするべきじゃなかったかもなぁ・・・・・・。