「先輩とボク」相変わらずのペースで。
何気に遙と雪乃のお友達も増えてきました。
・・・ところで当初予定の退魔編、目処が立たないけどまぁ良いかぁ〜ww

26.
いつも、雪乃先輩は突然に。

ボクが雪乃先輩の家の前で待っていると、おでかけの用意をして先輩がやってきます。
あれ?今日も衣装あわせじゃないのかな・・・?
それに先輩、妙に真剣な表情で。
「遙クン、デート行くよデートッ!!」
・・・う〜ん?ボクたち、そういう仲じゃ、ないですよね・・・。
先輩は妙なむずむずした表情でボクを見ます。
いつもの笑顔がないのが、少し怖い。

突然のお出かけの割には、もうコースは決まってたみたい。
まず駅前のスターバックスでお茶して、それから電車に乗って隣町の大きな図書館へ。
図書館では、先輩は魔術関係の本ばかり探して。
その手際のよさと予定調和に、ボクはただただ呆然とするばかり。
雪乃先輩、手際は良いけど行き当たりばったりな人だから・・・・・・。

1時間ほどで図書館をあとにして、先輩は言いました。
「映画でも、見にいこっか?」
図書館から歩いてすぐに映画館があります。
「・・・いいですけど・・・・・・」
先輩はにこりともしません。
ボクたちは手を繋ぐけれど付きも離れもせず、歩いてゆきます。
・・・・・・なんか、ヘン。

映画を見たけれど、なにも記憶に残りません。
ボクは、先輩の横顔ばかり見てた。
妙に真剣な、だけど魂ここにあらずな表情・・・。
先輩、どうしちゃったんだろ?

それから隣町の駅前のショッピングモールを覗いて。
何を見るわけでも無しに、なにか買うわけでもなく。
ただぶらぶら、眺めています。
ボクも先輩が気になって。

結局なにもしないまま、公園で一休み・・・。
ボクたちは黙ったまま、公園のベンチに座ります。
ボクは、公園のハトを見ていて。
ちらっと、先輩の方を見ます。
視線の先には、仲むつまじそうなカップルたち。
・・・・・・先輩、口をへの字に結んで悔しそう。

「・・・先輩?」
ボクは先輩の様子があんまりに気になったので、声を掛けました。
先輩は呆然とした様子だったのですが、ボクの呼びかけに気が付いて、
「・・・ん?えっと、・・・ハァ」
無表情で溜息。
見ているボクが、辛いです・・・。

結局黙ったまま、家路につきます。
帰りの電車にゆられる先輩の横顔が、夕日に照らされ切なくて。
ボクの胸が、きゅんと、痛みます。

帰り道も無言。
結局ほとんど言葉も交わさないまま、先輩のうちの前に付きました。
別れ際、先輩は言いました。
「じゃあハルカ・・・また、明日、ね?」
先輩は笑顔だったけど。
その笑顔はものすごくさびしげで。
・・・・・・もう、会えないんじゃないかと、思えるくらいで。
そして振り向きもせず、先輩はうちの中に入りました。

・・・ハァ。
帰り道、とぼとぼ溜息付きながら。
驚くほど足取りも重くなります。
今日の先輩の表情が、頭に浮かんでは消え。
明日大丈夫なのかなぁ、と、心配して。
ふと足をとめて、夕焼けを見ます。
今日の夕日、とびっきり、切ない。

「はぁーるぅーかぁー!!」
後ろから、いつもの調子の雪乃先輩の声。
・・・・・・気のせいかな、と思ったら。
むぎゅっ。
後ろから不意打ちに抱きつかれて。
「あーもーこんなんじゃダメだ!!ハルカマスターんトコいこ!!」
・・・あれ?先輩・・・・・・。
先輩は気まずそうに赤い顔だったけど、いつもの調子にすっかり戻って。

「ハハハハハ、今日のデェートはどうだったんだい!!」
マスターは豪快に笑います。
「うん、失敗〜」
本当に悔しそうな雪乃先輩の顔!
「むむむ〜」
いつもの調子で悔しがってるぅ。
「まぁ飲めよ・・・」
マスターがコーヒー二杯持ってきて。
先輩は頭をぐしゃぐしゃとかく仕草をします。
「ん〜、遙クンごめんね?ヘンなのに付き合わせちゃって・・・」
「そ、そんなこと、ないけど・・・」
少し、戸惑った。
「・・・でも、先輩ちょっと、ヘンだったから・・・」
「へぇ〜そうだったんだ?」
マスターが軽い口調で言います。
うなだれっぱなしの先輩。
「ハルカぁゴメンね〜・・・キミの気持ちにこたえてあげられなくてぇ・・・」
ものすごく気まずい表情。
でもそんな先輩が、かわいくて。
「・・・遙クンなに、その笑顔」
・・・あっ!
ボク、笑ってたぁ〜?あれ、そんなつもりじゃ・・・。
「よかったぁ〜、いつもの先輩に戻って!!」
「え〜?じゃあ何?今日のわたしはわたしじゃないみたいだった?」
「うん」
平然とこたえちゃいました。
「な、なぁ〜にをおぅ?」
というなり、先輩はボクの頭をぐしゃぐしゃと撫でました。
その様子を見て、マスターも笑います。
「相変わらず、仲良いなぁ!!」
「でしょー」
先輩はいつもの不敵なニヤニヤ笑い。
「せ、先輩ぃ〜・・・止めてくださいよぅ・・・・・・」
・・・でも、それがまたうれしくて。
・・・・・・すると、先輩はボクの頭をくしゃくしゃするのを止めた。
そして、抱きしめて―――。
「もう少ししたら、きっと・・・ね」




27.
ある日の帰り道、先輩が何か入った大きい袋をボクにくれました。
「きっと、いりようになると思ってさ☆」
そして、いつもの用に明るく別れたのですが。
・・・・・・なんだろう?

袋を開けてみると、果たしてそれはうちの学校の制服でした。
・・・・・・女子の。
先輩はボクをなんだと思っているんだ!!少し憤慨してみたり。でも、そのあとでボクのこんな姿見たいんだろうなー、とちょっとドキドキしてみたり。
ちょっと着てみると、それは先輩のサイズじゃなくてボクにぴったりでした・・・。
わざわざ買ってきてくれたんでしょうか?
鏡にボクの姿を写して。
・・・・・・コレじゃボク、女の子ですよぅ・・・・・・。


この大きい鏡も、先輩がある日唐突に持ってきてくれたものでした。
土曜日の7時くらい、夢心地にいるボクを叩き起こしたお母さんの一言。
「あのコ、あなたのお友達?なんか持ってきたみたいだけど・・・・・・」
お母さんはニヤニヤしてました。
パジャマのまま寝ぼけ眼で玄関に出ると、大きな段ボールを抱えた先輩が。
「オッス!ねぼすけクン♪」
先輩は朝から元気でうれしそうです。しかも何かまた企んでます。
「う・・・おはようございます〜」
ボクは事態が良く飲みこめません。
先輩はそんなボクをよそに、元気良く挨拶します。
「おはようございまーす!お邪魔します♪」
「あらあらおはよう、早いですねー・・・息子の遙がいつもお世話になってます」
「いえいえこちらこそー。わたし、遙クンの上級生の堀江雪乃と申します☆」
「まぁ雪乃さん、どうぞ上がって」
先輩はやっぱり空気になじむのが得意と言うかなんと言うか。
「綺麗なコね〜。いつのまにお知り合いになったの?」
「えっと・・・うん、まあね」
ちょっと気まずかったり、本当にあんな人とお知りあいになれたんだなんてちょっと誇らしかったり。

さっそく先輩はボクの部屋の中に入ります。
「う〜ん・・・男の子の部屋にしては、きれいねー・・・」
先輩の奇襲に備えてきれいにしてます、とはちょっと言えません・・・。
「あ、そういえば遙クンマック使ってるのねー」
ボクの部屋のパソコンを見て言います。
「勝手に見ちゃダメですよ!?」
ちょっとあせって、釘をさします。
そうでもしないと先輩、根掘り葉掘りなんだから・・・・・・。
「はいはい、わかってますよー☆」
・・・・・・そのにやけがお、わかってない。絶対。
そして先輩は部屋をひとしきり見まわして言うんです。
「どっかにえっちな本ないかなー・・・」
ドキッ。
「まぁ男の子だしねー・・・一冊や二冊くらいあってもいいんだけどなー」
・・・・・・先輩には見られたくないなぁ・・・・・・。
「遙クンって、どんな女の子がスキなの?」
ドキッとする不意討ち。
好奇心丸出しの視線。
「えっと・・・」
顔が赤くなります。そんなに見つめないで!!
・・・「先輩が」なんて、言えるワケないじゃないですかぁ・・・・・・。
「・・・あ、先輩何か飲みますか!?」
「お、はぐらかし」
何か企んでるニヤニヤがぁ。

とりあえずコーヒーを二つ。
「じゃあ、遙クンのタイプ、お聞かせ願おうか!!」
待ってました、と言わんばかりのまぶしい笑顔。
えっと、えっと・・・
「あ、R-TYPE!?」
・・・・・・とっさにこんなん出ちゃいました。
「・・・・・・はぁるぅかぁく〜ん?」
うわ。失敗。
「白状しなさぁ〜い!!」
というなり、くすぐり攻撃!!
わきの下こちょこちょ。
「うわ、せ・先輩ぃ〜!やめてよ〜!!」
「だぁ〜め!!白状するまでやめなーい!!」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!絶対言えるワケな〜い!!

ずっとジタバタして、二人とも疲れて。
ハァハァと、息が切れちゃって。
先輩、顔が赤くなっちゃって!
「ふぅ〜、ハルカ口が固いなぁ・・・・・・じゃあ」
と、ぐったりするボクに抱きついて。
「作戦変更〜。白状するまで離れません」
うわっ、また不意討ち。
でも今度はすごくうれしかったりして・・・・・・。
「・・・いいですよ、先輩が参ったというまで言いません!!」
今度は逆効果ですよ〜だ。
でも、ドキドキして、顔が赤くなってきて・・・・・・。
「あ、遙クン赤くなってる。さては・・・」
えっ・・・誘導尋問!?
でも先輩はなにも言わず、もっと強く抱きしめて・・・。
「あ、聞くまでもなかったか・・・・・・」
なんて言うもんだから、一層ボクの胸は高鳴って。
「じゃ、このままでもいっか?」
先輩は言います。ボクに語りかけるように、自分に言い聞かせるように。
でも、でも。
「・・・やっぱこのままじゃダメか。遙クンに失礼・・・・・・」
といって離れちゃいました。
先輩が離れた瞬間に感じた、切ないようなさみしいような感覚。
先輩も、少し切なそう・・・。
「う〜ん、わたしは遙クンにくっついてるの楽しいんだけどね・・・なんか、悪いね?」
悪いってこと、ないです。
でも、ちょっと切ないけれど・・・・・・。
ボクは、黙りこくっちゃって。
顔が、赤くなっちゃって・・・・・・。
「ゴメン。いつか、キミを真ッ正面からぎゅっ、としたくてねー・・・」
ボクにはよくわからないんだけれど。
ちょっとだけ、二人して黙りこくっちゃいます。

唐突に、段ボールを開けます。
「忘れてた!本日の本題〜」
そこから出てきたのは、大きな鏡。
「遙クンにもっと自信を持ってもらおうと思ってさ〜☆」
・・・・・・?
意味が分かりません・・・・・・。
「まぁこんな美少年いないですよ?うん、うん」
一人うなずく雪乃先輩。
「だから、もっとその可愛さに研きをかけてもらおうと思いましてぇ〜☆」
・・・それは。
女装しろと!?
「え、せんぱぁい・・・こんなの、悪いですよ・・・高いですよね?これ・・・」
こんなサイズです。結構な値段だと思うのですが・・・・・・。
「うちの父さん輸入家具屋の人だから。結構リーズナブルでしたよ?」
「いくらで買ったんですか?」
「5万」
・・・平然と。
「わわ!そんなの受け取れないですよ〜!!」
「いいのいいの。いつも迷惑かけてるお詫びとお世話になってるお礼」
お礼って・・・・・・。
ボクは、先輩の笑顔だけで十分なのに。
それにこんな大きいの、どこ置こう?
「あ、ここに置けばちょうどいいか〜」
先輩、結構強硬路線。

その日も結局先輩のオモチャだったんですけど。
「う〜ん・・・遙クン、セクシー路線はダメだなぁ・・・」
あの、ボク男・・・・・・。
「もっと、ロリっぽいのが似合うなぁ〜?今度はメイド服かゴスロリにしてみますか?」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!それは勘弁してくださいよ〜!?
「あ、ハルカ泣きがおも可愛い〜♪」


もらった制服をなぜか袋にいれて学校へ。
さすがにコレは、ねぇ・・・・・・。
その日は先輩とは昼休み、屋上で会って。

「先輩!!コレはなんなんですか!?」
ボクはさっそく問いただします。
隣の仁科君も横の如月先輩も、ボクのいきなりの剣幕に少し驚きがお。
先輩は事もなく答えます。
「制服」
「じゃなくって!なんで女の子のなんですか!?」
「・・・・・・似合うから?」
「似合うって・・・そういう問題じゃないです」
ボクはちょっと不機嫌そうに言ってみました。
そして、袋を思いきって突き返します。
「とにかく!こんなの悪いです!受け取れませんッ!!」
先輩はそれでも、不敵な笑みを浮かべるんです。
こういう時の雪乃先輩、ちょっと怖い・・・・・・。
「ちょっと見せて〜」
如月先輩がヒョイと袋を取り上げます。
「ちょ、ちょっと・・・」
ボクはうろたえて、中を見るのをとめようとしたのですが・・・・・・。
「あら、ウチの制服」
「ホントだ・・・」
仁科君、ちょっと引いてませんか?
でも彼はちょっと考えた様子を見せて、そして言いました。
「折角だから、もらっとけば?」
予想外の冷たい科白。
「別に悪いモンでもないし・・・それに・・・」
仁科君は顔をちょっと赤らめて言います。
「・・・遙、ソレ似合うしな・・・・・・」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?仁科君まで敵なのかぁ〜!?
「ちょっと、仁科君・・・」
「あ〜、それ同意〜」
き、如月先輩まで!?
「とまぁ、多数決の原理ですよ♪」
雪乃先輩ニヤニヤ。
・・・そう言うことだったのかぁ・・・・・・。
・・・・・・やられた。完敗です・・・・・・。




28.
恋とはなかなか解けないパズルのようなもので。

「ハァ・・・」
「あら雪乃、めずらしい。溜息なんて」
「・・・ん?あ、明日香」
「どーしたのさ?溜息なんてついちゃって・・・」
「まぁ、ね・・・わたしだって困ることくらいありますとも」
というと、雪乃はまた溜息をついた。
様子を見守る明日香。
「・・・ハァ」
「どうしたのホント?今日の雪乃、ヘンだよ?」
「えぇ!?」
「わかった。1年の井上君のことでしょ・・・」
気がついたような表情の雪乃。
「・・・どうして?」
「雪乃に他の悩みがあるとは思えない」
明日香はにっこり笑って言う。
「雪乃、私と違って優等生だしね〜」
「・・・・・・そうでもないよ」
というなり、また雪乃はふさぎ込むのであった。

「なんてゆうか、難しいね」
唐突な雪乃の台詞に、明日香は返す言葉がない。
「・・・恋愛って」
「?」
「遙クンのことぉ」
「あれ?二人は付き合ってるんじゃないの?」
不思議そうな表情の明日香。
それはそうだ。いつもの仲むつまじい二人を目の当たりにして。
「う〜ん・・・今の関係、良くないのかなぁ・・・・・・」
どうも、真剣に悩んでいるらしい。
「二人はおしどり夫婦のようだけど?」
「そーじゃないの・・・」
そしてふさぎこむ。
「・・・ねぇ、いつも一緒なのに一方片想いみたいなの。どうかなぁ・・・・・・」
「?」
「相手は、迷惑だよね・・・・・・?」
雪乃の声が、悲しそうで、悔しそうで。
「わかんないよ・・・・・・」
明日香の台詞に、雪乃がホンの少し怒気を込めて。
「違うのぉ・・・」
泣き声。
「・・・・・・雪乃、ホントにヘンだよ・・・大丈夫?」
明日香は雪乃を気遣って言う。
「・・・放課後、散歩でもしよっか。バイトないよね?」
「・・・・・・ウン」
涙目の雪乃は、ホンの少し救われたような表情で。

近くの公園を逡巡する二人。
終始押し黙った雪乃に、決心したような表情で明日香は問いかける。
「・・・つまるところ、雪乃はどうしたいの?」
「・・・分かんない・・・」
相変わらずの雪乃。
「わかんないじゃわかんない。雪乃は遙君をどう思ってるの?」
「それは・・・・・・」
明日香の問い詰めに、すこし泣きそうに。
「・・・・・・ハルカかわいいし、やさしいし、一緒に居て楽しいけど・・・」
少しうつむき加減で、弱気な声で雪乃は語りだす。
「でも、ね・・・?なんか恋とは違う感じなの・・・よくわかんないけど、そりゃあハルカが居なくなっちゃったりしたらイヤだけど・・・それから、いつも女装させちゃったりなんかして・・・」
「う〜ん・・・」
「でね?本当はハルカ、わたしのこと嫌いなんじゃないかとか、いつか別の女の子と一緒になっちゃうんじゃないかとか、不安で不安で・・・」
真剣な雪乃の告白に、思わず吹き出す明日香。
「フフフッ、それって恋だよ〜どう考えても」
「えっえっ?違・・・」
「だって遙君が気になって気になってどうしようもないんでしょ〜?ソレを恋といわずしてなんて言うの?」
「・・・・・・でも・・・」
不安そうな雪乃。明日香はこんな表情の雪乃を見たことがなかった・・・。
「う〜ん?何が問題?」
「わかんない・・・」
すっかり混乱している。
いつもは勉強も運動も出来て、冷静沈着で完璧な優等生のイメージの雪乃が。
明日香はあんまりにも近寄りがたいと思っていたが。
予想よりも遥かに、普通の、いやむしろとってもシャイな女の子だった。
「・・・ビックリしたぁ」

「ハイ。よかったら飲んで」
「・・・ありがと」
ベンチに小さく座っている雪乃に、明日香が缶ジュースを手渡す。
雪乃の隣に座り、一息つく明日香。
ふと、明日香は思い当たる。
「そういえば、中学校アレだったっけ」
雪乃は、私立の一流中学に通っていた。
そこは全寮制の女子校、まさにお嬢さま学校であった。
純粋培養の環境で、それから共学の高校に通い2年目とは言え、やはりそういう色恋沙汰には慣れないんだろうな、と明日香は思った。
・・・・・・雪乃がお嬢さまだとは一度も思ったことはなかったが。
雪乃は相変わらず押し黙って。
その様子を明日香は見かねて、言った。
「まぁ、あせることないんじゃない?」
「え・・・」
雪乃の表情はぱっとしなかったけれど。
「雪乃が、自分の本当の気持ちに気が付くまでは、今まで通りやってくしかないんじゃないのかな・・・?」
「え、でも、それじゃ・・・」
戸惑う雪乃に、明日香は釘をさすように。
「もしかしたら遙君、他のコに取られちゃうかもよ〜?例の制服の一件から、かわいいって噂になってるし」

雪乃はとっさに立ちあがって。
「それはイヤッ!!」
泣きがおで、あせった表情で、叫んだ。

「そーそーそれそれ」
うれしそうに明日香。
「今はどうあれ、その気持ちが大切だと思うな〜」
雪乃は気恥ずかしそうに。
そして、明日香は雪乃を抱きしめて。
「・・・・・・!!」
「何あせってるの?いつも遙君にはこうしてるのに」
抱きしめられた雪乃は、耳まで真っ赤にして照れている。
「だいじょーぶだいじょーぶ。いつか、本当の気持ち、わかるよ?」
その言葉に、雪乃は泣きだして。
「でも、それじゃ遙クンにめーわくかけちゃ・・・」
「人の恋路にメーワクもクソもありますかいな・・・やるだけやっちゃいな〜?そうしないと・・・」
明日香は思いだしたように、切ない表情で。
「・・・・・・ゼッッッたい、後悔しちゃうんだから」
雪乃はふと、我に帰って。
涙の跡が、せつないけれど。
「・・・後悔?」
「・・・・・・そこで気にしない!!」
明日香は、いつもの明るい明日香に戻っていた。
「・・・まったく、雪乃らしくもない!」
そして明日香はハンカチをさしだす。
「・・・・・・?」
「優等生がそんな表情じゃみっともないでしょ〜?」
雪乃はすこし呆然としていたけど、すぐ元の調子に戻って、
「あ、悪いわね〜☆」
といって、顔をぐしぐし。

すると遠くから聞きなれた声。
「あ〜雪乃せんぱ〜い!!」
遙が、仁科を連れて来た。
明日香は言う。
「ほら、遙君来たよ?」
雪乃も、すっかり元の調子に戻って。
「キタコレ!!遙クゥ〜ン!!」
と走って、遙に飛びついた。
「ワワッ、先輩!?」
「今日はどーしたの、さびしかったじゃない!」
「せ、先輩こそどうしたんですか?こんなところで・・・」
あぁ、いつもの調子じゃん。
明日香は安心したふうに、溜息をついた。
突然仁科が、語りかける。
「あの二人、すっげえ仲良いッすよね・・・」
「まったく」
うなずく明日香。
「アレで悩んでるとか言っちゃって、ホンットばかばかしい!!」





29.
驚愕の事実wwwwwwwwww

雪乃:時に遙クン?
遙:・・・はい?
雪乃:「先輩とボク」とゆうタイトルのエロ漫画があるらしい・・・ッッッ!!
遙:えぇぇぇぇ!?
雪乃:(唐突に)・・・・・・じゃぁ〜〜〜んッ!
遙:わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!(赤面驚愕)

遙:えっちなのはいけないと思います!!
雪乃:わたしも嫌いですけど〜。でもコレばっかりはァ!
遙:先輩、止めましょうよぉ・・・。
といいつつ、二人はそのエロ漫画を開くのであった。

遙:・・・コレは・・・。
雪乃:・・・うん、エロ漫画ね。
遙:こんなの見るの止めましょうよぉ・・・。
雪乃:あら意外。遙クンこういうの嫌い?
遙:(あわてて、ムキになって)き、嫌いですッ!!




30.
祝!エピソード30記念企画!!wwwww

雪乃:時に遙クン?
遙:・・・はい?
雪乃:・・・電撃文庫に、「先輩とぼく」なる小説もあるらしい・・・ッッッ!!
遙:・・・まぁ、ありがちですものね・・・。
雪乃:まぁなにしろ新都社の企画なモンで、その小説のパロディと誤解されるかも・・・。
遙:そういえばNURUPOとかいって忍者漫画と思いきやのっけからオッパイミサイルブッ放すトンデモ漫画があったりしますよね・・・。
雪乃:アレ読む気も起こらないわ・・・。
遙:・・・^^;

雪乃:なんかこのままだと癪なんでタイトル変えてもらおうかしら?(ニヤニヤ
遙:・・・このお話、「先輩とボク」意外の何物でもないですけど・・・?どうするんですか?
雪乃:ジャァ〜ン!!既にプランは考えてきたのだよッッッ!!遙くぅん!?
遙:い、イヤな予感・・・・・・。
雪乃は大きな横断幕を取りだして。
雪乃:「先輩」であるわたしと、「ボク」であるところのハルカを掛けてみました!
遙:「ユキ×ハル」・・・ですか?
雪乃:どーかしら?遙クン・・・。
遙:・・・・・・一応、この話の主人公はボクですよッ!?
雪乃:さぁどーだか(ニヤニヤ
遙:うわぁぁぁぁぁぁぁん!?先輩酷いです・・・。



31.
そろそろ髪が伸びてきちゃったなー、と思ってたんですが。
「あ、遙クン髪伸びたね・・・かわいい〜」
なんて、先輩がボクの髪をいじるものだから。
相変わらず、ボクはドキドキしっぱなし。
すると突然先輩が、
「よかったらカチューシャ、付けてみて?」
と、手渡すカチューシャはねこみみ付き。
「・・・せんぱぁい・・・コレはなんですか・・・?」
「ねこみみ〜」
「そうじゃなくってぇ・・・どう言う意味なんですか?」
「遙クンにねこみみ似合うかどうか見てみたくってさ☆」
先輩のあのニヤニヤ笑いがまぶしくて。
あぁ、ボクは先輩に恋してるんだな、と再認識。顔が赤くなってきて、照れ隠しのように聞いてみます。
「・・・コレは、元ネタとかあるんですか?ちょっと気になっちゃって・・・」
「元ネタ?・・・う〜ん、ツィーラン」
聞いてみると、とあるゲームのキャラクターらしいです。絵を見せてもらったのですが・・・・・・。
このコ、男の子?
・・・・・・ボクが言うことじゃ、ないかな。

家に着くなり部屋に戻って、タンスを見てみます。
先輩からもらったドレス、女子の制服がひときわ目立って。
先輩は、ボクにどうしてもらいたいんだろ?
まさか、女の子の格好で学校に来てもらいたかったりして・・・。
その様子を想像して、何故か笑いがこみあげて来ます。
ビックリするクラスメイト、先生方。
顔を何故か赤くしちゃう仁科君。
授業中も女の子が騒がしくって授業にならなくて。
お昼休み、屋上で飛びっきりの笑顔の先輩・・・・・・。
放課後にはねこみみ着けて、バイトのときは女の子の制服で。
帰りのマスターのお店でドレスに着替えて、マスター大笑いで「似合うじゃねーか」なんて言っちゃって。
・・・・・・そんなのもアリかな、と思い始めた自分が、少し怖い。

女子の制服に袖を通して。
ねこみみカチューシャを着けて、鏡の前で一回転。
困ったことに、そんなに違和感を感じなくなってきているんです。
むしろ、ボク元々色白で細いから、結構こっちの方が・・・なんて、少しだけ思っちゃったり。
・・・ダメだダメだ!!
コレじゃ、雪乃先輩の思う壺!!

でも、先輩のためなら、女装のまま学校に行っても良いかな、と思ってる。
ボクは、雪乃先輩が、スキだから。
先輩が喜んでくれるなら、なんだってしてあげたいとも思う・・・・・・。
そんなこと考えてるうちに、ボクの胸は高鳴って。
爆発寸前です、先輩・・・・・・。

どうしたら、振り向いてくれますか?
どうしたら、ボクのことをスキになってくれますか?
どうしたら、ボクのこと・・・・・・。
先輩、雪乃先輩・・・・・・。

その夜、ボクはベランダからワケも分からず月に叫んで、隣の人に怒鳴られた。
ゴメンなさい、でもボク、どうすればいいか全然分からないんです・・・・・・。

朝、お母さんに、遙おかしいって言われた。
ボクは全力で否定したけれど。
登校途中、先輩といつものように合流して。
「おはよー、遙クン♪」
「あ、お、おはようございますッ!」
ボクはいつものようを装ったけれど。
先輩の瞳は見透かすようで。
その切なさが、心に痛かった。
でも精一杯のから元気で、いつものように振舞って。
その様子を先輩は見かねて言います。
ボクを抱きしめて、髪を撫でながら。
「ハルカぁ・・・無理しなくて、いいんだよ?」
ボクはその瞬間、きょとん、として。
「わたしも、無理しないことにしたから・・・」
で、でもでも先輩?今登校途中ですよ!?

授業中もぼんやり外を眺めっぱなし。
授業が全然手につかない。
「・・・おい、井上?お前どうしたんだ・・・」
先生の一言に、今が授業の真っ最中であることを思いだしました。
「えっと、あの・・・」
「具合悪いんなら保健室行け?仁科、一緒に行ってやれ」
「へいへ〜い」
仁科君は、ちょっとうれしそうに答えました。
「あの、ボク・・・」
「いいから。少し休んで来い」
先生はボクの今の気持ちが分かったかは分からないけれど、気遣いがとってもうれしかった。
「遙、行こう」
仁科君は、王子さまのようにボクの手をとって。
・・・コレじゃ、ボクがお姫さまのようだ・・・うわ、ヘンに自意識過剰。
顔を赤くしながら、教室を後にします。
また、自己嫌悪。
けれど、仁科君はただボクのことを気遣ってくれて。
「遙、お前・・・」
それ以上は何も言わないで、保健室までついて行ってくれました。

「まぁ・・・あなた大丈夫?・・・丈夫そうには見えないものね〜・・・」
保健室の先生はやさしい笑顔で言います。
「先生、コイツ具合悪いんでベッドで寝かせますね」
「ハイハイ」
仁科君に促されて、ボクはベッドに横たわります。
「あら?あなたは戻らないの?」
「付き添いですから」
真剣な風の表情の仁科君に、先生は、
「あら、良い口実ね。ま、いっか」
と、ちょっと皮肉りながらも仁科君の付き添いを許してくれました。
ボクは、正直ほっとしました。
一人だと、なんだか不安で。
自分の気持ちに、押しつぶされそうで。

「あのさー・・・遙って、『お姫さま』って感じだよなー・・・いや、男だけどよ・・・」
唐突に、仁科君は妙なことを言いだします。
「なにそれ?」
「いや、何かほっとけねーって事」
仁科君は、照れ臭そうに、はにかみます。
ボクもなんだか、こそばゆくて。
「・・・まぁ、休んどけよ・・・お前の事、心配なんだぜ?いろいろさ・・・。何か悩んでるの?」
突然聞かれました。
「お前このごろやっぱヘンだからさ・・・どうしちゃったんだろって」
真剣な眼差し。
「・・・・・・うん、実はね・・・?」

仁科君に、先輩のことを話しました。
多分、知ってたんだろうけど。
仁科君は黙って聞いてくれてた。
そして少し考え込んでから、言います。
「・・・まぁ、ソレはなるようにしかならないんだろうけどさ・・・でも、少し休んでも良いんじゃねーか?いつも思いつめてると、やっぱしんどいっしょ?」
「・・・休む?」
良く分からなくて、聞き返します。
「ほら、いくらスキだからっていつもそればっかじゃ息が詰まっちゃうだろ?オレもあるよ、恋愛じゃねーけど・・・。とにかく、お前が先輩がスキなのは変わらないけど、なんつーか・・・『恋愛するのを休む』のさ・・・にしても、お前」
あ・・・なんとなく分かった。
そっか、いろいろ自分の中であせっちゃってごちゃごちゃしてたけど。
少し、休んでもいいんだ。
ここ何日かの自分を振りかえると、確かにあせってたみたい。先輩にヘンなこと聞いちゃったり、無茶なこと考えたり。
それで、疲れちゃったんだ。
で、仁科君は続けました。
「お前自分に溜めこみすぎだよな・・・いろいろ。傍から見てても結構大変そうだぜ?ま、ソレがかわいいんだけどな・・・」
!?
なんか、仁科君にいわれるとヘンな気分です・・・。
目の前の仁科君は顔が真っ赤です。
ボクも思わずうつむいて。顔が熱くなります・・・。
「ば、バカ!そういうんじゃねーっての・・・」
仁科君がつぶやきます。いつもの明るい彼からはちょっと想像も出来ません。
その様子を見て、笑っちゃいました。
「あ、遙笑いやがったなぁ〜!?こんのぉ〜・・・」
と、ボクの頭をクレヨンしんちゃんのみさえさんよろしくグリグリ攻撃。
「い、痛いよぅ〜」
「どーだ参ったか!・・・あ・・・」
後ろには先生。
少し引きつった笑顔で。
「保健室では、静かに〜」
「・・・ハイ」
二人とも、おとなしくしました・・・。

先生が保健室を後にしたとたん、仁科君が
「あー、先生おっかなかったな〜」
といいます。
「ウン」
ボクはこくりとうなずきます。
「まぁ・・・今は寝ろ?あらかたあの先輩のことが気になってロクに寝れねーんだろ?」
うわ、図星です・・・。
恥ずかしくて、黙っちゃいます。
「・・・ま、いーから。オレここにいっから寝とけ?」
「うん・・・ありがと」
仁科君の親切が、うれしかった。
ボクは久しぶりに、ぐっすり寝ました。
身体は重たかったけど。

今日は、お昼も食べないで寝てました。
なんだか、気分が悪くって。
仁科君は休み時間の終わりごろにまた来てくれて、ちょっと様子を話してくれました。
先輩のこと。

その日の雪乃先輩は、如月先輩と大鳥先輩と一緒だったそうです。
仁科君と屋上でばったり会って、雪乃先輩は開口一番、ボクはどうしたのと聞いたんだそうです。
仁科君は、
「今日はお休み」
と答えました。
雪乃先輩はさびしそうに
「・・・そっか」
と、言ったきりでした。
大鳥先輩が、
「お大事に」
と、言ってくれたそうです。如月先輩も心配そうで。
ただ雪乃先輩だけが、ヘンな顔でなにも言えなかったそうです・・・・・・。

「まぁ、いつもお前と一緒だモンな〜・・・なにも言わなかったけどものすごくさみしそうだってゼ?堀江さん」
仁科君は平然と言います。
「それにしても、オレにはお前と堀江さんの関係が理解出来ねー」
「・・・・・・ボクにも、雪乃先輩よくわかんないや」
途方にくれたような、でも何故か笑顔で、ボクは答えます。
「アレだ、結局女の気持ちなんてわかんねー・・・あーオレもカノジョ欲しいなぁ〜・・・」
なんだか複雑。
「・・・ワリ、今のお前には言っちゃいけなかったかな?」
気まずそうに仁科君は言います。
ボクは首を横に振りました。
「わりーな・・・。で、それから大鳥さんと二人になっていろいろ話してたんだけど・・・」
突然、大きな音でチャイムが鳴りました。予鈴です。
「ヤベッ時間だ!じゃ、遙また放課後な!」
というなり、走り去っていきました。
一人取り残されたボクは、なんだかさみしくなってきて、毛布を丸めて抱きしめて、寝ることにしました。
胸の中が、ぽっかり。
こんなに眠くてだるいのに、結局放課後のチャイムが鳴るまで眠れませんでした。

「遙、大丈夫か〜?」
気がつくと、仁科君が横にいました。
「早退したほうがよかったかなぁ?」
仁科君がつぶやきます。ボクは、
「・・・どうせ迎えに来てもらうようだし、いいよ・・・もうだいぶ元気になったよ?」
ボクは腕をムキムキポーズして、言いました。
「あ、から元気・・・よくねーぞ、そーゆうの」
「・・・そうかな?」
仁科君は何故か胸を張って。
「疲れたときは疲れた!休むときは休む!そーしないとまたこんなんなっちまうぞ?」
にっこり笑って、言います。
その笑顔が、うれしくて。
「ありがと!じゃ、明日は元気になってこれるように頑張る!!」
「頑張るなよ!!」
こんなヘンなやり取りの後、二人して笑いました。
すると、先生が突然戻ってきました。
「あら、結構元気になったわね・・・自分で帰れる?」
「は、ハイ。大丈夫です」
「そう・・・睡眠不足はダメよ?特にあなた、見たトコ貧血気味だし」
・・・貧血気味とは、思いませんでした。
「もっと鉄分を取ること!これあげるから」
といって先生が手渡したのは、鉄分のサプリメントでした。
「月曜来たときにまたここで寝てるんじゃ大変でしょ?お互い」
先生は笑うと、面倒くさそうに隣のベッドの布団を直します。
・・・月曜?
「遙ぁ、今日金曜だぜ?」
・・・忘れてました。てへっ!
「まぁキミたち、折角だからお茶でもどう?」
先生が、お茶とおせんべいを用意してくれていました。
「あっ、先生マジ?やっりぃ」
「他のみんなには、内緒だからね?」
先生は口に指を当てて、笑います。
「ありがとうございます!」
それから、お茶を一杯いただきました。

外はすっかり夕暮れ。
「じゃ、そろそろ帰るか・・・大丈夫か?」
「うん、もうすっかり」
仁科君は、ボクの手をとって。
「・・・大丈夫か」
ボクは、繋いだ手を見ました。
なんかうれしくって、ボクは言います。
「仲良しこよしだね♪」
「お前、なかよしこよしって・・・」
仁科君も、繋いだ手を見ます。
そして、真っ赤な顔。
すると慌てて手を振り払って、
「うわ、ハズカシッ!オレ達小学生じゃねーんだから!」
そのあわてっぷりが面白くて、笑っちゃいます。
「あんたたち仲良いねー。友達大切にしなさい?それじゃ、さようなら」
先生がニヤニヤして言います。
仁科君は照れて、そっぽを向きます。
「先生、さようならー」
ボクは明るく手を振りました。先生も、手を振ります。
夕暮れの校門を二人くぐって。長く伸びた影ぼうし。

一つ、思ったことがあります。
人の笑顔を見るのは、とってもうれしいです。
でも、仁科君の笑顔と、雪乃先輩の笑顔は、同じ笑顔なのに違うんです。
仁科君の笑顔は、見てるこっちが明るくなってくるような元気な笑顔。
雪乃先輩の笑顔は・・・。
 まっすぐ見れないほどまぶしくて。
  とっても、照れ臭くって、
   でも、ソレがないと死んでしまいそうなほど、大切なもののような気がして。
・・・・・・うまく説明できないけれど。

校門からしばらく歩いていると、先輩たちにばったり会っちゃいました・・・・・・。
「あ」
雪乃先輩は、あっけに取られたような表情で。
その直後、ちょっと厳しい目つきになってボクに聞きます。
「遙クン・・・今日、休みじゃなかったの?」
ボクは先輩の雰囲気が少し怖くて。
「・・・保健室で、ずっと、休んでた」
うなだれながら、答えました。
雪乃先輩はボクを見て、次に仁科君を睨むようにじっと見て、またボクを見て・・・・・・。
「・・・かえろ」
目線を反らしたかと思うと、そっぽを向いたようにして、如月先輩に言います。
その口調は、少し苛立って。
「ゆ、雪乃ちょっと・・・」
如月先輩は心配そうに言います。
でも雪乃先輩は冷たく、
「いいから!」
と言って、すたすたと反対方向へ歩いていきました。
如月先輩はあっけに取られて、でもすぐに慌てて雪乃先輩を追います。
「ゆ、雪乃待ってよ!」
その振り向き様の表情は、申し訳なさそうで。

取り残された二人は。
「・・・・・・ゴメン」
うなだれる、仁科君。
「ちょっと、どうして・・・?」
ボクは良く分かんなくて、困って言いました。
「・・・オレ、お前休みだって言っちゃったし、それにオレが一緒んなって保健室で騒いでたらこんな時間になっちゃったし・・・」
本当に、すまなそうに、言うんです。
見てるボクの方が、悪い気になって。
「・・・ううん。仁科君のせいじゃないよ・・・元々、ボクが具合悪くなっちゃったから・・・」
そう。仁科君は悪くない。
ボクのせいなんだから・・・・・・。

少し気まずくなっちゃったまま、二人は別れました。
けれど別れ際、仁科君はいつもの調子に戻って、
「遙!また来週なー!!」
と、言ってくれました。
ボクも、やっぱりいつものように笑顔で返します。
「うん!またね!!」
そして、手を振って。
ちょっとうれしくて、でもやっぱり気が重いまま、家に入ります。

「遙、夕食は?」
「・・・いらない」
そして、学校でずっと休んでたことを言います。
お母さんは少し心配そうな顔をして、
「じゃあ、布団用意するから・・・早く寝なさい?」
と、やさしく言います。
ボクは梅干し茶をすすりながら、ぼんやりと待ちます。

やっぱり、身体のだるいのが取れなくて。
あの、雪乃先輩の刺すような視線が痛くって。
ボクは先輩を、傷つけてしまったのでしょうか・・・?
ごめんなさい。
本当に、ごめんなさい。

自己嫌悪で自家中毒になってしまったように気が重くなってくる。
いっそう、身体も重くなってきます・・・・・・。
先輩にどう謝れば良いのか、謝っても許してもらえるのか、そんなことが気になって、眠れません。
頭の中はグルグルしてきて。
でも、ふと、仁科君の台詞が頭をよぎりました。
「少し、休んだら?」
・・・そっか。
なるようにしか、ならないんだもんね。
先輩と仲悪いままになっちゃったら、ものすごくイヤだけど・・・。
ダメだダメだ、そんなこと考えたら。
それこそ、元気になって謝れば、いいじゃないか!
今のままじゃグチャグチャの中途半端だし。
いざとなったら、土下座でも女装でも何だってしてあげよう。
先輩のために。
・・・だから、今は忘れてゆっくり休もう。
ボクは、ぐっすりと寝ることにしました。眠れるかどうか、分からないけれど。

果たして、ボクは夜8時から次の日の夕方5時まで、ぐっすりと眠りこけてました。
ボクが寝てる間に、先輩から電話が合ったとお母さんから聞きました。
バイトの話・・・お母さんが具合悪いと、断ってくれたそうです。
そうしたら先輩、
「そっか・・・そうですよね、じゃあ明日も」
と、言いかけたんだそうです。
悲しそうな声で。
あぁ、ボク、先輩に酷いことしてる・・・。
でも、仕方ない、と思いました。
もう、決心は少しだけだけど固めたんです。
月曜日は、ボクに出来る精一杯の方法で、謝ろうと。

日曜日は良く晴れて。
ボクは、さわやかな風に起こされました。
ただいま、午前7時。
すっかり元気になって、気持ちもさわやかです。
久しぶりに、一人でゆっくり遠くに出かけようと思って。
普段着ない感じの服でおしゃれして、自転車であわてて家を飛びだします。
あぁ、今日は久しぶりに気持ち良い日だなぁ・・・・・・。

まずはなんとなくショッピングモールへ。
イメージチェンジのため、ちょっとおしゃれな伊達眼鏡を買ってみました。
試しにかけてみて、ちょっとドキドキしてみたり。
「お客さま、良くお似合いですよ?」
店員さんに声を掛けられてうれしかったのも、久しぶり。

それから近くのサンドイッチ屋さんで、フレッシュサンドを買って。
大切そうにサンドイッチの袋を抱えて、公園を散策します。
風と木洩れ陽が、気持ち良い。
木々のさざめきが、不思議な感覚をよびさます。
こんなの、本当に久しぶり。

それからショッピングモールに戻って小物をいくつか買って。
自転車のかごは、いろいろなものがいっぱいです。
ちょっと重たくなった自転車をふらふらとこいで、ボクはまた走り始めます。
町並みを流して、当てもなく走って。
たどり着いたのは、緑がみずみずしい土手。
川のせせらぎに、耳をすませて。
川のほとりだから、風もいっそう涼しくて。
ボクは土手の緑に、どかんと寝転びました。

空を、眺めてた。
流れる雲を、ぼんやりと。
青い空。
白い雲。
久々に、空の大きさを確かめるように。
そして、手のひらを伸ばします。
太陽に透かして。
・・・・・・ボクの手、小さいなぁ。
いつもはコンプレックスに思ってるのに、今日だけはなんだかその小ささもいとおしくて。
空って、大きいな。
ボクの悩み事、ちっちゃいちっちゃい!!

気持ち良く寝転んでると、ふと耳元で
「にゃぁ〜ん♪」
黒いねこが、ボクの隣に。
思わず、話しかけます。
「あれ、キミも?今日、気持ちいいよね〜」
「にゃん♪にゃん♪」
ねこ、ボクの台詞わかってんのかな・・・?
そしてボクとねこは二人、仲良く風にゆられて。
時々、ねこはボクの顔を見て。
ボクも、ねこを見ます。ヒゲがゆられて、かわいい。
するとねこは、ボクを見て一言。
「にゃぁぁ〜ん♪☆」
・・・わかんないよー?
じっと、顔を近づけると。
視線の先に、白いねこ。
あ、キミの恋人?
「にゃん☆にゃん☆」
するとねこはしっぽをピンと張って、その恋人らしい白ねこの元へピョンと走っていきました。
そして、お互いを毛づくろい。
うわ、仲良い〜。
まるで、先輩とボクみたい・・・・・・。
・・・あ。
アレ?なんで、そんな事が・・・ねぇ。
でも、本当に仲の良いふたり。
ボクも、先輩とあんなふうに、戻れるかなぁ・・・。
そしてふとよぎるあのカチューシャ。
そういえば、黒いねこみみだったっけ。
思わず、笑いがこみあげて。
「ばいばーい、またどこかで会おうねー」
仲むつまじく去ってゆくねこ達に、ボクは思わず声をかけます。
ねこ達は仲良くそろって返してくれました。
「にゃん♪にゃんにゃぁ〜ん☆」

ぐぅぅぅ〜。
お腹が勢い良く鳴ったので、サンドイッチを広げました。
あ、さっきのねこ達にもあげればよかったかな・・・。そんな事を考えながら、サンドイッチをほおばります。
うん、美味しい。
さわやかな場所で食べるから、美味しさ5割増・・・かな?
でも、ボクにはちょっと多すぎたみたい・・・。
あぁ、誰かいればちょうど良かったんだけどね。
・・・先輩、こういうの好きかなぁ?
仲直りしたら、今度は雪乃先輩誘おうかなぁ・・・?

・・・・・・汽笛?
どこか遠くから響いた気がして、目覚めた。
気がつけば、すっかり寝ちゃってたみたい・・・・・・。
もうすっかり夕暮れ。
汽笛の響いた方を見やると、とっくに廃路になった鉄道橋。
でも、確かに汽車が走ってた・・・。
小さなころ、お父さんとお母さんと一緒に、ここに来たことを思いだしました。

「おかーさーん、あのはしなぁに?」
「アレはね、機関車が走ってたのよ」
「そうそう、俺達よくデートのときに乗ったっけ」
「懐かしいわねぇ・・・」
「遙が生まれたとき、確かアレに乗って義母さんちいったっけ・・・」
「そうねぇ・・・あのとき遙、大泣きしちゃって」
「もうっ!恥ずかしいじゃないか」
「ハハハッ、むくれるなよ遙」
そのときの夕焼け、覚えてる。
「でもねぇ・・・確かお父さん、夕焼け見せたのよね。『ほら遙!きれいだぞ〜』って」
「・・・あぁそうだ思いだした!そしたらとたんに真剣になって見てたな〜」
「綺麗でしょ、っていったら遙、なんて言ったと思う?」
「・・・?わかんないなぁボクぅ・・・」
きょとん、としてた、遠い日のボク。
「『わぁ!まるで夕焼けみたいだね』って言ったんだぞ?あんときは俺も笑っちゃって笑っちゃって・・・」
「おかしかったわよねー・・・子供っておかしなこと言うものよね」
「あるある」
「もうっ!そんなこといわないでよ!」
「わりぃわりぃ、むくれんな遙ー」
「でも、かわいかったんだから」
そして、二人は向きあって。
とっても仲良さそうに、思い出話に花が咲いて。
ちょっとさみしく、いじけてその橋を見ていたら。
「ねーおかーさん!おとーさん!きしゃ!!」
そうだ。あのときも、大きな汽笛が響いて。
「・・・!?ホントだ・・・・・・」
「あら、ウソ!?」
そして走る、大きな機関車。
三人して、あっけに取られて。
「・・・・・・素敵だなぁ」
誰の、台詞だったッけ?

・・・どうして涙がでてくるんだろ。
なつかしいから?それとも、あのときのことを思いだして?それとも、違うなにかなのかな?
夕焼けの広い土手にボクは一人てらされて。
そして走る、幻の汽車。
あの日と、おんなじ。
いつまでも、いつまでも、その姿がすっかり見えなくなって、そして立ち上る白い蒸気が霧散しきってしまうまで、ボクはずっと眺めてた。

あー、みんなにも、見せたかったなぁ。
そしてまた、見たいな・・・・・・。
雪乃先輩と、いっしょに。

それからボクは、また町に戻って。
なんだかヘンなもやもやが残ってて、ソレを吹き飛ばそうとゲームセンターに立ち寄った。
本当はガンシューティングをやろうと思ったんだけど、気がつくと先輩が言っていたゲームにコインをいれてました。
キャラクター選択で、あの男の子を選んで。
・・・そっか、コレはパイロットなのか。
どうみても男の子には見えない青いレオタードの男の子駆る青いロボットを動かしてみるけれど、良く分かんない。
適当に弾を撃ってたんですけど、いきなり対戦を申し込まれて、眼鏡のお兄さん駆るごっついキャノン砲を持ったロボットにボロ負け。
その相手は、次に割りこんできた人に負けてしまいました。
その様子を見ていると、さっきの対戦相手とおぼしい人に声を掛けられました。
「あ、キミ初めてだった・・・?悪いね」
「いえ、そんなことないです・・・でも、難しいですね」
画面を見ると、弾がいっぱい、それこそ避けきれないほどに発射されています。
・・・・・・無謀だったかぁ。
「しっかしさっきは凄かったぜ・・・キミと同じツィーランで50連勝してた女の子がいたんだ」
・・・ご、50連勝!?
「もう凄いのなんのって。俺ファビアンとペルナで挑んだんだけどさぁ、完全に動き読まれて・・・太刀打ちできなかった、ハハ・・・ありゃ神級だね。だってお互いバニッシュで俺フルゲージでFボス発動したのに、全部弾避けられちゃってさぁ・・・ビビった」
・・・このゲーム、あんまり良く分からないけど、とにかくあと一発食らったら負けという状況で、このものすごい弾幕を抜けてしまったんだそうです。
「ありゃありえない。マジありえない。しっかし綺麗なコだったなぁ・・・。」
う〜ん。世の中にはものすごい人もいるんだなぁ。
・・・う〜ん?いや、一人なんとなく心当たりがあるんですが。
「あのランキング一位の『SNW』って人・・・しっかりタコもブッ倒してった」
・・・SNW・・・SNOW・・・・・・。
ハハハ、まさか・・・・・・ね。

外はすっかり真っ暗。といっても、まだ7時前でしたけど。
家に帰ると、お母さんはすこし心配してたみたいです。
「ただいまー」
「あら遙・・・すっかり元気になったのね?」
「うん。もう大丈夫」
「あんまり心配かけないでよ?」
「はぁ〜い」
・・・心配かけてごめんなさい、お母さん。そして友達のみんな。
ボクはもう、元気になりました。多分。

今夜もぐっすり眠れそう。
夢も見ないくらいに。
明日は、大丈夫かなぁ・・・・・・。

次の日の朝。
制服をいれた袋を持って、昨日買った伊達眼鏡をかけて。
元気に、いってきまーす!!
「あら遙・・・朝ごはんも食べずに、大慌てね・・・・・・」

いつもの道で、先輩とばったり。
ボクの中の気まずい気持ちも吹き飛ばして、挨拶します。
「先輩!おはよーございまーすッ!!」
「あー、遙クン・・・」
先輩は一瞬、気まずい表情でしたが・・・・・・。
「あぁ〜ハルカぁ!?うわっ・・・」
見たこともない、ビックリした表情で。
「・・・・・・ど、どうしたの?遙くぅん・・・・・・ごめんね?先週は本当ごめんね?」
そして、すぐ泣きそうな表情になっちゃって。
・・・ごめんなさい、予想外でした・・・。
「でも、ハルカ・・・ど、どどどど〜して!!?」
先輩は、泣きがおとも困惑ともうれしいような表情とも笑ってるとも呆れてるとも取れるような取れないような、とんでもない表情で!!
「・・・・・・こう言うとき、どういったら良いのかしらぁ・・・」
ボクはスカートのすそを押さえながら、頭を下げました。
「ゴメンなさいっ!もう、あんな酷いことしません!だから・・・」
「・・・そ、そんなことよりぃ・・・」
先輩は顔が真っ赤です・・・・・・。
「だから、ボクと、その・・・仲直り、してもらえないでしょうかッッッ!!?」
先輩は、なんだか呆然とした風でだまって、でもなんだかとってもうれしそうで・・・。

「アレ?お前ひょっとして・・・」
仁科君の声です。
「ちょ・・・お前、どーしちゃったんだァ!?」
「・・・ハルカぁ・・・・・・」
あれ。
「ゴメンなさいッ!!!」
突然、先輩はボクをぎゅッッッッと抱きしめて。
はぅ、これは・・・・・・。
「わ、わたしも悪かったよぉ・・・だって、ハルカこんなに追い詰めちゃったなんて・・・・・・本当に、本当に・・・・・・」
抱きしめられてるうち、ボクの方がドキドキしてきちゃって・・・・・・。
「ちょっと・・・おい、お〜い・・・・・・」
仁科君置いてけぼりで。
「あぁもうなんてコなんだろう・・・わたしのほうがあんなに酷いことしちゃって・・・もぅ・・・」
先輩の声は、ものすごくやさしくなってました。
「・・・おいおい、朝からこんな熱烈かよ・・・ってか、遙、その格好・・・」
ボクは抱きしめられっぱなしで仁科君のほうをやっとこさ向いて。
「先輩からもらったの。これ・・・」
「えっと、ちょっとまてよ・・・」
「ハルカぁ・・・ごめんねぇ・・・・・・」
「あれ、雪乃?それに仁科君と・・・・・・!!?」
如月先輩が、通りかかります。
「えぇ?雪乃・・・そのコ・・・遙君が怒るよぅ・・・!?」
「それにしてもハルカ、リボンも似合うねぇ・・・眼鏡はいらないけど・・・」
「・・・井上、くん・・・?」

・・・・・・精一杯のこと。
やっぱり、先輩の好きな、可愛い格好かな、と思ったんですが・・・・・・。
やりすぎた、かなぁ・・・?

登校途中、ボクはバレないかなぁとずっとひやひやしていて。
先輩は、ボクにくっつきっぱなしで・・・・・・。
仁科君まで、顔が赤いし・・・。
如月先輩は、もはや呆れ果ててます。
「えっと、雪乃も、井上君も、バカね。この上なく、どうしようもなく、史上最強の、とんでもないバカバカバカ・・・」

まぁ、そのあとは、なんとか授業開始前までになんとか男子の制服に着替えて難を逃れたんですけど。
そして、何事もなかったかのように、いつもと同じで。
屋上で会った雪乃先輩、今度はとんでもなく浮かれてたけど。

「ハルカぁ〜実はこれ昨日作ったんだぁ〜♪」
タータンチェックのかわいい服・・・どこかで見たことあるような・・・・・・。
「き、昨日の50連勝の余波ですか?」
ボクは、あんまりの先輩のうれしそうな様子に恐る恐る聞きました。
「ウンッ☆もうねー、昨日は遙クンのことばっか考えててむしゃくしゃして50連勝してねー、それから家に帰ってやっぱり遙クンのことが頭から離れなくってどーしようもなくって眠れないからよし!折角だからわたしは遙クンのために頑張ってツィーランの服作っちゃうぞってそれからそれから・・・・・・」
「せ、せんぱぁい・・・」
・・・ソレはボクのためじゃなくって、先輩がやりたかっただけじゃ・・・・・・。
「でもねでもね?まさかハルカがあんな格好で来ちゃうなんて思わなかったし、それに・・・あぁもうハルカぁーッッッ!!!」
「せ、せんぱぁい!!」
また先輩はボクに飛びかかって抱きつきます・・・・・・。
如月先輩と仁科君は呆れ果てて。
「なにあのバカップル」
「ほっときましょーよ・・・」
「あ!仁科ぁ・・・元はと言えばキミが!!」
そうだ。今回の主犯は間違ったこと言っちゃった仁科君じゃないか!
思わず、ボクは仁科君をじーっと見つめます。
雪乃先輩も。
「にぃーしぃーなぁー!?」
「ご、ゴメンなさい!?お、オレが悪かったっす〜!!?」
「ハハ、今日も相変わらず騒がしいね・・・俺も気になっちゃうじゃないかぁ?」
唐突に、大鳥先輩まで掛けつけます。
「人の恋路を踏みにじった罪は重いなぁ?」
大鳥先輩がにっこりと笑って。怖いです。
「な、なんでオレがぁ〜!?」
仁科君、ゴメンなさい。
あ〜、くすぐり地獄怖い。

放課後。
「じゃあ、マスターのお店に遊びに行きましょう!!」
雪乃先輩の鶴の一声で、マスターの喫茶店にみんなで行くことになりました。
先輩の不敵なニヤニヤ笑いが、この上なく気になります・・・・・・。
そういえば、先輩のこんな笑顔、見るの久しぶり。

こんなにぎやかなマスターのお店、見たのは初めてです。
マスターもビックリ。
「お、おう雪乃チャン・・・すげえ連れてきたなぁ、ハハッ!!」
「うお、すっげえごっついオッツアン」
仁科君、初対面のマスターに物怖じせず失礼なことを・・・・・・。
「ガハハ、御挨拶だな!お前は誰のクラスメートなんだ!?」
「遙のッす」
マスターは仁科君とボクをまじまじ見比べて。
「やっぱ遙チャン、幼いなぁ!!」
・・・人が気にしてることをぉ。
ちょっとむくれて、
「マスター!そんな言い方ないんじゃないですか?酷いよぅ・・・」
「遙チャンは可愛すぎなんだよ!」
「うんうん。井上君はかわいいよ・・・うらやましい」
人もうらやむ格好良い大鳥先輩がうなずきます。
「なんだこの色男!?」
マスタ―、時代かかった表現で。
「わたしの友達の大鳥君〜。かなりのイケメンなんですけどねー・・・」
雪乃先輩が含みを持たせていいます。
「ほ、堀江さん・・・?」
大鳥先輩の困惑した表情も珍しいです。
「で、そっちのかわいこチャンは!?」
「はじめまして、如月明日香と申します。雪乃さんの友達です☆」
如月先輩は、明るく挨拶しました。常識人・・・・・・。
「良く出来たコだなぁ!そこのボウズ、ちったぁこのおねーさんを見習え!!」
「エェ!?オレですかぁ?」
仁科君があっけに取られて言います。
「お前以外に誰がいるってんだ!?ハハハハッ!!!」
「まぁ今回の雪乃と井上君の一件、このコの責任ですからね〜」
如月先輩が強烈な釘一刺し。
「お前かぁ・・・ウチのバイト二人とも休ませたのは!!」
あ・・・先輩も、休んじゃってたんだ。
・・・でも、販売車での営業は平日『マスターの気が向いたとき』しかやらないんですけどね・・・。金曜日だけ、かな。
「ご、ごめんなしゃーい!!」
「ちがーう!!『しーまシェーん』だ!!」
・・・何が違うのかわかりませんよぅ。

コーヒーが人数分出来た、ということでボクと雪乃先輩も配るお手伝い。
「うわ・・・良い香り〜」
如月先輩が、驚いたように言います。
「どうだ!飲むともっとうまいぜ!?」
「何しろ、マフィアのドンの拳銃を収めたコーヒーですから♪」
マスターのコーヒーの香りを誉められて、思わずボクが誇らしげに言います。
「ちょっと〜・・・いやぁ照れるなぁ」
マスターの照れがお、珍しい!
みんなコーヒーを飲むと、思わず黙りました。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
全員のコーヒーカップが空になるまで、沈黙は続きます。

「・・・うまい」
「おいしい・・・・・・」
「だろ!?俺サマ自慢の一品だぜ!?」
「これしか出来ないんだけどね〜♪」
マスターの自慢に釘をグサリ、と雪乃先輩。
「雪乃チャ〜ン、そりゃないぜ・・・」
眉をゆがめるマスターに、思わずみんな笑います。
「・・・・・・で、今日はこんなに集まってなんなんだい!?」
「新作〜」
・・・あぁ、アレだ。
雪乃先輩は、件のタータンチェックの服を出しました。
「ハハハ、それ雪乃チャンが作ったんかい!?」
「うん。可愛いでしょ〜」
先輩、ものすごくニヤニヤ。
で、やっぱりボクが着せられるんですねぇ・・・・・・はぅ。
「じゃあ遙チャンが着替えてるうちに、コイツでも食ってな!」
どうも、クレープを配ってるみたいです。
あぁ、ボクも食べたいのにィ・・・・・・。
しかもこの服、おへそ丸だしじゃないですかぁ!!?
「あ、遙クン、カチューシャ持ってきた?」
あの、ねこみみの。
「・・・・・・きちんと持ってきてますよぅ?クレープ、ボクの分ありますか・・・・・・?」

あの。
コレは・・・・・・。
さすがに恥ずかしいんですが・・・・・・。
「うほ、ねこみみ!!」
「遙、へそが・・・」
に、仁科君顔が赤いですよ!?
「俺には似合いそうにないな・・・・・・」
大鳥先輩、あなたにはこれが似合う必要ないです・・・格好良くってうらやましいなぁ・・・・・・。
「へー、これ雪乃が作ったの〜?クオリティ高いねー」
如月先輩は、服のほうに注目してます・・・よかった・・・と、思ったのですが。
「にしても!井上君きれいなお腹してるねー、女の子みたい・・・」
うわぁぁぁぁぁぁん!ボクだって六つに割れた腹筋に憧れてるのにィ・・・・・・。
「思った通り!やっぱ可愛いの似合うわぁ・・・・・・」
雪乃先輩、目がヘンです・・・・・・。
そしたらやっぱり、先輩はボクに抱きついてきて。
もう、この格好も恥ずかしいし、ボクどうすれば良いんですかぁ!?
「ハルカぁ〜やっぱかわいい・・・・・・」
先輩、ものすごく幸せそうな表情です・・・・・・。
ボクも、うれしいですけど・・・・・・。でも、これは。
「遙チャン、今度この格好でバイト出るか!!」
マスターまで、うれしそうに言います。
「勘弁してくださいよぅ・・・・・・」
「ハルカぁ、かわいいんだから自信持ちなさぁい☆」
といって、雪乃先輩はボクに頬ずりするんです!!
うわ、先輩のほっぺた、やわらかい・・・。
すっごい、ドキドキして、目が、まわるぅ・・・・・・。
「コレで付き合ってない、なんてありえないよねぇ・・・」
しらけた目で如月先輩は言います。
「なぁに?文句ある?明日香ちゃぁん?」
ボクにほっぺくっつけたまま、ちょっと怖い口調で言います。
「いえ?別に」
如月先輩もニヤニヤ。
「うんうん、仲良きことは美しきかな・・・」
締めの台詞を、大鳥先輩。この光景、女子が見たらビックリですよ?大鳥先輩のファン、多いんですから。FCまであるとか・・・。
そして、仁科君は顔を赤くしっぱなしで。
「オレもほおずりしてえ・・・」
「・・・雪乃と?」
「いや、遙」
に、仁科君!!?
そうしたらすかさず雪乃先輩、
「じゃあしちゃえば?ほらほら!でもハルカはわたしのだからね〜」
・・・・・・せ、先輩!?
ドサクサにまぎれて、ものすごいことを!!
はぅ、意識が遠のきます・・・。
クラクラ。
「あぁ、井上君!?」
「おい、遙チャン!?」
た、倒れちゃいました・・・。
しかも、仁科君本当にほおずりしてます・・・。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!?

なんだか、ものすごくどたばたしてて。
でも、あっという間のようで。
「もうお前ら、10時だぞ!?いい加減親御さんも心配するだろうから、帰った帰った!」
マスターの一声で、きゃいきゃいやってたボクたちは現実に引き戻されて。
みんなでお礼を言ってから、お勘定、と思ったら。
「いいよいいよ!今日は楽しかったしな!!」
・・・・・・時々、マスターの商売ッ気なさが気になっちゃいます。
そしてボクたちは、ばらばらと家路につきます。
先輩とボクは、一緒の方向で。

「遙クン?金曜日は、ホントゴメン・・・」
先手は、雪乃先輩。
「イヤだったよね?ホント、ホントゴメン・・・・・・」
「こっちこそ、ごめんなさい」
さっきから、謝りどおしの先輩が、無性に切なくて、いとおしくて。
「・・・・・・先輩?」
ボクは、あなたのことが、大好きです。
なぜか、喉まで出かかっちゃって・・・・・・。
顔がまた、真っ赤になって、息が詰まりそうになって・・・・・・。

「いいよ、やっぱりわたし、ハルカが大好き」
あれ?
どうしたのでしょう。
混乱します・・・。
「土日と考えたんだぁ・・・・・・やっぱり、ハルカがいないと、ものすごくさみしくて、切なくて、悲しくて・・・・・・辛かった」
先輩が、独白します。
「でも、やっぱりわたし、ハルカが大好きで・・・・・・なんで、あんなこと言っちゃったんだろ」
先輩は、顔を赤くして、でもうれしそうに言います。
「ハルカ、ハルカ、ハルカ・・・・・・」
えっと、えっと・・・こう言うとき、
 ボクは、どうすればいいんでしょう!?

「あぁもう、上手くまとまんないよぅ・・・」
先輩は本当に混乱しているみたい。
ボクは冷静なんだけど、声が出なくって、胸がものすごく痛くって・・・。
あれ?
さっき、先輩なんて言ってたんだろ?
冷静なはずなのに、さっきのことも思いだせない・・・・・・。
そのうち、ひとりでに涙なんか出てきちゃって。
・・・・・・・・・ボクのバカ。
意気地なし。泣き虫。ほんっとうに、バカバカバカ。

「・・・・・・ハルカ?」
気が付くと、ボクの頬はすっかり濡れて、しゃがみこんで泣いていました。
まるで、小さな子供みたい。
どうしてだろ?
「ハルカ・・・わたしのこと、スキって、いってくれたよね・・・・・・」
そうだ。
あの言葉、喉の奥で詰まってなんかいなかった。
そうだ、ボク、大声で叫んでたんだ。
自分が気付かなくなるくらい、大きな声で。
それで、すっかり気が抜けて・・・・・・ハハッ、これじゃホントに子供だよぅ・・・。
そして、静かな世界にぽつん、といるみたいで。
でも、先輩は?

「ハルカ・・・大丈夫。わたしは、ここに、いるよ?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キミの、すぐそばに」

ちゅっ。

先輩の柔らかい唇が、ボクのすこし乾いた唇に重なりました。
その瞬間、ボクの胸は爆発しそうになって。
時間が、止まったみたい。
世界はすっかり静かになって、ボクたち二人だけみたい・・・・・・。

・・・ゴメンなさい。
ここから先、ウチまで何を話して帰ったのか、本当に覚えてません。
ただ、先輩がずっと手を握っていてくれたことだけは、覚えていて。
あの手の、ぬくもり・・・・・・・・・・・・。

「もう、遙クンってばとんでもない忘れんぼ・・・・・・」
ウチの前で、先輩のいたずらっぽい台詞で、我に帰りました。
先輩はあの、大胆不敵な満面の笑みで。
「遙クン!?というわけで、キミはほんっとうにわたしのもの!!」
・・・・・・うれしくて、もう、ボクはなにも言えなくて・・・・・・。

ただ、ボクは、せいいっぱいの笑顔で。

ぎゅっ。

先輩は、雪乃先輩は、ボクを、ぎゅっ、と、強く、強く、抱きしめて。
そのとき、ボクも初めて、先輩を抱きしめた・・・というより、先輩に抱きついた。
「そういえば、遙クン、わたしに抱きついたの、はじめてだよね〜」
いつもの調子で、言うものだから。
ボクは、とんでもなく顔が熱くなっちゃって。
「せ、先輩はいつもですけどね、ボクは、ボクは・・・ッ!?」
更に強く、抱きついて。
「・・・ハルカ・・・・・・もうねぇ、大好き」
耳元で聞く先輩の声があんまりに素敵で、
「せんぱぁい・・・もう一回、お願いします・・・」
「甘えんぼさんなんだから☆・・・大好き、大好き、大好き」
うわ、そんなに、言わないで・・・もう、ボク、溶けちゃいますから・・・・・・!?
そして先輩はさらに、言います。
「・・・・・・絶対に、放さないから・・・ハルカ、ハルカ、ハルカ・・・・・・・・・・・・」

ハルカ、ハルカ、ハルカ・・・・・・・・・・・・。

もう、この熱病は、治ることはないでしょう。
不治の病、千年の恋、永久の誘惑、そして永遠の誓い・・・・・・なのかな?
でもあなたも、おんなじ病気、だったのですね?
だったら、ボクが泣き張らしてすごしたあの夜の数々も、きっと無駄ではなかったのですね・・・・・・。
魂まで奪われっぱなし。
もう、戻る必要もないけれど。


「おはよー、遙クン!!」
次の日も、相変わらずの先輩とボク。
あの劇的?な告白劇も、結局いつもの通りの日々につながるわけでして。
そしてボクも、振り向いて言います。
「おはようございます、雪乃先輩!!」

ちなみに、結局伸びた髪は毛先だけそろえてもっと伸ばしてみようと思っています。
なんとなく、なんですけど。

---------------------------------------------------------------------------―――――――
「なに、あのバカップル。」
「結局告白したとかしねーとか関係ねーじゃん!!」
「・・・でも、ちがうのさ。アレだよ、いくら親しいと思っていても、なかなか本音は言えないものだよ?」
「お、経験者は語りますね?」
「人気者は辛いよなぁ・・・・・・」
「俺にも、人には言えないようなことがあるものさ・・・ところで仁科君、堀江さんにやきもち妬いてない?」
「うわ、んなわけねーッすよ!それじゃオレ、ホモじゃないッすか!?」
「人の恋路にルールはないさ・・・・・・」
「でもねぇ、あの二人見てると、絶対に邪魔しちゃいけないと思うのよねー・・・・・・」
「・・・・・・まぁな」
「うらやましいのかい?」
「そりゃあ・・・オレだって、あんな恋、してみたいッすよ」
「まぁ、女装する必要があるけどね☆」
「ソレは無理です・・・ハハッ」
「俺は無理じゃないぞ?」
「「!!??」」
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32.
あのときの先輩の言葉が、うれしくって。
「ハルカ、ハルカ、ハルカ・・・・・・」
耳に、残りっぱなし、リフレイン。

雨の日、ボクだけ傘を忘れて先輩とあいあい傘。
ふと、先輩が、つぶやくんです。

雪乃:ハルカ・・・
遙:なんですか?いきなり・・・
雪乃:(気付かないで)・・・ハルキ・・・
遙:・・・カドカワ?
雪乃:ハルク・・・(相変わらず気付かない)
遙:(戸惑って)・・・超人・・・?
雪乃:・・・ハルケ・・・・・・?
遙:い、意味が分かりません・・・^^;
雪乃:ハルコ・・・・・・・・・ハルコ・・・
遙:せ、せんぱぁい・・・さっきから、なんなんですかぁ!?
すると先輩はハッとひらめいたように顔を上げて。
でも、授業中寝てて先生に突っつかれたような表情にも見えます。
雪乃:は、ハルコンネン!?
遙:なに、いうとんねん!!




33.
かくして先輩とボクは正式にお付き合いすることになったんですが・・・・・・。
雪乃先輩のこと、正直良く分かりません。


「雪乃ってさ〜、良く考えたらヘンタイだよね」
思いだしたように、明日香は言う。
「へ、ヘンタイ!?このわたしが?」
「彼氏に女装させて喜んでるなんて、それヤバイよ・・・」
むず痒い表情の雪乃。
「まぁ、相手があの井上君だから、ギリギリ・・・って感じかな」
「・・・だってハルカ・・・かわいいんだもん・・・・・・」
すねた顔で、雪乃がつぶやく。
「まぁ、ね・・・アレはちょっと妬ける」
「男の子に嫉妬?」
「だって、男なのにあんなかわいいんだよ?おかしいって・・・」
「そうかなぁ」
妙なやり取りは続く。
「でもまさか堀江さん、ショタコンだったとはねぇ〜」
明日香、ニヤニヤ。
雪乃は首を振って、
「違うよ・・・遙クンだから、そういうこともしてみたくって・・・」
「傍見にはかなり年の差のきょうだい・・・いや姉妹かな?」
「だぁかぁら〜」
・・・事実、井上遙少年は背も低く、童顔で、色白の細身。美少年、と言うにもなんだか語弊のある容姿ではある。
「・・・弟、みたいだったのかな。最初は」
思いだしたように、雪乃。
「でも、今は?」
明日香の問いかけに、
「今は、遙クンがいない生活なんて考えられませ〜ん!!」
と、思いっきり赤面して、デレデレした表情で。
「あぁ、こりゃもう重症だわ」

すると、件の少年が通りかかる。
「あ、雪乃先輩、如月先輩、こんにちは〜」
「ハルカぁ!!」
声を聞くなり、飛びついて。
困惑の表情の遙。でも、うれしそう。
「せ、せんぱぁい・・・人が見てますよぅ・・・」
顔を赤らめる少年に、
「い〜のい〜の。見せつけちゃえば☆」
と、、不敵に笑う。
そして、遙の顔をまじまじ見つめる。
くりくりした目、栗色のふわふわした髪。
男にしてははっきりしない、中性的な顔立ちで色白の。
なるほど、愛らしい。
「・・・うん、うん。やっぱりかわいいや・・・」
「?どうしたんですか、先輩」
「ん?なんでも?ただ、かわいいなぁ・・・って」
というなり、更に強く抱きしめて。
遙は、少し苦しそうに顔を歪めた。
「せ、先輩ってばぁ・・・・・・」

「なるほどね。ダメだこりゃ」




34.
クラスでは孤立しがちだったボクも、もう2月も経てばすっかりなじんでました。
特に家庭科の調理実習では、女の子たちに引っ張りだこだったり。曰く、エプロンが似合うとか・・・なんなんでしょう?
そして、普段は仁科君と一緒にいることが多くって。
でも彼、人気者だからいろんなところに引っ張りだこで。
一方、男の子たちには相変わらずからかわれっぱなしなボク。
人気者といじめられッこの2ショットは、なんだかヘンに写るみたい。ボクが一番、ヘンに思えて仕方ないですけど・・・。

「仁科ー、サッカー行こうぜえ?」
「いや、今日はオレ、遙と屋上行くわ」
「付きあいわりいなー・・・あんなヤツ、ほっとけば良いじゃん」
「あのなー、今日は遙といるッつってんだろ」
ボクが教科書を片付けていると、なんだか向こうが騒がしい。
仁科君と、男子連中がもめてます。
「あんなオカマヤロー、ほっとけよ」
別に、ボクはそう言われるの、なれてますけど・・・・・・。
でもその一言が、仁科君の逆鱗に、触れてしまって。

「てめえッ!」
仁科君は突然怒鳴り、ボクをからかった男子の胸ぐらをつかみます。
仁科君の顔は真っ赤で。本当に、怒ってました。
「・・・なんだよ」
胸ぐらつかまれた男子は、憮然と言います。
「ダチを馬鹿にされたから、ムカついてんだよ」
ものすごい剣幕の仁科君。
辺りは騒がしく、一触即発の雰囲気。
その場は先生が来て、
「おいお前ら!なにやってんだ!?」
「・・・いえ、なにも」
「やってねーよ!!」
・・・一旦は、収まったのですが。

昼休みの、屋上。
「でよ〜・・・そんな言い方ねえよなぁ・・・」
仁科君が、ぼやきます。
「だってオカマヤローだぜ!?ふざけてる・・・なぁ、遙」
ボクは、なにも言えなくて。
雪乃先輩は、酷く憤慨しています。
「まったく・・・!ウチのダ〜リンになんて事・・・フン、どうせそんなこと抜かした連中サル山のサルみたいな連中なんでしょ?馬鹿馬鹿しい・・・」
「雪乃ったら口汚ない・・・でも、ソレはないわよ、あんまりだわ!」
如月先輩も、同調して。
「・・・ハルカは、黙ってたの?」
雪乃先輩、心配そうに、ボクの瞳を覗いて。
「うん・・・だってもう、なれてるし」
あきらめてます。
でも先輩、そんなボクの様子を見て余計に。
「あ〜もう!遙クン悔しくないの!?もう、あったま来るゥ〜・・・そいつらのところに殴りこんでやろうかしら」
先輩は、一件か細い腕をまくって拳を振り上げます。
雪乃先輩の鉄拳、こうみえてものすっごく怖いんですけどね・・・・・・。
「いや、コレは・・・オレたちの問題なんで、いいッす」
仁科君、すこしうなだれて。
「でもよぉ・・・遙そんなふうに言われたら、オレ、あったま来ちまう・・・」
「仁科君・・・・・・」
なんだか、申しわけない気持ちになって。

次の日。
そのときは自習で、もうみんな課題もあらかた終えてしまって、きゃいきゃい騒いでます。
「なぁ遙、これわかんねーんだけど」
「ん・・・?あぁコレ?これはね、このページの・・・」
まだ終わってない仁科君を手伝って。
すると、昨日もめた彼らが、仁科君に突っかかってきます。
「おい仁科、また井上かよ」
さすがにボクもムッとしたのですが・・・。
「てめーよー、昨日はふざけた真似してくれたじゃねーか」
相手、全然溜飲下がってません。
「馬鹿にしてんじゃねーよ」
苛立ちに顔を歪める男子。でも仁科君はシカトして、課題を続けます。
ボクは、心配そうに、見守るだけ。
「オイ仁科ぁ!シカトしてんじゃねーぞコラァ!?」
先に手を出したのは、相手でした。
突然つかみ上げて、拳を振り下ろします。
一瞬のことで、あっけに取られて。

別にボクはなんて言われたってかまわない。
だけど、友達が、ソレもボクのせいでこんな目にあうのは・・・。
・・・怒りで、手足が震えてた。

「やめろよッッッ!!」
とっさに、声が出て。
でも怖くて、手足は血の気が引いて震えて。
案の定、今度はボクに矛先が向きます。
「なんだテメーはよぉ・・・お前みたいなオカマヤロー見てると目ざわりなんだよ、イライラすんだよ!!」
「ふざけんな・・・」
怖いのを置き去りにしたように、ボクは口走ってました。
眉間にはしわがよって、頭には血が昇る。
「ボクのことなんて言ってもかまわないけど、仁科君にそんな酷いことするなんて許せないんだからな!!」
震えた、なよっちい声だけど・・・。
こんなに頭に来たのは、久しぶりでした。
「ッなんだとぉ!?テメー生意気なんだよ!!」
彼はそう言うなり、ボクをブン殴りました。
身体がすっとんで、後ろの机をいくつか倒していきます。
口の中は切れて頬が腫れてきて、身体も机にぶつけて、いたい・・・・・・。
涙が、出てくるけど。
「遙ぁ!!?」
仁科君は起きあがるなり、ボクに気が付いて。
「おい、大丈夫か?しっかりしろ・・・」
「・・・いたた・・・でも、大丈夫・・・」
でも痛くて怖くって、涙が出てきてしまいます。
情けないけど。

「てめえ等・・・・・・いい加減にしろよ」
こんな怖い表情の仁科君、はじめて見ました。
声は噛み殺したように、怒気を含んで。
そして身体が、震えてました。
本当に、堪え切れない怒りが・・・。

「なんだよ、テメーら出来てんのかよ・・・ホモかぁ!?」
相手もすっかり頭に血が昇ってます。
にやにやイヤな笑みを浮かべて、顔を引きつらせて。
・・・その引きつった笑顔に、仁科君の拳が叩きこまれました。
相手の口から、血が飛び散って。
ものすごい勢いで、相手はふっ飛んでいきました。
「仁科君ッ」
ボクはとっさに声をかけます・・・けれど、彼には届かなくて。
「黙ってりゃあさっきからいい気になりやがってよぉ・・・ブッ殺してやる」
仁科君はマウントポジションになって、相手を殴りつづけようとします。
・・・ボクは、そんな仁科君が、見たくない。

「遙!?」
「井上君!!?」
周りから、どよめきが。
ボクは仁科君を後ろから、止めようとしました。
「・・・・・・!!」
でも仁科君の振り上げた拳が、ちょうどタイミング良く顔面に当たっちゃって、今度は鼻を打っちゃいました。
鼻血がでて、痛いけど・・・
「仁科君!止めてよぉ・・・」
痛いのと、仁科君がこんな状況で辛いのとで、泣きながらボクは言いました。
それでも殴りかかろうとする仁科君を、ボクは手をつかんで止めようとして。
・・・・・・。

「あ・・・遙ぁ」
仁科君の、気の抜けた声。
そして、振り上げた手をだらん、と下に降ろして。
「・・・遙、ゴメンなぁ・・・?」

ものすごく、イヤだった。
すぐに先生が来て、ボクと仁科君、そしてボクをからかった男子は職員室に呼びだされました。
目撃者数人も同行して。

「・・・で、いったいコレはどう言うことなんだ?」
憮然とした仁科君、同じく納得いかない男子、そして痛くって涙目のボク。
「・・・コイツが、遙からかって、それからブン殴ったから、それで・・・」
先生は腕を組んで、う〜んとうなりました。
「でもなぁ、仁科・・・コレはないだろう?」
「だって先生!遙、『オカマヤロー』って言われたんですよ!?オレ、もう、あったま来ちゃって・・・」
「なぁ秋山。お前本当に、井上にそんなこと言ったのか?」
ボクをからかった秋山君、少しだけ罰が悪そうに。
「・・・・・・はい、言いました」
でも、納得してません。
「井上、そんなふうに言われて、イヤだったよな?」
突然、ボクに話題が振られてビックリして。
「ふぁ、はい・・・でも、慣れっこだし、それに怖かったから言い返せなくて・・・」
こんな貧弱なボクじゃ、迂闊に口応えしたら殴られそうなんだもん。現に殴られたし・・・。いたたッ。
「ケンカしなさそうだモンな、井上。でも、仁科を止めたんだって?」
先生は、ボクにやさしく言います。
「は、ハイ・・・。だって、友達がこんなになっちゃって、ものすごくイヤだったから・・・・・・」
仁科君はハッとして、ボクの方を見ます。
仁科君、青あざ出来て、酷い顔。
「・・・遙・・・」
「井上いいヤツだなぁ。それにひきかえお前等馬鹿二人は・・・。反省してるのか!?」
突然、先生の怒鳴り声。
ビクッ、と来ちゃいます。
「秋山も秋山だが仁科も酷い!友達が馬鹿にされて腹立つのはわかるがなんでそこでとっくみ合いになるんだ!?」
「いや、オレ秋山に殴られたんスよ・・・それで止めろっていった遙まで、ブン殴るから・・・」
そうだ。仁科君は悪くない・・・と、思う。
「じゃあなんだ・・・秋山、最初にお前が二人をブン殴ったのか・・・」
「・・・ハイ」
ようやく、自分の非を認めたみたいに。
秋山君、ものすごく罰が悪そうで。
先生は意外にも、あっけらかんと言いました。
「じゃあ殴られても仕方ないなー。まぁ、今日はもういい。仁科と秋山は反省文、レポート用紙5枚な」
意外と冷静な、大岡裁き。
「あ、先生、オレもですか?」
仁科君が聞きます。
「お前も悪いんだぞ?友達思いとはいえ、それでブン殴っちゃかなわないからな・・・だから、レポート提出」
「へーい」
仁科君、ちょっとバツが悪そうに。
そして秋山君は少しなにか考えてたようでしたが・・・・・・。
「・・・?秋山、どうした」
すると秋山君は、涙目で、仁科君に向かって。

「仁科ぁ・・・ゴメンな?それに、井上・・・からかったりして、ゴメン、本当」
いままでの悪態がウソみたいな、素直な謝罪でした。

やっと解放されたとき、もう昼休みも半分を過ぎていて。
学食もたいしたものが残ってなくて。
「あぁ〜・・・コッペパンだけかよ、なぁ」
青あざだらけの仁科君が悔しそうに言います。
バンソウコウまみれのボクも、答えて。
「ま、今日は仕方ないよ」
そして、屋上に上がります。

「は、遙クン・・・?どうしたの、その顔!!?」
雪乃先輩はボクを見るなりものすごくビックリして。
「だ、大丈夫?本当大丈夫!?」
ものすごくうろたえてます。
でも隣の如月さんは、
「ハハ、井上君も男の子だねー」
と、笑います。
ちょっと、照れ臭かったり。
「明日香ぁ〜なにノンキな事・・・」
「このくらいの男の子って、結構ケンカするのよ?ウチの弟もそうだし」
雪乃先輩のうろたえッぷりと如月先輩のクールさが、いつもとは逆の好対象で。
雪乃先輩、ボクの頬を撫でて。
「もぅ・・・キズに残っちゃったらどうすんの?責任、とってもらわなきゃ・・・」
「堀江さん、ゴメンなさい・・・鼻殴っちゃったの、オレです・・・」
「えっ!?」
先輩、驚愕して・・・。
「ちょっとどーすんの!?ハルカの鼻にあとが残っちゃったら・・・」
ものすごい、うろたえッぷりで、ボクは笑っちゃいました。
「ハルカくぅん・・・キミの話しだよぉ・・・?」
「だって、ボクだって、男の子ですし!」
そう。今日はちょっとだけ、男らしかったかなぁ・・・なんて、思ったり。
「そうそう。遙、男気見せましたよ!!」
すると雪乃先輩、仁科君の頭をぽかり。
「アンタが張本人なんでしょ!?」
「ち、違うッすよ・・・」
「そうだよ、仁科君はボクのために・・・」
そう。仁科君が、かばってくれたから。
でも、雪乃先輩は聞いてくれないんですけど・・・・・・。
・・・ひょっとして、ヤキモチ?
「あぁもう・・・仁科に遙クン取られたぁ〜」
先輩の情けない顔、かわいいです・・・。
そして雪乃先輩、また抱きついて。
「もう・・・心配かけないでよっ♪」
わわっ、先輩ってばぁ・・・。

すると、バタンと、ドアが開いて。
「・・・!!」
みんな、黙ります。
秋山君が、来ました。
彼も、顔中バンソウコウだらけ。
そして、開口一番、意外な台詞を。
「井上、悪いッ!!お前オカマヤローなんかじゃねーや、男だよ・・・俺なんかより立派な・・・・・・」
・・・きょとん?
秋山君は、呆然とするボクたちを尻目に続けます。
「・・・その、お前がさ・・・・・・、仁科と仲良さそうにしてるのが、うらやましくってさ・・・でも、言っちゃいけなかったよな・・・」
本当に、申し訳なさそうに。
見てるこっちが、申し訳ない・・・・・・。
・・・すると雪乃先輩、いきなり、
「そっかー・・・秋山君はハルカにヤキモチ妬いてたんだぁ・・・・・・?」
ニヤニヤ。
せ、先輩?それは、今は・・・。
「うん、ヤキモチ、だな」
秋山君は、顔を赤くして、素直に言います。
それを聞いて、仁科君まで、顔が真っ赤。
それで、黙りこくっちゃって。

「まぁ、あなた達全員仲直りね!これでいいんじゃない?」
雪乃先輩は、明るい声で言いました。
・・・先輩は、なんでこんなにもはっきり言ってしまえるんでしょう?
そして仁科君と秋山君は、照れ臭そうに。
「・・・ゴメン、仁科。ヘンな事して、悪かった」
「いーよ、オレだって悪かったんだし」
といって、握手。
よかったぁ・・・コレで、元通り、かな?
・・・すると、秋山君は今度はボクに手を伸ばして。
「あのさ、井上・・・なんつーか、上手く言えないんだけどさぁ・・・」
あれ?ボクは関係なかったんじゃ・・・。
でも、秋山君は。
「・・・よかったら、放課後、俺たちと、サッカーやらねー?その、お詫びも兼ねて・・・・・・」
・・・うれしかった。
そんなこと言われるなんて思ってなかったし、まさか友達になってくれるなんて、もう・・・・・・。
「・・・・・・ありがと」
ボクは笑顔で、お礼を言いました。
「井上・・・・・・」
秋山君、照れ臭そうで。
ボクまで、照れちゃうじゃないか!!
「・・・で、でもさ、オカマって言い方は、良くないと思うんだ・・・」
「・・・悪かった」
「違うの!世の中には、同性愛の人も性同一性障害の人もいて、その人たちにも失礼だと思ったから・・・」
あぁもう、ボクってば・・・唐突。
「?・・・良くわかんね―けど・・・」
ちょっと、秋山君も仁科君も呆れて。
「そーねー。そういった人たちを馬鹿にした発言にもなっちゃうわねぇ〜。気を付けなさい?」
と、雪乃先輩。
それから、
「そしてわたしからハルカを奪おうってのね!?それは許せないッ」
と、またボクに抱きついて。
「・・・・・・え?付きあってんの?」
「そーそー。遙と堀江先輩、すっげえバカップル」
えぇぇぇぇぇぇぇえ!?そういう流れになっちゃうの!?
「凄いわよねー、もう呆れちゃうわよ?雪乃ったら遙君をじょs・・・」
「ワワッ!ちょっと待ってください!?」
「あら?ハルカかわいいからぁ〜・・・」

「・・・まさか、女装、なのか?」
「うん。遙に女の格好させるの、堀江さんの趣味」
「うわぁ、それはなんつーか・・・オカマって言って、ほんっとうに、悪かったなぁ井上・・・」
「でも、すっげえ似合うんだぜ?ウチのクラスの女子、目じゃねー」
「うわマジ?俺もみてえ・・・」

放課後。
ボクたちは、校庭に集まります。
・・・・・・先輩、ごめんなさい。今日は、折角だし・・・。
それとも、見に来てくれるかな?

早速、チーム分け。ボクは仁科君と一緒、秋山君とは別々です。
「井上、恨みッこは無しだからな?」
「うん、いーよ♪こっちには仁科君がいるもんねー」
すると仁科君、思い立ったように言います。
「あ!遙のポジション、どうすっか?」
「・・・そういえば・・・」
みんなで、考えます。
ボクは元々運動が苦手だし、足手まといなんだけど・・・。
「遙ぁ、どっかいいとこある?」
「ボクは・・・う〜ん、よくわかんないなぁ・・・」
「・・・だよなぁ」
そして仁科君は考えていたのですが、突然、
「あ・・・チアリーダー・・・」
と、つぶやきます・・・・・・。
に、仁科君ッ!?
「あ、それ良いかもしんない」
わぁ、秋山君まで!?しかもなんか顔が赤いし!!?
・・・じょ、冗談、だよねぇ・・・?
すると突然、後ろから声が。
「おぉ、それいいね〜。ハルカかわいいよ〜?」
と、先輩が言うんです・・・・・・。
雪乃先輩と、如月先輩、それにとってもサッカーの上手い大鳥先輩が一緒に見に来てくれました。
「・・・井上君、ポジションは・・・?」
「ハハハ・・・今、相談中です」
・・・チアリーダーだけは、勘弁です・・・。

結局うやむやのまま、キックオフとなりました。
「あ、そうだ・・・今日、調理実習で作ったんだ・・・コレ」
大鳥先輩は、なにかタッパーを取りだします。
・・・よそ見してる場合じゃないのに。あ、ボールが来た!
「仁科君、パス!!」
「おう!」
でもボールはあっけなく、秋山君に奪われてしまいます。
「へへッ、サンキュー」
「このぅ〜」
少しだけ悔しくなって、ボールを取った秋山君を追いかけます。

「どうかな・・・レバニラ」
「大鳥君・・・なんで、レバニラ?」
「いやぁ・・・俺の班、材料間違って2倍くらい買っちゃっててさぁ・・・あまったから、今夜食おうかなって」
「でもなかなか良く出来てるんじゃない?ねぇ、雪乃」
「そうだねぇ・・・あ、」

かくして、ボクが必死に秋山君を追っかけていると、今度は仁科君が秋山君からボールを奪い返します。
「いいぞ!遙!!」
・・・ボク、ただ追っかけてただけだったけど、ね。
そして仁科君は、ゴールめがけて走り出します。
どんどん相手をパスしていきます。その動き、鮮やか!!
そして目を奪われている間に、仁科君はもうゴールの目の前へ。
そして、思いっきり足を蹴り上げて・・・
---シュートッッ!!

ところがそのボールは、ゴールを飛び越えて。
さらに勢い良く、飛んでゆきます。
「あ・・・」
その先には、三人の先輩たち。
そして、大鳥先輩めがけて、ボールは・・・。

「レバニラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」





35.
その日は、給料日というもので。

その日の、バイトからの帰り道。
「あー、今日も疲れたね、遙クン?」
少しあくびをしながら、先輩が言います。
「ですねー、お客さんも多かったし!」
本当に、久しぶりに、人がたくさん来ました。
最近、梅雨続きだったからなぁ・・・。
「てか先生クレープ食べ過ぎ・・・あれじゃ太るよ〜」
「え、でもボクもアレくらい食べますよ?」
雪乃先輩は驚いて、
「は、ハルカぁ?太っちゃうよぉ〜」
と、脅かすような口調で言います。
・・・プリンクレープ5個。多いかなぁ・・・・・・?

マスターの喫茶店に着きました。
・・・でも、いつもとなんだか様子が違います。
「ねぇ、この時間で玄関の電気が消えてるって・・・」
「ヘンですねぇ・・・」
恐る恐る入り口に近づくと、向こうからは騒がしい声が。
「・・・?騒がしい・・・」
雪乃先輩が、不審がります。
確かに、夕方の6時半で、こんなに騒がしいのは普通じゃありません。
そして、先輩はドアノブに手をかけて、回してみるのですが・・・。
鍵が、かかっています。
「・・・遙クン、鍵、持ってたよねぇ?ちょっと貸して」

鍵を回し、恐る恐るドアから覗くと。
「・・・おっさん連中ばっか、ねぇ・・・」
向こう側は、何故か酒盛りになっています。
「・・・町内会か、老人会ねぇ・・・でも、どうしたんだろ?」
先輩はむぅ、とうなって推理します。
「先輩、入りましょうよ」
ボクは、ガチャリとドアを開けました。
「あぁハルカぁ〜・・・折角探偵ごっこやってたのにィ・・・」
時々、先輩は変わってるな、と思います。
その残念がってる顔が、面白くって・・・。ゴメンなさい、雪乃先輩。
「あぁ〜ッ!遙クン、笑ったなぁ!?」

中に入っても、マスターはいません。
いるのは、酔っ払ったおじさんたちだけ。
これじゃ、喫茶店が台無しです・・・・・・。
「あのーマスターいらっしゃいませんかぁ?」
ボクは大きめの声で、呼びかけます。
「んあ?マスターいねーよ、酒買ってら」
鼻を赤くしたおじさんが、答えてくれました。
「・・・仕方ないなぁ。少し待つ?」
困り顔で、雪乃先輩。
ボクも少し困っちゃいます。
「そうですね・・・もうちょっとだけ、待ちましょう!」
「おいお前たち!折角来たんだから、一杯やってけよ〜ッ!?」
うわ。酔っ払ってて、怖いです・・・。
勘弁してよぉ。

逃れるように、キッチンに入って。
仕方無しに、先輩は勝手にコーヒーをいれて待ちます。
「マスター、遅いねぇ・・・」
ボクを後ろから抱きしめながら、言います。
元々ボクにくっつくのがスキだったみたいですが、付き合い始めてからというもの、先輩は本当にボクにべったりです。
うれしいような、ちょっと苦しいような・・・。
先輩の柔らかさと、ぬくもりに、ドキドキしっぱなしで。
そのドキドキをごまかすように、コーヒーに口を付けます。先輩は後ろにくっついたまんま。
「・・・・・・どうかな、ハルカ・・・美味しい?」
そんなボクの気持ちおかまい無しに、先輩は聞きます。
ボクは、やっとの事で答えます。
「えっと・・・美味しい、です。最初のころは、凄かったからなぁ・・・」
「あぁ!未熟だったころを引きあいに出してぇ〜!!」
そして、先輩は背中にくっついたまま、ボクの頭をわしゃわしゃ。
キッチンの中だから、バレないよね・・・?
ボクはふいに、、先輩の方に振り向いて。
「・・・なんかいつも、先輩ばかり、ずるいですよ・・・?」
いじけたようにつぶやいて、
ぎゅっ、と、先輩を抱きしめた。
たまには、ボクから抱きしめちゃうのも、いいですよね・・・?
「は、ハルカぁ・・・」
先輩は、照れ臭そうで、でも、うれしそうで。
ボクは、自分からしかけておいて、顔が真っ赤になっちゃって・・・・・・。
先輩、ボクやっぱり、あなたには勝てません・・・!!

ガタン、と大きな音がしたと思うと、すぐに静かになりました。
マスターが帰ってきたのかな?と、くっついてたボクたちは離れて、恐る恐る様子を見ます。
「おう!酒ぇ持ってきたど!!」
「お帰りマスタぁ〜」
よく、見えないけれど。
「帰ってきたわね」
「うん・・・」
ボクたちは、またカウンターの方に戻ることにしました。
カウンターでは、マスターがなにやら飲んでいるようです。
「お、雪乃チャンに遙チャン!?どーしたのこんな時間に・・・」
ビックリするマスターに、先輩が一言。
「マスター、今日は給料日ですよ?どーしたんですかぁ・・・」
雪乃先輩、少したしなめるように言います。
マスターはあせって、言い訳。
「きゅ、急に町内会の飲み会がここになっちゃってよぉ・・・」
「酷い!賃金未払いです!!」
雪乃先輩が声を張り上げます。
周りの酔っ払いたちは気にもとめず。
「そーだそーだ!折角あてにしてたのにィ・・・」
今日は、欲しい画集があったんですけど・・・。
「給料!」
「払ってください!」
ボクたちの詰めより具合にマスターはしどろもどろで言います。
「ぶっちゃけ、もう金がないのよ!!わりい、明日までには何とかするッ!!」
ボクたちも流石に、ちょっと呆れちゃいました。
商売ッ気がないと言うか、常識がないというか・・・はぁ。
でも、そんなマスターだからこそ、コーヒーを上手に入れられるのかもしれないけれど。




35.
キスした回数、覚えてますか?


その日、空は灰色の雲が覆っていて。
しとしと、雨がぱらつきます。
でも、先輩とボクは屋上にいて。
雨雲の流れる様子、二人して眺めていて。

「・・・濡れちゃったね」
先輩が、悪戯っぽく笑って言います。
Yシャツが濡れて、雪乃先輩の身体が少し透けて見えて。
ドキドキしながら、ボクは目線をそらします。
「・・・ハルカ、どうしたの?」
「先輩、服!!」
顔を真っ赤にして、照れながら言いました。
雪乃先輩は自分の身体を見て、
「あぁ・・・そっか」
とだけ、言いました。
気にして、ないのかなぁ・・・・・・。
ボクも、濡れたシャツが身体に張りついて、気持ち悪い。
「そろそろ、帰りませんか?」
ボクがそういうと、先輩はうなづいて、立ちあがるなり言います。
「・・・・・・じゃあ、ちょっとだけ、キスしよっか?」
突然の台詞に、驚いて。
先輩は、ボクの顔を見て、言います。
「なぁに驚いてるの?わたしたち、もう恋人同士なんだから」
・・・確かに、そのとおりでした。

先輩は、ボクにキスするとき、目を閉じないんです。
ボクの目を見たまま、くちびるを重ねます。
そのうち、瞳まで重なり合って・・・・・・。

「・・・どうだった?」
先輩はキスのあと、笑顔で言います。
屈託ない、かわいいえがおで。
ボクはすっかり照れちゃって、赤い顔で、
「えっと・・・説明できないよぅ・・・」
と、うなるように言います。
その様子を見て、先輩、頭撫でながら
「かわいい〜」
なんていっちゃって、またぎゅっとしちゃうんだから!!

今日はバイトはお休み。
二人並んで、家路につきます。
・・・一つだけ、気になってたことがあります。
「・・・アレで、何回目だっけ」
ボクは、つぶやきました。
本当は、覚えてます。
今日の屋上で、3回目。
でも、・・・先輩は?

「三回目」
先輩は、ボクのことじっと見て言います。
「・・・三回目、だよね。告白したときと、屋上でしょ?それから・・・・・・」
先輩は、少し照れて。
「・・・、あと、同窓会のとき、わたしったら、酔っ払っちゃって・・・」
雪乃先輩の顔、珍しく真っ赤ッ赤。
それに、覚えてたなんて・・・。
「せ、先輩!?覚えてたんですか!?」
「うん・・・あのときは、気まずかったけど・・・もう、いいか?」
先輩は無邪気に笑います。
そしてボクを向いて、また。
「・・・もう一回、しよ?」
周りには、人はいないけど。
「恥ずかしい?」
と、ニヤニヤ。
「そ、そんなこと、ないですよッ!?」
といいながら、ボクの顔は真っ赤で。
何せ、道のど真中・・・。
「じゃ、いいよね?」
といって、雪乃先輩は、今度は瞳を閉じて。
ボクも目をつぶって、唇を重ねます。
・・・いつもより、くちびるの柔らかさがリアルに伝わって・・・・・・。
・・・ちょっと、恥ずかしい、かな。




36.
告白しちゃって、恋人同士になったあと、なんだか気恥ずかしくて先輩のお家には行ってなかったのですが・・・。
日曜日の朝、先輩に突然お呼び出しをくらいました。
「遙クン!今ヒマ?良かったらウチに来てよ、ねぇ〜」
電話の向こうで、あんな可愛い声で言われてしまったものだから。
・・・ボクはパブロフのイヌですか。

雪乃先輩の家に着くなり、ボクは先輩の部屋に引っ張られて。
「ハルカ!今度は、こんなの作ってみたんだけど・・・」
と、取りだしたのはひらひらの白いワンピースでした。
真っ白な帽子も一緒に。
「コレで、外で風にゆれてたらかわいいだろうなーって思って・・・・・・」
相変わらず、なにかたくらんでるふうです。ニヤニヤ。
「先輩!これは恥ずかしいですよ・・・」
・・・乙女ちっく過ぎ。
「やっぱり遙クンは清楚な感じが似合うと思って・・・」
ボクの意見、無視です・・・。
「でね?今度はリボンも用意したんだけど・・・・・・」
と、かわいいリボンも取りだして。
先輩、ボクはあなたの彼氏・・・・・・ですよね?
すると先輩、突然こんなことを。
「こんなかわいい服着たハルカとデートしたいんだよね・・・・・・」
ちょっとさみしげな、笑顔。
それでボク、言っちゃったんです。
「じゃ、じゃあ今から、行きませんか!?」
まさに、イヌ。先輩が大好きだから、仕方ないけど。
「・・・本当!?やったぁ〜!!」
とたんに、無邪気な笑顔。でも、なにかたくらんでるような。
・・・・・・はめられた?

先輩のお父さんもお母さんも、なにも言いません。
・・・娘のこんな趣味、どう思ってるんでしょう!?
「あら遙君、いってらっしゃい♪とっても似合ってるわよ☆」
・・・・・・こんなのなんて。
外に出るなり先輩は、
「あぁ遙クン、もうキミのことは話してるから」
と、平然と言います。
じゃあ、彼氏に女装させてデート行くのも公認済み!?
「せ、先輩!?」
「お母さんね、『あんまりいじめちゃダメよ』、だって。笑っちゃうよね?」
と、可愛く微笑んで。
「わたしがハルカいじめるなんて・・・ねぇ?」
先輩、コレ世間一般では、羞恥プレイとか、いいませんか!?
・・・ヘンタイっぽい。

今日は、なにも決まってないまま、飛びだした。
「あの、下着・・・」
「スパッツだからギリギリセーフじゃない?」
そういう問題じゃ、ないですよね・・・・・・。
そして突然、抱きついて。
「じゃあ、どこいこっか?・・・・・・そうだなぁ、海が見たい!行こう!!」
あまりに唐突過ぎます。
「先輩、ちょっとそれは・・・」
と、苦笑いのボク。
海まで、どのくらいかかるんでしょう?
でも、今日一日、先輩と一緒だから良いか☆

「・・・・・・遅い」
電車が、来ません。
とりあえずと、急行に飛び乗ったのは良かったのですが、乗り換え先で電車は止まってました。
信号機の故障、だって。
ボクたち二人、ベンチに座って。
「来ませんね・・・じゃあ、ジュースでも買ってきますか?」
そういって席を立とうとすると、先輩はボクの手をとって。
「まって、わたしも」
なんででしょう?ものすごくさみしそうな顔・・・・・・。
「え?すぐそこですよ・・・?」
「・・・今日は、ずっといっしょ」
といって先輩は、ボクにまた抱きついて。
ボクも、うれしかったんですが。
その、言葉が。
すると電車が来て、思わずスカートのすそを押さえます。
「うわっ!?」
その様子を見て、雪乃先輩、
「そーそー。コレが見たかったのよ〜♪」
・・・ボク、からかわれてますか?
そんなボクたちを尻目に、電車は通りすぎます。
「・・・あ〜あ」
ちょっと、ガッカリ。
でも、雪乃先輩、
「あわてないあわてない!今日はまだまだ長いよ♪」
・・・それも、そうですね!

結局、目的の駅に着いたのは午後2時を回ってました。
「意外と時間かかっちゃったねぇ・・・」
・・・実は、電車を間違えて、反対方向に行っちゃってました。
先輩は意外と慌てんぼうさんなんですね。
「ま、いっか・・・遙クン、いこ?」
といって、ボクの手をとって改札口まで走ります。
「わわッ!?ちょっと、まって・・・」
突然走り出すから、またスカートめくれちゃいそうじゃないですか!!
そんな様子見ながら先輩は、
「ハハッ、かわいい〜♪」
なんて笑うんです。
・・・悔しいけど、先輩の笑顔、素敵です。

改札口を出ると、目の前は海岸線。
先輩は喜び勇んで走ります。
「わ、ちょっと待ってくださいよ〜」
ボクも遅れて、走ります。スカートを気にしながら・・・。
まだ少し寒い海岸は、人もまばらで。
空も少し、曇ってます。
でも、海は穏やかで。
「・・・晴天とは、いかなかったけど」
先輩はつぶやくと、思いっきり伸びをします。
「あ〜、潮風が気持ち良いね、ハルカ!」
・・・ボクは、それどころじゃありません・・・。
そんなボクをよそに、先輩は砂浜を走り出します。
とっとことっとこ、先に進んで。
「はぁ〜るかぁ〜!?ここだよぉ〜う?」
と、遠くに行って両手を振ります。
ボクも、手を振りました。片方の手で・・・もう片方は、スカートを押さえて。
「はやくはやくぅ〜」
先輩のはしゃぐ様子がうれしくて、ボクも走ります。
「わ〜、ハルカ可愛い〜!!」
白い砂浜を走る女装のボク・・・自分ではちょっと想像したくないですが。
すると不意に、突風が吹いて。
「きゃッ!」
「わわっ!?」
ボクは、帽子を飛ばされてしまいました・・・・・・。
呆然と、飛んでゆく帽子を眺める二人。
「・・・飛んでっちゃった、ね」
先輩が、つぶやきました。少し、うれしそうに。
・・・なんででしょう?
するととっさに先輩は靴を脱いで、海に落ちた帽子を取りに行きます。
ボクも、追うように。
「まてぇ〜!!」
水しぶきが少し冷たいけれど、気にせず。
流されてゆく帽子を二人、追いかけて。
「わはは、もうびしょぬれだよ!」
「いーよいーよ!!」
二人笑いながら、スカートのすそが濡れても気にしないで。
そして帽子にやっと追いついて、手を伸ばすと。
二人の手が、重なりました。

「プッ」
先輩が、ふきだします。
「タイミング、ぴったんこ」
と、さわやかに笑って言いました。
ボクもつられて、笑います。
そして二人、抱きしめあって・・・。
遠浅の浜の、波の中。

スカートのすそを絞りながら、二人は砂浜を歩きます。
「・・・先輩?そういえば、海・・・どうして来ようって、思ったんですか?」
ボクは、素朴な疑問をぶつけます。
先輩はボクの頭を撫でながら、
「今の時期はまだ人も少ないでしょ?それに、わたしなんだか小さなころから海を見るのが好きで・・・」
わらって、言います。
「それに、遙クンと一緒に見たかったものがあるんだけど・・・・・・」
「・・・なんですか?」
「それは、お楽しみなんだけど空が・・・、あ」
鼻の頭に突然、ポツリと雨が当たります。
「雨・・・降ってきちゃったかな」
雨は突然ポツリポツリと降り始めたかと思うと、いきなり強くなって。
「わわ、どーしよ!?」
「ハルカ!海の家で雨宿り!」
「は、ハイ!!」
二人は必死で、海の家まで走りだしました。

「うわぁ、びしょびしょ・・・」
すっかり、雨で濡れちゃいました。
すると先輩は、ボクの方をじっと見て。
「・・・ハルカ、細いね・・・」
と、言いました。
ボクは先輩から目をそらしちゃって・・・服が少し、透けてたから・・・。
でも先輩はボクの前に顔を伸ばします。
「・・・寒く、ない?」
少し真剣な眼差しで。
「だ、大丈夫ですよ・・・ッハクション!」
くしゃみが出て、少し身体が震えました。すると先輩は、
「少しは、あったかいかな・・・?」
といって、ボクに抱きつきました。
「せ、先輩・・・?」
ボクは少しあせって、そして照れちゃって。
確かに、先輩は温かかったけれど・・・・・・。
「ハルカ、ちょっと冷たいよ?」
ボクの身体は、少し冷えてたけど。
先輩のぬくもりで、身体から心まで熱くなってきちゃって・・・・・・。
「せ、先輩・・・どきどきします・・・」
「・・・・・・うん、わたしも」
そして、先輩はボクのほっぺたにキスをして。
・・・これは、はじめてでした・・・・・・。

夕方まで、寄り添ってた。
ずっと、取りとめない話。
「なんで先輩、こんなに無鉄砲で考え無しでいい加減にデートなんて言っちゃうんですか?」
「あら?遙クン、元々はキミがデートに行こうって言いだしたんじゃない?」
先輩、ニヤニヤ。
「えっえっ?だって、先輩が・・・」
そう、先輩がこの格好のボクとデートしたいって、言ったから・・・。
そうしたら先輩、笑いながら。
「確かに行きたいと思ったけど、本当に行こうと言いだすなんて思ってなかったんだもん」
・・・笑われちゃった・・・。
少し、落ちこんじゃう。
でも先輩は、そんなボクを見て、頭をまたわしゃわしゃ撫でながら。
「でも、すっごくうれしかったよ?ありがと」
にっこり、笑って。
すると後ろから、雲が晴れて顔を出した夕焼け。
「わぁ・・・!!」
思わずボクは、声を上げて。
先輩も、振りかえって。
「・・・・・・出た、ね・・・綺麗だね、ハルカ」
そういう先輩は、笑顔で、横顔が夕焼けに照らされて。
とっても、綺麗でした。

先輩のうちに着いたのはすっかり暗くなったあと。
「今日は、楽しかった?」
先輩が、着替えているボクに、突然聞きます。
「え?なんでですか?・・・つまらないわけ、ないじゃないですか!」
ボクの答えを聞いて、先輩はふとつぶやきます。
「・・・本当?」
「ホントですよ?だってボク、先輩といられたし、それに・・・」
と、言いかけて、顔が熱くなってきちゃいました。
・・・先輩に抱きしめれてうれしかった、なんて。いつものことなのに・・・ねぇ?
先輩は少し真剣になって、
「・・・この前のリベンジ、よし?」
と、つぶやきました。
そっか・・・この前のデート、気にしてたんだ・・・・・・。
ボクはあのとき、先輩の表情が辛くって、デートどころじゃなくって。
でも、きちんと予定立ててたこの前のデートより、全然でたらめでなにもしてない今日のほうが断然楽しかったなんて・・・。
「ボクは、先輩が一緒に笑ってくれるだけで、幸せですよ?」
・・・ヘンな話、ですよね?





37.
先輩と、ボクと、重症度はどっちが高いんでしょうね?

雪乃先輩と如月先輩に、偶然廊下で会って話してたら、女の子が突然雪乃先輩に質問を。
「あ、あの、堀江先輩!お、女の子と付き合ってるって、ほ、本当なんですか!?」
なぜか本と、ウサギのぬいぐるみを抱えた大きなリボンの彼女は、顔を真っ赤にして聞くんです。
・・・・・・まさか、昨日のこと、見られちゃった!?
「き、昨日・・・女の子と二人で、抱き合ってるところ、見ちゃったんです!!」
・・・やっぱりぃ。
「あなた突然、なにかしら?」
あれ?雪乃先輩、妙にうれしそう。
「あ、あの、私・・・」
小柄な女の子は、顔を真っ赤にしてうつむきながら言います。
「私、三国まいなと言います!えっと、その・・・せ、せんぱいは・・・」
「?付き合ってる人ならいるけど、男の子よ?」
「でも・・・!?」
三国さんは、ボクの顔を見て、ビックリしてます。
「・・・あ?あれ!?昨日の?でも、男の子?え?え?」
ものすごく、うろたえてます・・・・・・。
まさか先輩、この子の表情見て、楽しんでますか?
「あなたかわいいわねー・・・三国さん?ひょっとして気付いた?ねぇ?」
興味津々な表情で先輩は混乱する三国さんに聞きます。
・・・三国さん、何故か顔、真っ赤・・・。
持っているウサギさん、ぎゅっと抱きしめて。
「あの・・・えっと、よく本を、借りに来てくれる・・・井上君、だよね?え?って?じゃあ、あの女の子、井上・・・くん、なの?」
ものすごく慌ててます・・・あの、ボクも、こわいんですけどぅ・・・・・・。
「え・・・せ、先輩ちょっと!?」
今度はボクも慌てちゃって。
「え?雪乃昨日デートに行ってたの?」
・・・如月先輩も、うろたえてます。
もう!みんな混乱してます!!雪乃先輩ぃ!?

お昼休みの、屋上。
さっきの廊下の面々に召集をかけたのは、やっぱり雪乃先輩。
「三国さん・・・いや、まいなちゃんが混乱したままじゃどうしようもないから、少し整理しましょう♪」
こんな楽しそうな先輩を見るのは久しぶり。なにか袋を持ってるし・・・・・・。
「ま、まいなちゃん!?な、名前・・・」
三国さんは顔を赤らめっぱなしで。
「だってかわいいなまえですもの。名前で呼びたくなるもの、ねぇハルカ?」
先輩は笑ってボクに言います。
ボクも、うつむいちゃいますよぉ・・・。
「でさぁ雪乃、昨日のデートって?」
如月先輩も興味津々。
「どこ行ってきたの?あ、遙君と一緒だから洋服でも買いに行った?」
「ちょっとまってね?今から仔細お話しますから☆」
奇妙なご高説でございます・・・。

「まず、わたしは井上遙クンと付きあってます。このコね?」
と、ボクを抱き寄せます。
うわ、突然だからビクッとしちゃって。
「井上君、堀江先輩と・・・?」
そっか。三国さんはクレープの屋台知らないのか。
だから、接点がわからなかったのかな?と、思ったり。
先輩はボクをぎゅっとしたまま、続けます。
「で、昨日わたしは遙クンとデートに行きました。間違いありませんよ?」
不敵な笑い。妙です・・・・・・。
「どこ行ったの?教えてよ〜」
「海を、見にね」
三国さんは、まだよくわからないふうな表情で。
「もしかして・・・・・・?」
先輩は、いかにも、と言う風に答えます。
「そう、遙クンに白いワンピース着せてお出かけしましたよ?」
満面の笑みで。
それって・・・ボクが女装させられてること、大ばらしじゃないですか!!
すると三国さんは、少し笑っていいます。
「・・・井上君、かわいい格好・・・好き、なの?」
・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
こういう時、ボクはなんて言えば良いんでしょう!?
頭が、混乱して・・・・・・。
でも雪乃先輩は平然と、
「ううん?わたしの趣味だけど」
・・・こんなこと言っちゃって良いのかなぁ?
でも、このおかしい回答に三国さんはにっこりと笑って、
「うわぁ・・・井上君、やっぱり似合うんですね・・・・・・」
・・・・・・そこですか!?

聞けば、三国さんはいつも図書委員でボクを見かけるたび、かわいい格好が似合いそうだと思っていたんだそうです・・・。
先輩みたいな趣味の人が、他にもいたなんて・・・・・・。
・・・はぅ。

「あの、堀江先輩・・・私、いっぱい、かわいいお洋服もってます・・・よかったら、井上君に・・・・・・」
顔を赤くして、ちょっと照れるように、言います。
「うわっ本当!?でも、ハルカはわたしのものよ?」
先輩、念を押すように。
三国さんは黙ってうなづいたあと、
「・・・はい、わかってます・・・・・・私、かわいいお洋服が大好きで、似合う人にいっぱい着て欲しいなって・・・・・・」
・・・・・・うわぁ。
「みんな、かわいくなっちゃえば、いいのに、って・・・思うんです、私」
目の前の小柄な可愛い女の子は、ビックリするような世界征服への決意を!!
「うわ、見た目に寄らず凄い事言うのね、三国さんて・・・」
驚く如月先輩。当然です・・・・・・。
でも、雪乃先輩は。
「まったくよね、本当わたしもそう思うわ!!」
と、ボクをぎゅっとして大声で!!
「よき理解者、同士よ!!キミのためなら迷わず遙クンを実験台に提供しよう!!でも、わたしのものだからね?」
と、高らかに・・・・・・。
すると、三国さんは先輩の後ろに回りこんで抱きついて、
「はい、同士・・・・・・でも、あなたにも、そうしてもらいたい・・・・・・」
・・・先輩に抱きついてる。ちょっと悔しい・・・じゃなくって!!
『同士』!?なんか、恐ろしい同盟が!!
如月先輩も、引いてます・・・・・・。
そしてボクは、とっても怖くって・・・・・・。
苦笑いで、
「せ、せんぱぁい・・・?」
「じゃあ遙クン、今日は寸法また取るからウチによってね!三国さんも!!」
・・・・・・先輩に一人、お友達が出来ました。
ボクにはとっても怖い、不思議少女・・・・・・。
三国さん、うれしそうに照れて、ウサギさんをぎゅっ。
そして、名刺をボクたちに手渡します。
そこに記されていた内容は。
「三国らぱん」という名前と、ホームページのアドレスと、メールアドレス。

放課後のちょっとしたヒマに、さっきの名刺のアドレスにアクセス。
「全世界ピンク革命本部」
・・・・・・ものすっごい少女趣味の、そしてそれとは裏腹に恐ろしい内容のサイトでしたぁ・・・・・・。
すると雪乃先輩がやってきて、覗きます。
「ふむふむ可愛いサイトねー・・・意外だわ、主張は過激ねー」
・・・・・・ものすごく怖くて詳細は言えません。





38.
この前のケンカの一件から、ボクはようやく男子グループの仲間入り。
でも、仁科君も秋山君も、ボクをこう言います。
「オレたちのお姫さま」
なぜ!!?

仁科君は学校が終わったあと、いつもいくつもバイトに出ているみたいです。
それで、遅刻の常習犯。
「仁科ぁ!またお前遅刻かぁ!?」
朝から先生の怒号が響きます。
「すんまへん」
気の抜けた仁科君の声に、みんな大笑い。
こんな、一日の始まりです。

「うににににに」
授業が終わっても、仁科君は寝ています・・・。
それを秋山君始め男子連中は、ほっぺたつねったり引っ張ったりして遊んでます・・・・・・。
「ねえみんな、やめようよ〜」
ボクの呼びかけにも、
「だっておもしれーんだもん。お前もやってみろよ!」
・・・う〜ん。なに言っても、ムダ。
そして、話はヘンな方向へ。

「ほらほら、チュー」
仁科君のほっぺたを引っ張って、キスするように。
「うわはははははははそれヤバイ!」
着が付くと女の子も一緒になって。
その騒ぎでようやく仁科君は起きました。
「・・・お前等、なにやってんの?」
寝ぼけ眼の仁科君に、ボク。
「みんなのオモチャぁ〜・・・」
「なにぃ!?オレが寝てる間なにやってたんだよ」
寝起きも手伝って、不愉快そう。
「こんなんやってた。チュー」
と秋山君、くちびるをすぼめて前に付きだします。
「うわ、お前それキモイよッハハハハハ!!」
仁科君、大笑い。
周りからは、
「お前がキモかったってーの!!」
もう周りは大爆笑!!
秋山君はちょっと不機嫌そうに、
「じゃあお前やってみろよ」
といいます。
まずは別の男子が、
「ほらこうだろ?チュー」
と、秋山君と同じようにくちびるをタコのように付きだします。
「お前、それ同じじゃん!!」
「じゃあオレ、こうだぜ?ほらほら」
と、みんなしてチューチュー合戦が始まっちゃいます。
みんなして、タコみたいな口で、大爆笑!
ボクもお腹を抱えて笑っちゃいました・・・。

結局みんな同じような感じで、収集が付かなくなってきています。
すると、ふと、秋山君はボクに聞いてきます。
「あのさー井上、お前先輩と付き合ってるよな・・・キスしたこと、あるか?」
・・・ドキッ!?
周りは・・・大爆笑で、気付いてないみたいですが・・・・・・。
ボクはこっそりと、
「うん・・・・・・あるよ」
と、答えました。
あぁもう!!思いだすだけで、顔が真っ赤っ赤・・・・・・。
仁科君も聞きつけて、言います。
「じゃさ、ちょっと再現してみてくんね?」
えぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?
ボクはどぎまぎしながら、おろおろ。
「い〜だろぉ、減るもんじゃ無しにぃ」
しかも、間の悪いことに、女子もかぎつけてきます・・・・・・。
「えぇ?井上君がやるの?やってやって!!」
「い、いやだよぅ・・・・・・」
弱弱しく、断ったんですが・・・・・・。
気が付けば、さっきの大爆笑が全部井上コールに変わってるんですよ!?
「わかったよもう・・・仕方ないなぁ・・・・・・。」

ボクは瞳を閉じて。
先輩のことを、思い浮かべます。
瞳の中の先輩は、いつものあの大胆不敵な笑顔で、ボクにキスしてきます。
ボクも、それに答えるように・・・・・・。

「・・・うわ、凄い」
女子の一人が言います。
そして、辺りは静まります。
ボクは瞳の向こう側・・・・・・。
・・・・・・恥ずかしい。

「おい?遙?もどってこ〜い」
仁科君の台詞に我に帰ると。
「・・・遙、すげえな・・・オレ、ときめいちゃった」
に、仁科君!?
しかも、まわりも!!?
「おぉ〜、やっぱ経験者は違うぜ」
「え、遙君キスしたことあるのぉ?」
「あるもなにも、コイツ先輩と付きあってていつもだぜ?」
うわわわ、なに言ってるのみんなぁ!!?
ボクは一人赤くなっちゃって・・・・・・。
まわりは一層ボルテージが上がってます。
「うはーオレもキスしてー!!!!」
なんて叫ぶ人も出る始末。
もう、収集つきません・・・・・・。

「ねーねー井上君、もう一度やってー」
女子にせがまれて、断れないから、もう一回再現・・・。
「うわ、かわいい・・・・・・」
これじゃボク、なんなんだかわかんない・・・・・・。
で、気が付くと。
「ん〜〜〜〜」
と、仁科君が目の前でくちびるをタコのようにしてるじゃありませんか!!
「わぁ〜!!仁科君!?」
「ゴメンゴメン、真似してみた・・・」
・・・にしては、顔が赤いよ!!?
秋山君まで、
「仁科ぁ〜、俺も俺も〜」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
みんな、なにやってるんですかぁ!!!?

「うん、やっぱり遙、お姫さまだわ・・・・・・」
「わかるわかるー、私もそうおもうよ〜」





39.
最近ヤバイな、と思うんです。
先輩のせいで、女装に違和感がなくなっちゃってきたんです!!

朝起きて、ご飯を食べて、また部屋に戻って着替えます。
いつもだったら、女子の制服に危うく手をかけそうになって、
「違うよッ!!」
と独り言言いながら払いのけて男子の制服を着るのですが・・・・・・。
てか何でボク、女子の制服を隣に掛けちゃうんだろ・・・・・・。

でも、その日はぼんやりしすぎて。
実は、小説を書き始めたんです。
いつもの創作サイトの管理人、ショタコンの「ぽえっと☆」さんがボクに勧めたんです。
「>Hal 今度企画やるから、よかったら小説書いてくれませんか?君ならいいのが書けると思うんだけど・・・・・・」
ちょっと、悩みました。
でも、そのあとの一言に思わず「書かなきゃ!」と、思っちゃったんです。
「お題は、『女装美少年の苦悩』でヨロ☆」
・・・・・・ボクは、美少年じゃ、ないですけどね!!

でも、なかなか構想が浮かばなくて、それで夜も眠れなくって。
だから朝、ぼんやりしすぎました。

朝、先輩に会って、ご挨拶。
「あ、雪乃先輩。おふぁようございますぅ・・・」
「あらハルカ、どうしたの?すごい眠そう・・・・・・」
少し心配そうな先輩。
ボクはそんな顔で目が醒めちゃって、先輩にはそんな顔でいて欲しくなくて・・・・・・。
むぎゅっ。
「あぁハルカ、甘えんぼさん☆」
「ち、違いますッ!先輩、なんでもないですよ・・・?」
甘えんぼじゃ、ないです。
先輩がそんな顔してると、さみしくて・・・・・・。
「・・・実は、ぽえっと☆さんの提案なんですけど・・・・・・」
ごまかすように、言います。
「小説書いてって言われたんです・・・でも、ネタがぁ〜!」
でも、抱きついたままで。
先輩は興味津々に聞きます。
「あら、お題はなんだった?」
「・・・『女装美少年の苦悩』だって・・・。もう、ぽえっと☆さんってば・・・」
「うわ!ハルカにはうってつけじゃない!!」
「でもぉ、なかなか構想が・・・・・・」
本当に困ってるので。
困った時の、雪乃先輩だより。
「・・・実体験を元に、という方向で?ファイナルアンサ〜」
と、満面の笑み。
実体験、ですか!?

校門近くで、如月先輩とばったり。
「あ、雪乃、それに・・・井上君、おはよー」
いつになく、如月先輩はニヤニヤしてます。
「おはようございます〜」
「明日香おはよー!」
雪乃先輩もニヤニヤ。
今にしてみれば、そのときに気が付くべきでしたね・・・・・・。

校門の目の前で。
「あれ?遙君その格好で良いの?」
と、唐突に如月先輩。
「え?格好・・・・・・」
と、なんとなく手を振ってみると・・・・・・。
ひらっ。
スカートの、感触。
「あ、先輩ゴメンなさい!!」
先輩のスカートを触っちゃったのかと思ったのですが・・・・・・。
「えぇ?自分のでしょ?」
!!!
恐る恐る自分を確認してみると・・・・・・。
女子の制服で、来ちゃってました・・・・・・。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?ボク、着替えてきますッ!!!!」
ボクは恥ずかしさと遅刻のピンチで、大慌てでウチに戻りました!!

「・・・大慌てだったね」
「あぁもう明日香ぁ〜?なんで言っちゃうかなぁ?」
「だって流石にマズイでしょ・・・まぁ、井上君なら許される気も、しないでもないけど」

大慌てで着替えてきて。
教室に入ると。
「おい井上〜めずらしいな。仁科とそろって遅刻かぁ?」
と、先生は大笑いです!!
教室も大爆笑で、気まずかった・・・・・・。

その夜、ボクは流石にマズイと思って、段ボールに女子の制服を封印しました。
・・・でも、小説のネタにはしちゃうんだよなぁ・・・・・・。
・・・・・・はぁ。

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「まさか、こんなに上手くいくとは思わなかったよ、ハッハッハ」
「もう、ぽえっと☆はイジワルだね☆」
「そうかな?僕は、ただのショタコンだよ?」
「いや、もう極悪なショタコンだね」
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----------------------------作者あとがきwwww------------------------------

26.
のっけから女装なし。たまには。良いでしょうかねーこういうのも。
ヘンな恋愛モノぽくなるかしらー。
27.
そうです、遙に女子の制服が似合うというプロパガンダwwwww雪乃策士過ぎwwwwwwww
・・・てか俺男子の制服着た遙の絵すら描いたことないんですがwwwwwwwwwwwwwwwww
28.
今日は遙じゃなくって雪乃視点?でした〜。
実験的な意味が強くて消化不良気味だなぁ〜、なんて。
そして結構まっとうな恋愛モノになってきたかしら?主人公女装ですけどwwwwwwww
29.
ただ書いてみただけwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
俺そのエロ漫画読んでないwwwwww聞いただけwwwwwwwwっうぇうぇwwwwwwwwwwww
まぁ「先輩とボク」タイトルとしてはありがちですけどー。ショタ漫画じゃねーのかよwwwwwww
30.
何が企画なのかさっぱり分かんないけどね。
ちなみに先ボク当初はキャラ名も決まってなかったりしますね。名前も付いたんだし、そろそろタイトル変えても良いんじゃないかとは。
・・・エロ漫画でかぶってる分にはかまわないけど、小説は、ねぇ・・・。
「ユキ×ハル」一般的に「A×B」の順番の意味するところ含みでこのタイトル案・・・雪乃攻めwwwwwwwwwてか遙がいじめられっこでお姫さまでヒロインなんだもんwwwwwwww
・・・他に良い案があったらアイディア募集中なんでくださいなです。
31.
うは、すっげえ長くなったし当初予定より大幅に内容変わるし積め込めすぎたしおまけにツィーランってwwww正直すまんかった。
とりあえずようやく正式にカップルになったみたいですけどやってる事かわんねーやこの二人。
それよりも俺は仁科が心配だよ・・・・・・。
まぁ、一区切り付いたってことでより暴走してゆくわけですかwwwwwwどうすんのこれwwwっうぇうぇwwwwwwwwwwwwwwww
32.
おあとがよろしいようで・・・ねーーーよwwwwwwっうぇうぇwwwwwwwww
ハルコンネンってなんだっけ。オリハルコンとは違うよなwwwwwwwwwww
あと、「はるかリフレイン」とかいう漫画もあったよねー、多分。しらないですけど。
33.
いつもの一コマ。なんてゆーか、ダメっぽいわwwwwwこの人たちwwwwwwwwww
34.
うん、少年モノらしい感じになってきた。剥き出しの感情は青春なんでしょうか。
そして、あふぉじけ先生ごめんなさい・・・レバニラwwwwwwwwwwwwwwwwww
35.
のろけ話。
こいつ等wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
うわwwwぐだぐだだwwwwwwどーしよwwwwwwwww
36.
相変わらずグダグダだぁ。
もっと短く引き締めた方がワケわかんなくていいかも知んないwwwwwwwwwwwwwww
あと雪乃、キャラだいぶ変わった?
37.
新キャラはものすごい子が・・・。
俺も自分で書いててビックリするような、恐ろしいピンクテロリズムwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
しかし内容がグダグダになってきた。「戻ってこーい」と思ったら意見よろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
38.
もうね、意味わかんねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
コレはなんなんだよwwwwwwwwこいつ等全員バカスwwwwwwwwwwwwwっうぇうぇwwwwwwww
39.
もう、意味わかんねwwwwwwwwww
遙やばくなってきたよwwwwwwwwwwwwwこのまま突っ走りてえwwwwwwwwwwwwwwwww


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