
「先輩とボク」51.から〜。
もうね、相も変わらずなボクらって感じですね。まぁだまだいくよぉ〜!?
51.
「・・・・・・あちぃ・・・・・・」
テストまであと一週間を切りました。
みんな勉強しなきゃなのに、なんでもうこう暑いかなぁ!?
鮮やかなサンセットも、この時ばかりはうらめしいです・・・・・・。
「ヤベエ、溶ける」
仁科君がへたばりながら、うわごとのように言います。
「問題?」
如月先輩が、仁科君のノートを覗きこみます。
仁科君のノートは綺麗に真っ白。
「もう・・・そんなんじゃ赤点食らっちゃうよ?」
お姉さんのような口調で如月先輩が諭します。そういえば如月先輩、弟がいるって言ってましたね。
「ん〜、こう暑くっちゃやってらんないッスよぉ・・・・・・」
と、仁科君は飲み干したアイスコーヒー(プロトタイプ)の氷をかじりながら。
かく言う如月先輩も、下敷きをうちわ代わりに扇いで、やっぱり勉強が手に付かない様子。
ふと、秋山君と大鳥先輩をちらっとみると、二人は勉強なんてほっちゃらかしてサッカーの話に夢中。
三国さんと六条先輩なんて、あの怪しい『対決』用の衣装のデザインなんか語りだして・・・・・・。
その様子をマスターは呆れて。
「なぁおまえら・・・・・・勉強しに来たんじゃなかったのか?」
「涼みに来ました」
と、雪乃先輩は即答します。
「いや、雪乃チャンは良いけどよ・・・・・・」
雪乃先輩は黙々と勉強に励んでいます。
その隣でボクも、先輩に負けないようにと頑張って勉強しているんですが・・・・・・。
ちっとも、はかどらない。
そんな感じで、マスターは見かねて言います。
「おまえらよぉ・・・・・・雪乃チャンや遙チャンを見習って頑張れよぉ・・・・・・このままじゃ腐っちまうぞ!?」
けれど、他のみんなはへたれた声で、
「ふぇ〜い・・・」
と返事するのが、精一杯の様子。
やれやれとマスターは頭をかきながら。
ダルでアンニュイな時間だけが、過ぎていきます。
先輩とボクだけが、孤軍奮闘していたのですが。
あんまりの暑さと、問題を解けないフラストレーションからでしょうか?とうとう先輩、しびれを切らして。
「あぁもうダメだダメだダメだダメだぁ〜!!ハルカぁ〜、一つお願いがあるんだけど・・・・・・」
と、ほてったような瞳でボクを見つめます。
その視線と、先輩のちょっと汗の混じった匂いが、ボクをくらくらさせて・・・・・・。
ボクも、勉強が手に付かなくなってきちゃいます。
「・・・なんですか?先輩・・・・・・」
と、ノートをとる手を止めて。
すると先輩、ボクをガバッと抱きしめて言うんです。
「あのねー、可愛いハルカの夏バージョンが、見たいのよぅ・・・・・・」
と、とっさに取り出した大きな袋、
イヤな予感がします・・・・・・。
ボクは先輩の匂いに困惑しながら、やっとこさ着替えました。
肩も鎖骨もむきだしの、いかにも夏なワンピース・・・・・・。
見るなり先輩は、
「かわいい〜!!やっぱハルカ似合うわ〜」
なんて言いながら、また抱きつくんです。
ボクは薄くて風通しの良い格好にどぎまぎしながら。
「せ、せんぱぁい・・・コレは、恥ずかしい・・・・・・」
「ん?似合ってるよ?」
そういう問題じゃ、ないですよぅ・・・・・・。
さらに三国さんも、ボクの方へおぼつかない足取りでやってきて。
「・・・遙ちゃん・・・これも・・・」
といって手渡したのは、大きなうさみみ。
ボクが困惑して見ていると、三国さんは突然ボクにそれをかぶせました。
「・・・かわいい・・・・・・」
と、ほぅっとした表情で、見つめます。
・・・うわ、これは・・・・・・。
「うんうん、さすがまいなちゃん、グッドチョイスね☆」
なんて、雪乃先輩もうれしそう。
・・・流石にコレは、勘弁してもらいたいのですが・・・・・・。
すると、みんなこっちを振りかえって。
みんなの視線が、ボクに集中。
うわ、薄着のうえむきだしのなまっちょろい手足だけに・・・・・・。
イヤだなぁ・・・。
すると仁科君は顔を真っ赤にして。
「遙ぁ・・・夏だなぁ・・・・・・」
・・・どう言う意味でしょう!?少し怖い・・・・・・。
「あ、HG仁科!!まぁ〜たハルカに・・・」
「え!?なんですか、違うッスよ!?」
と、ヘンな雪乃先輩の追及にうろたえる仁科君。
「そうだよねぇ、違うよね?仁科君・・・・・・」
「・・・・・・でも遙のこういう格好、ドキドキする」
!?
「あーあるある、ドキッと来ちゃうよな、男なのに・・・・・・」
えぇ!?秋山君まで、同意!?
六条先輩もうなづいて、
「あなた本当に男の子?」
なんて・・・・・・。
・・・ボク、泣けてきた。
「それにしても遙君、手足が綺麗よねー・・・」
と、如月先輩もニヤニヤしながら。
すると大鳥先輩も、
「うんうん。うらやましいよ・・・」
・・・ボクは、大鳥先輩のそのたくましい身体がうらやましいんですけどぉ・・・・・・。
「えぇ?うらやましい・・・・・・?」
六条先輩が、鋭く聞きつけて複雑な顔。
「あ、いや・・・うらやましいくらい、とっても綺麗ってこと・・・」
と、苦笑いで大鳥先輩はごまかして。
今一つ釈然としない六条先輩も、ボクをじっとみています・・・・・・。
すると突然、仁科君がボクの足を撫でます。
「ウワッ!?」
「うわ、遙の足、すべすべ・・・・・・」
仁科君、怖い。
「あぁ仁科ぁ!?わたしのハルカにィ〜!!」
と、雪乃先輩はボクを抱きかかえちゃいます!!
「あぁ、お姫さま・・・・・・」
三国さんが控えめながらも、感動したように言うんです。
ちょうど、先輩はボクを、お姫さまだっこしてるんですけど・・・。
ボク、男ですよ!?
あ、それに先輩の胸がちょっと当たって・・・・・・。
はぅっ。
「おまえらいい加減勉強したらどうなんだ?」
マスターが、ヘンな視線でボクたちに言います。
「・・・・・・へぇ〜い」
さっきまでサボってた最右翼の仁科君が、やけに素直に言います。
そしてみんなようやく、ノートを広げ始めました。
外はだいぶ日が傾いて。
すごしやすくなり始めました。
「よぉし!これからが本番だ!!」
大鳥先輩が声を上げると、みんなも同調して集中します。
よかったよかった、と、思ったのですが・・・・・・。
「う〜ん、今日は良いもん見た・・・夏休みも期待できそうだなこりゃ」
と、仁科君しみじみ。
なんでしょう?
すると六条先輩も、
「そうですわね・・・遙さん、やっぱり逸材でしてよ?」
・・・・・・どう言うこと!?
「まったくだねー、井上君いいよいいよー」
と、大鳥先輩・・・・・・。
その後もみんな勉強はしながらも、口では夏休みボクにさせる格好のことばかり・・・・・・。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?
ボク、ワンピースも着ないし、ましてやスクール水着、それも女の子のなんて絶対に着ませんからね!?
どうしてこうなっちゃうんだろう・・・・・・はぅっ。
52.
「結局ここ何日も、勉強に手が付いてないじゃない・・・・・・」
お昼休み、先輩はぼやきました。
暑いのでご飯を食べた後図書室に避難。三国さんは今日は当番じゃないみたい・・・。
「ねぇハルカ、今日はウチで、二人だけで勉強しよっか?」
と、雪乃先輩はボクを見つめて無邪気に言います。
ボクはとってもうれしくて、舞い上がっちゃって!!
先輩と二人きり。
こんな時間は、なんだか久しぶり。
先輩も、少しだけ照れくさそうに。
「・・・・・・なにか、飲む?」
ボクはなんでも良いです、というと先輩は、アイスティーを持ってきてくれました。
「結構良い葉っぱなんだよ〜♪」
と軽くうんちくを語って、それから口を付けます。
「う〜ん・・・美味しい」
先輩の声に、なんだか妙にドキドキしてしまって。
そういえば、久しぶりだな・・・・・・。
そんなこと思ったら、もっとドキドキし始めて、顔が赤くなってきちゃいました・・・・・・。
二人は黙々と勉強に励みます。
時々、ボクがわからないところがあると雪乃先輩は丁寧に教えてくれて。
なんだか恋人というよりも、お姉さん・・・・・・。
でも先輩は、ボクが詰まっていた問題が解けると、
「ハイ、良く出来ましたぁ〜♪」
なんて言って、ほっぺにキスしてくれるものだから・・・・・・。
照れくさくって、でもうれしくって、もっと頑張れます。
それにしても、先輩はすごいです。
ボクを教える片手間のように、数学の問題集を一冊解いてしまいます。
如月先輩が言うところによると、テストの日程を忘れてまったく勉強しないで臨んで、それでも100点の科目があったという・・・。
いわゆる天才、だと思うのですが・・・・・・。
でも先輩は突然、ボクに抱きついて。
「や〜めた」
「えぇ!?」
先輩は突然、ボクを抱いたまま寝転びます。
「だって、疲れちゃったんだもん・・・・・・」
珍しい、甘えるような声。
本当に、可愛くって・・・・・・。
そして、先輩は語り始めました。
「まぁねー、優等生もやってると疲れちゃうよ、実際・・・・・・。前の学校ほどじゃないけど、でもプレッシャーみたいなのは感じるし、六条さんみたいに一方的にライバル視して来るコもいるし・・・・・・それで、やっぱそれに答えなくちゃ、ってなるじゃない?」
・・・ボクにはあんまり良くわからないけれど。
「それでねぇ?たまにはこうやって、まったりしたいんだけど・・・・・・」
そして雪乃先輩は、ボクをさらに抱き寄せて。
・・・って、ボクの顔が、先輩の、胸に・・・・・・。
ボクは顔を真っ赤にして少しがたがた震えながら、でもそんな様子を雪乃先輩は気にしないで。
・・・むしろ、ボクの顔を胸に押しつけるように。
や、やわらかくて・・・・・・。
「・・・あー・・・だから、遙クンが好きになったのかなぁ・・・?ハルカといると、なんか癒されるって言うか」
・・・癒し系、ですか?
でもボクは、ドキドキしすぎて死んじゃいそう!!
「だからこうやって、ぎゅっ、てしたくなるって言うか・・・・・・」
先輩は少しさみしそうな声で、言うんです。
「・・・・・・胸が、キュン・・・って、するのね?キミといると・・・・・・」
・・・・・・ボクもです。
胸が、痛いくらい、キュンってなって。
「どうしてかな・・・・・・?」
そういうと先輩は、ボクの顔に自分の顔を合わせて、ゆっくりと、キスをします。
・・・なにかを、確かめるように。
そして口を付けたまま、なにか語りかけるようなのですが、ボクにはわかんなくて・・・・・・。
ただボクは、されるがままに、口付けを続けて・・・・・・。
「・・・あー、眠い・・・良く考えたら最近ろくろく寝ちゃいなかったわ?」
キスを終えると、先輩は普段の調子であっけらかんと。
ボクはキスの余韻と、抱きしめられた時の胸の感触で、クラクラしていたのに・・・・・・。
そして雪乃先輩は、ボクを抱き枕のように抱きかかえて。
また、胸が高鳴る・・・・・・。
「・・・一緒に、ねよっか・・・・・・」
あまったるい、先輩の声。
その声にボクはもう、とろけちゃいそうで。
とても眠るどころじゃなかったけれど、こくりとうなずきました。
そして先輩は
「うん、うん」
とつぶやいたかと思うと、すぐに寝息を立てて・・・・・・。
まるで、小さな子供みたい。
・・・残されたボクはドキドキが収まらなくて。
どうやったら、少しは楽になるのでしょう?
ボクは先輩に抱きかかえられて身動きも取れないまま、どうしようかと悩んで・・・・・・。
それで、一つ思い浮かびました。いつも先輩がボクにするように、頭を撫でたり、ほっぺたをつねったり、・・・・・・。
・・・突然、キスしてしまったり。
「いつもされてるんだからおあいこだよね、よし」
小さく気合を入れて、まずは頭を撫でてみます。
・・・先輩の髪はさらさらで、とっても良くお手入れされています。
それに、良い匂い・・・・・・。
・・・いかんいかん!これじゃ主旨が違ってきちゃう、と、自分に言い聞かせて、今度はほっぺたを。
つん、つん。
・・・やわらかい。とっても。
今度は、日ごろからの恨みを込めて、つねっちゃいます。
・・・恨み、っていうのは、嘘ですけれど。
すると先輩は少し顔を歪めて、うぅ〜ん、とうなります。
いつにない表情が、面白くって、またつついてみたり。
ひとしきり先輩の反応で遊んでみた後で、ボクはこっそりキスをしてしまおうと。
・・・どきどきします。
なんだか、先輩の無防備な唇が、こころなしか誘っているようにも見えてきて・・・そんなわけ、ないんですけれど。
躊躇しながらも、思いきって・・・ちゅっ。
・・・いつもより、やわらかい気がしました・・・・・・。
「フフフフフ、捕まえたぁ」
と、ボクは突然捕縛されてしまいました!?
くちびるを引き離すと先輩は、
「人が寝てる間にくちびるを奪ってしまうなんて・・・悪いコねぇ?」
と、にやにや笑いながら。
ボクは少し申し訳なくって、
「・・・ゴメンなさい」
と、先輩にうずくまるようにして謝ります。
すると先輩は、
「おしおきッ」
なんて言いながら、もっとボクをぎゅっと抱きしめてしまったりして・・・・・・。
うわぁ、もう胸が・・・・・・。
「・・・・・・でも、先輩なんて、いつも一方的じゃないですかぁ・・・」
と、ボクは少しすねて。
雪乃先輩は少し真剣な表情で聞きます。
「・・・ハルカ、こういうの、イヤ?」
あんまりにさみしそうな表情で。
ボクは黙って首を振ります。
そうしたら、先輩はボクの頭をやさしく撫でて・・・・・・。
「よし、よし。でもこんなわがままでゴメンねぇ・・・?」
とっても、やさしい声で。
だからボクは、余計にどうしようもないくらいドキドキしてしまって・・・・・・。
先輩の顔を、マトモに見ることが出来なくなってしまいました・・・・・・。
「あぁ、ハルカ・・・」
しばらく、くっついていたのですが。
突然ボクから離れて、問いかけます。
その表情は、何かを企んでいるようにニヤニヤと。
「・・・なんですか?突然・・・」
ボクはちょっと不信感をあらわに、聞きます。
「・・・テストが終わったら、シンデレラの衣装が出来るから試着よろしくね♪」
と、タンスの中から作りかけの衣装を引っ張り出して。
・・・そういえば、この話いつ決定事項になったんでしょう?
「今、こんな感じ・・・」
出てきたのは、きらびやかなシンデレラの衣装・・・。
「先輩、コレは似合わないですよ・・・」
と、苦笑いして言うのですが。
「何を言うかなぁ・・・?」
先輩はニヤニヤしながら。ボクにちょっと合わせて。
「うん、似合う似合う。鏡見てよ〜」
・・・ボクは鏡は見ませんでしたけど。
気が付けば、外は暗くて、しとしとと雨。
「じゃあボク、そろそろ帰りますね?」
と、先輩の家を後にして。
別れ際、先輩はとってもさみしそうな表情で。
「ハルカ・・・また、明日ね?」
なんて、とっても辛そうに言うものだから。
思わず玄関先で、雪乃先輩に抱きついて。
・・・ちょっと照れくさいけど、もういいや。
ウチに帰るなり、ボクは勉強を再開、したのですが・・・。
開始から10分ほど経って、先輩から電話。
「もしもし〜?ハルカぁ、勉強はかどってる?わたしはねー・・・」
・・・あ〜あ。もうコレは今日も勉強、出来そうにありません・・・・・・。
53.
「あちぃ・・・あちぃよう秋山・・・」
だれる仁科。
「おう・・・俺も、もうだめ・・・」
同じくだれる秋山。
学校の図書室も、相変わらずクーラーはきかないし人は多いしで、避難所の用すらなさない。
「あー、赤点取っちゃったらどうしよ・・・」
少しだけ現実的な不安を口にする仁科。しかし、その表情は赤点への恐怖よりはむしろ追試の面倒くささが伝わる。
「だりぃ・・・」
「だりぃ・・・」
二人仲良く、へたばる。
「・・・・・・あー、早く夏休みにならねえかな・・・」
仁科の意識は、遠く白い砂浜へ。
秋山も、引っ張られるように。
「なー・・・例のホテル、ちょっと楽しみなんなー・・・」
呆然と、現実逃避。
その様子を、図書委員の三国が見つめる。
「・・・・・・どこか、別のところに・・・行けば良いのに・・・ねぇ?」
相変わらずだれっぱなし。
「あのさー・・・秋山ぁ・・・」
「なにー?」
くたびれた声での問答。
「・・・夏休みさー・・・遙、どういうカッコするんだろうな・・・」
何故か仁科は顔を赤くして。
「・・・あぁ井上ー?そりゃあ昨日先輩が持ってきたアレじゃねーの?」
秋山はこともなさげに返す。
・・・仁科はだまって、瞳を閉じ、想像する。
白い砂浜を走る、ワンピース姿の遙。
スカートがひらひら揺れ、時々遙の細く、しなやかな足があらわになり・・・・・・。
「・・・おい仁科、顔が赤いぞ?」
呆然としていた仁科は、秋山のからかいで我に帰る。
「ち・・・ちげーよ!!」
と、遙の妄想を否定するように慌てる仁科に、秋山が追い討ち。
「・・・お前、井上の女装にときめいちゃってるんじゃねーの?」
ニヤニヤと。
すると仁科はますます顔を赤くして、
「そんなんじゃ、ねーよ・・・」
と、うつむく。
「・・・まぁでも仕方ねーよ。俺もドキッと来たし・・・・・・」
秋山は平然と言う。
その顔はやはり、赤くなっていたが・・・・・・。
「アイツ、男だぜ?」
「・・・だからじゃね?余計によぉ・・・」
そして二人は、黙りこんでしまった。
気まずい沈黙。
その沈黙を打ち破るように、遙と雪乃が楽しそうに談笑して図書室に入る。
「・・・・・・おい、来たぞ・・・」
まるで潜入の発覚を恐れるスパイのように、秋山がつぶやく。
「あぁ・・・」
スニーキングの相棒、仁科もうなずいて。
目標の遙は、図書委員の三国と話しこんでいる。
「・・・だからボク、水着も男物着るって・・・」
「だめ・・・だって遙ちゃん、似合わない・・・から・・・」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」
三国と遙の会話に、ますますドキドキと緊張を高める仁科と秋山。
二人の気持ちが、一つになる。
・・・・・・このままでは、マズイ!!
・・・・・・・・・いろいろと。
「あ、仁科君に秋山君」
ふと、遙が二人に気付いた。
「ヤバイよ秋山!!」
「に、逃げるぞ!!」
二人はあわただしく荷物をまとめ始める。
遙が雪乃と三国を連れて、二人の席に向かう。
そして、今席に付こうとした、そのとき。
「めずらしいね・・・勉強?」
遙が、愛らしい笑顔で話しかける。
その笑顔は今の二人には、危険すぎた。
「わ、遙!!」
困惑する仁科。
「・・・仁科君、どうしたの?」
と、首をかしげる遙。その仕草も、どこか中性的でコケティッシュな。
二人は更に慌てて。
「あ、HG一味。」
雪乃の台詞がさらに追い討ち。
「あ、こんちは」
なんとかごまかそうと、ぎこちなく秋山は手を上げて挨拶。
そして、顔を赤くして押し黙る仁科。
「・・・ん?怪しいな・・・・・・」
・・・雪乃はこういう時にはやたら鼻が利く。
二人の気まずい空気が、読み取られたのか?
「じゃ、オレたち失礼しますんで!!」
思いっきりぎこちなく挨拶をし、そそくさと仁科が立ち去る。
「・・・あれ?どうしたの?」
「俺たち、バイトなんだよね、アハハー」
遙の問いかけに秋山もロボットのように答えて、仁科を追う。
「ちょ・・・おま、待て・・・」
ものすごい慌てようの後ろ姿を見守る三人。
「・・・・・・どうしたんでしょう?」
事態の張本人は、無邪気な笑顔で不思議そうに。
「・・・まったく、ハルカを狙ってたのね・・・」
雪乃はすっかりその空気を感じ取っていた。
「え、狙ってたって・・・」
「あーあーなんでもない、さ、遙クン、まいなちゃん、お勉強しましょっか♪」
その様子を見て、三国はクスクスと笑った・・・・・・。
「・・・あー、ヤバかった」
やっとの思いで学校近くの公園のベンチに逃げる。
息を切らしながら、安堵して仁科が言う。
「ホント、危なかったなぁ・・・・・・」
秋山も同調して。
「・・・・・・オレたち、本当に大丈夫かなぁ・・・・・・?」
「何が?」
仁科のつぶやきに秋山は一瞬どうしたことかと思ったが、すぐ思い至って。
「だってよぉ、夏のバイト、多分オレたち遙と一緒の部屋だぜ?」
ものすごいうろたえようの仁科。
秋山はホンの少し冷静だった。
「はは、まさか井上だって自分たちの部屋じゃ女装じゃねー・・・・・・」
と、言いかけて、雪乃の姿が脳裏に浮かぶ。
男子部屋まで遙を追いかけて女装させようとする姿が、目の前にありありと浮かんでくるようだ。
「・・・・・・やっぱ、ヤバイかもな・・・・・・」
秋山は青ざめて。
「・・・・・・オレたちさぁ。免疫付けなきゃいけないんじゃね?」
仁科が、ふとつぶやいた。
「・・・無理だろ、だってアイツが女装したら、女にしか見えない・・・それも、飛びっきり可愛い・・・」
そして二人は溜息を付く。
そんな二人の頭上を、湿気を含んだ生ぬるく重々しい風が、吹き抜けた。
54.
目の前の地中海の夢に、まどろんでいた。
誰も来ない日中最高気温真っ只中の古びた喫茶店で、マスターはふと、目覚める。
「・・・やれやれ。今日は誰も来ないかね・・・・・・」
統計上(といっても、マスターの記憶の中だけだが)、学校の放課後にならないとまず雪乃たちが来ない。その前には、以前は良く足しげく通う貴婦人もあったのだが、最近はとんと見ない。
大体、ここが喫茶店であるとは認識されていないようで、少なくとも仕事を抜け出して一服するサラリーマンなどここに来た試しがない。
それに古株の常連と来たら、夜7時ごろになると突然集結し、ここが喫茶店であることを半ば忘れたように、マスターのコーヒーを肴にしらんちき騒ぎに乗じる始末。
朝9時から夜9時という立て札は、まったく意味を為さなくなっていた。
「・・・まぁ、今日くらいは良いか・・・・・・」
マスターは、敷地の裏側にあるガレージに行く。
そこはガレージと言うよりは、むしろガラクタ置き場と言った方がしっくり来る様相を呈していた。壊れた足回り、スペアのエンジン、それに素人目には何がなんだかわからないような、電装品の類などが散乱している。
頭をかきながら、つぶやく。
「あぁ・・・こりゃあ次の車検前までに片付けんと、整備もろくろく出来んわ・・・」
そしてマスターは、ガラクタに半ば埋もれた白いシートに覆われた物体を撫でる。
「お前に乗ってやるのも、久しぶりだなぁ・・・」
そしてシートを外す。
出てきたのは、まるで新車のような輝きを放つ真紅のアルファロメオ・スパイダー。
マスターは愛車を眺める。その視線は、その愛車を越えて、遥かイタリアの海岸線にまで向かうようだった。
少なくとも一月は動かしていなかったが、エンジンは意外にもあっさりかかった。
「じゃあ、行きますかね・・・・・・」
アイドリングがてら、マスターは「本日休業」の立て札を掛ける。
「・・・まぁ、いつも開店休業のようなもんだがな・・・」
そしてスパイダーに飛び乗り、久しぶりのドライブへと出る。
行き先?決めてねーよ。
なんのために?理由なんざぁあるか。
ただ俺は、海岸線を眺めたくなっちまったのさ・・・・・・。
あの青い青い、イタリアの海が恋しくなっちまってね・・・・・・。
法定速度など到底無視したスピードで巡航。しかしその運転は、ラテンじこみのためか危なげない。
イタ車特有のエキゾーストノートを奏でながら、アルファロメオは快調に進む。
・・・しかしそこは整備不良気味の古いイタリア車。途中、突然エンジンがプスンプスンと言いだす。
「・・・おり?やぁっぱダメか・・・・・・」
ギリギリまで自走で路肩に寄せ、エンジンフードを開ける。
オーバーヒートではないらしい。それはそうだ、コイツはサーキット走行会のためにビッグラジエータを組んであるのだから、ましてや街乗りのために電動ファンも大型化してある。ちょっとやそっとの渋滞でもへこたれない。
マスターはエンジンルームをまじまじ見つめる。
「・・・・・・点火系かな?」
と、とぐろを巻くプラグコードをまさぐる。
ドアから手を伸ばし、イグニッションを入れてみると案の定、火花が上手く飛ばない。
「あぁ・・・こりゃあ交換だな」
とつぶやくと、助手席に突っ込んであったスペアのプラグコードとスパークプラグ、そして工具箱を取りだすなり、早速交換作業に入った。
さすが手馴れたもので、あっという間に作業は進む。
「そうだよなぁ、イタリアにいたころから世話になってんだ。コイツのツボは心得てますよっと!」
そしてひとしきり作業を終え、また試しにキーを回す。
今度は一発で、かかった。
「よぉーしよし、いいぞ・・・」
エンジンフードを閉じ、マスターは何事もなかったかのように、再び走りだした。
海岸線を臨む国道。
途中、トリコロールのレーサーレプリカバイクが、マスターのアルファロメオを追いぬいた。
「ひゃあ、無茶しやがんなぁ・・・」
するとその追いぬいたバイクのライダーは、マスターを向いておどけたように両手を広げて見せた。
その仕草に、ふと常連の悪ガキを連想する。
「・・・まさかなぁ・・・バイク禁止って、遙チャン言ってたモンなぁ・・・・・・」
気が付けば、トリコロールのバイクはすっかり見えなくなっていた。
「・・・イタリアなんて、もっとヒデエのがごろごろいたもんだがなぁ・・・」
つぶやいて、マスターは更にアクセルを開けた。
久々の快晴。
その日の海岸は、青い空と海、そして白い雲のコントラストが美しかった。
潮風にゆられながら、マスターはつぶやく。
「・・・イタリアの海の方が、もっと鮮やかだったもんだ・・・」
しかしつつましさを感じさせる日本の海岸も、悪くはない。
「・・・・・・あぁ、俺もやっぱ日本人ってことかねぇ・・・」
そういうと、マスターはポットに用意したコーヒーを注ぎ、口にする。
イタリア風のエスプレッソでなく、一般的なネルドリップ。
そしてしばしの間、遠い海の向こうに思いをはせる・・・。
潮風が、冷たく変わった。
雨が近そうだ。そろそろ出発の頃合。
マスターがアルファロメオを発車させると、まもなく雨がぱらつく。
「スパイダーに幌は無粋だねぇ・・・・・・」
オープントップのまま、走りつづける。
雨脚は次第に強まるが、気にしない。
「・・・さてさっきのバイク小僧、いまごろ参ってるかな?」
マスターが喫茶店に戻ったころは、既に分厚い雨雲が空を遮って。
ガレージに車を戻し、主のいないはずの喫茶店を覗く。
少し、騒がしい。
正面に回り立て札を「OPEN」に変える。そして中に入ると、雪乃と遙が座っていた。
「・・・よぉ。どうしたんだい?」
「どーしたもこーしたも、マスターがいなくって困ってたのよ・・・・・・」
珍しく少しだけ怒り気味の雪乃。
聞けば、二人がここを通りかかると雨の中、一人の老婦人がぼんやりとたたずんでいた、という。
「おばーさん、さみしそうだったよ・・・・・・『あら、マスターいないのね・・・珍しい・・・』なんてしょげちゃって。あんまりだったから見よう見真似でコーヒーいれちゃったけど」
マスターは少し驚いたふうで、
「・・・・・・そうか」
とだけ、つぶやいた。
「そーか、じゃなくってぇ・・・・・・」
雪乃は、不機嫌な様子で。
不審がる遙。
「・・・なにか、あったのかな・・・・・・?」
しかし、遙が問わず語りのようにつぶやいても、逆に雪乃が徹底追及しても、マスターはなにも言わなかった。
なにも言わず、ただ、ミルで豆を挽きつづけた。
しばらくして二人は帰ったが、マスターは変わらず、豆を挽きつづける・・・・・・。
寝床に付くと、ふとマスターは無性にパイプが恋しくなった。
イタリア修行の前、フランスにいたころは良くパイプを吹かしていたものだ・・・・・・。
思いだしたように机をまさぐり、古ぼけたパイプを取りだす。
そして、未開封の刻みタバコ。
「・・・・・・久しぶり、だなぁ・・・」
マスターは机のライトをつけ、パイプの手入れを始める。
時計は既に、午前0時を回っている・・・・・・。
黙々と、清掃し、終わると今度は刻みタバコの封を開ける。
辺りに漂う、真新しいタバコ葉の匂い。
それをパイプに詰めると、点火して煙をくゆらせる。
「ふぅ・・・何年ぶり、だろうなぁ・・・?」
ゆっくり、ゆっくりと、パイプをふかす。やり方は、意外と忘れていない。
マスターの身体に、ニコチンが回ってゆく。
何年もご無沙汰の、一種虚脱感。
ふと思いたち、マスターはパイプをくわえたまま下の喫茶店へ。
自分のためにコーヒーをいれるのも、久しぶりだ。
マスターは濃くいれたコーヒーにブランデーをたらし、香りを嗅ぐ。
タバコの煙とコーヒー、ブランデーの香りが混ざった、どこかマスターにはノスタルジックな匂い。
ふぅ、と、溜息が洩れる。
そして机に戻るなり、今度はこれまた古ぼけた日記帖・・・といっても、拍子も紙質もかなりしっかりした逸品なのだが、それに万年筆で今日のいろいろを、書き綴り始めた。
長年外国にいたマスターの日記は、日本語で忘れた語彙を外国語で補うと言う変わったもので、また悪筆のため酷く読みづらい。
だが自分のためだからと、マスターは気にもせず書き綴る。
自分の今日一日すべてを、転写するように、書き綴る。
ふと、ベランダに出て、空を見上げた。
星がいくつも瞬く。
大きく白い月。
マスターはパイプをひときわ大きくふかすと、ようやく眠れる、というふうに大きくあくびをした。
現在、午前3時。
とッ散らかった机の上も振りかえることなく、マスターはベッドに横たわる。
そして瞳を閉じ、今日を振りかえる。
あぁ、俺は、今日も俺にふさわしい生き方が出来たのだろうか?
ひたすら自省するように、反芻した。
55.
先輩はボクのことを好きなんだけれど。
どうして好きになったのかを、話してくれません。
それで、どうしても不安になってしまうことがあって・・・・・・。
「ねぇ雪乃先輩。先輩は、ボクの何処が、好きなの?」
ボクは精一杯勇気を振り絞って、甘えるように、聞きました。
けれど雪乃先輩はボクの頭を撫でて。
「・・・ハルカは、ハルカじゃない」
と、とっても素敵な笑顔で言うのです。
それは、そうですけど・・・・・・。
・・・「ボクの、どの部分が、好きなんですか?」なんて、それ以上聞けなくって・・・・・・。
それで、先輩はそれからなにも言わないまま、ボクを抱きしめてキスするんです。
・・・・・・卑怯だぁ。
・・・一つ、怖いんです。
先輩は、ボクの女装している姿が、大好きです。
・・・・ボクは、女装は好きじゃないんですけど。
それで、先輩は実は、ボクが好きなんじゃなくって、たまたま可愛いコが女装してくれるから好きだ、なんていっちゃって、・・・なんて、辛いことを思ってみたり。
けれど、先輩のあの無邪気な笑顔を見ると、そんなことも吹き飛んでしまいます。その瞬間は・・・・・・。
そんなこと、ないですよね?
先輩はボクのこと、スキでいてくれるんですよね!?
テスト直前の土曜日、ボクはあえて女装して街に出ることにしました。
先輩にもらった女子の制服を着て、両親にバレないように飛びだして(といっても、もう恋人である雪乃先輩の趣味だからと、わかってくれてはいるのですが・・・)、街中を歩く・・・・・・。
幸か不幸か(ボクの中ではコレは人生最大の不幸の一つだと位置付けています・・・でも、このおかげで雪乃先輩と恋人同士になれたと思うと、複雑)、街の中の人々は誰もボクが女装してるなんて気にも留めません、たぶんわからないんです・・・だれも、じっと見てくることがないですから。
そして、ふと、鏡に写った自分の姿に、目が止まります。
・・・・・・自分で言うのもヘンだけれど、どこから見ても、女の子。
その鏡に写った女のフリをした少年に、ふと語りかけます・・・・・・。
・・・・・・キミはボクだけれど、ボクじゃない。
だってボクは、男だもの。
キミはどこから見ても、女の子じゃないか?
先輩がスキなのはきっとキミじゃない、このボクなんだから・・・・・・。
・・・・・・すると、鏡は一瞬、波を打ったようになって。
ぐんにゃりと鏡像は歪み、すぐに戻ったのですが、その向こうには『もうひとりのボク』が。
鏡写しに歪んだ笑みで。
『だったら、俺が雪乃を奪ってやるよ。
だってアイツがスキなのはお前じゃねえ、今のこの俺の姿なんだから?
鏡写しの俺様が、貴様に成り代わってアイツを好きなようにしてやろうじゃねえか?
どうだ、文句があるか?
まぁ今の俺は所詮鏡像だがな、でも俺はお前なんだぜ?
・・・・・・お前はかわいこぶりっこしちまって、『雪乃先輩をそういう目で見たくない』なんて抜かすけどよ。
第一、男だぜ?ファックに興味ねえ男なんていて堪るかよ・・・・・・素直になろうぜ?
俺はお前みたいな女々しいヤツが嫌いなんだよ、わかるか?わかるはずだ、だってお前は俺なんだから・・・俺はお前じゃねえけどな。
まぁそのうちこの鏡ぶち破ってやるから楽しみにしとけよ?ついでに雪乃タンの処女膜もぶち破って・・・・・・』
・・・・・・驚いた。
鏡の向こうのボクは、そんなおぞましいことを考えているなんて。
血の気が引いて、青ざめて、身体が震えてきた。
教えてください、鏡の向こうのアイツは、鏡写しの邪悪なボクは、本当にボクの考えていることなんですか?
・・・・・・誰か・・・・・・教えて・・・・・・。
鏡の向こうで見にくく顔を歪めて下衆な笑みをたたえるボク。
そいつを消したくて、殺してしまいたくて、なかったことにしてしまいたくて・・・・・・。
気が付けばボクも、アイツと同じ顔になってた。
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
ボクは、そう、あんまりに恐ろしくなって、叫んだ。
ふと我に帰った刹那、周りの人たちがなにやら騒がしくなっていることに、気が付いた。
・・・・・・ボクはその鏡の前で、倒れていて。
やさしそうなサラリーマン風の男の人が、ボクに必死に声を掛けていた。
「き、キミ・・・大丈夫か?いま、救急車呼ぶから・・・・・・」
・・・何があったのでしょう?
よく、わかりません・・・どうも、急に貧血のように倒れたみたい?
少しめまいはしたのですが、ボクはすぐに我に帰りました。
「・・・あ、いえ、大丈夫です、おかまいなく・・・・・・」
けれどサラリーマンの人は心配そうに、ボクの背中をさすってくれて。
・・・我に帰ったとたん、怖くなって鏡を見た。
けれどもう鏡は、普通に戻って、ボクの鏡像をそのまま写してた。
「ハハ、心配だし少し喫茶店かどこかで休もうか?よかったら、おごるよ・・・あぁ、誤解しないで?別にナンパとかそういうつもりじゃなくて・・・病気のコを放って置けないからさ・・・」
ボクは我に帰ったけれど、すこしクラクラしていたのでお言葉に甘えることにしました。
その笑顔がやさしそうで、信用できるかなと思って・・・・・・けれど、念には念をいれますけれど。
近くのビルの2階にある喫茶店。サラリーマンの人は、
「よくサボりにここに来るんだ・・・」
と、こっそり言いました。
席に付くなり、まずボクは早速。
「・・・実はボク、男なんです・・・・・・」
すると、サラリーマンさんは呆然として。
「・・・・・・え、マジ!?」
「ホントです・・・・・・罰ゲームで女装する羽目になって、それで緊張しちゃって・・・・・・」
罰ゲームは、嘘だけど。
すると男の人は笑いました。
「そっかー・・・俺も大学のときそういうバカやったなぁ・・・しっかし、見事に化けてるなぁ・・・・・・」
と、まじまじ。
初めて視線がちょっと、怖かった。
「まぁ、もうこんなことはしないほうが良いな、うん」
と、やさしそうな笑顔で言います。
・・・・・・今一つ信用が置けなくて、びびってはいるんだけど。
サラリーマンさんが、ウエイトレスさんに注文を頼みます。
「あ、アイスコーヒーで良いよね・・・お金は、僕が払うから」
「え、そんな、悪いですよ・・・・・・」
ボクは言いかけたのですが、
「いいんだよ、こう言うときは。素直に人の親切には従うものだぞ?」
と、お兄さんぶって言います。
・・・仕方ない、かぁ・・・。
それからコーヒーを飲み終わるまでの間、サラリーマンさんは取りとめない話でボクを和ませようとしてくれました。
ボクは『もう一人の自分』が気になって、それどころじゃなかったのですが・・・・・・。
サラリーマンさんとはお店の前でお別れ。別れ際、
「まぁキミほどなら絶対ばれないと思うけど、気を付けてなー」
と、最後まで気遣ってくれて。
ちょっとナンパとか下心があったんじゃないかと思ってた自分を、恥ずかしく思ったり。
・・・・・・けれどさっきの鏡のボクは、絶対ボクじゃない。
さっきの余韻で、頭がごちゃごちゃしてた。
鏡を避けるようにして街を歩いてると、雪乃先輩から電話が・・・。
「あ、ハルカー、いまどこ〜?」
なぜでしょう?その声を聞くだけで、ボクはものすごくほっとした・・・・・・。
そして、先輩に無性に合いたくて。
「せ、先輩ッ!?今、どこにいるんですか?ボク・・・・・・」
「えぇ?ウチでまったりしてるよ〜・・・・・・」
「い、今から行きますッ!!!」
ボクの慌てように、先輩は少し驚き気味でした。
急いで急いで、行きを切らして先輩の家の前へ。
出迎えてくれた先輩は、女子の制服姿のボクに、少しだけ驚いて。
「・・・遙クン、なにかあったの?」
いつもは絶対に自分から女装しないから、先輩は心配して。
「・・・・・・中で、いいですか?」
ボクは少しおびえながら、言いました。
ボクの様子がヘンだと思ってくれたのか、先輩はなにも言わず部屋に迎え入れてくれました。
「・・・何が、あったのかな?」
少し不安そうな表情で、先輩が聞きます。
ボクは話しました。先輩が、ボクを好きなんじゃなくて女装してくれる可愛いコだからと相手してくれてるだけじゃないかと不安だったこと、それにあの鏡写しの邪悪なボクのこと。
先輩は黙ってうなずいていたのですが、話し終わったとたんにボクを抱きしめて。
「・・・・・・バカだなぁ・・・わたしはハルカが好きだって、言ってるじゃない・・・・・・」
と、少しさみしそうに、言いました。
やさしく頭を撫でて。
「・・・ハルカだから、好きなんだってばぁ・・・・・・」
少し、ううん、とっても悲しそうに言うものだから、あんなことを言ってしまったボク自身が恥ずかしくて、情けなくて、申し訳なくて・・・・・・。
「・・・・・・ゴメンなさい」
ボクは、あんまりに酷いことをしたと思いました。
耐えられなくって、ゴメンなさいと謝ったけれど・・・・・・。
先輩はやさしく、
「・・・わたしもきちんと言えばよかったね?ハルカが好きだよって・・・・・・」
と、もっとボクを強く抱きしめたんです。
だから、そんなやさしい先輩が、ものすごく大好きなんだけど、鏡のボクはそんな先輩にあんまりに酷いことを言っていて・・・・・・。
あれもボクの願望なのかと、恐ろしくて、更に先輩に申し訳なくて。
「・・・・・・先輩・・・『もう一人のボク』のこと・・・・・・あれ、違うよね?違うから、だから・・・・・・」
嫌いにならないでください。お願いだから。
ボクは、気がつくと、泣いていました。
先輩は、ボクが落ちつくまでなだめてくれて。
そしてようやく泣き止んだときに、言ってくれました。
「まぁねー、キミも男の子だし少なからずそう言うのがあってもおかしくはないと思うんだけれど・・・・・・そういえばえっちな本、上手く隠してたよね」
と、ニヤニヤして言うんです。
ボクは顔を赤くして、
「持ってません!!」
と、言いました。本当なんです・・・。
その様子を雪乃先輩は少し面白がって、
「ハイハイ・・・でもね?そういうの、わたしは悪いとは、思わないよ?」
と、お姉さんのようなやさしさで言います。
「けれど・・・・・・それじゃ、先輩を汚しちゃうようで・・・・・・」
・・・あんまりに直接的に、言ってしまいました。ボクってば、最悪。
けれど先輩はやさしい笑みのまま。
「でも恋人同士よ?いつかはそうなってしかるべきだと思うよ?ハルカはどうかわからないけど・・・・・・わたしじゃ、イヤ?」
・・・・・・あんまりに予想外な台詞!!
ボクはその問いかけに答えなんか用意してなくって・・・・・・。
でもコレは、違うんです。
アイツはボクじゃないから。
なぜあんなことになったのか、本当にわからなくて・・・・・・。
「・・・・・・」
結局ボクは、顔を赤くしたままうつむくことしか出来なくて。
でも先輩は。
「・・・・・・わたしはまだ、そういうのは怖いんだけどね・・・・・・」
と言いながら、座ったボクを立って抱きしめるんです。
ちょうど、胸が当たるように・・・・・・。
「・・・そういうの、早いし、それに今のままでもわたしは十分幸せだし・・・・・・で、なんていうか・・・・・・」
・・・先輩!!今のボクには、この状態も刺激が・・・・・・。
はぅっ。
でも本題は、そうじゃなくて。
「でも先輩!違うんです、アイツは確かに先輩にものすごい酷い事をしてやろうとしてたんです・・・・・・ボクは、それが、怖くて」
そう。アイツは先輩をめちゃくちゃにしたがってるようで。
ボクはアイツが許せない。
・・・・・・先輩は、不思議そうな顔をしてた。
けれどそれが、何故かすぐに妙な懸念に変わっていったようだった、表情がそうでしたから。
「ねぇ遙クン・・・・・・そいつは、本当に、キミじゃなかったのね?」
ボクは黙って、うなずきました。
なんだか、少しだけ胸のつかえが取れたみたいでした。
「・・・うん、うん」
先輩は小さくうなずくと、
「キミがそういう人間じゃないことくらいわかってるから・・・安心しなさいッ☆」
と、自身満々の笑顔で言ってくれます。
ボクはうなずいて、
「ありがとう・・・」
とだけ、言いました。
・・・・・・でも、先輩は少しだけ不満そうな顔をして。
「・・・わたしが貸したあのお守り、効果なかったのかしら・・・・・・?」
ひとしきり落ちついたところで、ボクは先輩の家を後にします。
雪乃先輩は少し心配そうに、
「もっといても、良いんだよ・・・・・・?」
と言ってくれたのですが、勉強もあるし、それに先輩にそんなに甘えてばかりいちゃいけないと思ったから。
確かに『もう一人のボク』のことは、とっても心配だったのですが。
・・・別れ際、先輩はボクに抱きついて、
「お守り・・・」
って、キスしてくれました。
それでボクは、うれしくて、少し安心して・・・・・・。
遙が帰った部屋に、雪乃一人。
ふと、あのうろたえように考えをめぐらせる。
「・・・・・・単なる深層心理の欲望とか、そういうふうにも見えないのよね・・・・・・。単純にそう言うのを抑圧してた反動かしら?それとも・・・・・・」
つぶやくと雪乃は、心理学とオカルティズムの結合に関する著書を開く。分厚い、かなり年季の入った書物。
つねづね、超心理学に興味があったのだが、彼女の場合は趣味一辺倒というわけでもない。
数日前の、あのあまりにも不吉すぎる夢を思いだす。
「さて、ナイトメアには現実に干渉するだけの力はなかったはずですけどね・・・・・・」
『悪夢の心理』の項、そこに夢魔などの記述がある。
それらを一瞥するなり、溜息を付いて。
「やれやれ。ハルカがわたしにそういう気持ちを持ってること自体は自然だけど、あんなに本人がムキになって否定するのは気になるのよね・・・・・・」
そして、遙に貸したものと同じ水晶のペンダントを見つめる。
「・・・・・・この世ならざるものを否認することも出来なくて、意外と辛いのよ」
と、ペンダントに語りかけるように、独り言。
「・・・『もう一人のボク』、かぁ・・・・・・」
そして、けだるげにベッドに寝転ぶ。
天上を見上げながら、雪乃はつぶやいた。
「・・・ハルカは、ハルカで、わたしはハルカが好きなんだけどねー・・・・・・なんだかなぁ」
56.
テスト初日!!
もう、この一週間いろいろあったけれど、なんとかがむしゃらに勉強をやって、それでいざテストに挑んだのは良いのですが・・・・・・。
・・・眠いです。
もう、あんまりにいろいろなことがありました。
前々からのシンデレラの劇や創作サイトの小説のこと、それに夏休みの予定に、連日先輩から夜電話はかかってきて長話だし、鏡を見るのは怖くなっちゃうし、それにここ何日もヘンな夢ばかり・・・・・・。
・・・ボクがお姫さまで、雪乃先輩が王子さまで、ボクはなぜか捕われの身で先輩の元へ脱出しなきゃいけなくて、毎日毎日夢の中で試練に立ち向かっているんです・・・・・・。
あんまりにおかしくて、ボクはもうへとへとで。
今日は3教科のテストがありましたが、終わったとたんにボクは教室で眠りこけてしまいました。
・・・・・・暑い。
「おい、遙?もうホームルーム終わったぜ?」
仁科君が、声をかけます。
それに気が付いてハッと目を覚ますと、なんと教室の中にはボクと仁科君の二人きりでした。
「・・・みんなは?」
とぼけた声で聞くと、仁科君は
「帰った。テスト期間だしな・・・」
と、そっけなく言います。そして、
「折角だから、マックよらねえ?」
ボクはうなずいて同意。
「はぁ〜、疲れたぁ〜・・・」
マックに着くなり、仁科君は大きな溜息を付きました。
なんとなく、いつになく親近感を覚えて。
「あ、仁科君も寝不足?」
「んー・・・お前よかマシだけどー」
「アーッ、言ったなぁ!?」
ボクは仁科君の頭を何故かわしゃわしゃして。でも髪を短くしてるからあんまり効果なくって。
「お前なぁ〜」
と、逆にボクの方がわしゃわしゃされちゃったり。
・・・髪の毛、切ろうかなぁ?
57.
勉強に行き詰まって、いつもの創作サイトのチャットに入ってみました。
「うはwwwwHalタン来たwwwwwっうぇうぇwwww」
妙な歓迎を受けてしまいました。
早速、書き込み。
「今勉強してるんだけどちっともはかどらない。誰か良いリフレッシュ方法教えて〜」
レスはすぐに来ました。
「マジレスすると、アナリスク」
「ちょwwwwおまwwwwwHalたん女wwwwwwww」
・・・・・・オフ会の後、すっかりボクは女の子と言うことになってます・・・「ぽえっと☆」さん以外には。
「ぽえっと☆ですwww前々から言ってるがHalタンは女装美少年wwwww間違いないwwwwwww」
・・・・・・どう転んでも、イヤです・・・・・・・。
「ハルカ〜おはよう!!」
雪乃先輩が元気良く、寝不足で少しぐったりしてるボクの肩を叩きながら挨拶します。
「勉強はかどってる?」
ボクは首を振ります。
「・・・・・・寝不足だね?」
と先輩はニヤニヤ笑いで言うなり、ぎゅっとボクを抱きしめました。
・・・朝からこんなのでちょっと、ドキドキします・・・それに、ちょっとだけ、恥ずかしい。
「・・・どう?元気でた?」
恥ずかしいけど、ドキドキしてきたせいか、少しだけ身体が軽くなった、気がします。
「・・・・・・ちょっとだけ」
と、ボクは赤い顔をうつむかせて言いました。
すると、先輩はさらに強くぎゅっとして、
「え〜ちょっとだけなのぉ?」
と、甘えた声で言うんです・・・・・・。
・・・・・・先輩、今の疲れたボクには、逆効果ですよぅ・・・・・・うれしいですけど。
歩きながら、ふと気になったことを思いだします。
「あ、先輩・・・・・・『アナリスク』って、御存知ですか?」
すると先輩は、笑ったような、困ったような、妙な顔をします。
「え、遙クン?そんなの、どこで・・・・・・」
「昨日、いつものサイトのチャットで・・・・・・なんだろうなぁ、って」
あのあとチャットで聞いたのですが、なんかしどろもどろでヘンな回答しか帰ってきませんでした。
雪乃先輩、少し頭を抱えて、
「う〜ん・・・要するに、『アナ』に、フリスクを突っ込むのよ!」
と、妙な力説。
ボクは少し、考え込んで・・・・・・。
あ、そう言うことかな?
「アナって・・・・・・どこのかな?あ、鼻のアナ!!確かに刺激が強そうですけど、でもそんなことして、何が楽しいのかなぁ・・・・・・」
先輩は戸惑い気味のボクをみて、苦笑いします・・・。
・・・・・・なんで?
放課後の教室、雪乃は明日香に話しかける。
「ねぇねぇ、今日どうする?」
「そうねぇ・・・・・・マスターのトコ、寄ってこうかしら。遙君は?」
「今日は仁科とお勉強だってさぁ・・・・・・」
落ちこむ雪乃。
「あのハードゲイめぇぇぇぇぇぇ」
「明日香、その嫉妬はヘンだよ・・・・・・」
マスターの喫茶店。
早速マスターが、アイスコーヒーをさし出す。
「よぉ!そろそろモノにしてきたところだぜ?」
にっこりと、うれしそうに笑う。
雪乃は少し厳しい視線を向け、コーヒーに口を付ける。
明日香も、一緒に。
二人の飲む様子を、珍しくそわそわと見守るマスター。いつもの豪快さからは、意外なほどの心配性。
そして飲み終わるなり、聞いた。
「なぁ・・・どうだったかい?」
「美味しいです・・・」
と素直に言う明日香に対し、雪乃は辛らつに。
「なんかまだ味のバランスが取れてないのよねぇ・・・なんだろ?焦げすぎ・・・」
かなり鋭い。
自信があったのだろうか。マスターは落ち込み気味に、
「・・・・・・あぁ、参考にするよ」
と言って、カウンターに戻った。
飲みかけのアイスコーヒーをまたすすりながら、雪乃はふと。
「・・・今朝ねぇ・・・・・・ハルカってばヘンなこと言ってたなぁ・・・・・・」
「ヘンなこと?この前みたいな?」
明日香は少し気にしながら、聞く。
すると雪乃は笑いながら、
「違うのよ〜、昨日ハルカいつものサイトのチャットに入ったんだって!」
「あぁ、あの詩の?遙君可愛い詩書くよねー・・・・・・」
「それで、あんまり勉強がはかどらなくって『良いリフレッシュの方法教えて』って聞いたんだって・・・そしたら、もらったレスが『アナリスク』・・・・・・」
そして吹きだす雪乃。
何がおかしいのかわからない明日香は、不思議そうに聞く。
「雪乃・・・それって・・・?」
だが、雪乃は笑いつづけて、答えられない。
するとマスターが豪快な声で言う。
「アレだろ、ケツのアナにフリスク突っ込むってヤツだろ!?アレはヤバイだろー!!ハハハ!!」
・・・・・・その回答に、目を点にする明日香。
「・・・・・・雪乃・・・・・・」
「ち、違うのよ!?ほら、ネット見てると結構流行りモノにも詳しくなっちゃってさぁ・・・あんまりインパクトがあったから、覚えてた」
と、雪乃は珍しく顔を真っ赤にしながらうろたえて言い訳。
じーっと、痛い視線を浴びせる明日香。
「・・・・・・遙君に、そんなこと、いったの?」
すると一層動揺しながら、
「い、言わないわよ!!わたしの口から言えるワケないじゃない・・・・・・」
「ふぅ〜ん?」
明日香はニヤニヤしながら。
「あ、だから違う・・・」
「まさか雪乃さんそんなマニアックなこと知ってたとはね〜・・・」
そして、クスクスと笑う。
「あぁ、笑ったわね!?たまたまだってば、たまたま!!あぁもう・・・・・・恥ずかしい・・・・・・」
珍しく形勢逆転の明日香と雪乃。
雪乃は顔を真っ赤にしながら、否定するのに必死になっている。
その様子を見ながら、マスターが大笑い。
「ガハハ!!そりゃあネットだからいろんな話があるけどよ、そいつぁ・・・・・・」
「あぁ!?マスターまで・・・酷い、誤解だぁ・・・・・・あぁもうあのチャットの連中、如何にして天罰食らわせてやろうかしら・・・・・・」
・・・また勉強に行き詰まったので、気になりっぱなしの『アナリスク』、グーグルで検索してみました。
・・・・・・な、なにコレ!?
・・・・・・・・・でも、ちょっとだけやってみたいって思っちゃって、自己嫌悪。
・・・・・・・・・・・・・ネットって、怖いですね・・・・・・。
58.
「今日は、男だけで、勉強しましょう」
屋上で、たまたま集まった仁科君、秋山君、そして大鳥先輩に言いました。
「・・・遙お前、そんなこと言うなんて珍しいな・・・・・・堀江さんは?」
「いつも一緒じゃ、疲れちゃうし・・・・・・」
と、心にもないことを言いながら。
本当は、目的があるんです。
ボクは、男の子なんですけど・・・・・・。
でも、先輩といるときはいつも女装のような気がします。
それに、最近は学校でも女装することが増えて、みんなにも知られて、あまつさえそれが普通のことであるかのように思われ始めているのです!!
いつも一緒の人たちも、雪乃先輩は言うに及ばず、三国さんは可愛い格好させたがるし、六条先輩もどうも今でもボクが男だって半分くらい信じてないみたいだし、ボクが女装を嫌がってるのをわかってくれているのは多分如月先輩だけ・・・・・・。
だからたまには男だけで、「男らしさ」について語り合ってみたいんです!!
「じゃあ野郎だけだし、今日もマックにすんベー」
と言う仁科君の提案で、今日もマクドナルド。
着くなりみんなはビッグマックやマックグランのバリューセットを注文します。
・・・ボクは、プチバンケーキとシェイクとアップルパイ。
「おい遙・・・オレ、それみるだけで胸焼けしそう・・・」
と、仁科君は妙な表情で言います。「オエッ」って感じ・・・なんでだろ?
「え?ボクから見るとみんな良くそんなに食べられるんだなぁ・・・って思うんだけど・・・」
すると、みんな理解出来ないふうな顔をします・・・・・・。どうして!?
みんな黙々と、ハンバーガーを食べます。
ボクはシェイクをすすりながら、その豪快な様子を眺めます。
「・・・・・・ボクには、ワイルドさって言うか、そういう男らしさが足りないのかな・・・?」
と、ふとつぶやく。
するとその様子を見るなり、まず仁科君が言います。
「え?遙はそのまんまで良いんじゃね?」
・・・意外と言うか、なんか期待してた答えと違います・・・・・・。
『お前はワイルドさが足りない!!』と言ってもらえたらよかったんだけどなぁ・・・。
「てかさぁ、お前女にモテるんだし、それに彼女もいるんだからそのままでいんじゃね?」
秋山君も、仁科君の意見に妙にうなずきます。
でも、違うんですよぅ・・・・・・。
「あの、でもそれって、ボクがこんな女々しくて、それで女装が珍しいからでしょ?それって、ヤだな・・・」
と、少し落ちこむ。
でも仁科君はそれに気遣う意味も込めてか、
「いや、でも遙の場合実際可愛いし、そりゃあ相手にされるよ・・・それからさ、本命の人と付きあってるんじゃなにも問題ないんじゃん?」
と、平然とコーラを飲みながら言います。
・・・ボクは、困っちゃいました。
「ち、違うんだよ!ボクはもう少し、男らしくなりたいって言うか・・・・・・」
「無理に目指す必要はない。俺も思うなぁ・・・」
と、大鳥先輩が言います。
とっても男らしくて格好良い、大鳥先輩。ボクもこういう感じになりたいのですが・・・・・・。
「だって井上君は井上君さ、自分らしくあれば良いと思うぞ?」
だから、それを克服したいって話なのにぃ・・・。
さらに、追い討ちをかける一言。
「それに女の子の格好、ものすごく似合うよ?それはむしろ自慢して良いんじゃ・・・・・・」
・・・・・・いくらなんでも、それは。
それは男として、どうかと・・・・・・。
「まぁ、俺もそう思うな・・・・・・ポリシー持ってけば立派な男だと思うぜ?男には見えないけど・・・・・・」
と、秋山君も・・・・・・。
・・・・・・どうして、こういう結論になってきちゃうんでしょうねぇ・・・・・・?
59.
「ねー、雪乃ってさぁ・・・・・・」
マスターがようやく完成させたアイスコーヒーを飲みながら、明日香はつぶやく。
「・・・・・・傍目にはショタコンにしか見えない」
「えぇ!?」
妙な顔で驚く雪乃。
「わたし、そんなつもりは・・・・・・」
「だって、遙君かわいいじゃない」
「・・・・・・そりゃあハルカはかわいいけど、だからってショタコンはない・・・・・・第一わたし17で遙クンは15歳よ?2歳の年の差なんて、ねぇ・・・」
と、雪乃は否定するが、明日香は笑いながら再反論した。
「だって雪乃わりとおねーさんっぽいじゃない?それで、遙君けっこう幼いじゃない・・・傍から見ると、中学生と大学生が並んでるようなのよねー・・・・・・」
確かに、雪乃はわりと大人びた印象を受ける一方、遙はかなり幼い。高校に入学したてとはいえ、まったく高校生には見えない。
二人並んだ後ろ姿を明日香は思いだす・・・・・・年の離れたきょうだいに見えた、あのシルエット。
雪乃は少し困りがおで。
「・・・この場合、どっちがどう・・・」
「雪乃さん、小学生の男の子とか好き?」
さらに追い討ちをかけるような明日香。
明日香は最近、雪乃での遊び方を覚えたようだ・・・・・・。
「だからぁ違うってば・・・・・・わたしはハルカが好きなだけで、別にショタとか・・・」
「だからね〜、遙君モロショタコン好みなタイプだから」
「・・・・・・それは、否定しない」
妙に納得する雪乃。
「でも違うわよ?わたしのハルカへの愛はそういう形而下のものには留まらないんですよ?」
と、難解語句を持ちだす。
いつのまにか、雪乃はペースを取り戻すように。
「・・・わかんない」
「だからぁ、見た目とかそれだけじゃなくってね?性格も可愛いんだから・・・」
「結局かわいいのが好きなんじゃない」
議論は混迷してくる。
「だから!!わたしはハルカが好きなんだってば!!それ以上でもそれ以下でもないわ!?」
妙にムキになる雪乃。その様子を見て、明日香は笑いながら、
「雪乃ってば、かわいい〜」
ニヤニヤ。
雪乃の顔が赤くなる。
「もう、明日香といるとペース狂いっぱなしだわ・・・・・・」
「あ、マスターおかわり。今度はホットねー」
「あ、私もー」
妙な空気の中、しきりなおし。
明日香はまた、切りだす。
今度は、少し真剣に。
「・・・・・・雪乃ってさー、遙君に何を期待して付き合ってる?」
まっすぐな瞳で、雪乃を見つめる。
今度は雪乃も冷静に答える。
「一緒にいて楽しいだけだけど?」
その返事に明日香は少し考え込んで、
「・・・でもそれだけで、好きになるのかなぁ・・・・・・?」
その言い方は、まるで自分にも問いかけるようである。
雪乃は笑って、
「まぁ、正直なところ結構自分でもわかんない。そういうのって、きっと理屈じゃないんだろうなぁ・・・・・・」
といい、マスターから手渡されたコーヒーを飲む。
「あと良くわかんないのが、遙君を女装させるの。普通、男の子にそう言うことさせないよねー・・・ましてや、彼氏だもん」
明日香は不思議そうな表情で。
雪乃はまた少し考え込んでから、
「・・・だって、かわいいんだもん」
と、つぶやく。
やはり明日香には、理解できない。
「普通男の子には男らしさって言うか、カッコイイのを期待するよねぇ・・・・・・」
「でもそういうの、興味無いなぁ?」
確かに雪乃は学校中でカッコイイと評判の大鳥と仲は良いが、恋愛感情は微塵もない。傍目にも感じられない。
すると明日香はふと、あることに思い至る。
「・・・そっか、雪乃ってアレかな?自分は勉強も運動も出来るものだから、そういうのが出来る男の子には興味ない?」
学年でもトップクラスの秀才ならでは、という事なのかと、少し思う。
しかし雪乃は笑って。
「関係ないなぁ・・・・・・?まぁ、周りからの期待は結構ウザイけど・・・」
なにか超越したものを、明日香は感じる。
「やっぱ雪乃さん、変わってるわ・・・」
結局、話はうやむやのまま終わり。
「でさぁ・・・この前、ハルカがね?」
「結局遙君なのねー・・・ま、いっか」
結局好き、というモノは良くわからないものである。
60.
あんまりに回数が多すぎて、半ばカウントを止めようと思ったけれど。
でも、なんだか大切なメモリアルのような気がして、ボクは今日もケータイにキスの回数をメモします。
・・・・・・先輩って、キス魔かもしれません。
最初は、あの同窓会のとき・・・ソムリエに仕組まれたような気もするんですけど・・・・・・。
それに告白しちゃったときも、でした。
なにか事あるごと、いいえない時だって先輩は突然にボクのくちびるをかすめとる。
・・・・・・ボクからしちゃっても、いいのかなぁ?
「ん〜・・・」
先輩は、ヘンに考え事をしてます。
今日も衣装作り。そして、シンデレラの脚本も出来たと言うのでもらったのですが・・・・・・。
あんまりに、前衛的なシンデレラの世界が、そこにはありました。
それで、先輩は考え込んでるのかな?
「・・・・・・ハルカ〜、やっぱり12人の小人はどう考えてもいらないよねぇ・・・・・・?」
なぜでしょう、この脚本には明らかに他の童話からの引用が多いし、世界観はSFチックだし、王子さまが男装の女性(でも、ボクがやることになっているらしいシンデレラは女装の男じゃないんです、女の子だそうです・・・・・・)なんて、もう話が根底から覆りっぱなし。
「12人の小人って・・・それ以前の問題ですよぉ・・・」
ボクは困ったようにぼやきました。
「そもそもそれって、白雪姫じゃないですか!」
だった、よね?
毒りんご食べたお姫さま。深い森の中に眠って・・・でしたっけ。
「そっか、どうもヘンだと思った。なんでシンデレラが毒をあおって眠らなきゃいけないのかなぁ、とか・・・・・・やっぱセンスがヘンだわ」
「せんぱぁい・・・コレはセンスの問題じゃないですよ・・・確かに書いた人がなに考えてるかわからないですけど・・・」
本当。ボクの頭には理解不能。それだけじゃない、先輩も頭を抱えてます。
「・・・これじゃ台本叩く必要があるわねー・・・使えないもの」
と言うなり、先輩は急にボクに顔を近づけて。
「第一・・・・・・キスシーンも、ないじゃない」
と、ちょっと色っぽい声で、言うんです。
いつもと違う様子に、ドキドキしちゃいます・・・。
そして、雪乃先輩は瞳を閉じて、キスをします。
確かにうれしいのですが・・・・・・。
「・・・・・・先輩、キス好きですよね・・・・・・」
ボクは照れたままで言います。
さっきの感触が残って、しゃべるくちびるの動きも違和感が。
でも雪乃先輩は笑って。
「そぉ?普通じゃないかしら・・・・・・」
と、いいます。
でも、それにしても・・・ねぇ?
すると先輩は、ちょっとイジワルな笑顔で。
「・・・それとも、ハルカはキス、キライ?」
・・・そういわれてしまうと、これ以上はなにも言えない。
言ったボク自身が、バカみたい。
それで、笑顔でごまかすんですけど、でも顔は赤くなるし・・・・・・。
先輩は、見透かしたような笑顔でじっとボクを見つめます。
・・・そしてまた、ちゅっ。
「まぁ、読んでみてよ♪」
2度もキスしておいて、平然と先輩は促します。
「・・・ハイ」
ボクは照れくさくって、うつむきかげんで言います。
ボクは先輩と一緒にいるだけでドキドキしちゃうのに・・・・・・。
ドキドキを止められないまま、ボクは台本をまた読み始めます。
・・・うわぁ、コレは・・・・・・。
何故か忍者が出てきたり、魔女がかぼちゃの馬車じゃなくてドラゴンを召喚したり、最後にはシンデレラが剣を持って王子さまと共に戦って王の陰謀を打ち砕いたり・・・・・・。
どこの国の話なのかさえ良くわかりません。
こんな話、いったいどうやったら書けるのでしょう!?
困惑しながら読み進めると、なんと第二章・・・・・・。
半ば嫌気がさしていると、先輩がいきなり後ろから抱きついてきて。
「うわ!?と、突然・・・」
先輩はボクの顔を後ろから覗きこみます。
とっさに抱きつかれて、真っ赤なボクの顔を。
そして、笑顔でじっ、と見るんです・・・・・・。
ボクはどぎまぎしちゃって、台本どころじゃなくって・・・・・・。
「・・・せ、先輩?」
どうにもならなくて、とりあえず呼びかけてみます。
けれど、先輩はニヤニヤ。
仕方ないから、読んでるフリをしてページをめくります。
頭の中、真っ白・・・・・・。
すると突然、雪乃先輩は問わずがたりに・・・。
「ねぇ?わたしのこと、好き?」
・・・先輩、どうしたんだろう・・・・・・。
その声に、さみしさや悲しさはなかったけれど。
ボクは、心配で・・・・・・。
「先輩、好きじゃなかったらボクこんなドキドキしてません!!」
とっさに、こんな言葉が出てきて、それで先輩の手をとって、ボクの胸に当てて・・・・・・。
そしたらボクの心臓は、余計にドキドキと強く打って・・・・・・。
先輩は、だまって、静かに耳を澄ませるように、ボクの鼓動を感じて。
その顔は、とっても穏やかで。
そしてようやく笑って、言いました。
「ホントだ・・・・・・わたしと、おんなじだね」
そのまま二人は、ずっとその状態・・・・・・。
気が付くと、30分もそのままでした。
ボクは動けなかった。
先輩があんまりにも、幸せそうだったから。
ボクは先輩のそういう顔を見るのが、大好きで。
「ねぇ先輩・・・・・・?」
「なぁに?ハルカ・・・」
「ボク、先輩のために、出来ることならなんでもしてあげたいです・・・・・・先輩のそういう顔が、好きだから」
すると、先輩は顔を真っ赤にして。
「・・・もう、キミはいきなり何を言うかなぁ・・・・・・いいの、ハルカはそのままで。わたしはそれが、幸せ」
61.
時には、ボクと正反対のような人に、会います。
正反対なんだけど、ボクに近いような感じ、かも。
その日、ボクは先輩と出かける予定でした。
「ハルカぁ〜、きちんと可愛い格好で来てね☆」
なんて言うものだから、先輩にもらった真っ白なワンピースに帽子をかぶって・・・・・・。
駅前の時計で一人、待ちつづけます。
うぅ、周りの視線が怖い・・・・・・。
いつになっても、女装は慣れません。
先輩はボクのそんな様子も、好きみたいなんですけど。
けれど、突然電話が入ってきて。
「ゴメンハルカ、今日急に用事が入っちゃった・・・・・・遅くなっちゃいそうだから、ゴメンね?今日はいい・・・」
なんて、先輩のさみしそうな声。
ボクまでさみしくなっちゃって、でも折角外に出ちゃったしいまさらウチに帰る気もなくて・・・・・・。
ボクはぼんやりと、時計の前で一人座り込みました。
・・・・・・さみしいなぁ。
「ねぇキミ!こんなとこでどうしたの?」
突然、ボクとおない年くらいの男の子(といっても、ボクは傍からは高校生には見えないらしいんですが・・・そのコは、高校生くらいに見えたから)が、声をかけてきました。
同じ学校の生徒でもないし、この辺では見かけない顔。
ボクは突然のことで、ビックリしちゃって。
「え、あの、ぼ、ボクになにかご用が!?」
その慌てる様子がおかしかったのか、男の子は笑います。
「え、な、何がおかしいんですか?いきなりで、ビックリしちゃって・・・・・・」
ボクは恥ずかしさで顔を赤くしながら、言います。
男の子はにっこりと、言いました。
「えへへ・・・キミ、男の子でしょ」
・・・・・・なんでわかったの!?
でも、そんな事も聞けなくて、黙ってしまう・・・。
「その様子でわかっちゃった・・・だってボクも、女だもの」
・・・男の子だとばっかり思ってた彼女は、突然意外な台詞を。
ボクは余計、ビックリしちゃって。
「まぁいっか・・・・・・その辺でちょっと、話さない?」
妙に気さくなんだけど、怪しい感じはちっともしなくって。
「あ・・・いいですよ?」
ボクは呆然としながら、その男の子にしか見えない女の子に手を引かれて。
あんまりに不思議です。
だってここにいるのはどう見ても、男の子。傍から見たら、ボクも多分女の子に見えるんだろうけど。
そのコは走りながら、笑って言いました。
「ボクたち似た者同士な気がしたから、気になっちゃって!!」
走ってるうちに、ボクも少しだけ、うれしくなってきた。どうしてかはわからないんだけれど。
彼女は、ふと公園で立ち止まります。
緑豊かな、夏の公園。
見渡すと周りにはたくさんのカップルが、一休み。
ボクたちもあんなふうに、見えるのかなぁ・・・・・・。
男の子と女の子。本当は、女の子と男の子。
ものすごく、不思議な感覚。
「ねぇキミは、どうして女の子の格好してるの?」
彼女は、笑って言います。
少し女の子のようなやさしさと、男の子のようなやんちゃさが同居した不思議な笑顔。
ボクは、なんとなく答えられなかった。
「あ、そっか自己紹介がまだだった・・・ボクはアキ。漢字で書くと、春夏秋冬の、秋。キミは?」
アキという男の子にしか見えない女の子は、笑いながら。
ボクも笑うんですけど、なんか苦笑いのようになっちゃって。
「ボクは、ハルカ。遥か彼方の、遙」
「へぇ、女の子みたいな名前なんだね・・・」
と悪戯っぽく笑うアキさん。
でも、ボクは少しだけ頭に来ちゃった。
「あ、名前って・・・ボクの両親は、遥か未来を目指してもらいたいって言う意味を込めて、付けてくれたのに・・・・・・」
よくわかんないけど。
「あ、そっか・・・・・・ゴメンね?そうだよね、名前で人を判断しちゃいけない、ボクってばバカ・・・・・・」
と、すまなさそうにしょげた笑顔。
少し、悪かったかな?
「ううん、ゴメンヘンに反応しちゃった。と、とにかく、よろしくね?」
と、ボクは握手しようと手を出します。
するとアキさんはぱぁっと明るい笑顔になって、
「うん、こちらこそよろしく」
と、言ってくれました。
その手は女の子にしては少し大きめな気がしたけれど、男の子にしては小さくて。
やっぱり、不思議。
「キミ、男の子の割には手がちっちゃいよねー・・・」
・・・結構気にしてることをぉ。
アキさんって、結構きつい事言うんですね・・・・・・。
目の前で、子供たちがボール遊びを始めます。
男の子も女の子も混じって仲良く、分け隔てなくおんなじようにやんちゃに。
その様子をアキさんは、なぜかうらやましそうに言います。
「・・・アキさん、どうしたの?」
「さんづけは止めてよ、水臭いなぁ・・・」
アキさん・・・もとい、アキは明るく笑いながら言います。
「なんかそういうの、好きになれないんだよね。他人行儀がどうも苦手なの、ボク」
「そっか・・・」
「でさハルカ?キミはどうして、女の子の格好してるの?」
さっきと、おんなじ質問。
でも今度は、すんなり答えられた。
「・・・ボク、今付きあってる人がいるんだけど、その人がボクのこういう格好好きなの」
「ふぅん・・・男の子?」
興味津々な瞳で聞きます。
その好奇心旺盛な感じは、男の子のようで。
「ううん?女の子だよ・・・」
するとアキは、不思議そうな顔。
「へぇ・・・めずらしいね、そういうの」
「そっかな?・・・やっぱ、変わってるよね・・・」
少し、苦笑い。
でも、アキは明るく笑いながら。
「ううん?ヘンじゃないよ・・・まぁ、普通じゃないけど、悪いとは思わないなぁ」
珍しい、こういう考え方の人。
やっぱり、ボクは雪乃先輩と付きあってるけど、ヘンだって言う人が多いから。
それにボクも、ちょっとヘンだと思う・・・・・・。
けれどアキは、そういう先入観が全然なくて。
「ボクはねー、なんていうのかなぁ・・・性同一性障害とは違うとは思うんだけど、なんか男の子のカッコのが自然に思えるんだ・・・」
と、さわやかに笑いながら言います。
「なんでだろ。良くわかんないんだよね、自分でも・・・・・・でも、この方が本当のボクって気がする」
「そうなんだ?」
女の子を好きになったりするの?・・・って、聞こうと思って止めた。
なんだか、アキにものすごく失礼な気がしたから。
でも彼女は、続けて。
「でもボク、恋をしたこともないし、実のところ本当に男になりたいのか、それとも男のカッコしてるのが好きなのか、良くわかんないんだよね・・・・・・」
その時のアキは、少しだけ困り顔。
「でも、今のあいまいな状態、結構気に入ってる。それに、女の子らしい格好してるの、なんだか辛いんだ・・・」
と、ちょっと切なそうに言います。
ボクはちょっと気になっちゃって、聞きました。
失礼じゃないかと、少しだけ怖かったけど。
「ひょっとして、周りの視線が妙に気になったりとか?」
するとアキはハッとした表情で、
「そうそう、それそれ。なんか、違和感があるんだよね?よくわかったねー・・・」
アキ、うれしそう。
でも、ボクはなんだかヘンな気持ち。
「なんかね・・・ボクも女の子の格好してるとき、そんなかんじだから」
「そっか、キミは女の子になりたい人じゃ、ないんだね・・・」
と、笑います。
「でも凄いや・・・ボクじゃ、女の格好して外出歩けないもん・・・」
アキは女の子なんだけど、半分女の子じゃないみたいに、言います。
「そういうの、おしつけがましくってさ?思うんだよね、『どうして女はスカートはかなきゃいけないんだ?』って・・・だから学校も、結構キライ」
と、憮然として言います。
「でもボクは、理由はどうあれ、ハルカが女の子の格好するの、応援するよ?」
と、本当にうれしそうに笑います。
ボクも、少し悪いなとは思ったんですけど、それよりもなんか理解してくれる人がいてくれて、うれしくて。
「・・・ありがと」
お礼が自然に、出てきました。
「それに結構、似あってるぜ?」
無邪気にアキは笑いながら。
でも、男言葉は少し慣れてないみたい。
「あ、まだ慣れてないんだ?」
「うん。ほらボク、まだあいまいだからねー」
なんだか、とっても不思議です。
ボクはちょっと試しに。
「じゃあ、私ジュース買って来るわね?」
と、言ってみます。
「あ、ハルカも慣れないなー」
と、アキは笑います。
そうだね、やっぱり・・・ヘンかも。
ボクはアキと自分の分二本買って、またベンチに戻ります。
「あ・・・いいの?」
「どうぞどうぞ。せっかくだから」
と、ちょっと戸惑うアキに笑ってすすめます。
「悪いねー・・・」
と言って、アキは手渡したジュースを一気飲み。
「ぷはー・・・ハルカ、サンキュ☆」
無邪気な笑顔・・・。やっぱり、男の子に見えるけど。
「ねぇハルカ?それにしても、不思議なんだけど・・・」
と、突然アキが切りだします。
「どうしてハルカは女の子になりたいとか思わないのに、女の子の格好するの?」
ボクは一瞬戸惑ったけど、正直に言いました。
「・・・なんでだろ。ボクもわかんないけど、付きあってる人がなんかボクのこういう格好が大好きで、それで、そのとき本当にうれしそうな顔するんだぁ・・・。だから、ボクもうれしくなっちゃって」
なんでだろう、言ってるうちに、顔が緩んできちゃう。
そっか。やっぱりボク、雪乃先輩が、大好きなんだ。
するとアキは、目をきらきらさせて。
「そっか・・・・・・ハルカ、本当にその恋人が好きなんだね。素敵だなぁ・・・ボクも、そういう恋、してみたいな」
と、本当にうれしそうで、憧れるような笑顔で言いました。
そのときの表情は、恋する女の子の、可愛い笑顔。
「ねぇハルカ?ボクもそういう恋、できるかなぁ・・・・・・」
さっきと打って変わって、本当に不安そうな表情。
ボクは少し心配になりながら、でも安心させたくって、飛びっきりの笑顔で!
「大丈夫!きっとアキも、こんな恋が出来るよ・・・素敵な相手、見つかるから!」
するとまたアキは目を輝かせて、
「そうだね!ボクも、頑張ってみる!」
とっても素敵な表情。
ボクもこんな顔で、笑えたら良いのに。
ずっと引っかかってたこと、聞いてみよう。
アキなら多分、わかってくれるから。
「ねえ・・・アキは、『もう一人の、ものすごくイヤな、自分』に、会った事・・・ある?」
ボクは不安だったから、きっとアキならわかってくれる。そんな気がした。
するとアキは、意外そうに驚いて。
「あ、ハルカも?ボクもあるよ・・・」
深刻な顔で、語り始めます。
「そうだなぁ・・・ボクの場合は、自分が中学校に入学する直前。初めて制服を着た時・・・鏡の前で、似合わないなぁ・・・って思ったとき。それでも苦笑いしてみたら、その顔が突然ぐんにゃり歪んで・・・」
アキは顔をこわばらせました。
「そして、『お前にあわねーな・・・無理やり着させられてるみてえ。だって、本当はお前、なんか違うんだもの」っていって、笑うんだ・・・ものすごいイヤな笑い方。ボクやんなっちゃったよ・・・それからしばらくは夢にまでしつこく出てきてさ・・・寝らんなくなっちゃうくらい」
ボクとはちょっと違ったけど、おんなじ存在。
「でもそうなんだよね・・・昔ッから『わたし』って言うのがイヤで、自分のことボクって呼んだり、男の子と一緒になって遊んだり・・・でも、女の子がイヤってワケでもない、中途半端な感じなんだ、ボク。でも、よくわっかんなくてさぁ・・・」
と、アキはぼやきます。
「でも、最近気が付いた。そんな中途半端だけど、なんだかんだ結構楽しいな・・・って。そしたら、その鏡のボクは消えたんだぁ・・・」
・・・なぜでしょう?少し懐かしむように。
「でもねぇ、最後に鏡のボクは、なんでだろう?笑ってたんだ、『そうか・・・ならお前の好きなようにやれよ』って。それで、『ボクはアンタのこと、キライじゃなかったぜ』なんて。おかしいよね、笑っちゃう。あんなにボクはアイツがキライだったのに、今じゃ少しさみしいくらい・・・・・・」
「え?」
なんでだろう・・・・・・。
きっと、アキの鏡の中の『アイツ』も、散々アキを苦しめること言ったのに。
それでもアキは、なんだか懐かしむように。
「きっとハルカもイヤなこと散々言われたと思うんだけど、いつかきっと、ボクみたいに『悪いヤツじゃなかったな・・・』って思える日が、来るよ?」
と、アキはさわやかに笑って言うんだ・・・。
ボクは少し、うれしくなって。
「そうかな・・・ボクも、アキみたいになれるかな?」
「あぁもちろんさ!だってキミも、ボクとおんなじじゃないか・・・ちょっと、違うけど」
その言葉が、ボクはうれしくって。
「・・・ありがと。今は良くわかんないけど、頑張ってみようかな・・・?」
アキは、笑って。
「そうそうその意気。そうだ、いっぺん話してみなよ、案外に面白いかもよ?」
と、悪戯っぽく笑います。
「そうだね、試してみるよ!」
ボクも明るい気持ちになって、笑いました。
そのあとボクたちは、街を散策しました。
洋服を二人して物色して、それでアキは女の子の、ボクは男の子の格好して店員さんを驚かせたり、二人で喫茶店に行ってやたらいろんなものを注文したり。アキは結構大食いで、4人前くらい食べたかな・・・・・・。ボクはボクで、お店のパフェ全種類食べちゃってみたり。
それから、ゲーセンに行ったっけ。アキは音ゲーが上手くって、ビートマニアIIDXでとんでもない速い曲を上手くこなしたり。でも、
「・・・あ〜あ。ライバルに勝てなかった・・・いっつもコイツには勝てなくてさー」
なんて、無邪気に笑って。ボクにはわからないけど・・・。
ボクは、雪乃先輩がやってた旋光の輪舞でツィーランを使って。初めて最終面まで行けたっけ。
「でさー、このツィーランってコ、実は男の子なんだって・・・」
「へぇ〜、なんかハルカみたい・・・」
・・・う〜ん、複雑。
それから最後に、記念って事でプリクラなんて撮ってみたり。
「ハハハ、ハルカなにその顔ー」
「アキだって、おかしいじゃんか!!」
・・・初めて会ったのに、なんだか久しぶりに会った友達みたいで、楽しかった。
「あ、もう3時だ・・・」
またあの時計の前。アキがふと、つぶやいた。
「じゃあボク帰るね・・・もうそろそろ時間だ」
アキは、なんだかさみしそうな顔をして。
「そっか・・・じゃあ、またね」
と、言いかけて、ふと一つだけ気になったことを聞きました。
「ねぇ、最後に教えて?どうしてボクが、女の子じゃないって、わかった?」
なんでだろう、ボクはわくわくしながら質問した。
アキは笑って、
「だって、女の子はあんな格好しないんだよ?あぁコイツ、慣れてないなって思ったね。でも、ボクみたいに実際にやってないと絶対わかんないね!」
と、胸を張り得意げに言いました。
「へぇ・・・すっごーい!」
ボクは本当に驚いた。
そして別れ際。アキは、こんなことを言いました。
「ねぇハルカ・・・キミは女の子の格好、し続けてくれる?」
妙な質問かもしれなかった。
でも、ボクには、アキにとってそれがとっても重要な事だって、わかった気がしたから。
「うん・・・多分慣れないけど。先輩が好きだって言ってくれるし、それに最近・・・あっ」
・・・『面白くなってきちゃった』とは、ボクからは言えなかったけど。
アキはニヤニヤしながら。
「あぁ〜、実はイヤだイヤだなんて言いながら、結構楽しいんだろ〜?」
ボクはちょっと慌てて、首を振ったけど。
「いいんだよ、ボクも最初は結構ヘンな気分だった。でも、今じゃコレが自然だし、それに女の子が男の子の格好して街歩いてるなんてみんな思わないんだろうな、とか、もしも『実はボク、女の子なんだ!』って言ったときの反応が楽しみになったりさ・・・」
と、目を輝かせて言ったけれど。
その瞳は、だんだん切なげになってきて。
そして、アキはボクに手をさし出す。
「じゃあハルカ、またね・・・そうだ、ケータイの番号とアド、交換しよっか」
というとアキはケータイを取り出して、ボクもケータイを出して、番号交換。
最後に、
「じゃあ、これからもよろしくね!」
と、どちらともなくハモって。
その様子がおかしくて、二人してまた大笑いしたんだ・・・。
それで、でも、切なくなってきて・・・・・・。
「じゃあハルカ、」
と、アキはまた手をさし出す。
ボクも、その手を固く握って。
「またね・・・」
「うん・・・」
すると、遠くから雪乃先輩がボクに手を振ってきた。
用事が、終わったみたいです。意外・・・。
「ひょっとしてあの人、キミの彼女?」
アキはニヤニヤして言います。
でもそのニヤニヤは、いやみな感じじゃなかった。
「うん、そうだよ?雪乃さんっていうの。綺麗でしょ」
と、ちょっと自慢。
そういえば、人に先輩を自慢したのは、初めて。
「そっか・・・あの人が、キミの可愛さに気が付いた人なのか・・・」
アキはヘンなところで、尊敬の眼差し。
「じゃあもうボクはお邪魔かな?」
ふと、切なげな表情になったアキ。
でもボクは、それを振り払うように。
「じゃあアキ・・・またね?絶対、メールするから」
「・・・ありがと。ボクも、絶対」
そして二人、固い約束の握手をかわすと、アキは駅に向かっていきました。
ボクはアキの後ろ姿に手を振る。
アキも、駅の中にすっかり入ってしまうまで、手を振りつづけてくれた。
「あぁ〜ハルカ!いたんだぁ・・・」
雪乃先輩は目を少し潤ませて、ボクを抱きしめました。
「わわ、先輩・・・人が見てるじゃないですかぁ・・・」
ボクは恥ずかしくって、言いました。
でも、なんだか悪い気はしないなぁ。
抱きついたまま先輩は、ふと言います。
「・・・さっきの男の子は?ウチの学校のコじゃ、ないよね・・・」
「あぁ、さっき友達になったアキって言うコ。実は、女の子なんだよ?」
すると雪乃先輩、すこしだけ驚いて。
「へぇ・・・じゃあ男装だったのかぁ・・・それで、気があった?」
「うん」
ボクは大きくうなずきました。
すると先輩はちょっとうらやましそうに、
「あぁ、ハルカ浮気ぃ?」
なんて言いながら、ボクの頭をわしゃわしゃ。
「うわ・・・違いますよぉ。なんとなく意気投合して、ずっと遊んでたんです!」
先輩、少し悔しそうな表情。
「あぁ・・・こんなことならなぁ・・・もう、ちょっとジェラシーを感じちゃうよ、遙クン!?」
なんて言って、またキス!
さすがに駅前でコレは、恥ずかしい・・・・・・。
「せんぱぁい・・・」
「いいじゃない、見せつけちゃえば!」
先輩は自信満々です。
でも冷静になってみると、ボクの格好はどこから見ても女の子。
「これじゃ、女の子同士に、見えちゃいますよッ!」
でも、先輩は気にしない。
「いいじゃない、他の人からどう見えようが、わたしにとってはハルカはハルカだもの?」
と、不敵に笑います。
そういえば、こんな自信満々の先輩、久しぶりだけど、どうしてだろ?
ボクたちは電車に乗って、隣街へ。
「・・・ねぇハルカ?今日はずいぶん明るいじゃない・・・そのアキってコと、なに話してた?」
先輩が、不思議そうな表情で。
ボクは今日のことひとしきり説明しました。
先輩は聞き終わると、
「ふぅん・・・それって似た者同士なのかな?でも、ハルカは違うもんねぇ・・・ヘンなの!」
と、笑います。
先輩、最近はあの不敵な感じが少しだけなくなって、可愛くなってきたのかも。
ボクはその笑顔に、照れちゃって。
「まぁでもね・・・ハルカのそういう顔、わたしうれしいよ?」
と、またにっこりと言うんです。
ボクはまた、ドキドキしてきちゃった。
「ねぇ・・・ハルカ、手をつないで?」
先輩はなんの脈絡もなく、唐突に言いました。
「え・・・」
ボクは、なんでなのか気になって。
「だって、最近は抱きしめたりキスしたりが多かったけど、手を繋ぐことが少なかった気がして・・・・・・」
・・・・・・そういえば。
確かに、いつも先輩はボクにくっつくけど、最近は手を繋いで歩いたり、してなかった。
それで、ちょっとさみしいなんて、ちょっと思ってたから。
「いいですよ・・・」
といって、ボクはそっと、先輩の手を握りました。
先輩は瞳を閉じて、穏やかな表情。
「・・・・・・ハルカ、手がちっちゃいねー・・・」
ボクもまた、目を閉じて。
「先輩の手、あったかい・・・・・・」
電車が目的地に付くまでの間、ボクたち二人はそうやってました。
幸せな、時間でした。
先輩といろいろ服の材料を探したりなんかして、帰りは9時を回ってました。
ケータイを見ると、アキからメールが。
「ハルカ、今日はたのしかった。もし良かったら、また一緒に遊ぼうね?」
ボクはうれしくなって、すぐに返事を書きました。
「アキ、こちらこそたのしかったです。今度はいつにしようか?」
またお友達が増えたのと、いろんな話が出来たので、今日はとっても充実した日だった。
アキの言ったことを思いだしながら、深夜鏡に向かうボク。
自分の顔をぐにぐに、あかんべーやべろべろばーなんてして、『もう一人のボク』が出てくるのを待ってみた。
今日こそは、一言言ってやろうと。
すると、突然鏡像が歪んで、アイツが出てきた。
でも、今日はなんだか怖くない。
「おいてめえ・・・なにニヤニヤしてるんだよ?」
「え?今日は一日、楽しかったから」
平然と、初めてコイツと話をした。
すると、アイツはビックリしたような表情で。
「てめぇ・・・俺を置いてけぼりにして・・・」
ちょっと、さみしげだった。
だからボクは、言ってみた。
「いつかキミと、仲良くなれますように」
するとアイツは、一瞬照れくさそうな顔をして、消えてしまった。
なんでだか良くわからないけど、ボクは初めて、自分が少しだけ好きになれた気がした。
今までイヤだと思っていた、貧弱なからだと女顔も、少しだけ気に入った、のかな。
アキ、今日はどうもありがとう。
これからも、よろしくね。
62.
祝・60回突破記念!!
遙:ども〜!気が付けばもう62回になっちゃいましたね、先輩!
雪乃:そうねぇ・・・思えばいろいろあったね、ハルカ!
遙:最初は本当にボクたち二人だけでしたよね・・・・・・。気が付けば屋上メンバーもボクたちに、仁科君、如月先輩、秋山君に大鳥先輩、六条先輩、三国さん!わぁ・・・ちょっとビックリ。
雪乃:これもひとえに遙クンの人柄と、「先輩とボク」を読んでくれた皆様のおかげかしらね?
遙:本当に、ありがとうございます!!
雪乃:思い起こせば、本当にいろんなことがあったよねぇ・・・。
遙:最初はボクも雪乃先輩もお友達、いませんでしたもんね・・・・・・。
雪乃:うわ、痛いなぁもう・・・。
遙:そういえばクラスの人気者の仁科君が声を掛けてくれたときは、ビックリしたなぁ・・・。
雪乃:そうか。HG仁科は人気者だったのか!
遙:女の子にも結構「好き」って人、多いんですよ?
雪乃:意外ね・・・てっきり秋山と出来てるのかと思ってた・・・・・・。
遙:うわ・・・違いますってばぁ・・・・・・。
雪乃:それにしても秋山は酷かったよね、ハルカを『オカマヤロー』呼ばわりなんて・・・。
遙:もう過ぎた話だから良いじゃないですか・・・・・・。
雪乃:良くなぁい!!
遙:それに雪乃先輩も、如月先輩と仲良くなりましたよね!
雪乃:明日香は最初わたしを傲慢ちきの優等生と思ってたんだってさぁ・・・失礼しちゃうね・・・。
遙:・・・意外と、当たってますよ?
雪乃:あぁハルカぁ!?それ酷いんじゃない?(グリグリ
遙:うわ、ごめんなさぁい!!・・・あと、六条先輩!
雪乃:薫子ちゃんねぇ・・・。どうしてあんなにわたしを敵視するのかしらね?
遙:きっとお友達になりたかったんですよ、ずっと。素直じゃないですよね・・・。
雪乃:・・・ただの負けず嫌いだと思う。でも、正直一つ、わたしってば薫子ちゃんに勝てないのよねぇ・・・・・・。
遙:なんですか?
雪乃:お友達の数。なんだかんだいっても、彼女良い人なのよね・・・口はちょっと、悪いけど。
遙:大鳥先輩大好きですしね。そういえば雪乃先輩、どうして大鳥先輩と仲良くなったんですか?
雪乃:・・・まぁ、いろいろあったのよ。でもまだ、言えないなぁ・・・?(ニヤニヤ
遙:あぁ〜・・・先輩ずるい、なにか隠してる!!
雪乃:あとひょんな事からまいなちゃんと仲良くなったわよね・・・。
遙:アハハ、ちょっと三国さんは怖いです・・・・・・。
雪乃:でも薫子ちゃんとまいなちゃんがあんなに気が合うとは思わなかったわ・・・・・・。
遙:そういえば、ボクたちもいつのまにか、その・・・
雪乃:彼氏彼女よね〜?(ニヤニヤ
遙:そういわれちゃうと、ちょっと恥ずかしいですぅ・・・。
雪乃:(突然抱きついて)なんだとぉ?このこのぉ☆
遙:うわ!?先輩ってばぁ・・・・・・。
雪乃:・・・・・・ハルカ、いろいろ辛い思いさせて、ゴメンね・・・・・・?
遙:いいですよ・・・結局こうして一緒で、ボク、幸せです・・・・・・。
雪乃:おやおや遙クン?顔が真っ赤ですなぁ〜(ニヤニヤ
遙:あぁ〜ん!!先輩のせいじゃないですかぁ・・・・・・。そういえば先輩、ボクのこと君付けであまり呼ばなくなりましたよね?
雪乃:・・・だって、彼氏と彼女よ?君付けの方が不自然じゃない・・・・・・。
遙:ぼ、ボクは相変わらず「雪乃先輩」ですけどね・・・・・・。な、なんだか照れくさいです・・・・・・。
雪乃:ホントにいろいろあったわね〜・・・。
遙:先輩、そういえばなんであのときボクに声を掛けてくれたんですか?
雪乃:あぁ、屋上で・・・だってハルカ、あんまりにもさみしそうだったし、わたしもあのころは孤独でね〜・・・それに
遙:それに?
雪乃:かわいかったから、かな。
遙:・・・そう言われると、フクザツです・・・。
雪乃:いいじゃない、私は可愛い遙クンが好きなのよ?
遙:それじゃ可愛くなくなったらキライになっちゃうみたいじゃないですかぁ・・・・・・。
雪乃:それはないから大丈夫よ☆
遙:ところで先輩?なんか最初の方からだいぶ性格が変わった気がします・・・。
雪乃:そうかしら?
遙:ていうか、先輩がこんなにさみしがりやの甘えんぼさんとは思わなかったです・・・。
雪乃:違うのよ、ハルカだからこんなにくっつきたくなっちゃうのよ〜☆
遙:・・・そうなの?・・・ボクもうれしいですけど・・・・・・。
遙:それにしても夏休み、楽しみですね!
雪乃:でもあのマスターのことだから、あんまり期待しないほうが良いかも・・・・・・。
遙:そんな事ないですよ!それにみんな一緒だからきっと・・・・・・。
雪乃:あ、そういえば薫子ちゃんも来るんだっけ・・・・・・。またなにか挑まれちゃうかしら?
遙:あ・・・・・・そうですねぇ・・・それは。あと先輩!ボクは絶対に女の子の水着は着ないですから!
雪乃:え〜・・・がっくし。あ、そうだハルカ・・・夏休みが終わったら、ちょっと『あること』に協力してもらいたいのね?
遙:なんですか?
雪乃:それは後ほど☆
遙:あ〜!!それ気になりますよ〜!?
雪乃:というわけで、まぁいろいろありましたがなんだかんだ言ってもこの話、まだ当分続きそうです。
遙:それでは皆さん、これからもよろしくお願いします!!
雪乃:って、なんか宣伝っぽいね、コレ・・・・・・。
遙:まぁ、たまにはこういうのもいいんじゃないですか?
雪乃:ハルカってばぁ・・・(抱きしめ
遙:うわっ!?先輩、またですかぁ・・・・・・。
--------------------------------------作者コメントwwww------------------------------------
51.
マスターの喫茶店はこんな空間。
遙、あいかわらずふびんですね・・・もっと頑張ってもらわねばwwwwwショタスク水wwwっうぇうぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
52.
ただくっつきあってるだけですけどね。
あんまりえちぽくしたくなくてねー。でもどうだったのか気になりまくりんぐ。
てか漫画描こう、漫画!!
53、
遙の女装にドッキリな二人wwwwww
こいつらももうダメかもわからんねwwwwwwww
54.
たまにはマスターを書いてみる。しかし消化不良。
しかも今回は嘘が多かったかもわからん・・・俺クルマはくわしくないからアルファのスパイダーも描写間違えてる可能性があるしなによりマスターが修行に行ったイタリアはエスプレッソ・・・すなわち機械でいれるコーヒーが主流。
したがって、日本の普通の喫茶店のようにいれている説明も付いてない・・・。
なんか、ダンディなふいんきを狙ったのに失敗して久々鬱な回。遙たちもチョイしか出てないしね。
55.
まだ書きかけなんですけどね。
ちょっと不安になった遙の鏡像が・・・という話。
ただ、あの鏡写しの遙は遙の深層心理を意味してるだけではないんですよね・・・・・・。あの性格は多分遙の正反対なんですね?
そして消化不良気味に。これは出来れば書き直したい話になってしまった・・・。過去のコンセプトを引きずってたりなんかして。
夢とも現実とも付かない境界線が、なんとも。
56.
ごめん、書きかけwwwwよくわかんないwwwww
57.
ハルカ、アナリスクにはま・・・らねーよwwwwwwwそんな話見てーのかよwwwwっうぇうぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
第一ハルカ男だぜ!?萌えるのかよ、とツィーラン萌えな俺が申しております。久しぶりなバカ話。
58.
遙悩む。でも結局こうなってしまう。てか女装が似合いすぎなんでしょうね・・・・・・。
59.
雪乃も明日香もわからない。そして書いてる俺も良くわかんない。そんなお話。
ちなみに雪乃の恋愛の信条は、「恋はマキャベリズム」悟ったらしいwwwwww意味がわからんwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ところでこういう場合のマキャベリズムって、バーリトゥードと言い換えられる気もする。なんでもあり。
60.
うはwwwwなんにもないwwwwwwwのろけ話ばかり増えてすまんねwwwwwwそろそろネタが出てくるんで。勘弁wwっうぇうぇwww
61.
ある種のパロディかもしれない話。
最近はネタがあるけど上手く書けない状態が続いて、それでも書いてます。文章のワンパターンさと、内容自体がマンネリっぽい気もした。
でもどうしてこう、あいまいな感じのキャラが多いんでしょうね!?
今度はもう少し煮詰めてから書こうかな・・・書きたい気持ちがから回りwwwwwうぇうぇwwwwwwww
今回はハルカと似て非なる感じの女の子、アキが出てきました。こういうの、どうかね?
62.
記念行事と思っていただければ。そんな回。
初期の短さと馬鹿馬鹿しさがなくなってきてますかねぇ・・・・・・。とか、いろいろ思うところもあるんですよね。
てか、漫画が描けなくなってきた件wwww先ボクの漫画版(ってか、今までの話を漫画にするんじゃなくって新しく話を描くと思う)描きたいんですけどね。
解放者の独り言にへこんだので俺も独り言。
・・・うはwww漫画描いたときもだいたい全然相手にしてもらえなかったんでどうでもいいwwwwそもそも俺の小説読んでくれるの日に3人いれば最高って思ってるよ。いないのが普通とさえ思ってるし?読んでいただいて本当に光栄ですよ。
でも、他の小説作者がアレ見たらどう思うのかね?あんまりいじめて下さんな。そもそも「ここはVIPのための発表場所で、描きたいヤツが描いて、読みたいヤツが読む」コレで良いじゃねえか。
相手にされないのわかってて書いてる俺はともかく、そういう言い方はないよ、と俺はいつも思うのだけど。
でもここVIPだしなwwwそれ以前に2chだから酷評も当然と言えば当然だけどwwwwww
俺はヤリたいようにヤるゼ。
・・・でも、読者がまったくいないわけではないんで、読んでくれた人のためにも頑張るよ、と言う話。
まぁ、俺たちは結局描き続けるしかないんですわ。
見づらくてゴメンね、とか。とりあえず今週末目処に1〜50はHTML化します、とか。先ボクの漫画描こうかな、とかね。
スレにこんなレスしても仕方ないし、こっそり書いておきますね?へんなこといってゴメンねー。